黒歌がうちに……正確には秘密基地に住みだしてからはや一年が経った。俺きはいつものように過ごしながら鍛錬を行なっていたが、黒歌もそれに加わり魔力の扱いや格闘術を教わった。剣ばかり頼りにしていたら痛い目に遭うし、いざと言う時頼れるのは自分自身だ。
もちろん場所は秘密基地にある訓練所だ。あの場所なら周りを気にせず鍛錬も出来る。ただ黒歌の実力は相当な物だ。数年逃亡生活をしていただけあって戦闘経験も豊富だ。
最初は手合わせ程度でセイバーに変身して相手をしたが負けた。セイバーの状態だと力は上だがやはり経験がものを言った。俺も鍛錬で自身を鍛えているとはいえ実戦経験はまだ少ない。
素の力でも勝てるよう黒歌に鍛えてもらったお陰で魔力操作も緻密な操作も出来る様になった。それと黒歌曰く、俺は魔力量が普通ではあり得ないほど高いらしい、黒歌に言われて初めて気づいたが…どうやら無意識のうちに抑え込んでいたらしい。
「黒歌、お疲れ様」
「お疲れにゃ♪」
俺は黒歌と汗を流しスポーツドリンクを手渡し、お礼を言い受け取り一口飲む。
「それにしても斗真はすごいにゃん!この一年でここまで物にするとは思わなかったにゃ!」
「ありがとう、黒歌が魔力制御について色々と教えてくれたおかげだよ」
「斗真は筋がいいにゃ!教えてるこっちも楽しかったし」
「けど未だ素の状態で黒歌には中々勝てないんだよな」
「簡単に勝たせるつもりはないけど…五分五分な確率で勝てるのによく言うにゃ、それにあの姿で相手されたら今の斗真なら余裕で勝てるにゃ」
「経験の差だけはどうしても埋まらないよ」
実力は上回っても経験だけはどうしても埋まらない。黒歌は俺なんかより馬数を踏んでいるのだ。
「さて、今日はここまでにするか」
「わかったにゃん。お腹すいたにゃあ」
「ご飯の前に黒歌…お前に聞きたいことがある」
「なんにゃ?」
「黒歌……お前はこのまま悪魔のままでいいのか?」
「……本音を言えば悪魔から元の猫又妖怪には戻りたい……けどそんな事…出来るわけがないにゃん」
「出来るって言ったらどうする?」
「え?」
俺がそう言うと黒歌は目を見開き驚いた。
「え?ど、どうゆうことにゃん……?前にも言ったけど、悪魔の駒は一度取り込むと二度と摘出できない筈じゃ…」
斗真は一冊のライドブックを取り出す。
「この本には患者の為に戦い、命に向き合った仮面ライダー達の力、物語が記されてる本だ。その中にリプログラミングという機能がある」
「リプログラミング?」
「簡単に言えば細胞の初期化、書き換えだ。このライドブックがあればお前を悪魔から元の猫又妖怪に戻す事が出来る」
「ほ、本当にそんな事が出来るの…?」
「出来る。俺を……信じてくれ」
斗真は黒歌をまっすぐ見つめる。その目を見た黒歌は何か決心をしたかのような顔をして斗真の方を向く。
「…分かったにゃん。私は…斗真を信じる」
「ありがとう。早速やるからちょっと準備させてくれ」
「うん」
「十聖刃!」
俺たちは少し距離を空けて、俺は天に手を掲げると一本の剣が手に収まる。
紺色と青紫・鮮やかな青を基調に星の意匠が入った、さながら星空を纏ったかのような剣だった。
「……綺麗」
黒歌は余りに綺麗な剣に見惚れてしまっていた。
「黒歌、少し痛いかもしれないけど…我慢出来るか?」
「大丈夫にゃ、覚悟はできてるにゃ」
錫音!
既読!
音銃剣錫音!
俺は刃王剣十聖刃で音の聖剣、音銃剣錫音・銃奏を召喚し、ライドブックを装填する。
【エグゼイド医療日誌!】
【イェーイ!】
そう、このブックはレジェンドライダーライドブックの一つ、仮面ライダーエグゼイドのライドブックだ。
錫音音読撃!イェーイ!
