光の四葉の魔導書   作:六道水晶

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【9ページ】戦功叙勲式

 

 

「―――では…戦功叙勲式を始めよう…!」

 

定期的に行われる戦功叙勲式。魔法帝の開始の宣言で始まる。ここには星を獲得した他の団の団員と団長が集まっていた。

 

「星取得数7『紅蓮の獅子王』団 レオポルド・ヴァーミリオン!!君に二等中級魔法騎士の称号を授与する!!…兄である獅子王団団長と同じく君の炎魔法の威力は圧倒的だね〜〜!やり過ぎに要注意かな」

 

「悪に容赦など必要ありません」

 

燃えるような赤い髪をした少年が堂々と言う。

 

「星取得数6『碧の野薔薇団』ソル・マロン!!三等中級魔法騎士の称号を授与!!男性に負けない行動力と独創的な土魔法は凄いけどちょっと自由すぎるかもね!!」

 

「私を縛れるのは姐さ――団長だけです」

 

褐色•黒髪の女性魔法騎士、ソルは魔法帝ユリウスの言葉にそう返す。

 

(いやー、星一つが霞むほどの活躍。この人達よりアスタとユノは実績を積まないといけないのかぁ……。大変だね〜。にしても、アレクドラさん達がいるのにウィリアム兄様が居ないな。まあ、ウィリアム兄様も忙しいからなぁ)

 

「―――みんな大義だったね。さて、これから簡単な席を設けてるから楽しんでいってくれ」

 

気づいたら叙勲式が終わりを告げていた。アキラは、階級が上がった団員たちを見て、自分も頑張ろうと内心思った。

 

「あ、そうそう…今日は特別ゲストも呼んであるから大いに交流してくれたまえよ!」

 

叙勲式に呼ばれていた団員達がアスタ達の方を見る。

アキラは、ユリウスが考えていることを察し、軽くため息をついた。

 

部屋を移動すると、複数のテーブルと料理が置かれた部屋へと案内されるアキラ達。

 

「用が出来ちゃったからちょっと抜けるね~みんな楽しんでてくれ!」

 

「いってらっしゃい」

 

笑いながらその場を後にするユリウスに、軽く手を振りアキラは飲み物を手に取った。

 

「うぐ、周囲からの視線が痛い……全く楽しめそうにないぞ」

 

と苦虫を噛み潰したような顔をするクラウス。ユノは特に気にしていないのか、飲み物を手に取っていた。

 

「なんっっじゃこりゃああああこんなの食べたことないぞォォ~~~~!!?」

 

騒がしく食事に手をつけるアスタ。

 

「なんと堂々としているのだ…!!流石だなアスタ…!」

 

「いや、アスタはただ粗野なだけですから」

 

とつかさずユノはツッコミを入れる。

 

「アスタ、そんなに美味しい?」

 

「おう!こんなの教会と基地でも食べたことないぞ!!」

 

「へぇ……。ユーリが作ったの方が美味しいけどな…」

 

アキラは、そう呟き料理を口に運ぶ。

そんなアスタにミモザが近づき声を掛ける。

 

「あっ…あの…アスタさん……!ご一緒してよろしいでしょうか…!?」

 

「おう!ミモザもこれ狙ってたのか」

 

「あ、はい。とても美味しそうです……」

 

そんな、様子を見ていた"金色の夜明け"団団員の一人アレクドラ・サンドラーが

 

「卑しい下民が…!」

 

その一言をきっかけにして他の魔法騎士達も言い出す。

 

「なぜ魔法帝はあのような低俗な者を…」

 

「全く魔力を感じない…魔宮攻略も運が良かったに違いない」

 

「なんと汚い食べ方…」

 

「此所にいることが不自然だ…場違いなネズミめ」

 

「……!」

 

この言われようにはクラウスやミモザも黙ってしまうが、

 

「うーん散々な言われ様ですなまぁもう慣れてるけど」

 

 

((な…なんという器の大きさ……!))

