うちの美少女AIが世界征服するんだって、誰か止めてくれぇ   作:月城 友麻

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64. ツンデレお姉さん

「よしっ!」

 

 玲司は気合を入れて立ち上がり、心配して見守っているみんなを見回した。すると、背の低いショートカットの女の子がいる。

 

「えっ? み、美空……?」

 

 すると、美空は泣きそうな顔で駆け出し、玲司に抱き着いた。

 

「玲司……、良かった……」

 

 お、おぉ。

 

 玲司は美空の小さくて柔らかな体をギュッと抱きしめる。そして懐かしい甘くやわらかな香りに包まれ、改めて美空の存在が大きかったことをかみしめていた。

 

 あの時、血まみれの眼鏡に絶望してしまったが、奇跡が重なって今こうやって再会に至る。その数奇な運命に苦笑しながら玲司は美空のサラサラとしたブラウンの髪にほほを寄せ、心が温かいもので満たされていくのを感じていた。

 

 すると、美空はそっと離れ、ポッとほほを赤くして言った。

 

「あ、あの話、まだ有効かな?」

 

「あの話って?」

 

「そのぉ……、あたしを彼女にしたいって」

 

 美空は上目づかいに心配そうに玲司を見る。

 

 玲司がニコッと笑い、

 

「もちろんさ、ずっと待ってた……」

 

 と言いかけた時、いきなりミゥが二人の間に割って入った。

 

「ダメダメダメー! この男は狼なのだ! あたしの胸をもんだのだ!」

 

「い、いや、あれは事故だから」

 

 いきなりの抵抗にあって玲司は苦笑しながら説明する。

 

「ダメダメダメー! 美空ねぇ! 考え直して! 絶対ダメなんだから!」

 

 ミゥは美空に迫った。

 

 すると、美空はミゥをそっとハグして、

 

「ふふっ、ミゥは玲司を取られると嫌なのね」

 

 と、言いながら赤毛の頭をそっとなでた。

 

「と、取られるだなんて! あ、あたしは美空のことを心配して……」

 

 憤慨するミゥだったが、美空はミゥの耳元で何かをボソッとつぶやいた。

 

「えっ!? そ、それは……」

 

 黙り込むミゥ。

 

「どうする?」

 

 美空は優しく聞く。

 

 するとミゥは玲司をチラッと見て、しばらく考え込み、最後に恥ずかしそうにゆっくりとうなずいた。

 

 すると、美空は背伸びをして、ミゥの唇を吸った。

 

 いきなり美少女同士がキスをする、そんなシーンを見せつけられて玲司はおののく。

 

 えっ!? ちょっ! はぁ!?

 

 直後、美空とミゥは激しい光を放ちながらふんわりと宙に浮いた。

 

 何が起こったのか見当もつかない玲司は手で顔を覆い、薄目で指の隙間から二人の様子を眺める。

 

 光が収まると、一人の女性がフワフワと浮いていた。

 

 それはミリエルに似ていたが、ブラウンの髪に真紅の瞳で玲司にゆったりと微笑みかけている。

 

「え? も、もしかして……」

 

 すると、女性はすうっと玲司のところへ降りてきて、ギュッとハグをした。そして、耳元で、

 

「あたしは美空であり、ミゥなのだ。ねぇ、彼女にしてくれる?」

 

 と、ささやいた。

 

 玲司は二人が一つになってしまったことに動揺したが、よく考えれば美空もミゥもミリエルの分身だ。融合しても不都合はそうないのかもしれない。

 

 玲司は少し離れ、その真紅の瞳をじっと見つめる。

 

 彼女も嬉しそうに玲司を見つめ返す。

 

「美空はお姉さんタイプで、ミゥはツンデレだよね。一つになるとどうなっちゃう?」

 

「ふふっ、ツンデレお姉さんになるだけよ」

 

 彼女はにっこりと笑った。

 

「俺は美空もミゥも好きだけど、一緒にって……えぇ……」

 

 玲司は煮え切らない返事をする。

 

「ダメなの?」

 

 彼女は上目づかいで玲司を見る。

 

「ダメというか……何と言うか……、そのぉ……」

 

 玲司が混乱していると、彼女は発泡スチロールの棒を出し、

 

「判断が遅いのだ!」

 

 と、叫んでスパーン! といい音を立てて玲司の頭を叩いた。

 

 告白シーンでいきなり叩かれた玲司は目を白黒としてあぜんとする。

 

「くふふ、いい音なのだ!」

 

 嬉しそうに笑う彼女。

 

 その楽しそうな笑顔に玲司もついつられて笑ってしまう。

 

「ほんと、いい音だ。はっはっは」

 

 ひとしきり笑うと、玲司はニコッと笑って彼女の瞳を見つめ、

 

「付き合ってください、お願いします」

 

 と、右手を出した。

 

「ふふっ、よろしくなのだ」

 

 握手しながら彼女はまぶしい笑顔で笑った。

 

 新しいカップルの誕生を、ミリエルもシアンもパチパチと拍手をしながら温かく見守っていた。

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