日本の食文化を守るために変態技術を駆使しまくった結果   作:(´鋼`)

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十分に温まったら肉を茹でましょう

 

 

 

 シュナイゼルからの連絡により会談が近々行われると情報を受け取っていたため、首相から会談の日時を知らされるも大して驚くことは無かった。しかし当日まで少し時間があるため現在のKMF事情を確認することにした青年は、いつもの地下施設へと向かうことになったのであった。

 

 

 

*─────*

 

 

 

 ……んー、やっぱ壱式の方はピーキー過ぎたか。こうも稼働上の問題が多いと極小数にしか配備せざるを得ない状況になっちゃうのかぁ、改善案がえーっと? ターボファンエンジンを減らして地上での移動をランドスピナーに、操作性の簡易化のために()()を応用する方針でやると。鬼神兵含めたAYAKASHIプロジェクト用の機体にも搭載予定のあれ、ね。あとは……おー試験的に()()も搭載するのね、これプロジェクトと同等の機体が作れたりしない?

 

 

「まぁスペックではプロジェクト用機体の方が上よ、運用コストの面で言ったら流石に量産性の高いこっちに軍配が上がるけど」

 

 

 それもそうか。お、交換可能パーツにグラスゴーの改造されたヤツがある。ここの製造元は……水橋(すいきょう)か、流石橋作りの合間にロボ製作計画実行してた処だ。ノウハウの関係で安定したものが作れてるようで何より。武器の方でも御津菱(みつひし)と有澤、如月重工に……うわ、KOHHWASAKI(コーワサキ)まである。ってかKOHHWASAKIぃ、いつも通りの変態スペックなものをまた。まーたKOHHWASAKIかって言われるじゃんこんなん、大好き。

 

 

「分かんない、私その感性分かんない。何でここまで複雑で精巧で修理しにくいものが人気なのか分かんない」

 

 

 男の子はこういうの大好物だから。しっかしよく纏められてるもんだ、ヤケに高価なことを除けば他企業を圧倒したスペックしてる武器だもの。まぁ高すぎるから全軍配備は無理そうだけど、良いなこれ。鬼神兵にも使えるようにしたいな……ちょっとKOHHWASAKIの社長と話してくる。

 

 

「やめなさい」

 

 

 ぐぇえッ。ちょっと、襟引っ張るこた無いでしょうが。

 

 

「アンタはちょーっと目を離した隙に誰かさんたちと一緒に変態性を追求して、この美人で素敵なラクシャータ様に頭痛と胃痛の種を植え付けてきた前科があるのよ。こうでもしなきゃ止まらない自分を恨みなさい」

 

 

 おーこわ、自分で何か言っt「ん〜?」ごめんて。分かったから、流石に相談の1つは設けるから。襟掴んでる手離して。お願いだから……ちょ、離すつもり無いなお前! こっちが無闇に動けないことを良いことに!卑怯だぞ!

 

 

「使える手は何でも使うものよ、自分で何度も言ってる癖に何ほざいてるのかしら?」

 

 

 あー! あーもう! 頑固! 頭でっかち! 脳年齢20歳!

 

 

「最後のは暴言でも何でも無いわよ」

 

「何をやってるんだお前ら?」

 

 

 あ、C.C.とマオ! ちょうどいいラクシャータ説得して! この襟掴んでる手を離すように説得プリーズ!

 

 

「C.C.、やんなくて良いよ。あれはアイツが変な事しでかすから制限してるだけ」

 

「だ、そうだ」

 

 

 マオちゃあん!

 

 

「マオちゃん言うな!?」

 

 

 

 

 

§─────§

 

 

 

 

 

 一悶着あったが、ひとまず携帯電話の没収と機能制限、チョーカー型装置からのメール機能と電話機能を制限させ、特定の相手以外と無断のやり取りをさせないようにしたところでC.C.とマオの2人と別れ地下施設で執り行われているKMF開発プロジェクト【AYAKASHI】と国に提供する新たな機体開発の現状況を覗いてみた。

 

 国軍配備用の新たな機体コンセプトは既に“1人でも扱える戦車”という形で整っており、戦車同様悪路の走行性を人型以上に高めたものになろうとしている。また泰然自若:壱式の改良型と新機体には外装式モジュラー装甲、電磁装甲の開発が進められておりこれらを搭載する目処が立っている。

 

