SPIDER-MAN Quintessential Quintuplets 作:まゆはちブラック
「───でね、家庭教師のアルバイトをすることになったんだ」
「あら、そう。良かったわね~」
家庭教師初日を終えた夜。夕食を摂りながら、
姉妹たちが中々素直になってくれていないことは伏せているが、それ以外のことは全て話した。
楽しそうに話す
「月30万円も入るんだ!叔母さん、お金に困ってただろ?これで何もかも解決だ!」
「ありがとう、
「何言ってるの叔母さん。僕は役に立ちたいんだ。ほんの少し早い親孝行だと思ってさぁ……」
「わかった。そう言うのなら、これ以上は何も言いません。でも、無茶だけはしちゃ駄目。それとアルバイト料の1割はお前が貰うこと。これだけは約束して」
「わかったよ、
しっかりと責任を果たそうとする姿を見て、
「(────とは言ったものの、ちょっとだけでもお金が欲しいところ……)」
しかし、
心配するなとは言ったものの、本当は全くといって余裕がなかったのだ。
財布の中にある金額は『2099円』と、育ち盛りの高校生の一ヶ月分のポケットマネーとしては心許ない。2週間後の給料日まではとても待ちきれそうにない。
夕飯を食べ終え、どうしようかと迷っていると、テーブルに置いてある『デイリー・ビューグル』の新聞の一面に目が留まった。
「(『スパイダーマンの写真求む!』……?)」
一面を覆いつくすほど堂々と打たれた広告。それはスパイダーマンの写真を提供するカメラマンの求人だった。
金額は撮れた質と量で決まるが、T市一の新聞社の『デイリー・ビューグル』だ。高く買い取ってもらえるだろう。
それにスパイダーマンは
やってみようと決めた
「おっと。動くんじゃねぇ……。頭がポップコーンみたいに弾けるぞ」
「うぅ……!」
その夜。一台の現金輸送車が銃を武装した6人組の強盗集団の襲撃を受けた。
リーダー格の男は銃をこめかみに突き付けながらドライバーを運転席から降ろすと、道路に跪かせる。
「おい、お前ら!スパイダーマンが来る前にさっさと金積み込め!他の奴らは見張ってろ!」
リーダー格の支持を受け、5人のうち2人は輸送車の現金を積み込み始め、残りは銃を構えて周囲を警戒していた。
最近現れた謎の自警団・スパイダーマンの活躍に強盗である彼らも警戒していた。
せっせと強盗作業に勤しんでいると──
パシャ!
「──フォォォウッ!」
『!?』
近くから鳴るカメラのシャッター音と共に空からスパイダーマンが颯爽と現れる。
見張りの強盗たちは驚きつつも発砲しようとするが、スイングの勢いを利用した両足蹴りで3人纏めて蹴り飛ばす。
着地したスパイダーマンは後ろ向きで跳躍し、襲いかかろうとする2人の頭の上で逆立ちする。
「フンッ!」
「「ぐあッ!」」
軽く前転しながら後頭部に両膝蹴りを放つ。強盗2人はスパイダーマンが蜘蛛の姿勢で着地すると同時に倒れる。
近くの電柱にウェブでくっつけたデジタルカメラはパシャパシャと一定間隔で自動撮影する。
≈「ッ!」≈
スパイダーマンは撮れ位置が大丈夫かとデジタルカメラの方を見上げていると、頭が危険を報せるかの如くムズムズする。
蜘蛛の第六感────スパイダーセンスだ。
危険を感じる方角からは、現金輸送車の陰からリーダー格の強盗がこちらに向けて発砲しようとしていた。
ピシュッ!
「あっ!?」
スパイダーマンは強盗が拳銃の引き金を引く前よりも早く左手を突き出してウェブを放つ。
粘着性を持ったウェブは強盗の目にくっつく。
突然視界が真っ暗になった強盗はパニック状態になり、拳銃があらぬ方向に向く。
ドゴッ!
「がッ!?は………」
強盗がパニックになっている隙にスパイダーマンは前転して素早く懐に忍び込むと、腹部に拳を打ち込む。
腹部から伝わる強烈な一撃に強盗は目を見開くと、その場に倒れ込んで気絶した。
「チーズ!」
パシャ!パシャ!
