日本国召喚 未来の戦い   作:ウサギのパンツ

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感想と高評価あざっす!


新世界冷戦
彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし


彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし

 

 

 

 

 

『――御来場の諸君には、多忙なる中、貴重なる時間を割いて頂き、主催者の私としては誠感謝の極みである。今回の海外情勢研究会の目的は、顕在化した我らがニルヴァーナ共和国の最大の敵であり脅威であるニホン………。

あの恐ろしい悪魔の国に関し、我が共和国国外で進行中の事実と現在、共和国が有する情報を諸君と共有することにある。これより発表する事実に関しては諸君にとって不愉快な内容がいくつかあるが、

古の猛将「サスティアス」曰く彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うしという名言を私も信じるものである。では、これより登壇する優秀な発表者諸君に拍手を!』

主催者「メロゲレス」公爵は発表者に入場するよう手招きする。

今回の研究会観衆の拍手に送られ壇上に足を踏み入れる発表者は4名、いずれも政界、学会、軍部において将来を嘱望される若手研究者であり、共和国におけるニホン研究の第一人者でもあった。最後の4人目にあたる女性士官が壇上から観客席を見上げ、投掛けられた視線はかなりの距離を超えてイザベラの視線と交差する――ーーー二人が口元に微笑を洩らしたのは同時だった。

 

 

共和国元老院外交研究所 副所長オルス・アドリー

 

ワイマール総合研究所 国防課 主席研究員 陸軍中佐 アイリス・ノヴァル

 

共和国軍 対ニホン戦略研究室 室長カバッオ・デジマ大佐

 

 

『では最初に共和国元老院外交研究所副所長オルス・アドリーにニホンの外交政策及び我が国のなすべきことについて語っていただこう』

 

銀髪の痩せ型長身の男が話し始める。

 

『かの「スロリア戦役」から2年、悪魔の国は「ニホン」は、着々と我が国に対する外交攻勢を烈火の如く強めております。集団安全保障と相互安全保障条約を名目にスロリア周辺国北部国家群及びスロリア大陸国家群と同盟を結び、平和維持軍や治安維持軍という名目でその兵力をスロリア大陸各地に展開させております。この地図をご覧ください』

傍らに置かれた映像式投影機械が数瞬瞬き、一枚の巨大な地図を映し出した。スロリア大陸の過半を埋め尽くすに至った、敵対勢力を示す緑の標識たちとその一方で、ニルヴァーナの勢力圏を示す青は東端に追いやられていた。自国の余りの劣勢を突き付けられ、息を呑む観衆の反応を確認すると、オルスは続けた。

『現在、スロリア大陸西部の殆どがニホンが吸収したサマワなる地に展開しているニホンの地上軍は9万人規模です。とはいえこれらは2個師団を除き新たに新設され、現地人が主力のため、戦争を経験しない限り共和国の脅威値はなり得ません。東部には工兵主体の1個連隊が展開するのみです。これはニホン軍自身の発表による情報であり、後に我が研究所としても独自の情報収集活動の結果、事実と確認しています。しかし、東部にはニホンの従属国などの陸軍が2万人規模の戦闘部隊が駐留しております。ニホンの自らの手を汚さず、従属国を手足の如く使わせるという対外政策が透けて見えます』

 

 

 直後、観衆の発散する空気の質が変わった。イザベラはそう思った。

 

日々新聞の見出しには再戦へと人々を望むする報復への声。それらは戦役でスロリアにおける全ての利権と投資を失い、あまつさえは親兄弟夫などを戦場で失った上流階級の間で活発であった。イザベラはある意味「身内」である彼らに少しの同情こそ覚えても、その後に来る報復論には、正直なところ一切同調できないでいる。共和国とニホンの軍事的格差が、純粋な軍事力行使による対立は共和国を破滅へと導くだろう………。

もはや軍事行動で勝敗を決するには共和国の敵はあまりに強過ぎ、そして共和国が被るであろう被害はあまりに甚大に過ぎると一部の聡明な共和国の識者たちはそう考えていた。

 

