というか、こんな短期間で感想をもらったのは初めてで嬉しすぎる……っ!!
てな訳で追撃戦です。
どぞ!
アークエンジェル艦長のパウロは重傷を負いながらも、ブリッジの艦長席に座っていた。
老いた体に鞭を打ってこうして艦長席にいるパウロだが、既にその命が長くないことをパウロは悟っていた。
故に、現在引き継ぎのために彼はこの場にいた。
「アムロ・レイ君か……開発を主導していたテム・レイの息子だったな。彼に可愛い一人息子だと彼からよく言われたな……」
「そのテム主任は先の宇宙港の攻撃で行方不明……既にコロニー内の空気も無くなっており、避難民の為にも早期にここから離脱する必要があると、小官は愚考します」
「うちの護衛艦も落とされたしな……最悪、俺のメビウス・ゼロで全部何とかするしかないな」
「ストライクは整備長からメンテナンスを終えて何時でも出撃可能だそうです。しかし、パウロ艦長、子供を本当に乗せるつもりですか!?」
しかし、話の進行は遅い。
子供を乗せることに彼らも忌避感を抱いていることにパウロはまだ人類は捨てたものではない、と希望を見出だすが、その先を見れることはないとパウロは悔しく思っていた。
「ラミアス大尉、フラガ大尉、バジルール少尉、私は今から君達にこの艦の指揮権を委譲する」
「なっ!?」
「ワシはもう長くない。ラミアス大尉を艦長に副長をバジルール少尉、戦闘部隊はフラガ大尉が指揮を取ってもらう」
「わ、私にはこの艦の指揮など……っ」
「パウロ艦長!再考して頂きたい!」
「俺は別にそれで構わないけどなぁ?」
パウロは各々の反応に、これが若さと言うものなのだろうか、と後を託した彼女らにうっすらと微笑みを浮かべた。
そんな彼らとは裏腹に、アムロは父が行方不明であることにテムの生存を祈る。
とはいえ、相手はかの有名なクルーゼ隊。
補給を終えたらすぐに追ってくるだろうと、アークエンジェルは最大速度でヘリオポリスから離脱し、アムロはストライクの整備をマードックらと共に行っていた。
元々、アムロは機械オタクであるため、マードックらとはある程度気が合っていた。
なので、あまり親しい間柄を中々作れなかった原作主人公と違い、アムロはストライクの整備を一段落終えたのでマードックらとストライクの武装について語り合っていた。
「坊主、お前さんもか!」
「マードックさんも解ってるじゃないですか」
「おうおう、やっぱパイルバンカーはPS装甲に有効だよなぁ!」
「フム、出力が足りなくとも大幅に電力を削れるパイルバンカー……アラスカに戻ったら作るのも一興か」
「馬鹿野郎、以前オメェはそれで却下くらってるだろうが」
科学者風な者もいれば、若い軍人らしい鍛えられた体を持った整備兵もいる、中々カオスな空間だった。
何だかんだとありつつ、委譲されたムウらはストライクの足元でワイワイと団欒する彼らに差はあるが驚愕していた。
共通の話題を持てる、というのはやはり良いことなのだろうとムウは気軽に思うが、マリューはアムロ少年の明るい姿を見れて安堵していた。
自分達の戦いに巻き込んでおいて、何様だと言われれば反論はできないが、少なくとも一人の少年くらい心配できないほど、人でなしであるつもりはマリューにはなかった。
一方でナタルはオイル臭さに思わず鼻を摘まんでおり、その空気に日常的に触れて慣れていたマリューやムウと違ってナタルはあまりその場にいないために、充満したオイルの臭いに顔をしかめていた。
ムウは彼らの団欒に水を差す真似を後ろめたく思うが、必要事項でもあるため、彼は彼らに声をかける。
「すまん、皆。話がある」
そこからは自分達のこれからや指揮権の話など、必要な話をした。
既に正規の軍人は整備兵にしても士官にしても、クルーゼ隊の潜入時の爆弾によって多くが死亡している。