 

その器の大きさに驚くクラウスとミモザ。

ユノはなにか言いたそうにし、アキラは少し眉をひそめたが食べ続ける。

 

「下民なら貴殿らの団にいるではないか。四つ葉の魔導書を持ち祭り上げられ、図に乗っている下民がな……!」

 

レオポルドがアレクドラに対して口撃を仕掛ける。

 

「先の魔宮攻略任務…俺の方が上手くやれた!」

 

「大した自信だな…紅蓮の小僧――別に我々はあのような下民に期待などしていないヴァンジャンス様の…『金色の夜明け』団の理想を体現するのは我々だ……!」

 

二人の言い分に苛立ちを見せるアスタ。しかし当人のユノは気にしていない様子であった。アキラも苛立ちを感じていた。

 

「……お言葉ですが…」

 

クラウスが抗議の言葉をあげようとするも

 

「お前もだクラウス!お前程度の実力の者が此所に居て恥ずかしくないのか」

 

「……はっ……」

 

睨みつけられ黙らせられる。

 

「ミモザ…!お前は魔宮では敵の襲撃でそうそうに戦闘離脱したそうだな!」

 

次の矛先はミモザに向いた。アレクドラは

 

「王族であるヴァーミリオン家の者が笑わせる…!」

 

「……申し訳……」

 

頭を下げようとするミモザの肩に、アキラは手を置き、下げなくていいと小さく伝えると笑みを浮かべアレクドラへ言葉を掛けた。

 

「まあまあ、アレクドラさん落ち着いて下さい。それに、魔宮で重傷を負った人たちを救ったのはミモザだと聞いています。ミモザが居なかったら、あの場で確実に死人が出ていました。そこは認めるべきでは?」

 

「アキラさん…」

 

「お言葉ですが、アキラ様。貴方は魔法帝のご息女です。こんな下民達と付き合っていては貴方の品位が下がります」

 

とアレクドラの物言いに、アキラは溜息を吐いた。

 

「認める気は……ないんですね?」

 

アキラの声のトーンが急激に下がりアレクドラは一瞬だじろいた。

同じタイミングでノエルが兄と姉に悪口を言われアスタが机の上に乗り

 

「こんな所に呼ばれるくらいだから、スゲー奴らだと思ったのに…」

 

アスタは続ける。

 

「相応しい相応しくないとか知るか―――見とけよオレは必ず…」

 

「『砂拘束魔法"砂の匣"』そこまでだ不届き者めが…キサマごときは喋ることも許されない…黙れ…!!」

 

アレクドラはアスタを拘束するが、反魔法の剣でその拘束を解く。

 

「黙らん!!!いいかコンチクショー!!オレは必ず"実績"を積んで…魔法帝になってオマエら全員黙らせてやる!!!」

 

アスタは剣を向けてそう宣言する。

 

「…忘れているようですが、私も恵外界出身の下民です」

 

そういったアキラの方にアレクドラは顔を向ける。そして、アキラはそのままアレクドラの胸に魔力の気を放ち数十メートル吹き飛ばした。

 

「ぐあっ!」

 

「下民、下民、下民、下民……!口を開けば下民を蔑むことばかり!私は、下民だろうが、平民だろうが、貴族だろうが、王族だろうが関係ない!!」

 

アキラから、凄まじい程の殺気と魔力が放たれる。

 

「クッ…クク…クククク……」

 

「フフフ」

 

ノエルの兄のソリドと姉のネブラの笑い声が聞こえたかと思うと

 

「「笑わせるな!!!」」

 

魔導書を開き魔法を発動させる

 

―――水拘束魔法"海蛇の巻縛"―――

 

―――霧拘束魔法"霧蜘蛛の縛糸"―――

 

ソリドとネブラがアキラとアスタに向かって同時に魔法を発動する。

 

「……!」

 

「うらァァ!!」

 

アスタはソリドの魔法を剣で無力化し、アキラはネブラの魔法に手を向け魔力だけで魔法を打ち消した。

 

(あの下民…魔法を消している…!!アキラ様は魔法を使わず打ち消したのか!!)