『では次に、ワイマール総合研究所 アイリス・ノヴァル中佐に対ニホン戦略について語っていただく』

 

ワイマール総合研究所 通称ワイマール総研……。戦役後戦前は対ニホン殲滅の急先鋒だったイザベラ・ワイマールは今や一転してニホン情勢を最も理解しているーーーイザベラはそう見られている。

彼女に実家たるワイマール公爵家の財力を使い、私的に創設した安全保障研究所は戦後の共和国の外交、軍事に決して少なくない影響を持っていた。

 

『ご来場の皆様、総研の研究発表の機会を与えてくださり誠にありがとうございます。これよりニホンが保有する兵器の中でも共和国の脅威となりうる兵器の紹介と共和国が取るべき道を提案いたします。ではお願いします』

 

アイリスがそう合図をすると映写機に映像が流される。

 

「おお………!!!」

 

大海原を爆進する軍艦の縦列に、目を驚かさない者はこの場にはいなかった。天を突くかのような高さをもつマスト、舷側いっぱいまで大きくした艦橋を持つ灰色の軍艦がどこの国の軍艦かがもはや知らない者はニルヴァーナ共和国はおろかこの新世界の国々には1人としていないであろう。スロリア戦役で無敵を呼号した共和国海軍統合打撃艦隊を完膚なきまでに叩きのめし今や科学技術国家としては世界最強の海軍という称号を持つニホン海軍連合艦隊の特徴ある縦列陣や輪形陣――ーニルヴァーナ共和国海軍軍人が言うところの「ニホンの単縦陣と輪形陣」は、ニルヴァーナのテレビ放送ではここ近年、「悪魔の国ニホン」の象徴的な光景として受け止められている節があった。テレビの報道番組が「ニホンの脅威」だの「ニホンとの軍事的対立」だのを大いに煽る時、決まって流れるのがこの連合艦隊の映像なのだ。

「…………」

イザベラもまた、言葉を忘れるほど映像の中のニホン海軍の威容に目を奪われる。元陸軍軍人であったため、海軍戦略というものには詳しくないイザベラからしても、ニホン海軍の威容には圧倒され、そして感銘を受けるのだった。

 

 

『――イージス艦……おそらくはこの世界でも最強の水上戦闘艦でしょう』

 洋上を驀進するニホン海軍最強の映像を見ながらにアイリスの言葉は続く。

『――イージス艦の搭載レーダーは全周囲半径500km余りの距離を時差なく、それも一瞬で探知でき、探知した目標の形状まで識別してしまう性能を持つと言います。同時に探知し、そして追尾可能な移動目標は最大で1000。その何れの位置関係、脅威度すら識別し、搭載する対空ミサイル目標の優先順位まで割り振るという神技……。イージス艦の搭載する電子計算機はそれらを全自動で、瞬間的に行うことが出来るようです。彼らはイージス艦を10隻持っています。またイージス艦に準ずる戦闘能力や対空監視能力を持つユキカゼ型駆逐艦、コンゴウ型巡洋艦、アキヅキ型巡洋艦などと多数存在します』

 

あまりの圧倒的な能力に会議が騒つく。

 

『なによりも憂慮すべきはホウショウ型航空巡洋艦の存在です』

 

アイリスの発言を聞きつつ3番艦、4番艦と次々と就役が確認されているニホンの巨艦の写真をイザベラは思い出す。

戦役で脅威となった、共和国海軍総司令部の呼称するところの「航空巡洋艦」あるいは「悪魔の船」イザベラが接した写真の中で航行するその巨艦は、「国力の象徴」のような威容を誇っていた。それは多数の回転翼機を運用できる上になんと軍艦から戦闘機を発進させるという突飛な考えはイザベラを愕然とさせたものだ。

戦役後、ノドコールを囲むように設置するようにニホン人が設けた「飛行禁止空域」の監視に、この巨艦を根拠地とする戦闘機が投入されているのを確認していた。

 