強盗を一掃したスパイダーマンはデジタルカメラがついている電柱へ振り向いてダブルピース。
デジタルカメラのシャッターは切られ、スパイダーマンの勇姿を余すことなく記録した。
翌日の土曜日の朝。昨晩の写真を現像した
──きっと高く買い取ってくれるだろう。
「ゴミだな。ゴミ、ゴミ、ゴミ、ゴミ、ゴミ……酷いゴミ。これ全部で6160円ってところだ」
と、予想以下の金額を辛口を添えて提示する。
写真はブレもなければ、画質もわりかし良い方だ。納得がいかない
「少し安すぎません?」
「ティーンエイジャーの小遣いなら妥当な金額だろ?嫌なら他に行け」
冷たく返された
「待ってください、編集長。この写真は素晴らしいです」
「フン、どうだか」
「たくさんのカメラマンが来ましたが、ここまで鮮明なスパイダーマンを撮れたのは彼だけです。このままライバルの『春場新聞』に売りでもしたら、大きく差をつけられます」
「…………座れ」
比呂の説得を受けて考えを変えた
「34000で出そう。比呂、一面をこの写真に差し替えろ」
先程提示された金額とは比べようにならないくらいの金額に
幸せな気分に浸っていた彼だが、
「見出しはこうだ!『スパイダーマン ヒーローか?悪人か? デイリー・ビューグル独占写真』!」
「悪人……?」
悪人という単語が引っかかる
写真はどう見たって強盗を倒している。どこをどう見ればそう思い付くのか。
決めつける
「彼は悪人じゃありません。昨夜の現金輸送車を守っ────」
「見出しはこの俺が決めるんだ。お前は写真を撮ればいい。それじゃ嫌か?」
「……ッ、いいえ」
「よし!」
──このまま口論しても意味がない。相手の性格、自分の立場を考えれば当然だった。
「これを秘書に渡して金を貰え」
「ありがとうございます」
「礼を言っても増やさんぞ。これからもネタになりそうな写真があったら、
編集長室から出ると、
「どうも……」
「おはよう」
「あなたにこれを渡せって」
「ああー……写真の代金ね」
細田はサインと印鑑をつけた小切手を返しながら、にっこりとした笑顔を送る。
「『デイリー・ビューグル』へようこそ」
「ありがとうございます。
「ふふっ。よく言われるけど、
「え?あまりそうは見えなかったですけど……」
「君もいずれ社会に出ればわかるわ………。小切手は下の銀行で現金化してもらって。じゃあ、
「……ッ」
細田はそう言ってウィンクを
「(僕は何を考えてるんだ!僕の本命は
「?」
焦った
心に決めた女性がいるにも関わらず、一瞬でものろけた自分を
悩む彼の姿に細田は首を傾げた。
そして、2時間後の正午。一旦家に帰ってから勉強道具一式をリュックに詰め込んだ
世間一般的には休日であるが、今日は家庭教師の日なのだ。シフトは週3~4日で、平日は17:30~21:30、休日は12:00~17:00(1時間休憩あり)で組まれている。
休日5時間はちょっと長いかもしれないが、勉強嫌いの彼女らのことを考えれば当然の長さかもしれない。父親のマルオも口出しは一切せず、勤務日時以外は一任している。
エレベーターに乗り、最上階の30階に到着。
インターホン越しで開けてもらえるように伝えると、ロックが開いた扉から彼女たちの家へ入る。
「おはようございまーす」
声をかけようとしたが、自作の問題集を念入りにチェックして忙しそうだったので「おはよう」と言おうとした口を噤む。
しかし、休日とあって皆私服(風太郎は生真面目なのか制服)であり、制服とはまた違った新鮮味を感じる。
「おはようございます、
「あ!やあ……。よろしく」
当然彼女も私服なのだが、横縞のトップスにロングスカートと清楚感を残しつつも涼しげな恰好だった。
袖がないことで普段見ることが出来ない色気ある肩に、
「ふーん……」
その様子を
彼女は
そんなやりとりも終えつつ、
「準備万端ですっ!」
「前わからなかったとこ、教えてね?」
「まー……私は見てよっかなー」
「私は
「はあ……言われんでもわかってる」
冷たく距離を取る
酷い言い方をしたとはいえ、未だに許す気はない
グループで作業行う以上、場の空気は大事だ。ギスギスしたままだと、後々大変になる。
この問題もいつか解決しなければ、
「よーし!やるかーー!」
とはいえ、前日と打って変わってやる気があるのは事実だ。
和気あいあいとした空気に風太郎も気合を込めて、勉強を始めようとすると──
「あんた達。また懲りずに来たのー?」
「
2階の手すりから
呟いた風太郎もだが、
「あんたもこんな昼間から来るって相当暇なのね。ま、
「やっぱりてめぇか……」
不敵な笑みを浮かべる
風太郎は生まれて初めて女をぶん殴ってやりたいと思ったが、今は落ち着く。揉め事など起こせば給料どころか、クビになってしまう。それだけは避けたい。
下手に出ようと考えた風太郎は心を落ち着かせると、彼女を誘う。
「どうだ?
