日本の食文化を守るために変態技術を駆使しまくった結果   作:(´鋼`)

19 / 32
世界と食文化の変化は早いペースで変化していくものだ

 

 

 

 人を脅す方法には大きく分けて2つ、肉体に訴えかけるか精神に訴えかけるかのどちらかである。無論肉体への外傷を被ることになると同時に精神的にも訴えかけることは出来るし、精神的に追い詰めれば相手に外傷をどのような形であれ与えられる事が出来る。とはいえ肉体に訴えかけたとしても精神力が人以上にあれば徒労に終わることもあれば、精神に訴えかけたとしてもトラウマなどを引き出し続ければ廃人になりかねない。また親しい人を人質に取ったとしても過去の思い出の全てを捨てても為さねばならぬ使命がある者ならば、どのようにしたとしても無意味に終わる。

 

 ただ先述した、通用しない人物は総じて何処か人として壊れている部分があって初めて成り立つ。人間性を捨てきれない人間であるからこそ脅しは効くのだ、たとえそれが不老不死のC.C.(魔女)であったとしても。言ってしまえば良心に訴えることの出来る脅し方であれば少なくとも彼女は付いてくる、引け目を感じている人物を会わせれば意図も容易く。

 

 

「C.C.! 会いたかったよC.C.!」

 

「マ……オ……!?」

 

 

 少年の背後に居る男たち2人よりも先に彼女は自分の過去と向き合わなければならず、そして男たちの要望に否定する事さえままならなかった。

 

 

 

*─────*

 

 

 

 まず始めに、マオはこの男たちの目的を知っていながら協力している。人の思考を読むという(ギアス)を所持しているため謀などの類いは全くと言っていいほど通用しない。今現在は暴走状態にあるため半径500mに居る人間全ての思考が頭に直接叩き込まれるものの、ヘッドフォンから録音したC.C.の声を流すことによる対症療法でどうにか落ち着いている。

 

 それよりも、C.C.はマオと同じ後部座席に座り男の1人が運転する車で何処かに連れて行かれることになった。経緯は分からないがマオはこの男たちの所属する集団か何かと手を組み、お互いの利益のために動いている。どうやって知り合いどのようにしてC.C.の居場所を探り当てたのかは判明せず、マオを結果的に捨ててしまった罪悪感を感じながら何が待っているのか疑問に思うこと暫し。着いた場所はどこかの港の倉庫の1つであった。

 

 目隠しはされていない。C.C.にどのような形であれふれた場合、協力者であるマオとの縁は切れる。それを危惧してなのか、はたまた別のものを恐れてか目隠しをされていないC.C.は倉庫の中にある物を目にすることが出来た。コンテナに搬入される、日本侵攻の際に見たグラスゴーを。

 

 

「これは……」

 

「亡命先? のお土産だってさ」

 

 

 そうマオが答える。曰く、この日本からの亡命を行う際に提供するものとして日本が鹵獲したグラスゴーの機体と、この日本に流通している医療用ナノマシンの技術の横流しをするのだとか。グラスゴーは兎も角、現在日本で臨床試験段階にまで漕ぎ着けた医療用ナノマシン技術の横領は深刻な経済的損失に成りうる。しかしそれを望む人間が中には居るのだ、己の利益と権力だけを望む疎かな人間が。

 

 

「あそこで見張ってる偉そうなオジサン居るよね? どこかの社長、だったみたいだけど最近できたKMFの製造会社に部下が流れて行ったってさ。赤字が続いて倒産して、逆恨みにこんな事してるんだよ。滑稽だよね」

 

「どうやって、あんな奴らと手を組んだんだ? マオ」

 

「親切な人が教えてくれたんだ。ここに来て大将? とかいう男の人に恨みを持つ協力者を作れば、僕はC.C.ともう一度会えるって」

 

「……誰なんだ、マオ」

 

「ごめんね.、それは教えられないって約束したんだ。もし言っちゃったら僕からC.C.を取り上げるって、そんな事になったら僕はまた、ひとりぼっちになっちゃう」

 

「ッ────」

 

 

 ひとりぼっち。C.C.は今マオへの罪悪感を感じながら、どのようにしてここから脱出するかという事に思考を割く。無闇にここから逃げおおせる事は出来ない、警備の人間も多数居るし何よりここで逃げたら自分に優しく接してくれたユキに迷惑が掛かる。彼女に火の粉が降りかかるかもしれないと、それだけは避けなければならないと前提に置いて思考を煮詰めていく。1つ、方法が無い訳では無いがこれを使ってしまったら……考えに考え、最終的に至った結論はもうそれしか無かった。けれど、それを実行する勇気も度胸も、今のC.C.には皆無に等しかった。もう諦めてしまおうかと思い浮かびそうになって、ふとマオが何かを察知した。

 

 

「────誰かこっちに向かって真っ直ぐ来てる?」

 

 

 その一言から数秒後、倉庫の壁の一部を破壊して突っ込んできた何かが全てを荒らす。

 

 

 

 

 

§─────§

 

 

 

 

 

 とーうちゃーく! ったくこんな所まで連れてくるなんて誰が何考えてんだか。

 

 

「き、貴様ッ! 何故ここが!?」

 

 

 えーっとC.C.はーっと……お、あそこにって誰だあれ。ってかグラスゴーが何でここに? 鹵獲した分だよなあれ、技術提供用に渡したヤツの筈。まさかとは思うけど何処かに横流しするとかじゃないよなこれ? というか人一杯だねぇ、速やかに制圧した方が良いなウン。はーいちょっと気絶しようね全員! 出力0.052!

