「王都が襲撃されているだと!?」
告げられたのは王都が襲撃されているということに、全員は戸惑いを隠せないでいた。
「シレンさん!」
危機だと察したアキラが、『金色の夜明け』団員シレンに声をかけると、シレンはしずかに頷き、魔導書を開いた。
―――岩石創成魔法 "世界を語る模型岩"―――
シレンは瞬時に岩石で模型を作り出し、状況を把握するための現在の王都を再現して見せた。
「…これは…王貴界の立体模型…!?…現地の人間の声や魔力量まで…!魔をこの地域一帯に張り巡らせ同時にそれを可視化させているのか…!」
「私の"魔花の道標"より遥かに高レベルですわ……!」
これにはクラウスとミモザも驚いた。悲鳴や逃げ惑う人たちの声まで聞こえる。
「…これ程の魔力量の軍勢が我々に気付かれず五ヶ所同時に……」
「どうやら相当な空間魔法の使い手によって一瞬の内に現れたようだな…」
フエゴレオン達が作戦を立てている最中痺れを切らしたかのように
「いや、コレ何待ち!?助けを求めてる奴らがいるのは充分わかった!!俺はもう行く―――!!」
と叫び、町の人々を護る為に、アスタは走り出す。
「何処に行くつもりなのだアスタ…!まだ状況を把握し切れていないし…それにお前は魔力の感知が全く出来んのだろう――!?」
クラウスがそう言ってアスタを止めようとするが
「音のデカい方に行く!!」
それだけ言うと、王都へと走っていった。
「動物かオマエは」
「フハハハハハ!!面白ォォい!!貴様の力見せてもらおう!!待たんか我がライバル―!!」
と今度はレオポルドが走り出して行った。
(本来なら魔法帝がいらっしゃれば魔法帝の指示に従うが、魔法帝は不在。現在、魔法帝と同等の権限を持つのは魔法帝に代理として残るように言われたアキラ様。だが、アキラ様はまだ新人………)
アレクドラは模型を見ながら、思案しているアキラへ目を向けると、アキラは口を開いた。
「フエゴレオンさん、よろしくお願いします」
とアキラはフエゴレオンへ、指揮権を渡した。
それを受け取ったフエゴレオンは、的確に指示を出した。
「私はレオと暴牛の小僧を追い、合流した後に北区に向かう!!暴牛の娘も共に来い!」
フエゴレオンは魔法で獅子を作り出し、ノエルを後ろに乗せる。
「『銀翼の大鷲』は敵の魔力量が最も大きい中央区を頼む!!」
「............いいだろう...」
ノゼルは何か言いたげだったが、自身のプライドよりも今は優勢させる事があると理解している為、指示に従う。
「『碧の野薔薇』は東区を!!」
「男の指図は受けたくはないが...仕方無い」
シャーロットもノゼル同様、指示に従う。
「『金色の夜明け』は二手に分かれ、北西区と西区に向かってくれ!!」
『金色の夜明け』も指示に従う。
「王都を守れないとなれば魔法騎士団の恥だ!!!絶対に敵を逃すな━━━!!
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
〜北西区〜
フエゴレオンの指示の元アキラは、アレクドラ、ミモザ、ユノと共に北西区に赴いていた。
「ものすごい数ですわ」
「うわ、ないこれ気持ち悪………」
「どこかに弱点でもあるのか?」
「そんなモノを探すのは手間だ……!」
「弱点無さそうですし、粉々に粉砕するのが手っ取り早いですね 」
アキラはそう言うと、魔導書を開いた。アレクドラたちも同様に魔導書を開く。
そして暫くし……
「フン……粗方片付いたか」
「そーですね」
(この程度で手こずらないように、もっと強くならないと……)
(キ……キモチ悪かったですわ………!)
アレクドラとアキラは声を交わし、ユノは決意を新たにしミモザは胸をなで下ろしていた。
(でも、可笑しいな……。フエゴレオンさんたちに気付かず、王都に侵入した敵は、こんなに弱いのを放ってなにがしたいんだろ……。)
「うーん……」
アキラが唸って考えていると魔導書の中からレムが飛び出した。
〈アキラ!〉
「レム?」
ーーー…全員…マーキングエリアに入ったようだな…
瞬間ミモザやアレクドラ達の下に空間魔法が出来た。
「!ミモザ、アレクドラさん!そこから離れてください!!」
―――お疲れ様……騎士団の諸君ーーー
――空間魔法"ブラックアウト"――
それと同時に、騎士団全員が一瞬にして、遠くに転移させられた。
「っ!気づくのが遅かった!」
「アキラ……」
「ユノは無事だったんだね?」
〈多分無意識にシルフが宿主守ったんだと思う〉
ユノは、アキラとレムの会話を聞きながらレムに目を向けた。
「アキラ、そいつは?」
「ん?あー、レムのこと?ユノは初見だっけ?私と契約してる光の上級精霊だよ。四大精霊のシルフには及ばないけどね」
そう答えるとレムはユノにクルッと回って、頭を下げた。
「これからどうするんだ?」
「どうするも何も、これじゃあ連携取るのは難しいかなぁ……多分、アスタとフエゴレオンさん、レオ、ノエルの方は敵の本陣の方に居そうだからそっちに行くのが先決かな……。狙いが王の可能性も捨て切れないけど……」
「?」
「王の方はパパの側近の魔法騎士が行くから放っておいても問題ない。逆に私達が行った方が邪魔になるしね……」
そう言葉を交わすと、爆発音と悲鳴が聞こえ、2人は顔を見合わせるとそっちの方向へと向かった。