「死んでもお断り。似合ってない双葉アホ毛と陰キャオタクとつるみたくないし」
「うぐぐ……!人のコンプレックスを……!」
即答で拒否されつつ触れてはいけないことを突かれた風太郎は作り笑いが不自然になるほど怒りが募っていた。
ギリギリと歯ぎしりするほどで、目も全く笑っていない。
険悪な空気に
「えーとっ……。僕たちがどうしたら勉強をやってくれる?」
「そうね…………3つ条件呑んだらやったげる」
「条件?」
「1つ目、荷物を片付ける。2つ目、玄関に行く。3つ目、ドアから出る」
「それって、”帰れ”ってことじゃない!」
指を折りながら
その抗議の声も彼女は「何か文句ある?」と言いたげな目で返すばかりだ。
「しょうがない。時間も惜しいし、俺たちだけでもやるか」
「だね」
さっそく、風太郎お手製の問題集を配ろうとしたとき、
「そうだ、
「今から!?」
「いくら何でも……!」
確かに今日は休日で時間はあるが、今は勉強が優先だ。順序が整ってない。
急な提案に
「あーかわいそう。補欠もない部活らしくてさ、このままだと大会に出られないらしいのよ。頑張って練習してきたのに………これじゃ水の泡になっちゃうわね。かわいそかわいそ………」
わざとらしく棒読みで同情を誘う
──絶対やるわけないだろう。そう思っていた
「上杉さんたち、すみません!困っている人をほっといてはおけません!!」
「え?おい──」
それを聞いて
風太郎が止める間もなく、ジャージに着替えた
「嘘だろ……?」
「………」
風太郎と
彼らの困惑する顔を見て、したり顔を浮かべた
「
「あー忘れてた」
「
「それもそうですね」
「ああ、待って」
続けて
どうして止めるのかと疑問の目を向ける
「図書館もいいけど、ここでやっても問題ないよ。リビングだと家族に見られるから逆に集中力が上がったなんてデータもあるし、わざわざ出るのも面倒くさいだろ?」
「そう言うのなら……」
初日からそうだったが、彼女は
その証拠に
「(本当は2人っきりになりたかったんだけど……)」
そのまま引き留めずにいれば、より親しくなれるチャンスだったが、
自分1人でも対応できる幅は限られており、今後のことを考えれば当然の決断だった。
「あ、
冷蔵庫の方を指指しながら頼み込む
──せめて、上杉だけは。排除しようとする黒い思惑に
「それなら買ってきた」
「え!?」
と床を指差す方角には、レジ袋が。
予想外のことに
種類も豊富で、オレンジジュースやリンゴジュースにコーラといったメジャーなものから、抹茶ソーダという奇妙奇天烈な飲み物まであった。
「さあ、そんなことより始めよう」
「ああ、仕方ない……切り替えていこうか」
それを見計らって、
仲間外れにするつもりが、
「あんたら、いつからそんなに仲良くなったわけ?え、
「また人のコンプレックスを……」
ボソッと呟く風太郎を指指しながら挑発気味に追求すると、それが気に食わない
「面食いに言われたくない……」
「はぁ?面食いが悪いんですか?イケメンに越したことはないでしょ?」
「顔が良ければ誰でもいいんでしょ?」
「なーるほど、なるほど……。外見を気にしないからそんなダッサイ服で出かけられるんだ?」
「この魔女みたいな爪がオシャレなの?」
「あんたにはわかんないかな!」
「わかりたくもない……」
煽りに煽り返す口論はいつの間にか風太郎の外見のことから、お互いの趣味趣向のことへと移行していった。
まともや訪れる不穏な空気に傍から見ていた
一向に進まない現状に見かねた風太郎は口を開く。
「おいおい、お前ら。外見とか中身とか言い争っている場合じゃないだろ?勉強するならする、しないならしないでハッキリしろよ」
「そうだね……。もう邪魔しないで」
「……」
呆れた風太郎の制止の声に耳を傾けた
それでも不満な
それを見て名案を思いついた
「キミ。お昼は食べてきた?」
「ん?ああ、そういやまだだな……」
唐突な質問にひょうきんな顔で答える風太郎。
風太郎と
「じゃあ、
「一気に話が飛んだな……」
発端のジュースの話から、どうして料理対決することになるのかが風太郎には理解できなかった。
当然やるわけないよな、と視線を送る風太郎に対して
「フータロー。すぐ終わらせるから待ってて」
「おぉいッ!どうしてそうなるッ!?」
と腕を捲り、自信たっぷりに挑戦を受ける姿勢を見せる。
思った通りと違う彼女の行動に、風太郎は今日一番の声でツッコんだ。
2人は台所の前に立つと、さっそく各々の調理に取り掛かる。
台所から火を点火する音、食材を切る音が聞こえる中、勉強しながら
「大丈夫でしょうか……?」
「仕方ないよ、始めちゃったことだし……。まあ、彼女たちがこれで満足するなら」
「ですね…………ですが、このまま黙ってはいられません」
苦笑する
この様子から、
「味見は任せてくださいね!」
ガクッ!