 

 

「速っブベラッ!?」

 

「奴を止めオゴッ!?」

 

「な、何なんだコイ──ブッ!?」

 

 

 いよっし、順調に気絶に追い込めてる。しっかし有り得なくはないとは思ってたけど、意外に遅いような気がしないでもないな。いやまぁ根回しに時間かかるから、これでも普通な方なんだろうと思うけど。あ、何人か逃げられた。ごめーん風間、急ぎでお願い。なるはやで頼むよ。

 

 さて、C.C.と誰かさんの前まで来たわけだけど。よくよく考えたら何か関係者に居たよな誰か……誰だっけ? あーあと考え事聴かれるギアスがあったような気が。

 

 

「!? 何でそれを知っているんだ!?」

 

 

 あ、やべコイツか。さてどうしたもんか、不用意に考え……いやさっきまでメチャクチャやってたな。うーむ明日の朝食のことだけ考えながら無力化しようか? 面倒臭いけど出来なくは無いぃ!?

 

 

「っ、おい! 無事か!?」

 

「C.C.!?」

 

 

 あー平気平気! って、さっき逃げた奴らの1人が搬入前のグラスゴーに乗ってる感じか。この感じ、自分に恨みを抱きまくってる奴の犯行なのは間違いなしと。んで、誰なんだろうかねコイツ。

 

 

『何故ここに貴様が辿り着けたのかは知らんが、どこまでも私の邪魔をする気か!?』

 

 

 邪魔って……いや自分の目的あっちの奴連れ戻しに来ただけ。そのついでにこんなモノ見せられたけどさ、普通にヤバいことやってる自覚あるお前? あとお前誰よ?

 

 

『貴様ァッ!』

 

 

 っと出力0.72あぶねっ! これでギリギリ突進避けられる位なのか。潰すのは確定だから出力は上げるけど、少し見誤ったな。もう少しAIの解析精度を上げておく必要ありと。

 

 

『貴様のせいで、私の会社はゴミ屑同然に成り果てた! その報いを今ここで受けてもらう!』

 

 

 ……要は逆恨みじゃん。いや逆恨みって訳でもないのか? どっちだこれ? 正直今のお前に対して微塵も悪いって感情が出てこないんだけど、どうすれば良いよ?

 

 

『きっ…………貴様ッ、どこまでも馬鹿にしやがってぇぇええ!』

 

 

 ふむ、スタントンファーが来た。なら好都合──出力72%、急上昇開始! 受け止めしょいっ!

 

 

『んなっ!?』

 

 

 そんでもってぇ、ちょっと体勢が崩れるように移動してぇ……いよぃしょおおおおっ! ふんぬぅううううう!

 

 

『なっ……なんだとぉッ!?』

 

「嘘だろ、何で持ち上げられるんだよあれを!?」

 

 

 ちょいとぉ……吹っ飛んで、なッ!

 

 

『おおおおおお!?』

 

 

 出力維持。そのまま腕に乗って、それを伝いながら硬質化した腕でファクトスフィアをぶん殴るッ! いよっし破壊&脱出装置起動成功! あとはそろそろ──来た。

 

 

『すいません大将、遅れました。グラスゴーのパイロットはこちらに』

 

 

 鬼神兵に乗った風間がその手に持ったコックピットを持ってそう言ってくる。いやいやこれでも早い方だから、ありがとね。あとは警察と──おっと、C.C.の前に立ったか。

 

 

「お、お前! 一体なんなんだよ!? C.C.のことを知ってると思ったらさっきのは何なんだ!? 何であんなもの持ち上げた挙句ぶっ壊せるんだよ!? お前一体……!?」

 

 

 おっとC.C.が驚いちゃってる、あーもうこれは後で説明するしかないか。ま、でも今君に出せる答えは決まってるんだけどね。──ガキはおねんねの時間だってことだけ、出力を0.032にまで緊急下降からの右腕をスタンガンみたく帯電させて首根っこ掴んで放電開始っと。

 

 

「ガッ!?」

 

「マオ!」

 

 

 さて、これで気絶したし。あとは野となれ山となれ……とはいかないから色々と根回ししなきゃならんな。風間ー、仕事増えたわ。残業代出すから手伝ってー。

 

 

『いや私、副社長。払う義務無いでしょう』

 

 

 あーじゃあお駄賃出すから。

 

 

『払わなくても事後処理手伝いますから』

 

 

 おー、やっぱり持つべきは信頼出来る仲間だな!

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。