東方忘現想   作:残響楓

5 / 10
前回のあらすじ
博麗の巫女の従者になった想真が起きるとそこには小人の針妙丸がいた。驚いたのもつかの間すぐに打ち解け共に朝食を食べその後、境内の掃除をしていると空から天狗の記者 射命丸文が舞い降りた。
どうやら彼女の目的は想真のようで想真は彼女の質問攻めにあり朝から疲労が見える。彼女が立ち去った後霊夢たちと共に洗濯をしてそれが終わると霊夢に空を飛ぶ練習をしろと言われ言われるがまま飛んでいると突然の弾幕で撃ち落とされる。今度は霊夢に弾を避けろと言われるがその数は彼の想像以上だった。絶叫する想真の元にまた一人来訪者がやってくる。


え〜、前回から大分空いたので僕自身も内容を忘れてるので軽く見直すために前回のあらすじを書きました。大分大雑把ですけどね。まあ、こんな話だったっけぐらいに思ってくれれば幸いです。では5話目どうぞ。


練習

私が例のやつを見に博麗神社に向かっていたが、遠くから弾幕の光が博麗神社の境内で見えたので誰か弾幕ごっこしているのかと思い近づいてみると思わず目を疑いたくなる光景がそこにはあった。その光景とは

 

 

「ほらほら、弾幕を見て避けないと危ないわよ」

「そんなこと言ったってできませんよ!」

 

霊夢が弾幕を例のやつ向けて一方的に撃ち、そしてそんな撃たれている本人は避け方を知らないのかただただ霊夢に背を向けて逃げ回っていた。まるで弱肉強食を体現したかのような光景だった。

 

「なんだこりゃ…」

そんな光景を見て私は唖然としていた。まさか私が目的としていたやつが霊夢に弾幕を撃たれながら追っかけ回されているとは夢にも思わなかったからだ。私はただその光景を箒に跨り少し離れたところで傍観していた。普段弾幕ごっこをしているからか霊夢の撃つ弾幕を見ていると避け方を想像してしまう。そんなことを考えているとちょうど逃げ込んではいけないところに彼は逃げ込んでしまった。

「あっ、 そこは…」

 

「ぶべっ!」

案の定、弾幕に囲まれた彼は避けることはできず直撃し頭の方から境内に落ちうつ伏せになるような形で倒れた。その様子を見た私は落ちた彼の容態を確認する為に境内に降りた。

「お〜い、大丈夫か〜?」

「うぅ… 大丈夫…です。」

私の呼びかけに反応した彼は起き上がろうとする。そんな彼に私は手を差し出す。彼は私が見知らぬやつだと分かると差し出した手を気にする前に私の顔をジーッと見ていた。

「んっ!」

早く手を取れと思った私は差し出した手を彼の顔に前にグッと手を近づける。

「あぁ、はい ありがとうございます。」

ようやく私の意図を汲み取った彼は私の手を取り立ち上がる。彼が立ってみると身長が私よりも高かった。が、それ以上に気になったことは彼の顔が近くなるとその顔が私よりも少し子どものような感じがしてならなかった。そんなことを考えていると彼が口を開く。

「えっと、あなたは…」 「あら、魔理沙 来てたの?」

彼の言葉を切るように霊夢が私に声をかける。

「よう!霊夢!」と私は彼女に元気よく挨拶をする。

「はいはい、いらっしゃい」そんな私に反して霊夢は素っ気ない感じで挨拶を返す。まあ、いつも通りといえばいつも通りだが…

「そんなことより、こいつが例のやつか?」

「「例のやつ?」」

二人が同時にそう返す。そんな彼女らの疑問に答えるためにしまっていた新聞を取り出す。

「ああ、これだぜ!」

取り出した新聞を広げ二人の前に押し付けた。霊夢はそれを手に取り軽く読んだぐらいでため息を漏らした。

「あいも変わらず早いわねぇ。それに、私がちょっと従者を雇ったぐらいで号外にして…」

呆れた様子でそう言う彼女は新聞を畳み、自身の従者にそれをポンと押し付けた。受け取った彼はそれを開き読むわけでもなくこちらに向き直した。

「僕の名前は想真です。えっと…魔理沙さん…でしたね」

「ん? あぁ、そういや自己紹介がまだだったな」

そう言うと私は帽子を軽く被り直し、彼に向けて笑顔で告げる。

「私は霧雨魔理沙。見ての通り、普通の魔法使いだ!」

私は彼に自分の姿を誇示するように手を広げ自己紹介をする。そんな私を彼は興味深げに見る。新聞の通り記憶喪失なら幻想郷に来て初めて魔法使いを見ることだろう。まあ、外の世界に魔法使いがいるかはしらないが。

