日本の食文化を守るために変態技術を駆使しまくった結果 作:(´鋼`)
タレを作りましょう
きっかけは何でもいい、何かに変化を与えたいと動こうとするのならば。現状の変化を望むのは理想、危機感、憎悪、疑念、信念など様々。これでもまだ1例に過ぎないのだが大体は前述した通りの感情によって突き動かされる、そして物事に反例があるように現状の維持を望むのは安心、平穏、畏れ、追憶、諦観などなど。一概にそうとは言えずとも行動には何かしらの要因によって起こりうるのだ、たとえそれが何であれ。
……何で今こうなってるか、ルルーシュ君なら分かってるよね? 自覚してるよね?
「…………」
うん、確かにこれに関しては自分の言い方とか自分の方針とかにも反省点はあるんだ、間違いなくね。でもねルルーシュ君、それを棚に上げるような事になったとしてもこれだけは言わせてほしいの。何でオペラ座の怪人みたいな仮想体を実用目的で作っちゃったのさ?
「…………」
うん、分かるよ。自分も何かやらかした時にラクシャータから怒られることあったから目を背けたくなる気持ちは分かる、大いに分かる。でもね、普通こんな感じの人と対面したとしよう。第一印象でアウトだよこれ、顔隠してる時点で何か裏があるんじゃないのかって思われて信用されにくくなるヤツじゃん。
でもカッコイイって思う気持ちは分からんでもない。だってこんな姿になって暗躍してみたいってのは男の子なら1度は考えるもの、自分だってその思いを否定したい訳じゃない。だからといって時と場合は考えよ? というか仮想体なんだから仮面付けようが付けまいが顔バレしないし、なんなら偽装戸籍作ってもらえるようにインド側とは取り引きしてるし。……あー、でも反乱勢力を束ねるにしても顔バレはある程度避けた方が良いのかぁ?
「何揺らいでるのよアホちん」
イッタァッ!? スリッパで殴るこた無いでしょーが!
「アンタがこのお坊ちゃんにお説教するって時点で嫌な予感しか感じられず、結局付いてきて正解だった私に文句言う筋合いは無いわよ。大体アンタは安易に意見を認可しすぎなのよ前々から、そのせいで無駄に機構に凝りまくったり変な武装にも着手する羽目になったり。アタシの気苦労も考えろっての!」
いだだだだっ! ちょっ、グリグリは勘bダダダダダ!
「……フッ」
「そこのお坊ちゃん、アンタも大概よ。そもそも今回のXR:ヒューマノイドの使用用途は中華連邦への潜伏、反乱勢力との協力。このアホが言った通り仮面付けて正体隠してる人間と誰も組もうなんて思わないわよ、第一印象最悪にも程があるわ」
「うぐっ……だ、第一印象が最悪でも行動や言動での働きで評価が一転することだって有り得r」
「最底辺の評価から積み上げる信頼と、ある程度好印象の状態からスタートして積み上げる信頼。どっちが上だと思う?」
「むぐぅ…………」
だだだっ、ちょっ。もうギブ、頭痛いから止めて……頭蓋骨壊れちゃう、こめかみだけ異様にへこんじゃうから。
「ちゃんとキッパリ言えるわね?」
はい……いっでぇ、大丈夫? へこんでない?
「どうせ治る」
「アンタは普通に治るでしょ」
それ自分が言う台詞!
現在、ブリタニア皇国はかなりの喧騒に包まれていた。それもそのはず国民、その上皇族の1部までもがルルーシュの亡命宣言に対して意見が分かれに分かれている。ある者は現体制のブリタニアやその皇帝に対し、ある者は亡命を選んだルルーシュとナナリーの2人に対して
実際のところ、どちらが悪であるのかといった疑問を解消したところで何が為される訳でもないので無意味に等しいのだが、しかしその無意味さを理解している1部の人間は今後の方針を決める必要がある。ルルーシュとナナリー、そして亡命先となった日本に対しての行動を。それらの負担は現状シュナイゼルに課せられるのだが、彼はこれを必要経費と割り切って対応していた。
わざわざこんな早い段階でルルーシュらに亡命を行うようにさせたのは、敵味方を早い段階で区別するためにあった。現状、ブリタニアのKMF生産にはサクラダイトの最大産出国である日本から輸出制限を掛けられているため、無闇矢鱈と製造に着手することは出来ない。それでも国内のサクラダイトをかき集めれば他国への侵略は容易に可能であろう。だが日本やその他の国々に喧嘩を売ることは現状宜しくない、何せ鬼神兵団が存在するという事実こそが最大の抑止力として機能している。下手に攻め入ろうものなら逆にブリタニア側の損害が大きくなり、今後の経済環境にも支障が出かねないためである。
故に、こうして足踏みしかできない状態の時に宣言することが得策と判断し行動に移した。その結果はご覧の有様である。ブリタニア内部で反シャルル派の声も増えてきており、皇族内の空気もピリピリしている。皇帝に仕える身であるナイトオブラウンズでさえも、誰が離反者であるのか探りを入れている真っ最中なのだから。そのうち1人、ノネット・エニアグラムはバレないようにフリをしている。
成果は現れており、まず少ないながらも味方に取り込める人物が居ることが判明している。現状これらの派閥を穏健派と称しておく。次に裏切り者は処断されるべきであると豪語する過激派と称される人間が多くを占めていることが判明した。最後に、どのような意見も提唱することなく傍観の立場に居る中立派が若干名といったところ。部下たちからの報告でこれらのことは分かっている。
それよりも問題は、この騒ぎのどさくさに紛れてギアスと呼ばれる能力に対する情報が未だに見つかっていないことだ。まるで尻尾が掴めないもどかしいような現状であるが、そもそも有り得ないとされてきた物として扱われるような事だ。情報なども足が出ないように隠蔽しているのには違いないだろう、それに皇帝シャルルが関わっている可能性も同時に。
しかし後者に関しては裏を返せばシャルル・ジ・ブリタニアが件に関係している可能性の立証を示しているも同意義たりえるのだ。必ず何処かからボロが出る事に違いない、そう思考して事に当たるシュナイゼルであった。
場所は変わって、中華連邦。ブリタニアで起きている喧騒を他所に新たなベンチャー企業が設立された。瞬く間にサービスを展開していった手腕は凄まじく、早々に連邦内の国々へあるITサービスが提供されていたのである。【画期的な選別】と最初はインド軍区から始まったこのサービスは、中小大手問わず企業が使用を推奨するものになっていた。
そしてその裏で蠢く影はあった。それは微々たるものかもしれないが、小規模の数えられる程度のサイバー犯罪が顔を現したのである。しかし僅かに鬱陶しいのみであり実害そのものは無い、企業側の機密データが流出しただの情報が抜き取られたなどの報告は出されておらず、用心深い者だけが対策を施している状況にある。
その状況を、ただただほくそ笑んで眺めている人間が居た。まさか夢にも思うまい、そのサービスを使用していることで中華連邦は自らの首を真綿で絞めていることに気付いていないのだ。
『ほぉ、これは……糸口になりそうだ』
ゆっくり、しかし確実に事は進んでいる。焦りや油断は禁物、より良いタイミングで歯車は入れ替えるに限るのだから。