日本の食文化を守るために変態技術を駆使しまくった結果   作:(´鋼`)

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魔改造文化もまた日本食文化なりて

 

 

 

 シュナイゼルとの密談を終え、本格的にシャルル・ジ・ブリタニアの失権とシャルル派の粛清を行うために幾度か首相と京都六家らと話し合いをして、ようやく形に纏めた契約内容をシュナイゼルに提供し一先ずの同盟相手を手に入れることが出来た日本。その窓口に立った『大将』たる青年は動き続けようやく一段落つけるかと思っていた矢先、あのシュナイゼル本人が訪問来日すると首相からの電話で伝えられストレスで少し可笑しくなってしまったらしい。すぐにナノマシンが睡眠誘発機能を発動して眠ることになったが、現実であることは変わらないので半ば現実逃避しながらも護衛任務を引き受けることになった。

 

 と、その前に。前々から決まっていた日本に配備される国産KMFの試験配備が決まったらしく、そのお披露目が千葉にある日本軍の演習場で行われるため青年もそちらに向かうことになった。リフレッシュのつもりなのか、ごんじゅうに金山寺味噌を載せたものを食べながら移動していたという。

 

 

 

*─────*

 

 

 

 おー、壮観だねぇ。何度もシミュレーションで見たことはあるけど実物見るのはなんとも言えない感慨深さがあるねぇ、マッシブな見た目だねぇ改めて思うけど。

 

 

「ブリタニア側のKMFとの差別化のために敢えてこのようになったとはいえ、最初に配備するものを何にしようと議論していた頃が懐かしいですな」

 

 

 だねぇ。武装面とか機能面とか性能面、色々と聞いて回ってた頃がつい最近みたいに感じるよ。都合上レーザー系統とかコイルガン系統ぐらいしか装備できなかったのは誠に遺憾であるけどさ。

 

 

「物理系大好きですもんね大将。でもコイルガンは物理ですよ」

 

 

 火薬系が良いんだよ! 火薬の破裂のあとに大質量の砲弾が着弾するあの一連の流れが最高なの! 空気を震わせる程の衝撃力を肌で感じたいの! そういう物理はちょっと個人的に解釈違いと言いますか。

 

 

「火薬はコスト掛かりますからねぇ。サクラダイトの性質が分かってから超伝導を利用した武器が主流になってきてますし、日本が有数の産出国と分かってからKMFの武装には必ず配備されますからねぇ」

 

 

 うぅ……こうなりゃ両肩部にコイルガン系統のガトリング積んでやる、日本軍のタンク系KMFの主武装に至らせるぐらい普及させてやる。全員弾丸の雨にやられてゴリゴリ削られれば良いんだ!

 

 

「大将、駄々こねない。あと直ぐにヤバいこと言わないでください、ウチの技術者(HENTAI)どもが目の色輝かせてきますから

 

 

 いっそのことパルスガトリングとかありか?

 

 

「だから大将それは……ってああ、遅かった。ウチの変態共が早速案を交換しあってるし」

 

 

 うへへへぇ! やっちまえお前ら! 変態と呼ばれた技術者の底意地を見せつけてやれ! カノン系統も作っちまえ!

 

 

「あーもう無茶苦茶だよ」

 

 

 

 

 

§─────§

 

 

 

 

 

 実演の時間が差し迫ったので青年と付き添いの男は関係者席の方へと歩を進めそちらに座った。先程とは違い青年はどこか満足気な表情であったが付き添いの方はどこか疲弊した様子を見せている。満足そうな青年は、ほくほく顔で何故か所持していたビニール袋から緑と白色の餅が入ったパックを取り出し、先に緑色の方を食べ始めた。そんな矢先に青年の隣に座っていた男が話しかけてくる。

 

 

「失礼ながら、鬼神兵団頭目の『大将』殿でお間違いないか?」

 

「む──ええ、その通りでございます。陸軍大臣殿」

 

「おや、知っていたとは」

 

「関わることになる人物は徹底して調べあげて粗相の無いように心掛けておりますゆえ。ああ、先程はすぐに言葉を返せず申し訳ありません」

 

「いやいや構わんさ、寧ろ食通の健啖家である君の食事を邪魔してしまったことをこちらが詫びねばならん」

 

「自分の()()をご存知でしたとは、お恥ずかしい限りで」

 

 

