日本の食文化を守るために変態技術を駆使しまくった結果   作:(´鋼`)

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茹で上がった肉はお好きな調味料等につけて食べましょう

 

 

 

 様々な事がありながらも世の中を取り巻く事態は刻刻と進んでいく。意図してそうさせた物事もあれば予想外の事態も、全く関係のない事柄さえも時間が進んでいくとともに起こるものだ。人が居ようと居まいと世界は変遷していき全ては変化していく、こうして人という人が集まったことさえも単なる変遷にしか過ぎない。だがそれでも人の営みからすれば、とても大きな事を決めるこの日は歴史的なものとして誰にも知られず刻まれるのは確実である。

 

 

 

*─────*

 

 

 

 おー、いい椅子。レザー製だ、会議室のより良いやつだこれ。まあまあフカフカだー。

 

 

「子どもか」

 

 

 幾つになっても童心は持った方がいいよルルーシュ君、ついでに言っとくとウチの社長椅子ゲーミングチェアだから。めっちゃ楽よあれ、座り心地良き良きだもんで。

 

 

「……よく言う。あの日俺を大人にしたくせに」

 

 

 もうちょっと詳しい内容を喋ってくんない? 誤解生まれるからねその言い方。

 

 

「何だかんだで仲良くやれているようで何より、というべきかな」

 

「全然仲良くないです桐原公」

 

 

 えー、表面上は仲良くしようよーって言ったのルルーシュ君からなのにー。ほらほらスマーイル!

 

 

「えぇい鬱陶しい!」

 

「案外仲良さそうじゃの2人とも。まぁひとまず大将殿はその辺にしておくとよい」

 

 

 そうしときます。それはそうと首相遅いですね、随分と長い雉撃ちしてるのかな。

 

 

「キジウチ?」

 

「久しく聞いたぞ、その隠語。まぁそろそろ来るとは思うが」

 

「失礼、少し遅れた」

 

 

 これで漸く全員揃いきったと。あとはシュナイゼルの方と接続をして……ん、繋がりました。では皆様の目の前を失礼しまして。

 

 

「!? これは、一体何だ」

 

「驚くじゃろ、儂らも最初は内心かなり驚いたわい」

 

 

 害は無いのでご安心を。さて首相も席に着いたことですし、今後のことを話していきましょうか。今後の我々の未来ってヤツをね。

 

 

 

 

 

§─────§

 

 

 

 

 

 京都六家の面々とP.S.S.代表取締役社長の青年、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと各々の前に形成されたナノマシン製の画面に映し出されたシュナイゼル・エル・ブリタニア。会合場所は京都六家が使用する場所ではなく敢えて別の場所を選んでいるものの、警備面での問題は鬼神兵団の面々とSPの面々を配備しているため並大抵の事では危険な目に晒されることは無い。

 

 この日、この場に集まった面々の目的はただ1つ。現ブリタニア皇帝たるシャルル・ジ・ブリタニアの失脚、そしてブリタニア内の親シャルル派の壊滅。それを各々が様々な理由で望んでいるのは間違いない。議題が進むにつれて契約内容を明らかにしていくが、重要な事が幾つか存在している。まず1つがルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの処遇についてだが────

 

 

「まぁ広告塔みたいな感じだよねぇ」

 

『言い方はあれだが、その通り。ルルーシュには他国間との契約の際に、同じブリタニアで生まれた()皇族という肩書きを背負ってもらうことになる』

 

「1つ気になったが、シュナイゼル殿下との協力体制がある。という事実だけでも十分に効果的なのでは?」

 

「確かに兄上と協力関係にある事実でも他国との連携は取れはします。ですがここに居られる皆々様にとって求めているのは、より確実性の高いもの。現皇帝シャルルが支配するブリタニアという国が如何に救いようのない国であるのか、といったプロパガンダが欲しい筈。ならば亡命した私、という存在は重要なファクターかと」

 

「お、意外。プライド高そうなのにその道選んだのね」

 