特に本来のGのパイロットが全員死亡したのが痛い。
故に、アムロにストライクを任されるのは必然であった。
子供に戦わせるという、罪悪感が彼らにない訳がない。
しかし、ムウはモビルスーツの操縦は未経験かつ練習もしていない。
他の大人たちにしてもそうだ。
だからこそ、その場でOSを書き換え、戦闘センスを見せてくれたアムロに任せるしかないのだ。
「僕が……ガンダムを……」
ムウから名指しで呼ばれ、自分達の運命を託された事にアムロは思わずストライクを見上げて現実逃避に入ろうとする。
しかし、そんなゆっくりとしている暇もなかった。
恐れていた出来事が、やって来たのだから。
「此方、ブリッジ!後方より、敵影を確認!モビルスーツも展開していますッ!なっ、もうG兵器を出すのか!?」
CICからの報告によって軍人たちはあわだたしく動き始める。
アムロはムウに連れられてパイロットスーツがある部屋にへと連れて来られた。
「アムロ、俺も乗れるならストライクに乗ってやりたいさ。だが、今はお前しか頼れない。すまないが、頼む。お前の友達を守るためにも」
ムウは内心、卑怯な奴だと自虐する。
例え事実だとしても、子供に戦争させるなんていい大人がすることではない。
しかし、アムロは連合軍の青と白で構成されたパイロットスーツにどこか妙に慣れた感じで着替えると、アムロは答える。
「……解りました。僕がやるしかないんでしょう?」
「……あんま生意気にしていると、墜とされるぞ?」
生意気気味に応えたアムロに軽口を叩きながらムウもまた、着替え終えてアムロを追うのだった。
戦いの場は戦争序盤に起きた一週間戦争とも呼ばれる、義勇兵組織【ザフト】の開発したモビルスーツ、ジンによって大敗を喫した連合軍の艦隊の残骸やザフトのガモフ級等の戦艦が漂うデブリ帯だった。
とはいえ、その戦場跡よりは遠く、一部がここに流れてきただけだがアークエンジェルが速度を落とせざるをえない状況でもあった。
そのため、アークエンジェルに追い付ける足を持つナスカ級は追い付けたのだろう。
しかし、軍事衛星【アルテミス】まではあと少しである。
追いかけっこがここで終わるか、続くか。
その二択がアークエンジェルの面々にはつきつけられていた。
「メビウス・ゼロ、発進どうぞ!」
管制担当のボランティアによって選ばれたミリアリア・ハウは、初めての作業に緊張しながらもしっかりと行っていた。
簡単な仕事、というのもあるがやはり可愛らしい外見に反して、肝が座っている彼女だからこそ成せる業なのかもしれない。
「ムウ・ラ・フラガ、メビウス・ゼロで出るぞ!」
メビウス・ゼロはスラスターを点火してアークエンジェルの足の部分から飛び出る。
既にG兵器はイージスとブリッツがアークエンジェルの近くまでに近付いてきている為、ムウはすぐさまゼロの主武装とも言えるガンバレルを展開する。
アークエンジェルもそれと同時に弾幕を張り始める。
ザフトからは足付きと呼ばれているアークエンジェルは、現在の連合軍の宇宙戦艦の中では最速の戦艦、かつモビルスーツ運用を前提とし、武装も豊かだ。
ミラージュコロイドでステルスしていたブリッツもあまりの弾幕の厚さにステルスを止めてしまっていた。
ブリッツのミラージュコロイドはほとんど目視でも見えないステルス能力を持つが、バッテリーの容量等の問題でPS装甲と同時展開はできない。
その特性を理解しているマリューによる指示でブリッツの奇襲を避けれたブリッジの面々は安堵する。
マリューとしては複雑ながらも、今回ばかりはブリッツの性能に感謝していた。
「くっ……!すみません、アスラン。弾幕が厚くて潜り込めません…」