と、ジュルリとよだれを垂らしながら楽しそうに言う
止めるどころか応援する立場になっていることに風太郎のみならず、
キラキラと目を輝かせる
「駄目。絶対、駄目」
「あんた、この前味見だけって言ったカレーを
「そんなぁ……」
拒否。しかも2人ともだ。
姉たちに拒否された
「………ドンマイ」
「はい……」
理由はそこまでだが、いたたまれない気持ちになった
そして、調理開始から40分後。作り終えた2人はテーブルにそれぞれの料理を風太郎の前に差し出す。
休憩することにした
「じゃーん!旬の野菜と生ハムのダッチベイビ~~!」
自信満々の笑みで
卵、小麦粉、砂糖、牛乳から作られるドイツの朝食で出されるパンケーキで、ビスマルクやダッチ・パフとも呼ばれる。
一般的には搾りたてのレモンやシロップをかけて食べるのだが、昼食用と考えてナスやピーマンといった旬の野菜をたっぷり入れている。
「オ……オムライス………」
反対に恥ずかしそうに縮こまる
だが、米は焦げており、卵もぐちゃぐちゃで、オムライスと言われなければわからないくらい”お粗末なもの”だった。
そんな
「……いただきます」
とりあえず食べることにした風太郎は合唱すると、まずは
──見栄えはいいが、あの女のことだ。きっと中身同様、不味いに違いない………。そうタカをくくっていたが、口にした瞬間──
「!?う、美味いッ!」
「ふふっ……」
驚く風太郎の反応に
噛み応えのある野菜の食感と生地のバランスさ、ヘルシーでいて生ハムのジューシーな味わい……どれもが彼の味覚を刺激した。
すっかり胃袋を掴まされた風太郎は夢中になって次々と口の中に入れていき、気付いたときにはひとかけらも残さずに完食した。
「ごちそうさま。美味かったぞ」
「私にかかれば当然よ」
率直な風太郎の感想を聞いて、
──悔しいが、料理の腕は認めざるを得ない。風太郎は内心そう思いながら、
「いいよ……。やっぱり自分で食べる」
疑問の目を向ける風太郎に
料理の腕前の差を見せつけられた
「せっかく作ったんだから、食べてもらいなよー」
ますます自信を失う
「(見たくれは悪いが、意外と美味いのかもしれない……)」
風太郎は眼前のオムライスが美味しいと祈る。娼婦風スパゲッティーだって慌てた娼婦が作ったら美味かったと聞く。
それと同じだと言い聞かせた風太郎はスプーンですくう。変な焦げた匂いが鼻に入ってくるが、堪えた風太郎は覚悟して口に入れる。すると──
「うッ!?(ま、不味い!何なんだ、これは!?)」
見た目通り不味かった。焦げ臭い米のジャリジャリとした食感と崩れた卵のべちょべちょした味に、風太郎は吐き気を催した。
「もういいよ……残していいから」
風太郎の顔色が一瞬で悪くなったのを見て、
どうしてと疑問に思っている
「……何勝手に下げようとしてんだよ?まだこんなに残ってるんだぜ?」
「不味いんでしょ?同情はいいから………」
「”同情”?同情なんかするもんか……。これは”プライド”だ!俺の家は貧乏だからな……出されたもんは全部残さず食べるって決めてるんだ!例えそれが不味くても、俺は最後まで食う!それだけだ!!」
そう言い放って
「……ごちそうさま。不味いが、気持ちは伝わった」
「……うん」
率直ながらも感謝を告げる風太郎に
オブラートには包んではないが、彼らしい真っ直ぐな感想に自信がなかった
「は?何それ!つまんない!」
何かいい感じの空気になっているのを気に食わない
素直じゃない
「見直したー………」
「えぇ、そうですね……」
風太郎のカッコ良さに見直した
この日。
ちなみに風太郎が腹を壊して、2時間もトイレに籠っていたのは余談である。
「お疲れ」
「ああ……」
そして時が経ち17時。家庭教師の業務が終わった
風太郎がトイレに籠ってしまったというトラブルがありはしたものの、
隣で歩きながら
「ねぇ、上杉」
「ん?」
「何でこの仕事を引き受けたの?あんなことされても……」
「……」
そんな彼がどうして酷い仕打ちをされても辞めずにいるのかが頭に引っ掛かっていた。