「はい、ありがとうございます。では魔理沙さんと呼ばせて貰いますね。よろしくお願いします」

彼はそう言うと私に手を差し出してくる。握手を求められているようだ。どうやら記憶は無くとも常識はあるらしい。自分から名乗ってきていたし。

「ん、よろしく」

もちろん私はそんな常識人な彼と握手を交わす。もちろん私にも常識は備わっているから挨拶として行うその行為を怠らない。

挨拶を終えると彼はたすき掛けで背中に掛けている黒い刀袋を下ろし木刀を仕舞い縁側に立て掛ける。

「お茶をお持ち致しますのでどうぞお寛ぎください」

彼はそう言い、母屋の中へ入っていった。彼はそんな従者らしい気の利く振る舞いに感心する。

「なあ、霊夢」

「なに?魔理沙」

「想真がここに来てどのくらいだ?」

「昨日来たばかりよ」

「……適応早過ぎないか?」

「そうね、私も同じ意見だわ」

私は霊夢と彼に対しての評価を述べ合っているとその想真がお盆の上に4人分の湯のみを乗せて戻ってきた。その後ろにはあうんが着いてきていてその上に針妙丸が乗っていてその手には専用の小さな湯のみがあった。

「魔理沙さん、おはようございます!」

「魔理沙、おはよー!」

「おう、おはよう二人とも」

私たちは縁側に腰掛けお茶を啜っていた。今日はとても天気が良く、牧歌的な日常の風景を演出していた。とても朗らかな気分だ。

 

 

 

僕は魔理沙さんが持ってきた新聞をお茶を啜っている4人の横で読んでいた。出版したのは文々。新聞、文さんが執筆したものだった。題名は

[博麗の巫女に従者が!?謎の外来人、想真に迫る!! ]というもので明らかに僕を対象としたものだった。号外ということもあり博麗の巫女に従者ができるとはそれほど特別なことなのだろう。

(それにしても早いな。朝に取材に来て昼前にできるとは…ネタは鮮度が命という事なのだろうか)

それにしてもたかだか外来人一人程度…ましてや僕のような記憶喪失で外の世界のこと1つも語れないつまらない人間だ。とても話題になるとは思えない。精々昼ごはんの時の話題のひとつになる程度が関の山だろう。そんなことを思いながら読んでいると僕は文さんにされた質問のひとつの幻想郷を見てどう思ったかのことが書かれていないことに気づく。

(完全に彼女個人が気になっている事だったのだろうか)そんなことを考えていると肩にポンと手を置かれた。その方を見ると魔理沙さんがそこにいた。

「人里ではすっかり有名人だぜ」

人里…おそらく境内から見下ろした時に見えた街のことだろう。そこで僕のことが話題に挙がっているのだとしたら随分と可笑しな様子だと思った。まあ、あくまで僕個人ではなく博麗の巫女の従者という肩書きに注目しているのだろう。

「まあ、すぐに廃れるでしょうね。博麗の巫女の従者ならともかく僕のことはすぐ忘れるでしょう」

「んや、ここじゃそういう話題は結構長生きするんだぜ?」

「そういうものですか?」

「そういうもん、そういうもん」

「ここは結構そういうものは歓迎するのよ」

魔理沙さんと話していると霊夢さんが割り込みそう言う。

「そんなことより想真 、あなた木刀持って逃げ回ってるだけじゃない。それじゃただの荷物よ」

先程の弾幕ごっこには程遠い追いかけっこのようなことについて霊夢は想真に物申す。そりゃそうだあんな避け方というより逃げ方は私だってしない。まあ、おそらく初めての弾幕ごっこだったのだろうから仕方の無いことではある。

出涸らしのお茶を飲みながら私はそう思う。

 

「そんなこと言われたってすぐにはできませんよ。逃げるので精一杯でしたしそれでも逃げ切れませんでしたけど。」

「じゃあ、出来るようになってもらわないとね。」

霊夢はそう言い、飲み終わった湯呑みを縁側に置き立ち上がる。そして私たちの前に立つ。

「さて魔理沙、せっかく想真の事を見に来たんだもの。どうせなら彼の練習にも付き合ってあげてよ。」

「練習って言ってもなぁ。さっきのやつ見てたが、こいつの避け方は全然なってないぜ?」

「それを教えるにはあなたが弾幕を撃ってくれた方が都合がいいのよ」

「ふーん まあいいや、今日はまだ誰とも弾幕ごっこしてないしな」

 