「いや、仕方がないさニコル。元々あっちで作られた機体だ。それくらいはしてくるさ。だからこそ、ゼロを落とすぞ!」
「了解です!」
アスランらは切り替えてムウを狙い始める。
アスランの懸念はストライクの存在だが、アムロは軍人ではないため、ストライクに乗ることはない……そう思い込んでいた。
「マードックさん!エールストライカーをお願いします!」
「解った!エールストライカー、ドッキングする!」
ストライクはエールストライカーを装着、武装を輸送アームから受け取り、カタパルトに足を乗せる。
「エールストライカー、ドッキングを確認!ストライク、どうぞ!」
「イクゾ!アムロ!イクゾ!アムロ!」
操縦席の後ろにハロを固定し、ストライクとデータリンクしながらハロはこれから遊びに行くかのようにアムロに話しかけるが、アムロは気にせずカタパルトハッチから覗ける宇宙を見据えて、叫んだ。
「アムロ、行きまーす!」
「ッ!出てきたか!白いヤツ!」
凄まじいGをまだ成長期の体が何とか耐え抜く。
グッ、とだけ声を漏らしたアムロは陰キャだとしてもやはり立派な男の子なのだろう。
相対的に、先行したイージスらに追い付いたデュエルとバスターはストライクの姿を確認すると同時に、ビームライフルでストライクを狙う。
アムロはストライクを蛇行させて回避しようとしたが…………
「うわあぁぁっ!?あ、暴れないでくれぇっ!?」
基礎プログラムしか入れていないストライクの航宙能力は、直進ならともかく、蛇行や急な動きはすぐにバランスを崩すような有り様である。
その為、まるでかのゴーストファイターのように端から見れば空中分解でもしているのかと思うようなメチャクチャな軌道を描いていた。
「なんだアイツ!?ふざけているのか!?」
当然、短気なイザークは油断はせずともすぐに沸騰し、ディアッカもコーディネーターとしてのプライドを刺激されて思わずカッとなった。
「舐めんなよッ!!」
そんな一言と共に【バスター】の徹甲弾の一射がストライクの胸部に被弾する。
とてつもない衝撃でアムロは一瞬、意識を飛ばしたがすぐに戻りお返しとばかりにビームライフルを撃つ。
が、マトモに照準をしていない状態で撃っても当たるはずがなく。
ゲームのようなオートエイムなどはない、現実では一筋の黄緑色のビームは何もない虚空を貫いた。
「アイツ、OSが完成していないのに出てきているのか?」
「ならば話は早い、ディアッカ!捕獲するぞ!」
「了解!」
暴れ馬のように飛び回るストライクを追いかけるデュエルとバスター。
しかし、彼らにはタイミングが悪く、アムロにとってはタイミングが良いことにシステムのアップデートが間に合った。
「イケ!アムロ!イケ!アムロ!」
「これで……っ!」
フットペダルを踏み込み、機体を急停止させる。
スラスターノズルのあちこちから蒼い炎が吹き出るが、イザークらには関係無い。
ただ好機が来た、それだけだった。
「これでお前もおしまいだ!」
デュエルの左腕がストライクのエールストライカーに手を当てた、その瞬間。
「イザークッ!!」
「は?」
ストライクのビームライフルがデュエルの左足の太股を消し飛ばした。
そして急旋回、デュエルの腹にキックを叩き込んだ。
「グアアアアァァァ!?」
「イザーク!?チィッ!」
「もう好きなようにやらせるか!」
デュエルは蹴られたまま宇宙をあらぬ方向に吹き飛び、デブリにぶつかる。
その後ろにいたバスターは仕返しにと、散弾を撃つ。
しかし、華麗に動き始めたストライクはソレを回避、ビームライフルで反撃する。
「コイツ!?コーディネーターか!?」
「モビルスーツなら人じゃないんだ!」
この時、アムロの脳裏に浮かぶのはアスランの姿。
ストライクに押し込まれたので、アスランがどの機体に乗ったのかは解らない。
