機動戦士ガンダムSEED ~哀・戦士~   作:モノアイの駄戦士

17 / 20
前回の感想でモラシムが出てないと言われてようやく書く愚か者です。
いやぁ、今のアムロだとワンコンでモラシムさん何が起きたのかわからぬ間に死んじゃうし、そうなると戦闘描写が短すぎて思い付かなくなるし………
そんな訳でカットしました。脳が破壊されてやる気が落ちてたのもあるけど(震え声)

というかモビルスーツ適性試験って言っても地上で戦う分には問題ないだろとは思うんだよなぁ……
そうなると、バトオペ民の多くがモビルスーツ適性がなかったりする……!?(偏見)
にしてもユニコーン欲しかったヨ………

【時空のたもと】でも流しながら読んで頂けたらなぁと思うこの頃。
え?理由?ただの雰囲気作りですよ……




番外編 大地の王者の軌跡

地球連合軍、と言っても連合軍は大陸によって組織体系は大きく違う。

そんな連合の中でもヨーロッパ方面の話をしよう。

ザフトの攻勢でヨーロッパ方面は大きく領土を取られ、連合軍は少数配備されていた陸戦型テスターでなんとか戦線を維持していた。

そんな中、ヨーロッパ方面の上層部たちはモビルスーツに頼らない通常兵器の開発を推し進めていた。

戦場の主体がモビルスーツへと変わるなか、それに逆らうように現れる珍兵器たちは歴史に名を残すことなく、あえなく散っていく。

しかし、そんな記録に残されなかった兵器の中で幾つか残っていた一つがある。

その名は【ヒルドルブ】。

戦車にモビルスーツの上半身を引っ付けた様な可変型の戦車。

モビルスーツ、というよりはモビルアーマーが正しいだろう。

そんな兵器が、古の戦いから継がれてきた古強者がヨーロッパのある地に愛機と共に立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソンネン少佐!」

 

ソンネン少佐と呼ばれた男は、気怠そうに呼ばれた方へ体を向ける。

 

「なんだぁ?オリカ・クリーヒィン一等兵?」

 

「今日もエイガー中尉と共に訓練をして頂かせていたく!」

 

「…また俺にボコられに来るとはな。Mは嫌いだぜ?」

 

「………少佐こそ、後輩殿とは仲がよろしいようで?」

 

「あくまで師弟だ。それ以上の関係じゃねぇ」

 

「………彼女が苦労する訳ですね」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「いえ!では私は先に!」

 

「了解した」

 

男の名はデメジエール・ソンネン少佐。

連合軍ヨーロッパ方面にて、戦車で数多くのモビルスーツの撃破記録を持つ、ヨーロッパ方面最強の戦車兵だ。

勿論、その分の被害は付いてくるがそれでも通常兵器でのモビルスーツの打倒に執心している上層部は彼を英雄に祭りたてているが。

しかし、彼本人もそれに嫌がることはない。

モビルスーツへの適性能力の試験で落とされた彼は、戦車の重要性を軽蔑し始めている新兵たちに焦りを感じていた。

元々、戦車にロマンを抱いてこうして軍人になったソンネンには戦車が廃る事に恐れを抱いていたのだ。

実際、ザフトがその良い例でザフトは戦車や航空機の役目を全てモビルスーツに担わせようとしている。

だが、モビルスーツだけが全てではないとソンネンは意気込んでいた。

何故なら、彼には新しい力が与えられたのだから。

 

 

 

 

 

ヒルドルブは超大型かつ高コスト機だが、戦車としては一級品である。

ソンネンはモビルスーツの上半身の存在に嫌味を漏らしていたが、連合軍内ではモビルスーツの量産計画に予算を多く回しているため、幾つかモビルスーツの技術を取り入れなければ採用されるか微妙な所であるという事情があったが、ソンネンにはそれを知れるのは戦争後の事だろう。

しかし、モビルスーツに接近されても最低限の反撃可能と言う点に置いてソンネンは苦虫を噛み潰した顔ではあったが利点として受け止めていた。

混じり物、と言ってしまえばそれまでだが、しかしソンネンにとってはソレが戦車であれば他はどうでも良かった。

あくまで戦車として扱えば済む話だからだ。

 

「ヒルドルブ……コイツを見たときのザフトの驚いた顔が見てぇな」

 

「ソンネン少佐の腕なら驚く前に全員死んでますよ」

 

「そうかもな!ハッハッハッ!」

 

同じく戦車を愛する男、エイガーは尊敬するソンネンと共にヒルドルブの最終調整を見ながら笑いあっていた。

エイガーら一個中隊はヒルドルブの護衛であり、ヒルドルブの初陣に選ばれた戦場は激戦区。

モビルスーツ部隊も手を貸してくれるが、基本的に孤軍奮闘しなければならない。

アラスカのクーラーで涼んでいた新兵や気楽なバカたちは、ここの暑さに愚痴を叩く日々だがどうせまた死ぬだろう。

そんな諦観した考えを当人たちに向けながら、その中でエイガーと共に己の指導を受けているオリカ一等兵を見つける。

彼女の腕はまだ未熟だが、エイガーや弟子よりも強くなれるかもしれない可能性を持っている。

故に、全力で彼女に戦車の戦いを教え込んだ。

エイガーと組めば恐らくモビルスーツ一機なら落とせるのではないだろうか。

ソンネンはその光景を想像するが、任務の開始の合図でその夢想を止めて現実の少々オイル臭いコクピットで意識を浮上させ戦場へ飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦場はまさに灼熱の地獄だった。

