日本の食文化を守るために変態技術を駆使しまくった結果 作:(´鋼`)
材料を用意しましょう
やるべき事であったり、やらなければならない事が起きたりとてんやわんやで忙しない日々を過ごし続ける『大将』たる青年は今現在も様々な問題に直面している未来が待っていた。当人曰く“風間が居て何度も助かってる”といった状態らしいが、抱えている問題の殆どは幾つか解決案を提示し実行中という形で消化している。とはいえ一際癖の強い問題への対策は万全とは言えない、そのため更なる根回しが必要になってくるのだが──
ふいー……まだまだー、続くよお仕事ー。年がらー、年中お仕事ー。だーいすきなのはー、にーんげんの飯ぃい゙い゙い゙い゙い゙!
「大将、うるさい」
ごめんて。いやこうも大なり小なり色々あると中々疲れが溜まってきてさ、ちょっと発狂ゲージ消費しないと空元気の時みたいな笑い声が出てきそうでさ。
「だからって社長室で叫ぶのは違うでしょうよ。カラオケ行きます?」
カラオケかー、久々に行きたいなぁ。でもカラオケ行ってキチゲ発散できるかはまた別だと思うんだけど……思わない?
「思いませんね、何ですかそれ?」
うーむ自分だけか。ま、行きたいのは山々だけど色々と対処出来るように美味いモン食って落ち着くことにするわ。何かあったっけ……お、風間ー大福が冷蔵庫にあったわ。食べるー?
「用意してくれたなら食べますよ」
じゃあ用意しなくていいや「ちょ、それは無いでしょう!?」ごめんて、ちゃんとあげるから。こし餡と粒餡どっちが良いー?
「こし餡でお願いします」
はいよー、自分粒餡にしよーっと。あ、そういや最近入った女性社員どう? ちょっと見られる機会が少なくて今がどうなってるのか分からなくてさ、周囲からどんな評価出てる?
「腕っ節はかなりのものです。下手な相手では為す術もなくやられます。デスクワークに関しても滞りなく、ウチの社員の平均値ぐらいかと。勤務態度に関しても申し分なく」
ほうほう、それは重畳。事務員だけなら女性社員も居るけど、腕っ節も優れてるとなると中々居ないからねぇ。あ、周囲とは馴染めてそうだった?
「私の見た限りと、彼女と交友関係のある社員からの評判は良いものを耳に入れております。あと、中でも永谷との交友が多く見受けられるとの報告も」
ほほう、あの永谷と。へぇ、遂にアイツにも春が……まぁ今はまだそんな下世話な対応なりはやめておこう、少なくとも事実上そうなったら揶揄ってプレゼント贈る程度でいいや。
「それと大将、その彼女について報告が」
なに?
「つい先日行われた診断にて判明したのですが、こちらを」
はいよ。えーっと何なに…………ほおん? ナノマシン適性A、パイロット適性A? 凄いなこの子、鍛えれば
「すぐ、となると10日後になりますね。通達させておきますので時間はどうします?」
あー、じゃあ10時半でお願い。彼女には悪いけど実技訓練を休んでもらう事になるなこれ、後でなんかお詫びの品を何にしようか。
「でしたら永谷から話を聞いて、彼女の好みを聞き出すのがよろしいかと」
オッケー、昼休み聞いてみるわー。
「……大将、そろそろ行きましょう。プロジェクトの定例報告会が近付いています」
あ、もうそんな時間か。うひー、まだ書類残ってるのにぃ。
車で移動すること暫し、いつもの地下施設へと向かい今回はプロジェクトAYAKASHIの定例会が行われる。定例会といっても円卓を囲んで座りながらではなく、青年がその目で開発状況を確認しながら担当責任者や技術者が現状の説明をしていくというものになっている。
まず初めに青年が訪れたのは、空水戦用KMFの現状確認からであった。亡命したウィルバー博士とラクシャータの協力により、鬼神兵にも使用されているフロートシステムの別バージョンを搭載することで制動機能が上昇されており、急激な方向転換が可能になっている。ついでに鬼神兵にも2人が考案したフロートシステムへ切り替わっているため、それに合わせて機体の頑健性もアップグレードされている。
話を戻して、様々な案が出た中で運用することになったのは以前話にも出ていた第2案の機体ビジュアルが使用されることが決定された。採用理由は“頭の皿にあたる箇所と機体そのものの細さ、何より大きく広げた飛翔翼装甲のアンバランスさが良き”とのこと。無論他の案も無駄にはならないように幾つか救済措置を施すらしい。
武装に関しては船のアンカーのアーム部分に刃が付けられた長柄の武器、さしずめアンカーサイスといったものに加え秒間200発もの弾丸を発射できるコイルガン、もしくはアサルトライフル型リニアライフルが主装備となっている。また河童の皿をモチーフとした平べったくも大きな頭部には全方位拡散可能型ミニバルカンとファクトスフィアを内蔵。飛翔翼装甲を広げたまま相手にぶつけることも可能だが、機体の周囲をこれで囲むように閉じることでスーパーキャビテーションを発生させ機体そのものを1つの弾丸へと化す機能こそ目玉であることを忘れてはならない。因みに名前はまだ決まっていない。
それらを確認し終えて、今度は別の開発チームのところへと赴いた。青年はそこに居たウィルバー博士へと挨拶をして、彼が関わっている兵器に関する現状を確認していく。
「やあ、ウィルバー博士。調子はどう?」
「ああ、君か。相も変わらず健康にされているよ」
「ははっ、それは重畳。健康なのは良いことですよ、作業効率が捗りますからね。して、開発状況はどのような感じに進んでおられますか?」
「それはもう順調に進んでいるとも! このまま行けば2年以内には実戦投入しても構わないぐらいにな!」
「ほう、そこまで。では少しばかり拝見させて頂いても?」
「ああ、ぜひ見て言ってくれ!」
案内された先に待っていたのはナノマシンによって形成された小さな
この戦闘機単体でも鬼神兵と同じ位のスペックを所持している形で開発されるため、単騎でKMFとの戦闘をも想定された設計が施されている。また合体することで機体スペックの上昇を見込んでおり、今のところ追加装備として両腕に装備される大型の爪と両腕部の追加装甲、推進力の上昇の為の追加ブースター兼追加脚部装甲に、その2つを成立させるための追加電源兼追加胴部装甲のみだがデータを取得すれば新たな機体を作り上げることも可能だという。
新たな技術と強さ、そして浪漫が生み出される光景を微笑ましいながらも興味津々な様子で説明を聞いていると、ふと枢木首相からの連絡が入った。断りを入れて電話に出ると近く青年に会いたいと言っている、ブリタニアからの人質である少年がそう頼んできたという。どうやら運命は着実に動き出しているようであった。