『巨大航空巡洋艦の復活は、ニホンの海軍軍人にとってひとつの悲願でありました。国内世論や国外の圧力によりニホンは旧世界ではイズモ型軽航空巡洋艦と比較的小規模な航空巡洋艦しか持てませんでした。しかし、この世界に転移してからは、移動航空基地というべき超大型航空巡洋艦を陸海に対する圧倒的な優位を確保し、これを中心とする複数隻から成る艦艇を以て、世界中のどの海域にも即座に展開可能な機動打撃部隊とする。

航空母艦とニホン人は航空巡洋艦のことをこう呼んでいますが、これを艦隊の主要戦力とし、さらに複数隻の航空母艦を多数運用するだけで、艦隊の殲滅、陸上基地への攻撃など強大な攻撃力を投射できることを、ニホンの海軍軍人は旧世界で知っています。それが予定の計画であれ、あるいは我が共和国に対する方策の一環であれ、彼らがその機動打撃部隊の再建に成功しつつあるという事実は、より深刻に受け止められるべきことと小官は主張するものです」

 

 

イザベラはとある忌々しい記憶を思い出す。

 

2ヶ月前、ニホンが誇る衛星写真の存在が明らかになった後に共和国軍総司令部は、かねてより空軍総司令部が上申していたニホン本土への航空偵察作戦の実行を決定する。アーム戦略偵察機は航続距離が足りないため、高精度偵察装置を搭載したランサー戦略爆撃機による「野蛮なるニホン人」への示威のため出撃した。何より、エレキ空中給油機の存在が、空軍の戦略爆撃飛行師団に作戦の絶対の自信を与えていた。

「高射砲の届かぬはるかに高い高高度からのランサー戦略爆撃機の行進をもってニホン人どもの心を震わせてご覧に入れましょう」

作戦実行命令が下りたその日、作戦立案を担当したとある空軍参謀はそう豪語したという。長距離、高高度を飛行可能な高性能機を使用する偵察飛行任務というだけあって、作戦の成功を疑った者はこの時点では誰一人としていなかった。だが……

 

ニホン領空域直前に突如として出現し、特別任務群の両翼を犯罪者の両脇を固める警察官の如く抑え、時折機体を傾けては翼下にフル装備されたミサイルを見せ付けつつ並走するニホン空軍ご自慢のイーグル戦闘機を前にしては、如何に大型の戦略爆撃機と雖も任務を断念し引き返さざるを得なかった。結果として写真偵察という手段は放棄され、後々、ニホンの領域外で運用する海軍と諜報機関が運用する漁船改造の高性能電子偵察情報収集船や電波情報収集船、空軍の電子偵察機などに偵察の手段の大半を依存することとなったのである。その一方でニホン本土に強固な防空迎撃網が存在することが判明したのが、この作戦の収穫と言えば収穫と言えた。

 

 

アイリスの次にカバオ大佐が発表し始める。

 

『アイリス中佐の発表した通りニホンには難攻不落の兵器がひしめいております!しかし!我々共和国軍とて手をこまねいて見ている訳ではありません!!』

 言い終わるのが合図であったかのように再び切替る映像――ーー直後、現れた光景に息を呑まない聴衆はいなかった。

「何だこれは……!?」

 

 

荒野の某所、そこに仮設された鉄骨剥き出しの発射台に据え付けられた、柱を思わせる長大な物体――それが人々の知るそれよりずっと巨大なロケット状の物体であるのを人々が認識するのに10秒の時間を要した。聴衆が固唾を呑んで見守るその眼前で、物体の傍に寄せた燃料給油車と思しきトラックが止まり、車内から降り立った人影が、急ぎ足でトラックの四隅に散っていく……

奇妙な姿だった。恐らくはそれを見慣れない人々がそう思うのも無理はなかった。全身を包む茶色の防護服と顔全体を覆う黒色の防毒マスクの、異常なまでの奇妙さに、驚く人々はこの場には皆無であった。防護服姿の者たちは、あらかじめ決まっている手順を忠実になぞるかのように、推進剤注入口のあるロケット胴体の小型ハッチを開け、姿を覗せた穴にトラックのタンクから延びるパイプの先端を挿し込みそして厳重に固定した。