彼の純粋な問いに風太郎は少し考えたのち、口を開く。
「
「ああ」
「俺の家……実はさ、借金まみれなんだよ。親父が必死に働いて返済してるけど、それでも氷山の一角……全然減らないんだ。俺もアルバイトを掛け持ちして働いてるけど………。けど、この仕事なら月に約30万円も貰える。それさえあれば、いつも我慢させている妹にも楽させてあげられる」
風太郎の境遇を聞いて、
風太郎は妹と父親、
ただの嫌味な奴かと思っていたが、自分と似た境遇を持っていると知り、親近感を覚えた。
「なあ、お前はこの仕事を受けた理由は?」
「僕も君と同じ叔母……家族のためだよ。最近働いていた叔父が亡くなってね、収入源が無くなったんだ。……元々、うちはそんなにお金があるわけじゃないから、遺産だけでどれだけ暮らせるかわかんない………」
「それでこのバイトをしに来たってわけだな」
「うん。似た者同士だ」
最初は頭はいいが大人しすぎる奴だと思っていたが、蓋を開けてみれば自分と同じ家庭状況に苦しんでいる男だった。
似た者同士と言われても普段なら冷たく突っぱねるが、
「あ、財布忘れた。悪い、戻るわ」
五つ子たちの住むマンションから1kmくらい離れた頃、風太郎はポケットに財布をマンションに忘れたことに気付いた。
全財産が入っているので急いで戻ろうとするが、
「いいよ。代わりに取ってくる。どんな形?」
「富士山の絵がついたがま口財布だ。多分、リビングにあると思う」
「わかった。すぐに取ってくるよ」
「悪いなー」
特徴を聞いた
マンションに戻り、
「あったあった」
風太郎がどこにいたのか思い返しながら探すと、1分もしないうちに見つけた。机の下にあることから、勉強を始める前に行った問題集のチェックしていた際に落としたんだろうと検討つけた。
目当てのものを手にしたこれ以上ここにいる必要はない。
「あ……!」
扉が開き、廊下から誰かが現れる。その姿を見た
それは胸元をバスタオルで巻いた、風呂上りの
「
「………」
濡れた髪をバスタオルで拭いていた
しばらくの静寂ののち……
「きゃーーーーッ!!不法侵入!!誰か来てッ!!!」
「あわわ……!」
助けを求める悲鳴に
もし、
『
『何かありましたー?』
「(マズイ!)」
彼女の悲鳴を聞いて、リビングに向かう他の姉妹の声が聞こえる。
その声には
そして、リビングに
かがみこんでいる
「どうしました?」
「き、聞いてよ!
「
動揺する
「
「そんな!?嘘よ!この目で見たんだから!!」
「いくら嫌ってるからといって、これは………」
「ち、違うわよ!嘘なんかついてない!絶対隠れてるんだわ」
ジト目で疑う
人が隠れられそうな場所を隅から隅まで探すが、
おかしいと頭が混乱し始める
「きっと疲れてるんだよ……」
「そうかも……。きっと、あいつらがいたせいで幻覚を見たんだわ………」
ともあれ解決した一同は元の場所へと戻っていく。
「やっといなくなったか……」
天井では一部始終を見ていた
他の姉妹が来る寸前、
「(あんなとこ見られたら、裁判染みた尋問を受けたに違いない。けど、
忍び足で廊下を歩き、靴を履いて玄関を出た
実は
「(まあ、今はこの力に感謝するか……)」
何があったのかはともかく、素直にスパイダーマンの能力に感謝することにした。
この力が無ければ、変態の烙印を押されていただろう。
◆イースター・エッグ◆
①2099円
MARVEL COMICから発刊されている「スパイダーマン2099」(1992)から。
タイトル通り2099年の未来世界が舞台で、アルケマックスという大企業の遺伝子組み換えのプロジェクトに関わっていた科学者、ミゲル・オハラがスパイダーマンとして活躍する。
②裁判染みた尋問
「五等分の花嫁」作中における大事件・五つ子裁判から。原作では財布を取りにいった風太郎がのぞきの疑いをかけられ、一応は解決するのだが、今作では
スパイダーマンを増やす?
-
YES!(ヒロインなし)
-
YES!(オリジナルヒロイン)
-
YES!(五つ子の中からヒロイン)
-
NO
-
It's Morbin time