そう言い、私は縁側から腰を上げ箒を手に持つ。霊夢は針妙丸とあうんと話していた想真に声をかけていた。その間に軽く準備運動をしておく。どんな事でも準備は大切だ。それをしているとお祓い棒を持った霊夢と木刀を持った想真がこちらを見ていた。

 

「悪い悪い、ちょっと準備運動してたぜ」

「別に気にしてないわ、魔理沙はただ弾幕を撃つだけでいいから」

「へいへい、了解」

「想真は私が手本を見せるから見ててね」

「はい、わかりました」

 

どうやら霊夢は想真に見取り稽古をしてやるようだ。たしかに最初は手本を見せてやるのがいいだろう。私も魔法の実験などではまず本に書いてあることを実践し、それから応用し別のものへ派生させていくことがほとんどだ。だから今も紅魔館で本を借りているしいつでも実践したことを見返せるように本は返していない。

 

「さて、始めるわよ!魔理沙!」

「ああ、行くぜ!霊夢!」

 

私と霊夢は同時に宙に飛びあがる。私は弾幕を撃つために自身の周りに魔法陣を展開する。そして私は霊夢に向けて弾幕を放つ。その光景は幻想郷じゃ見慣れたものだった。

 

 

僕は霊夢さんがお手本として見せてくれている弾の避け方をじっと見ていた。彼女の動きはとても細やかで弾と弾の少しの隙間を縫うように抜け避ける。隙間がなければお祓い棒で一部の弾を消し、道を作る。僕が逃げ回っていた時とは違い、とても冷静に自身の周りの状況を判断し魔理沙さんの撃つ星型の弾をどう避ければ良いか考えながら動いているのだろう。

その光景を見ながらふと思った。なぜ彼女たちはこのようなことをしているのだろうか? 魔理沙さんが言っていた弾幕ごっことやらを行っていることに僕は疑問に思う。その事を考えながら見ているとどうやら終わったようで二人が境内に降りてくる。

「やっぱ生半可な弾幕じゃ霊夢には当たらないなぁ。」

「当然よ。まあ今回は想真のお手本のためにわざと緩い弾幕だったんでしょ?」

「まあな。最初から濃密な弾幕を避けることを強いられたらたまったもんじゃないだろうからな。そういうのはしばらく経ってからだな。」

 

二人の会話からしてどうやらあの弾幕でも手加減をしていたようだった。僕が単純に慣れていないからかあの弾幕でも十分濃密と言えると思う。

とはいえ霊夢さんを手本にするとなればそれなりの練習を重ねる必要がある。まあ、それは慣れだと霊夢さんと魔理沙さんに一蹴されるのは目に見えている。そう、慣れだ。兎にも角にも慣れるしかない。

 

「さてと次、想真の番よ。」

そんなことを考えていると霊夢さんから声がかかる。先程の弾幕を避けろと言われているのだ。とてもだが自信があるとは言えない。

「さっきの霊夢さんみたいなことが…僕に出来ますかね…?」

「出来てね? 出来なきゃ私の従者なんて決して務まらないわ。それにただ避けるだけじゃ困るしね。」

「そうだな、避けつつ弾幕とか撃てるようにならないとな。」

「えっ…僕が撃つんですか?」

「まあ、弾幕ごっこってお互い撃たなきゃ始まらないしね。他にもスペルカードとかもあるけどそれは追々ね。」

 

自分が霊夢さんや魔理沙さんが撃っていた弾幕を撃つことの想像ができない。あれは明らかに人の領域を超えている。いや、元々空を飛ぶことも常軌を逸している事なんだけど魔理沙さんは自分から魔法使いと名乗っていたので彼女の撃っている弾は魔法によるものなのだろう。では霊夢さんはどうだろう、彼女は巫女だからそういう神聖な力が備わっていてその力を駆使し弾幕を放っているのやもしれぬ。

僕は色々考えているうちにあるひとつのことに気がつく。それは彼女らが行っているであろう弾幕ごっことかいうことの説明をほとんど受けていない事である。僕は弾幕ごっこについて霊夢さんに質問する。すると魔理沙さんは霊夢さんに呆れた表情を向けていた。

「お前…その事も教えてなかったのかよ…」

「いやぁ、色々しているうちに忘れちゃってたのよねぇ…」

霊夢さんは頬をかきながらそう言う。確かに色々あった。僕にとって昨日は1日の量とは思えないほどの衝撃の数々だった。それにしてもだ。弾幕ごっこを知らない僕に対して空を飛ぶ練習をしている時に突然弾を撃ってくるという非常識極まりないことを彼女はやってのけた。

