聖「刑務官のお姉さんは今日が初出勤?」
新人刑務官「え、ええ・・・」
聖「そりゃ、災難だったね〜。んじゃ、まずは連絡からしとこうか。通信施設はどこにあるか知ってる?」
新人刑務官「い、いえ・・・」
聖「ま、そりゃそっか。」
彼女と共に移動して、体感数時間は経過しているものの、時間はまだ5分しか経ってない。その間に、先輩達が事切れて倒れているのを何十人も見てきた。それに、囚人達も襲ってくる。
それだと言うのに、少女はとても冷静に囚人達を圧倒して行く。囚人達は闇に飲まれ、蒼炎で燃え、完全に凍らされる。時に少女が囚人を捕まえると囚人達が少しもがき苦しんだと思ったらそのまま事切れる場面もあった。この少女は本当になんなの・・・?
思い返しながら歩いていると、突然少女に抱き抱えられる。
新人刑務官「な、なにをして!」
ロキ「チッ・・・外したか。」
聖「あんたもここに居たんだ。ロキ。」
あ、あれは、北欧の悪神ロキ!ま、まさか、彼も脱走を!?
ロキ「貴様のせいで、我が宿願のラグナロクは消え去った!!これより、神の鉄槌を下す!!」
聖「ったく・・・。過ぎたことをピーピー言うなんて、神ってのはみみっちいね。いいよ、受けてあげる。とっとと来な。」
新人刑務官「な、何を言っているのよ!逃げるわよ!あれはケタが違うわ!!」
聖「大丈夫、大丈夫。アイツ、ザコだから。」
悪魔ロキが手に魔法陣を展開した瞬間、彼女は私をお姫様抱っこしながら後退する。私達がさっきまで居たところに巨大なクレーターが出来ているため攻撃されたのは分かるが何も感じなかったし見えなかった!そ、それなのに、この少女は・・・!
聖「やっぱ、抱えながらはキツいか・・・。お姉さん、ちょっと我慢してね。」
新人刑務官「ふぇ?」
私は突然の浮遊感を感じる。さっきまで遠かったはずの天井が一気に近付く。そこで私は悟った。真上に投げられたのだと。
なんとなく少女の方を見ると、自身の体に手を突っ込んでいるのだ。
聖「ソルソル大転生!!」
ロキ「させぬ!!」
悪神ロキは極大とも言える炎を放つ。あぁ・・・こんな所で・・・。しかし、ふと見えた少女の顔は笑っていた。
聖「特別に!!私の
手のひらにある白い何かを投げた途端、炎が神々しい光を放つ。しかし、悪魔には毒のはずなのに全く痛みを感じない・・・
???『うま〜い!!』
炎は表現するかのように自由に動き回る。な、なにそれ・・・!!
聖「初めまして!あんたの母は私だよ!あんたの名前はプロメテウスね!」
プロメテウス『はい、ママ!』
ロキ「ど、どうなっているのだ!」
聖「プロメテウス!今落ちかけているお姉さんを護衛して!!」
プロメテウス『は〜い!!』
私は燃え盛る神々しい炎の背中に乗せられるも全く熱さを感じない。これって・・・
聖「さあ、ロキ。破壊を受け入れな。」
彼女の手が白い球体に覆われ、一瞬動きの止まった悪神ロキの腹にぶち込んだ!?
次の瞬間、ロキ神の体にヒビが入る。いや、違う!あれは、大気事ロキ神を割っている!?
ロキ「ゴハッ!!」
ロキ神は血反吐を撒き散らしながら壁に叩きつけられる。た、大気を割るなんて・・・!!幾つもの禁術を使わなきゃ無理・・・いえ、割れたとしてもすぐに寿命が無くなって死ぬのにあの少女はそれを・・・!!
聖「名付けて、『グラグラ・大抜歯』ってとこかな。」
だ、ダメだ・・・。あ、あの少女を誰も止められない・・・。あの少女を止めるにはあらゆる禁術を使った封印を施さなければ・・・!!
聖「プロメテウス。そのままお姉さんを運んでね。」
プロメテウス『分かったよ、ママ!』
そして、私達は更に上へと進む。途中、少女は囚人の着ていたコートを奪い取って羽織り、パーティ用に置かれていた海賊帽とサーベルを組み合わせ、先程の様に手に白い何かを与えると、それも命を吹き込まれたように動き回り、少女の頭に収まる。
そこからも少女の蹂躙は止まらなかった。襲ってくる敵を凍らし、燃やし、割り、斬る。そして、とうとう通信設備のある部屋まで来れた。これで・・・!!