だから、目の前のバスターがアスランが乗っている可能性が無くはない。
だが、ここで死ぬわけにはいかない。
「うおおおぉぉぉ………っ!!」
アムロが引いた引き金は応え、放たれたビームは的確にバスターの頭部を破壊した。
「カメラがやられた!?」
「グゥッ…!?」
「そ、それで帰る言い訳はつくだろう!?帰っちまえよ!」
アムロは怯えた。
明確に意識した状態で、人を殺すことに恐怖を感じた。
故に、アムロはコクピットを撃てる筈がなかった。
「はぁっ……はぁっ……!」
無意識に止めていた呼吸による息切れがアムロを襲う。
しかし、まだ戦いは終わらない。
今もなお、戦況は劣勢であるから。
場面は変わり……………
アムロがGを二機、撃退した後、ムウのメビウス・ゼロは加勢してきたジン三機を撃破したが、ガンバレルが実弾である以上、Gには効果は薄く、バッテリー切れを早めるだけにしか至らない。
そして腐ってもクルーゼ隊の一人。
アスランとニコルはガンバレルの攻撃を回避に専念することで、なんとかバッテリー切れを引き起こさずにいた。
そこに、最後の一手。
「待たせたな!後は俺がやる!」
オレンジに染められたジンハイマニューバを駆る黄昏の魔弾が、ムウの前に現れたのだ。
「おいおい、嘘だろッ!?」
ムウの疲労は既に限界に近い。
もう駄目か、そう諦めの境地に入りかけた時、一筋の閃光がブリッツに迫る………!!
アスランはまだ、悩んでいた。
友を討つか、それとも友が守っているその友が乗る艦を討つか。
どのみち、アスランはアムロが乗るストライクを討つことはできなかった。
特に理由もない、思い込みではあるものの、しかし現実は小説よりも奇である。
もし、ゆっくり考える暇があれば理由に彼が機械オタクだから、という真面目に聞く側にとってはお冠な理由である。
まあ実際、アムロは乗っている。
そしてあの時のストライクならば出撃したとき、モビルアーマー形態でアムロを捕まえる事など簡単であった。
しかし、捕まえてもアムロはナチュラル。
ああも簡単に動かしていているが、アムロはナチュラルなのだ。
もし、アムロがプラントに来ても周囲のコーディネーターたちはいい目をしないだろう。
ナチュラルによって殺された家族や友人が多くいるのだ。
あの【血のバレンタイン】がなければ、コーディネーターがナチュラルを必要以上に憎む事もなかったかもしれない。
しかし、どのみち悲劇は起こるべくして起きたのだろう。
母を血のバレンタインで殺されたアスランは、連合軍に怒りはある。
だが、ナチュラル全員か?と聞かれればNOとアスランは答えるだろう。
そもそも、アスランは誰かの影響を受けやすい。
悪く言えば周囲に流されやすい人格なのだ。
故に、アスランはアムロを憎めず、そして救いたいと思ってしまっている。
その想いも、考えも秘めたままである今のままでは、どうすることもできないというのに………
5700文字を越えた……!
というのもちょっとこのあとの展開で、二つの展開があるんですが、したい展開を可能にするためにとある方と交渉中(?)なのです。
オリジナル考えてもどうも似てしまうしね………個人的にその機体が好きと言うのもありますが。
最悪、一ヶ月とか空くかもしれませんが結論がつき次第、投稿を再開するのでしばしお待ちくださるとありがたいです。
書き溜めしないと……
感想、良かったらよろしくです!
では次回予告。
二人の少年の葛藤に世界はそれを無視する。
一人は友を討つことを恐れ、無力感を感じ、もう一人は戦争と言う現実に恐怖し、だが戦い続けるしかない。
そして、一筋の閃光が戦況を変える……!
次回、【バレットライン】!
戦いは峠を越え、終わりを迎える。
死線を越えろ、ガンダム達よ!