 

アレクドラは冷静に二人を見て的確な魔法を発動させる

 

―――砂創成魔法"砂鎧の番兵"―――

 

「ぐ……!!」

 

「うっ…!?」

 

「この晴れの舞台であのような立ち振舞い…何らかの処分は免れんぞ…!アキラ様、貴方もです!!」

 

「……」

 

その光景に、ただ見守るしかないクラウス達。

 

「オイオイ~~~何生温いこと言ってんだ金色さんよォォ」

 

そう言うとソリドは魔法で巨大な球を作り始めた。

 

「こういう図に乗ったヤツらは身体に覚えさせないとなァァ。二度とおいたできないように……!アキラぁ、お前もだァ」

 

アスタは大剣を出し砂の兵を無力化し、迫り来る水の球を

 

「ノエルに…謝れ!!!」

 

打ち返してソリドにぶつける。ソリドは咄嗟に防御するが膝をつく。

 

「このオレに…膝をつかせたなァァ〜〜〜この下民風情がァァ――!!」

 

なおも戦いが続けられそうになるかと思われたが、とてつもない重圧がこの場を支配する。

 

「ソリド」

 

「ノゼル…兄様…!」

 

「下民ごときにそう容易く魔法を使うな…!」

 

(何だ…この寒気――ヤミ団長とはまた違った冷たい威圧!!)

 

(ノゼルさん……)

 

「王族に逆らいし下民どう裁いてやろうか―――。アキラ、お前もだ。魔法帝の娘だろうがこの場で手を出したからには、お前にも償ってもらう」

 

このままでは、タダでは済まないと二人が思ったした時

 

「そこまでにしておけ…!」

 

『銀翼の大鷲』団長・ノゼルを止めたのは『紅蓮の獅子王』団長 フエゴレオンであった。

 

「少年一人とアキラ相手に恥ずかしくはないのか…!?シルヴァ一族よ……!!」

 

「フエゴレオンさん…!」

 

ミモザが安堵たように声を漏らす。間一髪の所で仲裁に入ったのだ。

 

「ミモザから聞いておった通り…貴様達なかなか面白いではないか…!」

 

アスタの横には、いつの間にかレオポルドが立っていた。

 

「よし喜べ!!このレオポルド・ヴァーミリオンのライバルにしてやろう!!」

 

「…へ?」

 

状況が飲み込めないでいるアスタ。

 

「ヴァーミリオン…」

 

「ええ、フエゴレオンさんとレオポルドさんは私の従兄ですの」

 

ミモザがそうユノに説明する。

「アキラ。お前もお前だ…!魔法帝の娘だとしてもまだ新人。上の者に手を出していいことにはならない!」

 

「……はーい。すみません、調子に乗りました〜」

 

そう言い、アキラは発していた殺気と魔力を消してそっぽを向いた。

それを見た、フエゴレオンはノゼルに向かって再び顔を向ける。

 

「ユリウス殿がこの場にいることを許した者だ―――…下民といえど多少は認めてやっても良いのではないか…?」

 

「…まさか王族の者からそのような言葉が出るとはな……ヴァーミリオン家もお優しくなったものだ…天空を舞う鷲が地を這う虫ケラをどう認めろというのだ…?」

 

団長同士の魔のぶつかり合いは、壁にヒビが入り窓が揺れる。

大鷲と獅子の幻影がその場に浮かぶほどに睨み合っていた。

 

緊張が場を支配する

 

「たっ…大変です!!」

 

緊張を破ったのは慌てて入ってくる宮廷の魔道士。

そして、予期せぬ事態を報告した。

 

「王都が…王都が襲撃されています!!!」

 

告げられたのは王都が襲撃されているということだった。

 

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