新人刑務官「私が通信するのでじっとしていて下さい!」
聖「はいは〜い。」
少女はそこら辺にあったパイプ椅子に座って寛ぎ始める。本当に囚人の自覚があるのかしら・・・?
新人刑務官「本部、こちら全勢力間刑務所!至急、増援をお願いします!」
《何かあったのか?》
新人刑務官「収容していた囚人全員が脱走!レベル10も含めて全員です!」
《おいおい、今日はハロウィンじゃねえぞ?嘘をつくならもっとマシな嘘をつけ。》
そ、そんな・・・!う、嘘じゃ・・・!!
聖「あーあー、もしもーし。」
《あ?誰だ、お前は。》
聖「私、本日よりレベル10に収監となりました、兵藤聖って言いま〜す。」
《な!?へ、下手な嘘をついてんじゃねえ!!》
聖「ま、嘘と思うならそれでどうぞ。その代わり、あんたらが今まで必死こいて捕まえた囚人が世に飛び出すのも時間の問題かもね。それじゃ。」
《おい!どうい━━━》
そこで通信は切れてしまった。いや、彼女が通信装置を壊したのだ。
聖「お姉さんはここで待ってて。掃除してくるから。」
新人刑務官「ちょ!ま、待ちなさい!!あなたも囚人なのよ!?」
聖「なら、2人でいつ来るか分からない恐怖に怯える?私はそれでもいいけど。」
新人刑務官「っ!わ、私も行くわ!あ、あなたの監視よ!」
聖「・・・お好きにどーぞ。」
それから、彼女は囚人を狩り始めた。まるで、最初からどこにいるか分かっているかのように。30分もしないうちにほとんどの囚人を狩り終えた。
当然、先輩方もみんな事切れていた。私と彼女は1箇所に亡くなった先輩方を集め、一人一人顔から布を掛ける。
囚人達は、少女が牢屋の中にぎゅうぎゅう詰めにして押し込んでいた。その光景に思わず胃の中の物を吐きそうになったがなんとか我慢した。いや、するしか無かった。
少女が全囚人を押し込め終わった後に、ようやく鎮圧部隊が来るが、この光景に絶句していた。
聖「よーやく来たわけだ。仕事が遅いね。んじゃ。」
新人刑務官「ま、待ちなさい!どこに行くの!」
聖「え?部屋だけど・・・。疲れたから寝るけど。」
新人刑務官「・・・分かったわ。私も最後の仕事としてあなたを収容する。」
私は少女を魔法で縛り彼女をレベル10まで送り届ける。鎮圧部隊はと言うと全く動けず、誰一人として着いてこなかった。
聖「助かったよ、お姉さん。正直、道を覚えてなかったし。」
新人刑務官「・・・いいえ。助かったのは私よ。本当ありがとう。あなたがいなければ、私は今頃死んでいたわ。私に出来ることならなんでも言って。」
私は囚人である彼女に頭を下げる。本来ならするはずの無い行為。それでも、ここで感謝を伝えないというのは無礼にも程がある。
聖「頭を上げてよ。そうだなぁ・・・。じゃあ、私が出所するまで一緒にご飯食べてよ。それと、毎日お風呂も入りたいかな。無理ならいいけど。」
新人刑務官「断れるわけないわ。分かった、その願いを受理するわね。」
私は彼女が部屋に入ったのを見届け、牢屋の扉を閉める。それから、1時間程で彼女の出所日が1ヶ月から1週間に短くなったという報告を聞き、それに合わせて新たに囚人と刑務官が配属されるようだ。
でも、私は彼女と共にここを出る。あの地獄を経験したのだから戻れるはずもない。本当に彼女には感謝しかない。
そして、出所日、私と彼女は刑務所を共に出た。刑務所の外にはリムジンが停まっていた。
聖「お姉さん、1週間お世話になりました。」
新人刑務官「構わないわよ。私もあなたも初日で大変な事を経験しちゃったわね。」
聖「ですね。・・・では、また会いましょう。」
新人刑務官「ええ。数百年後でも。」
私と彼女はそこで別れた。さて、次の仕事を探さなきゃ。今度は教師でもやってみようかな。
こうして、私の新天地での最初で最後の刑務官生活が終わった。
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いつも、ご拝読頂きありがとうございます。
現在、少しネタ切れを起こしている為、明日からお休みします。
新しく書け次第、投稿していく予定です。