C.E.以前の戦争の影響で砂漠化や干枯らびた土地は幾つもある。

かつては森だったのだろう大地でヒルドルブはエイガーらとの戦車とは別行動を取り、あえて砂漠に飲まれた市街地の中で高台に鎮座する。

 

「ヒルドルブはデケェ。なら、隠れるよりも囮にしてぶっ放す!よぅし、HE弾装填!」

 

テスターがジンと交戦している戦場にその砲塔を向ける。

照準機は本来より調整が効いているため、手動調整は必要に応じてになる。

ヒルドルブという、戦車の王が辿った末路はこの世界では大きく変わろうとしていた。

しかし、それでも戦争の中での一コマでしか過ぎなかった。

 

「……ここだっ!」

 

ソンネンはトリガーを引く。

直後、砲口から重厚な鉄の塊が超高速で放たれ、テスターのコクピットに重斬刀を突き入れようとしたジンの胴体が弾けとんだ。

 

「なっ、何事!?」

 

「四番機、撃破!?クラウン!?嘘だろ!?」

 

「各機、建物に隠れろ!射線を切るんだ!」

 

隊長機がいち早く建物へ射線を切り、部下たちもそれに続くがその間にもう一機、あまりの威力で下半身と泣き別れしたジンの上半身が落着後、爆散する。

 

「凄まじい威力だ……っ!ええい!戦車ごときが邪魔をしてぇ!」

 

建物に隠れたジンたちだったが、潜伏していたエイガーらの戦車隊が通り魔のごとく砲撃をかまして離脱する。

勿論、運の悪い奴は踏み潰されたりジンのライフルで撃破されたが、損害は少ない。

 

「次は曲射攻撃を行う!次弾装填!」

 

次は曲射攻撃。

ヒルドルブの砲塔は上を向き、そして弾を吐いていく。

隠れている敵を当てられると思うほど、ソンネンは自分の腕を過信していないし、傲ってもいない。

しかし、ナチュラル故に受け継がれてきた技術と経験がソンネンの今を支えている。

 

「出てきたところを戦車隊と俺で撃つ!モビルスーツと言えど、後ろのスラスターユニットや関節を撃たれれば動けまい!」

 

その作戦は見事にはまり、三機のジンが犠牲となる。

このままでは埒が明かないと判断した隊長機は、一番の脅威であるヒルドルブを撃破するためにジャンプの準備をする。

航空戦力のディンはまだ到着するには時間がかかるというので、殲滅される前にと賭けに出た。

しかし、彼らは戦車というものを侮り過ぎていた。

戦車の砲弾が効かないとしても、それは装甲の部分の話であって、ソレ以外は戦車と同じく脆弱な部分であることを。

 

「全車両、一斉射ッ!砲身が焼き付くまで撃ち続けろ!」

 

狙いすまされた狙撃は見事に関節やバックパックに被弾し、撃墜される。

 

「アガッ!?」

 

「な、ナチュラルのくせにぃぃ!?」

 

「あああああああああああああっっ!?」

 

絶叫の声は戦場に届くことはない。

大地の王者、ヒルドルブはモビルスーツの散り様を見届ける。

これを見ていたという当時21歳だった中年の男性は、まるで地上の覇者は戦車である、とでも言うような品格を持っていた、と語った。

そして、ソンネンの部下だったエイガーらもまた、ソンネンとヒルドルブに改めて敬意を寄せていったという。

ザフトはこの悪夢のような戦車をいつしか【深緑の王者】と名付けて、ヨーロッパ方面ではとても恐れられたと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦後、情報整理をしていた技術士官、オリヴァー・マイ少尉はこの資料やその他多くの資料の発見、復元を為して、世に密かに消えていった兵器達の存在を伝えていった。

その中に、ソンネン少佐の情報があったが個人情報としてオリヴァー・マイ少尉はその情報を消した。

その中に、恐らく彼の弟子であろう女性とその子供たちの家族写真があったことには、何か意味があったのだろうか……?

今となっては、この記録を残した者の想いを計ることは出来ない為、その真相はオリヴァー・マイにとっても永遠の謎となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーC.E.71年に開発されたモビルタンク【ヒルドルブ】はその高コスト故に、少数量産のみに留まり、ヒルドルブを運用した部隊、【タンク隊】のその後の足取りは深くまでは掴めなかったが、恐らくヨーロッパ戦線のザフト軍を大いに恐れさせただろうことは、容易に想像できる。

現存機は無かったが、この資料を復元できたことはとても喜ばしい事で、ヒルドルブとソンネン少佐の輝かしい経歴が明らかになった。

私は、パイロットと機体に深い敬意を持ち、彼らを見つけれた運に感謝している。

 

 

C.E.72年 8月1日

ザフト軍所属 オリヴァー・マイ技術少尉

 

 

 

 






ちなみに戦車の戦術とかそういうのは全く知らないので結構適当です。
ガルパン見てないし、そもそも戦車がカッコいいのは確かだけどそこまで興味ないのもある。
ファンやマニアの人には謝罪いたしまする………

そして………存在を知らせる前に目敏い方がおりまして伏線を見抜いた方がおりましたので、感想見れば解っちゃうのでここにお伝えしまする。
原作ではカガリ→チリソース、バルトフェルド→ヨーグルトソースだったのが反転しております。
ヒントは色!それが意味する物が何になるか……作者の思考を読めたら天才が狂人であることが認定されます。
伏線の答えは既に決めてるので、答えちゃっても構わないです。
答えが出るまで、それには触れないとも言うけど。

では、また次回にて!
感想よかったらよろしくお願いします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。