 そしてこの戦車型KMF、履帯での走行により地上での移動速度は80km/hであるがフロートシステムとバーニアスラスタを使用することで一時的な空中戦と100km/h以上の速度出力をも可能にさせると開発責任者が語っていた。またこれらを応用して、“いっその事前方宙返りしながら機体ぶつけるの有りでは?”と青年の提案(失言)によりそれらも可能となった。

 

 続いて鬼神兵の追加装甲兼支援航空機の開発状況は、意外にもトントン拍子で進んでいるとのこと。ただそれでも階段を一段ずつ上るような進み具合であり現在開発されている代物も、航空支援での運用というよりも追加装甲と出力上昇での運用に重きを置いている性能に仕上がりつつあるのが現実だったり。とはいえウィルバー博士を中心として嬉々として開発にあたっているのは悪い状況では無いのだろう。

 

 さて最後に、プロジェクト【AYAKASHI】の新たな機体が完成間近であると聞き青年はラクシャータと共にそちらの状況を見ることになった。到着した先のナノマシンシミュレータを使用し、ほぼ完成された新機体の全貌が顕となる。映し出された姿は蝙蝠の翼を備えた沙悟浄といった見た目、注目するのは翼以外の機体の細さだろう。

 

 コックピットは兎も角として、機体性能に支障が出ないギリギリのラインを攻めた結果鬼神兵よりも1回り細くなったとのこと。しかし機体出力にも十全に耐えられる構造により鬼神兵と同等の性能を発揮出来るとラクシャータは言った。まだ稼働実験なども済んでいないとはいえシミュレーション上の性能を体験しているため、青年は実際に乗るのが楽しみらしい。

 

 が、それはそれとして1番重要なことがまだ決まってないという。それが──

 

 

「名前?」

 

「ええ、名前です。今もまだ仮称のままでして、これといった機体名が全く決まっておらず。どうせなら大将に決めてもらうのも有りかと思った次第です」

 

「名前の案は出たんだよな?」

 

「はい。ですが意見が別れに別れて纏まらず」

 

「で、自分に決めてもらった方が後腐れなくて済むと。別に構わないけど……ふーむ中々悩むなこれ、河童ねぇ」

 

 

 何かあっただろうかと悩みながらも検索機能を使用して河童に関する情報などを漁り始めた青年。情報の海に潜り続けること数分、ある項目が目に留まりそちらを調べていくと何やら面白いものを見つけた時の表情を浮かべていく。検索を終えると青年はシミュレータに映し出されたその新機体に近付いて、名付けを行った。

 

 

「【九千坊】……うん、コイツの名は九千坊にしよう」

 

「クセンボウ?」

 

「確か……名付け会議の案にも出されてましたね。開発場所が関東なので祢々子が良いのではともありましたが、大将はそちらが良いと」

 

「まぁ祢々子の方でも良かったけど、武器とか見た目的に九千坊の方かなって。それに」

 

「それに?」

 

「名前の響きがカッコいい」

 

「確かにそういった感性は大事ですね」

 

 

 ラクシャータからすればいつもの事であった為、多少呆れながらも内心まぁ良いかと思考していた。青年によって名付けられたこの機体は【九千坊】という名となり、鬼神兵団のメンバーや開発技術者にその情報は伝わっていくことになるのであった。

 

 この九千坊が活躍する日はそう遠くないだろうと見通しをつけ、青年はその日が来るのを少しだけ楽しみに待つことにした。

 

 

 




【九千坊】

・プロジェクト【AYAKASHI】による鬼神兵に次ぐ新機体。鬼神兵とは異なり空、海戦能力に特化している。

・特徴は翼とコックピット以外の機体の細さ。しかし鬼神兵にも使用されている減衰領域と自動修復機能、そして耐久性に富んだ構造により並大抵の攻撃では支障が起きない仕組みになっている。

・また翼部分も耐久性に優れていることに加え、装甲の展開により機体そのものによる吶喊攻撃を可能としており、空中時の速度は最高でマッハ5に到達する。

・武装は
 アンカーサイス【KAINAN】
 連射可能コイルガン【JINRAI】
 頭部内臓全方位バルカン【SINOTHUKU】

 そして新たに
 装甲翼内蔵型レーザー【ABARETHUYU】が追加
 
・鬼神兵の支援機とは別に新たな支援機開発計画もあったり無かったり。

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