霊夢さんはコホンと咳払いをする。どうやら今の空気は彼女にとって居心地のいいものではなかったようだ。

「ま まあ、それは今から教えるわ。まず弾幕ごっこっていうのはね………」

 

 

霊夢さんが説明を終えた時は昼と夜にに吹き出るという間欠泉が轟音を轟かせていたころだった。

 

「なるほど、この幻想郷ではスペルカードルールというものが制定されていてそのルールに基づいた決闘のことを弾幕ごっこと言うのですね」

「まあ、そういうことね」

 

神や妖怪、幽霊などの人ならざるものもこの幻想郷には存在していてその中の妖怪は人から恐れられないと存在出来ないから人を襲わなくてはいけない。でも人が減りすぎると幻想郷の均衡を歪めてしまう。だからといって人が妖怪を退治し続け妖怪の数が減るのもそれはそれで均衡が歪んでしまう。そうして人も妖怪も数を減らさずに妖怪は人から恐れられるために逆に人間は妖怪を退治できるようにするためそして完全な実力主義を否定するためにスペルカードルールというものが敷かれたのだそうな。

 

そしてそのスペルカードルールの下で行われる弾幕ごっこは擬似的な戦闘で決闘というより遊びに近いもので 、避けることの出来ない弾幕を撃たずわざと隙間を作るようにするそうだ。しかし遊びといっても決闘らしい部分もありスペルカードという契約書を勝負の前に使う枚数を宣言する。

勝敗の決め方は美しさによる芸術的観点とスペルカード、所謂必殺技を全て避けるなどすると勝ち。どうやら精神的な面がこの遊びに重要なようで挫けたりすると負けのようだ。また、お互いの意地で勝負が長引かぬように何回か相手に弾を直撃させると勝ちという方式をとっていることもあるらしい。その回数は事前に決めるようで3回だったり、5回だったりするらしい。

 

僕はその説明を受けてよく出来ていると思う。人と妖怪との力の差を埋めるためのルール。共存するための決まり。仮にこのルールが無かったら殺伐とした幻想郷となり、人と妖怪たちの共存なんてとてもできる状態ではなかっただろう。

 

僕はスペルカードルールのことを頭の中でまとめ、恐らくこの幻想郷で博麗の巫女の従者として生活するなら必要な事だと理解する。

「なぁ〜 そろそろ始めていいかー?」

話の大部分が終わったので縁側に座って待っていた魔理沙さんが待ちくたびれた様子で言う。足をパタパタさせてまるで子どものように退屈を訴える。

「すみません、お待たせしました」

僕はそばに立てかけてあった木刀を手に取る。魔理沙さんは既に境内の方で弾幕の準備をしていた。

「想真〜 頑張りなさいよ〜」

霊夢さんは縁側に座りながら僕にそう声をかける。僕は彼女に対して手を振り魔理沙さんの元へ行く。

「さて、弾幕ごっこっていってもこれは遊びの練習だからなスペルカードは使わないぜ 」

「はい、わかりました」

「それじゃ始めるか」

魔理沙さんはそういうと箒に跨り、フワッと浮き上がる。僕も直ぐに霊力を扱い空を飛ぶ。やはり練習した甲斐があってか、すんなり空を飛ぶことができるようになった。魔理沙さんは既に構えていて周りに魔法陣を出現させ、そこから星型の赤、黄、緑、青、桃色の色彩に富んだ弾幕が放たれる。それらの弾幕は一色ごとに列をなしてこちらに飛んでくる。その列ごとに飛んでくる高さ、角度 、速度それぞれ違うので避けづらい。特にその列と列が重なり、互いの弾幕の隙間を潰した状態がとても避けれたものではない。

僕は周りの弾幕の隙間がかなり狭まっていることに気がつく。ある程度隙間は開いているが、僕は避けるのは初めてで霊夢さんのような華麗な避け方は出来ない。僕は手に持っている木刀を見る。

(隙間がなければこれで…)

僕は自身の周りの弾幕に向けて木刀を振り下ろす。その瞬間、カンッと木材特有の音を出し木刀は弾かれる。

「はっ?」

僕はその身に起こったことが理解出来ないまま弾幕の波に沈んだ。




夏休みだからといって投稿頻度は上がるわけでもなくそれよりも長くなったのがとても驚きです。色々試行錯誤を繰り返しているうちに時間が経っていました。こうして書いてみると他の方々って凄いなって実感します。ほんとに。まるで幻想郷に行ったことあるかのように物語を書くんですもん。本当に尊敬に値します。僕もそんなふうに書けるようになりたい。と思っています。
とにかく投稿遅れたこと申し訳ないです。今度からはできる限り早くできるように務めていきたいと思います。
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