「どうするつもりだ?」
会議前に俺はリムルに尋ねた。
「実はな俺はこうしたいんだ」
リムルが思っていることを聞いた俺は驚いた。
「確かにそれは夢物語かもしれないな…だが、俺もどっちかと言うとそっちの方がいいな」
リムルが思っていることは夢物語かもしれない。
だが、俺的にもそっちの方がいいと思い、賛成することにした。
「でも、それならこうした方が良くないか?」
「ほうほう、確かにいいかもしれないな…!」
会議までの時間、俺とリムルは案を出し合って話し合った。
そして、会議の時間となった。
湿地帯中央に仮設されたテントに、各々の種族の代表が集っていた。
この会議の出席者はリムルの鬼人とリムル、そして何故か居させられている俺。
リザードマンからは首領と新鋭隊長と副隊長、ガビルはどうやら反逆していたらしく、連れていかれた。
ガビルに連れてこられた数人のゴブリン達、
「…えっー」
俺の膝の上に乗っかているスライム姿のリムルが話を始めた。この議会の議長はリムルなのだが、何故俺がリムルを膝の上に乗せる必要があるのかが、疑問だ…
「こういう会議は初めてで苦手なんだ…だから思ったことだけを言う、そのあとは民まで検討して欲しい」
まあ、戦後の会議なんて中々しないよな…
「まず最初に明言するが、俺はオークに罪を問う考えはない」
リムルの言葉で、オーク達が戸惑い始める。
正直、俺も驚いたがリムルは続けた。
「被害の大きいリザードマンからしては不服だろうが、聞いてくれ…彼らが武力蜂起に至った原因と現在の状況を話す」
リムルが話したのは、オークを襲った大飢饉、そしてゲルミュッドによる暗躍。
「────なるほど、大飢饉…それにゲルミュッドなる魔人の存在ですか…」
少し納得気味にリザードマンの首領は言った。
「だからと言って、侵略行為が許されないのは当然だが、逼迫した状況から分かる通り、彼らに賠償できるだけのた蓄えはない……っていうのはまぁ、建前なんだけどな」
「建前?」
リムルの建前という発言にリザードマンの首領は不思議そうに聞いた。
「では、本音の方を伺ってもよろしいかな?」
「……オークの罪は全て、俺が引き受けた。文句があるなら俺に言え」
リムルの言葉に、会議前に聞かされていた俺と鬼人達以外は少し驚いた表情をした。中でも、オーク達が一番驚いていた。
「お、お待ち頂きたい!いくらなんでも、それでは道理が…」
オークの中で一番上だろう、フードを被ったオークがリムルに申し出たが、
「それが魔王ゲルドとの約束だ」
リムルの次の言葉を聞いて黙り込んだ。
「なるほど…しかし、それは少々ずるいお答えですな」
まぁ、簡単には受け入れられないだろうな…
だが、リムルはここで引き下がるつもりはないようだ。
「魔物に共通する、唯一不変の
少し不満そうだったリザードマンの首領に対し、ベニマルが発言した。
ベニマルを見たリザードマンの首領は驚きながら、
「そなたは、ソウエイ殿と同じ鬼人か!」
と、言った後、納得した様子で
「弱肉強食…確かにその通り…駄々を捏ねては、リザードマンの沽券が下がりましょう」
「いいのか?」
「もとより、この戦の勝者はリムル様です。あなたの決定に異論などありません」
おぉ!なんて、素直なんだ…人間じゃあこうはいかないぞ。
「しかし、それはそれとして…どうしても確認せねばならぬことがございます」
「オークの罪を問わぬということは、生き残った彼らを全てをこの森にて、受け入れるおつもりですか?」
「確かにな、戦で数が減ったとはいえ、15万は下らないだろう」
確かにな…リムルから聞いた話だと、15万という数字は戦士だけの数ではなかった。
飢饉から逃れるため、全部族総出で出てきたらしい。
