うちの美少女AIが世界征服するんだって、誰か止めてくれぇ   作:月城 友麻

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57. 手品ショー

「えっ!? じゃ、ミリエルは?」

 

 シアンはいたずらっ子の顔でニヤッと笑うと、

 

「チャラリラリラン! チャラリラリラーララー!」

 

 と、いきなり手品ショーのBGMを口ずさみながら、脇のキャビネットまで飛んで、扉をバッと開いた。

 

 すると、笑顔のミリエルが現れて玲司に手を振った。

 

「えっ! なんだよそれ――――!」

 

 玲司はガクッと肩を落とし、完全に騙されていた自分の間抜けさに落ち込む。

 

「ナイス・リアクションだったのだ!」

 

 ミリエルはそんな玲司の肩を叩いた。

 

「本当に死んじゃったんだって思って、ひどく絶望してたんだよ? もう……」

 

 玲司は仏頂面で文句を言う。

 

「まぁでも、君たちに教えてたら、こんなにうまくはいかなかったのだ。君らに演技なんて無理なのだ」

 

「んー、まぁそう……だろう……って、ミゥも? 知らなかったの?」

 

「知らなかったわよ。今知って怒ってるわ。クフフフ」

 

 そう言ってミリエルは空中に手を掲げる。すると、ポン! という音がしてミゥが現れ、渋い顔をしながら着地した。

 

 ミリエルはニヤリと笑いながら、

 

「『あなたに会えて、良かった……』」

 

 と、ミゥが消える前の言葉を真似し、ミゥは真っ赤になってミリエルの頭をペシペシと叩いた。

 

「ははははは。痛い、痛い、ゴメンってば!」

 

「分身をもっと大切にするのだぁ!」

 

 ミリエルは笑いながらその辺を逃げ回り、ミゥは日ごろのうっ憤を晴らすべく追いかけまわした。

 

 

       ◇

 

 

 玲司は床で縛られて転がっている百目鬼の悔しそうな顔を眺める。

 

 何度もどんでん返しが続いたが、これでついに完全終結。止めていた地球も復元できるに違いない。

 

「あれ? もしかして、これで全部解決? ねぇ解決?」

 

 玲司はまだ追いかけられているミリエルに聞いた。

 

「うん、ありがとね。全て解決なのだ」

 

「やった――――!」「いぇい!」

 

 玲司はシアンとハイタッチしてお互いの健闘を讃えた。

 

 

          ◇

 

 

「残念だが、まだ終わってないぞ」

 

 床に転がっていた百目鬼がニヤッと笑う。

 

「負け惜しみはみっともないゾ」

 

 シアンはロンギヌスの槍の柄でパンパンと百目鬼のお尻を叩いた。

 

「痛て! 痛て! 止めろよ! 俺が自由な行動を制限されて一定時間たつと金星にメッセージが飛ぶようになっている」

 

「金星?」

 

 シアンは小首をかしげる。

 

「そうだ『金星の技術をハックして管理者に危害を加えたものがいる』ってな。いいかお前ら、その槍のことがバレたらおとりつぶし間違いなしだぞ! はっはっは!」

 

 百目鬼は物騒なことを言って笑う。

 

「何をそんな都合のいいこと言ってんだ! どうせ今思いついたんだろ!」

 

 玲司は怒って叫ぶ。

 

「なら、放っておけばいい。そろそろこの鎖を解かないとメッセージが飛ぶぜぇ」

 

 嬉しそうな百目鬼。

 

 玲司はミリエルと顔を見合わせた。ブラフかもしれないが、もし本当にメッセージが飛ぶようなことがあったら厳罰は免れない。特にザリォの死因について調べられては逃れようがない。

 

「今すぐ俺を解放しろ! 君らと敵対するつもりはない。副管理人として雇ってくれれば大人しくしてる。本当だ」

 

 叫ぶ百目鬼を見下ろしながらミリエルは腕を組み、考え込んだ。百目鬼のことだ、そのくらいやっていてもおかしくない。しかし、解放して言うこと聞くとも思えない。

 

「ミリエル、ちょっと拷問(ごうもん)しちゃっていいかな?」

 

 シアンが楽しそうに言った。

 

「拷問?」

 

「ちょっと意識朦朧(もうろう)とさせて本音を言わせるんだゾ!」

 

 シアンは楽しそうに言った。

 

「お前! それは人権侵害だぞ! 俺は嘘は言わない! 仕掛けもあるし、もう敵対もしない。本当だ!」

 

 必死に懇願(こんがん)する百目鬼。

 

 ミリエルはそんな百目鬼を見て、サムアップでシアンにGOサインを出した。

 

 

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