日本の食文化を守るために変態技術を駆使しまくった結果 作:Haganed
某県某所のとある地域の一角に新たに建設された2つの建築物がある。空色の壁に描かれたHINAWAとMURASAMEが交差された黒橡色のエンブレムにメタリック塗装が施された【UHINIDI】の文字パネルが飾られているものと、同じような外観で統一された【SUHICHINI】の文字パネルが飾られているもの。同一敷地内にあるそれらの建造物の他にはガレージや製作所、飛行場などが設置されておりそれらの施設は全てKMFの開発に利用されている。しかしあくまでも表立った活動内容は国に配備するものを製作しているというぐらいで、鬼神兵などの突出した機体に関する情報は一切公表されていない。とはいえ機密事項の塊の全てを公表することは誰でもしないだろう。
ではもう鬼神兵は造られないのか、と問われれば否と答えられる。その答えを出すことも行われないだろうが少なくとも鬼神兵のような機体の開発は着手されていると予想はできる。では何処でそのようなものが造られているのかというと────
━━検査、及び最新版へのアップデート完了。
━━システム:ライダーに異常性の発現、伝搬は確認されませんでした。
━━システム:キャスター、同様に確認されませんでした。
━━システム:アサシン、同じく異常無し。
━━これにて全作業を終了します。
作業終了の報告をもらうと同時に首の後ろに取り付けられた接続機器が自動的に外れた。この検査の時はいつも仰向けに寝そべるので負担が掛からないようにこの寝台を作ったけど、いつも睡眠状態に持ってかれそうになるんだよなこれ。寝心地良すぎるのも考えものだねぇ。別室に置いてきた服を取ってそれを着込み、ようやく廊下に出たところで付近の部屋の自動ドアが開きラクシャータと合流した。
「お疲れ様」
はいはいどーも、何度もやってきたんだから別に他の奴らに任せてもいいって言ってるのに。最初みたいに死にかけるような痛みなんて無いし人も居る、わざわざ作業を中断してまで付いて来なくても。
「ダメよ。素早く対処できるのは私ぐらいなものだし、まだこの仕事を任せられるような人材も居ないもの」
それ死ぬまでずっと言い続けるつもりじゃないだろうね?
「よく分かってるじゃない」
OKこの話はやめるとしようか、うん。いつも通りの反応になるしこれ以上は不毛だし。
とはいえラクシャータがここまで心配性になってしまうのも元はと言えば自分のせいだしなぁ。それぞれの人工知能の統治下にある3つのナノマシン制御装置を脊椎に入れたら麻酔きれた途端死にそうなぐらい激痛走ったし、その時の光景を間近で見てたせいで殆どトラウマみたいなものになってるのかもしれないし。変な義務感で付き添ってるんだろうなぁ。
「変なこと考えてる顔してるわよ」
そう見えるんならそうなんじゃない? それより例のプロジェクトの進行具合を見てみたいんだけど今良い?
「仕事の方は良いのかしら」
暇じゃなきゃここに来てない。
「それもそうね。行きましょうか」
先程の答え合わせ、という訳では無いが現在『大将』たる青年とラクシャータが居るのはこの敷地内の地下100mに造られた巨大施設である。この地下施設単体でKMFの開発、生産、実証試験などなどが可能という場所であり、かなり金のかかった施設と言えるだろう。しかしこの施設の設立は国が主導となって行っているため国民の税金が使用されており、青年も建設のための一助はしたが結果的に見れば国の金によって建設されたものであるため直接費用を支払うことは無かった。
それはそれとして。2人がまず向かったのはシミュレーションルームであった。ここではナノマシンにより形成された情報を立体的な形で出力し、機体の動作確認や実証試験の前に行われる前試験で使用されている。またKMFの操縦技術を向上させるためのシミュレーターも15機揃えており、人数の増加に伴いシミュレーターの増設も行われるという。
青年は早速シミュレーション区画の担当責任者に許可を取りつつ、今現在プロジェクト:AYAKASHIに携わる職員に進捗状況への説明を求めた。職員が作業を行うとナノマシンが集合して3機の実験機体を生み出していく 。
「現在、水中および空中活動を想定された機体コンセプト案が絞りに絞ってこの3つとなりました。機体名は現在【河童(仮)】として暫定しており、それぞれの試験開発状況は第1案が62%、第2案が58%、第3案が68%といったものになっております。全案ともに水中での移動をウォータージェットに、空中での移動はフロートシステムの利用を決定しております」
「第1案が完全に河童だ、関東系の。第3案は関西系のあれか、確かひょうすべみたいな感じの。第2案は……沙悟浄?」
「コンセプト面はその通りです」
「水中から空中への移行手段は?」
「ウォータージェットを使用して機体上昇角度を徐々に上げつつ、機体の6割が空中に突入すると同時にフロートシステムに自動で切り替えるわ。空中から水中へはフロートを使用して落下の際の運動エネルギーを減少させつつ水中形態へ移行、水面から50mの段階でウォータージェットに切り替えるのよ」
「なるへそ。各機体の予定スペックはどんな感じ?」
「少々お待ちを」
端末の操作を行い、ナノマシンが様々な形へと変わりながら現段階で予定されている機体スペックの程がより分かりやすい解説が行われた。
「全長は鬼神兵と同じく3mを維持。機体横幅は空中と水中で分けられ、第1案が約1.6mと約1.8m、第2案が約2.2mと約1.6m、第3案が約1.4mと約1.7mとなっております。どの案も水中時にはスーパーキャビテーションを利用し、バラクーダを越える圧倒的な速度を生み出しています」
「オニカマス?」
「
「ほへー……あ、これあれか。攻撃方法、俺が魚雷になるんだよみたいなヤツ?」
「攻撃方法の1つとして確実に搭載されます、どちらかといえばCAV-Xみたく弾丸ですがね。水中での攻撃手段が限られるため、いっそのことといった経緯で全案に搭載することが確定しました」
「うっ……当時の記憶が甦って頭痛が」
「いつもの事じゃん」
「普通こういうのは自爆特攻とかで思いつく事なのよ。武装が乏しくなるから自分を魚雷にするね、なんて誰も思いつかないのよ」
かなり疲弊した様子で頭を抱えてそう話すラクシャータはここの技術者の変態ぶりを改めて感じたのであろう事が窺える。その後も様々なスペックや機体の問題点等を一通り知り終えたあと、国の配備用機体の進捗状況を確認して青年は帰って行った。
プロジェクト:AYAKASHI【河童(仮)】
機体案その1の見た目
・皆がよく知ってる河童。展開装甲によりスーパーキャビテーションを発生させて水中での移動速度を上げた。
機体案その2の見た目
・空中時は細い体に大きな皿、そしてそれより横幅のある蝙蝠羽のような飛翔翼。水中時は飛翔翼で機体を囲み展開装甲によって全身を覆い隠し、頭部は飛翔翼内に引っ込んで収納されるため正しく弾丸のよう。スーパーキャビテーションにより水中での移動速度は現行兵器を上回る。
機体その3の見た目
・全体的に丸みを帯びたフォルム。第1案と同じく展開装甲による機体横幅の拡大によりスーパーキャビテーションを発生させる。
連載に変えるべきか、短編のままで良いか
-
連載
-
短編