「いくぞ…黒歌」
「えぇ、いつでもくるにゃん!」
黒歌の覚悟に斗真は答え、音銃剣錫音の引き金を引き、エネルギーの光弾が黒歌に当たる。
「キャァァァァァァァァァァ!!」
錫音の光弾に当たり、黒歌は悲鳴をあげ、直撃した光弾は少ししてからきえ
「あ、あれ?私の体の中にあった悪魔の駒が…地面に落ちてる…」
そう、黒歌の体の中にあった悪魔の駒が足元に落ちていたのだ。つまり
「上手く行った…」
そう、黒歌は転生悪魔から元の猫又妖怪に戻ったのだ。
「あ、私…本当に元の種族に?」
「うん、戻ってるよ。気配もさっきと全然違う。君はもうただの猫又妖怪の黒歌だ」
俺はそう言うと、黒歌の瞳から涙が溢れ出始めた。
「あ、ありがとう…ありがとう斗真!!」
「うおっと!」
黒歌は斗真に泣きながら勢いよく抱きつき、それに対し斗真も受け止め、黒歌の頭を優しく撫でる。
黒歌を無事猫又に戻した後、晩御飯作りにとりかかる。今夜はハンバーグだ。
「黒歌!出来たぞ」
「はーい!」
黒歌は出来たものを運ぶ。基本食事は秘密基地内で食べたり自宅で食べるが、基本的には自宅で食べている。黒歌は俺の家、秘密基地に住んでいる分家事はやってくれている。外に出歩く時は黒猫に姿を変え一緒に出歩く。猫の姿に変身した時は俺も驚いた。
「(転生して一年だったが…この世界じゃ俺まだ学生の年齢なんだよな…学校に行かないと流石にまずいか…)」
「どうしたの斗真?」
「ごめん、ちょっと考え事してた。料理が冷める前に早く食べよっか」
「分かったにゃ!」
「さ、食べるぞ」
「「いただきます!」」
学校に関しては後で考えよう。生前でも一人暮らしだったが…転生当初はこうやって誰かと一緒に食べるご飯がいつも以上に美味しいなんて思ってもなかった
食べ終わり証の歌を歌いながら皿を洗う斗真。黒歌はスマホをいじりながらテレビを見ていたが、しばらくして気配を殺し斗真の背後に迫る。
「トーマッ♪」
「っ!く、黒歌!?」
洗っている食器を置いた直後、後ろから飛びつかれ動揺する斗真
「どうしたんだよいきなり。もしかして手伝ってくれるのか?」
「にゃはははは、今回は遠慮するにゃ」
そう言いながらさらに俺の体に体重をかけてくる黒歌。や、柔らかい何かが、当たってる。
「と、取りあえず離れてくれないか?あ、当たってるから……」
「にゃん?何が当たってるか言ってくれないとお姉さん分からないにゃー♪」
「む、胸があたってるんだよ…」
「にゃ⁉︎は、ハッキリ言わないでよ…」
まさかの返答に黒歌も顔を真っ赤にする。黒歌の奴、間違いなく俺をからかうためにやったのだろうが、まさかの返答に顔を真っ赤にしている。
「斗真、今日は本当にありがとう…」
「もしかして元の種族に戻したことか?いいって、俺がしたくてやっただけだから。それに…黒歌にはまだすべき事があるだろ?」
「もちろん、わかってるにゃ」
「ならいい」
するとまた、今度は先程より強く抱き着く。しかも今度は尻尾まで俺の腕に巻き付けてきてる。
「黒歌?」
「もう少し…このままいさせて」
「……少しだけだからな?」
「にゃん…」
黒歌は俺の背に顔を埋め…数分間抱きついていた。
その間に皿洗いを再開する。こんな何も変哲のない普通の生活がいつまでも続けばいいが、裏の世界を知ってしまった以上普通の生活をおくるのは難しいだろう。当たり前な生活がどれだけ大切だったの身に染みて理解する。
だから、俺はこの生活が続くように祈るしか出来なかった。
そして誰もいない秘密基地に謎の光りが出現した。そして光が強くなり、剣の形へと変化していき、そして
【無銘剣虚無!】
ここに今…… 無の聖剣にして禁忌の剣が顕現した。