「今話すことでは無いだろう? ん?」

 

『ルルーシュも大人になりつつあるという事なのだろうさ。ついでに、どうやら君らの仲は良好らしいようで』

 

「仲良くないです兄上。こんな奴表面上でしか仲良くなりたくありません」

 

「言うねー。まぁそれでも良いんだけさ」

 

『話を戻しましょう。我々が求めるのは日本国内に在する鬼神兵団、及び日本軍戦力に加えサクラダイトの輸出量の優遇措置とそちらのKMFに使用されている技術の提携。その対価として他国間との協定交渉の助力、食料資源や鉄鋼資源等の優遇措置など、そちらが提示する希望条件を可能な限り受け入れるものとする。このような形になりましたが、如何でしょう』

 

 

 特に日本側も拒否する要素は無い。何せ皇帝シャルルを潰し親シャルル派も潰せばその見返りとして、ブリタニアという国から多大な報奨が貰えるとすれば、拒否する理由も見つからない。京都六家の面々は特別異議はないとしてその条件を飲むことを決めた。その直後、青年がシュナイゼルに尋ねた。

 

 

「ちょっと発言よろしいかな?」

 

『何か?』

 

「いや、広告塔以外の形でルルーシュ君を使っていいかってさ」

 

『……?』

 

「どういう意味だ」

 

「どうもこうも、ルルーシュ君にも他国間との協定交渉に一役買ってもらいたいのよ。ああ勿論、そのための人心掌握術とかの知識は覚えてもらうけど」

 

「……意味が分からん。第1、子どもの俺ではそんな事」

 

「残念ながら、出来ちゃうんだなそれが。ウチの技術を駆使すれば」

 

 

 そう言いながら青年は両手で自身の顔を一瞬隠すと、また現れた顔は青年ではなく別人の顔になっていた。その一連の流れに驚きを隠せていないルルーシュとシュナイゼルを他所に、青年は顔を元に戻した。

 

 

「先程のは“カバーサーフェイス”、まぁ変装のための技術でね。コイツを応用してルルーシュ君を動かしたい……ああ勿論、これに関する技術云々は目的を果たしてから。その分の対価も頂くけどね」

 

『……これは一手、先んじられたようだな。しかし聞くが、なぜルルーシュを使う? 確かに私らの兄弟姉妹間でも頭は良い、ほかの人物でも良いだろうに』

 

「まぁそれはそうなんだけども。1つは、この望みはルルーシュ君が支払う対価として扱いたいという点。もう1つは……トカゲの尻尾切りに丁度いい」

 

 

 その言葉は本来子どもに向けられるものでは無いものである。しかしあくまで青年の目的は他国間との協定を結びラスボス(ブリタニア皇帝)を倒すこと、ルルーシュという人物が子どもであろうが並の大人以上に有能ならば遠慮なく使わせてもらう主義であるからこそ、そのような事を言ってのけられる。

 

 

「今のルルーシュ君には日本と協力する際の対価を支払えない状態だ、それを自分の提示する条件をクリアすることである程度チャラにする事が出来る。あとはまぁ言った通り、この子を切ってもそんなにダメージ無いし動かすのに丁度良いしね」

 

「人の心とか無いのか貴様」

 

「あるよー。でもそれはそれとして、使えるものは使う主義でね。自分が子ども相手でも覚悟を問うことのある人間だって思い知ったでしょうに」

 

「……兄上、この男の交渉を受けようかと思います」

 

『ほぉ』

 

「良いのか? あまり此方は気乗りせんが」

 

「構いません。それに……使えるものは使う、それ自体はある意味正しいので」

 

『この件に関してはルルーシュ、君の一存に任せていい。私からは何も言うことは無い』

 

「じゃあ、そういう訳でルルーシュ君。君を有効的に使わせて────」

 

 

 そう言いかけた途端、まるで世界が停止したかのように全ての人間が動きを止めた。ただ1人と画面向こう側のシュナイゼルを除いて。

 

 

 

 


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