『…………!』

それまで挿入作業を見守っていた指揮官らしき防護服が、タンクの挿入制御盤に取り付いていた部下に合図を送る。制御盤にスイッチが入れられ、それまでだらしなく地面にその全長の大半を横たえていた送液パイプが、液体の流入に突き動かされるがままに震え始めた――ーーーー

『…………』

 

「…………知ってるか?あの推進剤……」

「………知っている。想像の域を超えたとんでもない毒物らしいな。取り扱いを間違えれば、少しの衝撃で爆発するとか……」

「――第90実験工場の事故……液体を全身に被ったとある作業員がいてな………そいつ、骨すら残らなかったらしい」

 

 

 ――再び、荒野の試験場。

 それまでロケット側の燃料計を注視していた防護服が頭を上げ、合図を送る。燃料注入停止の合図だった。制御盤のスイッチが切られ、そしてパイプは切り離される。そこでトラックと防護服の要員の役目は終わった。トラックが完全に安全圏へと退避したのを見計らい、それまで横倒しになっていた発射台が、遠隔操作で起動を始める。

 

防護服が手を挙げると轟音と共にロケットが飛翔していくーーーーー

 

 精度の粗い映像ではあっても、怒涛の如くに地を圧し、蒼空を割くロケットの噴炎は大きく、そして恐ろしいーーーー

 

映像が切替り、一転して規則正しく並べられた旧式装甲車両や兵士を模した人形が規則正しく居並ぶ布陣――ー

光の矢――

天から降り注いだ矢が、布陣中央部に飛び込んだのは一瞬――ーー

直後、中央に光の柱が生まれ、それは荒れ狂う炎の奔流となって周囲を焼き尽くしていく――ーー

 

「――――!!」

 聴衆の驚愕を超える驚愕――だがそれは、「ニホンの脅威」を目の当たりにしたそれとは、明らかに違った。どよめき、声を上げながらも彼らの声は決して怯えてはいない。むしろ自信を取り戻し、漆黒の広大なる空間に生じた高揚と熱狂に、進んで自らを委ねんとしているかのようであった。

 

『――苦節10年! 我らが共和国軍先端技術開発所のまさしく血と汗の結晶として結実せる長距離地対地攻撃誘導弾!我らはその名を「ザルスアーム」と呼称しております。この「ザルスアーム」そして現在開発中の性能向上型たる「ダビルザンダー」こそ来るべき対ニホン復讐戦の切り札となりましょう!!』

「おお――!!!」

 

聖典に登場する破壊の手の名たるザルスアーム、そして、仇なす国への天罰を意味するダビルザンダーは、これらの長距離攻撃兵器を形容するに相応しい名詞であるに違いない。通常弾頭の他、焼夷弾、生物化学兵器といった多様な兵器を弾頭部に搭載可能な両者は、敵対勢力の反撃の及ばない常識外の長距離を、同じく敵対勢力の対空砲火の追随できない破格の飛翔速度を以て踏破し、敵地重要施設、あるいは都市部を攻撃可能たることを宿命付けられている。特にグロスアームの拡大発展改修型たるダビルザンダーは、天の怒りを搭載可能なように接見されているとイザベラは立ち聞きしたことがあった。

 

瞬間聴衆から歓声が上がる。

 

「ニルヴァーナ共和国は偉大なり!」

「ニルヴァーナ人の敵、神の敵のニホンを滅殺を!」

「ニホン人をこの地上から一人残さず消し去ろう!!」

「ニホンを旧石器時代に戻そう!」

 




潜水艦発射型や潜水空母も開発されるだとか……。

大晦日までに完結できると思います?

  • 君ならできるさ!どんなことでも!
  • 気合いで!
  • 明らかに無理だろ!
  • 君がサボらなければね?
  • そんな泣き言言うならさっさと投稿しろ!
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