 青年は口に咥えていた餅を可及的速やかに食し胃の中へと送り込み、陸軍大臣の方に意識を向けて会話を交わす。先程付き添いを困らせ変態技術者共を扇動していた姿は何処へやら、完全に外行き用の顔に切り替えている。

 

 

「それは……性学もちか。何もつけずに食べているようだが」

 

「きな粉も良いのですが、個人的にはそのまま食べる方が性に合ってまして。良ければおひとつ、如何でしょうか」

 

「良いのかね?」

 

「ええ」

 

「では1つ、有り難く頂くとしよう」

 

 

 近い方にあった緑色の性学もちを手に取り、それを口に運ぶ。青年もまた白色の方を手に取りそれを食べ始めていくと、国産KMFの実演紹介のファンファーレが鳴り響いた。その場にいる全員がアナウンスによって飛行可能四脚型自在戦闘装甲機【泰然自若:壱式】の方に視線を向けていく。上空およそ200mを飛び着地地点に近付くとフロートシステムによって下降していき、地面との距離1mのところで全長4m機体の四足は地に降り立った。

 

 一本角のある三角ヘッド、腰部装甲の薄さを考慮してコックピット部分にはライオットシールドのような縦長の装甲が設けられており、肩部には大袖のような装甲と、その右肩に砲身の折り畳まれた超電磁砲を搭載。腕部兵装にはアサルトライフル系統のコイルガンとエネルギー出力を抑えたマシンガン型ビーム兵器、両腕部外側には前腕部全体を覆うように装備された装甲を設けレーザーソードの展開も可能にしている。脚部には装甲が張り巡らされており全体的にマッシブな印象を与えている。また機体カラーリングはTDUグリーンに若干のコヨーテがアクセントとなったものに仕上げている。

 

 機体搭乗者の紹介と挨拶を済ませ、いざ実演開始。まずは機動性が如何程なのかを見せつけていくことから、フロートシステムによる浮遊と機体各所に散りばめられたターボファンエンジンによるブースト機能により高機動旋回を可能とし、上下の移動にも対応した機動能力は正に自由自在と言わんばかり。空中でのスピンも見せつけていく。

 

 次に射撃兵装の実演を開始。用意された的に向けてマシンガン型ビーム兵器を発射、アナウンスの説明により射程距離は50~150mと短いものの連射性能によって敵への牽制行為などには効果があると伝えられるが、事情を知っている者や聡い者は下手すればこのマシンガン型兵装だけで相手を倒すことも出来ると理解している。アサルトライフル系統のコイルガンにはナノマシン製の弾丸が使用されているため撃ってすぐに弾丸は消えたが、本来は350m~520mまでの射程距離を有している。超電磁砲も同様に本日の実演では弾丸はすぐに消えたものの射程距離はおよそ800mに及ぶ。

 

 あらかたの実演を終えて国産KMFに対する拍手が巻き起こり、配備状況などを説明して終了したところで青年は性学もちを全部食べ尽くしていた。機体の見学などに向かう関係者や民衆が居る中、他の技術者と今回の実演の成功を祝して労る青年の様子が見受けられたという。

 

 

 




国産KMF【泰然自若:壱式】解説

・全体的に見るとACV、ACVDシリーズのような重厚感のある機体となっている。

・頭部パーツはマ○ーのR.I.P/3Mのような造形。腰部への脆弱性を減らすためにコックピットの前面に縦長の装甲を設置、武士が備えていた大袖を再現した装甲を装着している。大袖の方は他の武器交換の為のバンカーへの変更も可能。

・ファクトスフィアは頭部に2つ、脚部に2つ設置。ランドスピナーはなくフロートシステムとターボファンエンジンによる移動にしている。スラッシュハーケンは無し。

・四脚底部にはそれぞれ固定杭の射出機能があり、固定砲台への移行が可能。噂にはシミュレーターでこの固定杭を使って仮想敵を貫いたパイロットが居るとか居ないとか。

・鬼神兵に使用されているエネルギー機関のスケールダウン型を搭載しており、兵装類を全て使った場合の機体稼働時間は約45分。通常平均稼働時間は2時間となっている。またコックピットは同じく鬼神兵に使用されている卵型となっており湾曲した液晶画面が使用されている。

・兵装には

 マシンガン型ビーム兵器【烈火】
 アサルトライフル型コイルガン【雷:三二】
 超電磁砲【鳴神】
 腕部装甲内蔵型レーザーソード【蜘蛛斬】

 が紹介された。他にもバリエーションや武器種は増えていく模様。GOサインを誰かさんが出したせいです。

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