「エムルと共に考えたけど…夢物語のように聞こえるかもしれないが、森にすむ各種族間で、大同盟を結べたらどうだろうか」
「大同盟…」
大同盟ね…ありかもしれないな。
「オーク達には、ひとまず各地に散ってもらうが、その土地土地で労働力を提供してもらいたい」
「その見返りに我らは食糧や住む場所を提供するということですか?」
「そうだ…住む家なんかの技術支援は俺達の町の職人に頼む、もちろんタダじゃないぞ、ウチも人手不足だからオークの労働は当てにしてる…技術を身につけたら、そのうち自分たちの町を作ればいい。各地に散った者達とも一緒に住めるようになるだろう…最終的に他種族共生国家とか出来たら、面白いんだけどな」
リムルの説明を聞いた、リザードマン達やゴブリン、オーク達が驚いた顔で固まっていたり、ザワついていた。
「わ、我々がその同盟に、参加してもよろしいのでしょうか…」
少し不安そうな表情でオーク達が聞いてきた。
「ちゃんと働けよ?サボることは許さんからな?」
「もちろん…もちろんです!!」
リムルの言葉を聞いたオーク達は、リムルに向かって跪いた。
「…我らも異論はありません。ぜひ協力させて頂きたい」
今度はリザードマンが跪いた。
何やってるんだ?…同盟を結ぶために何か儀式でもあるのか…?
俺とリムルが跪こうとした瞬間
「何をなさろうとしておられるのですか?」
「「え?そういう儀式?みたいなのがあるんじゃ(ないか?」」
止めに入ったシオンに対して、息ぴったりに俺達は尋ねた。
「ありません、本当にもう、リムル様と
次は鬼人達が跪き、後ろにはゴブリン達も跪いていた。
うん?今、シオンの奴…俺のことを様付けしたよな…?
俺と(恐らくリムルも)頭の上にはてなを浮かべていたら、
「よろしいでしょう…では森の管理者として、わたくしトレイニーが宣誓します」
トレイニーさんが何か言い始めた。
「リムル様をジュラの大森林の新たなる盟主、エムル様をジュラの大森林を副盟主として認め、その名の下に”ジュラの森大同盟”は成立しました!!」
はぁ!?リムルは分かるが、なんで俺が副盟主なんだよ!?…俺、数日前に来たばかりだぞ!!
待て待て待て!トレイニーさんが盟主じゃないのか!?森の管理者だろ!!?
そんな俺の思いとは裏腹に、トレイニーさんも跪いた。
…………………
「じゃあ、あの、そういうことみたいなんで、よろしく頼む」
「俺からもよろしく頼む」
ハハッ!!
こうして冷や汗が止まらない俺達を置き去りして、ジュラの森大同盟は成立した。
「き、休憩!いったん休憩にするぞ!!」
リムルが休憩を宣言した後、すぐさま俺はリムルを連れて、離れた場所に連れて行った。
「おいリムル!どういうことだ!!」
俺は思いっきりリムルを引っ張った。
「俺が聞きたいよ!!」
俺らが少し口論をしていたら、トレイニーさんがやってきた。
「あらあら、リムル様にエムル様…」
軽くお辞儀をしたトレイニーさんに俺は問い詰めた。
「なんで、俺が副盟主なんだよ!俺、数日前に来たばかりなんだが!!?」
怒っている俺に対して、トレイニーさんは澄ました顔で
「聞きましたよ、エムル様はリムル様と同郷の上に、不思議な力を扱うことができると…リムル様だけが盟主だと、大変だろうと思いまして、エムル様を副盟主にしたのです…実際、先程の大同盟を考えたのは、リムル様とエムル様のお二人なのでしょう?」
納得のいく事を言われたため、俺は何も言えなくなった。
トレイニーさん…なんて、食えない人なんだ…
俺は頭を抱えてリムルとトレイニーさんと共に会議場に戻った。
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