強欲者の目指すヒーロー?   作:強欲同盟下っ端

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饕餮の子

事の始まりは中国、軽慶市。『発光する赤児が産まれた』というニュース。

以降各地で「超常」は発見され、原因も判然としないまま、時は流れる。

世界総人口の八割が何らかの特異体質である超人社会となった現在。

世界では一つの職業が脚光を浴びていた。

生まれ持った超常的な力“個性”を悪用する犯罪者・(ヴィラン)が増加の一途をたどる中、同じく“個性”を持つ者たちが“ヒーロー”として(ヴィラン)や災害に立ち向かい、人々を救ける社会が確立されていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

腹が減った……何か食べたい……

 

 

 大量の砕けた土砂と抉れた痕が残るとある場所で、頭には青いリボンを巻いた真っ赤な羊のツノを持ち、白色のモコモコ髪が特徴的なセミロングの小さな少女が倒れていた。

近くには少女よりも大きな先割れスプーンと、黄色いマントをつけた黒髪の女性の死体が転がっており、まだ息のあった少女は這いずりながら死体に近づく。

 

「……いただきます」

 

少女は弱々しく手を合わせ、そのギザギザした歯で死体にかぶりつく。不思議と死体を食べる事に忌避感は湧かなかった。

 

「笑ってなきゃ……こういう時こそ……ね」

 

やがて死体は骨ひとつ残さず少女に食べ尽くされ、ややぎこちない笑顔で再び少女は手を合わせ、ごちそうさまと言う。

 

「人助け……しようかな」

 

饕餮文の入ったワンピースのような服を着た少女の名はまだ無い。

少女は転がっていた先割れスプーンを担いで歩き出すのだった……

 

 

 

 

 

 

 

そして、七代目ワンフォーオール継承者、志村 奈々の死亡からおよそ12年が経った……

 

 

 

 

 

◇◇オールマイト事務所◇◇

 

NO.1ヒーロー、オールマイトの構えるオールマイト事務所にて、二人の男が面と向かって話し合っていた。金髪に触覚のような髪型の大男の名はオールマイト。平和の象徴と呼ばれており、彼が来れば事件は瞬く間に解決。彼がパトロールをするだけで周囲の犯罪係数が下がるとまで言われている。

 

「……オールマイト、話したい事がある」

 

 そう言ってクイとメガネを上げたのはサー・ナイトアイ。オールマイトの秘密中の秘密を知っている数少ない人物で、個性は『予知』という、未来視のような能力である。

 

「なんだい? サー。また”予知”で私がヴィランを捕まえてるのを見たのかい?」

 

オールマイトがまたかと笑いながら茶々を入れるが、サー・ナイトアイは違うと否定する。

 

「前から目撃されてはいたが、最近になって話題になっているヴィジランテ、『山羊の少女』がいるだろう?」

 

「あぁ、見た目は小さな異形型の少女で、持っている巨大な先割れスプーンを使いヴィランを次々に倒していると思えば、公園でゴミ拾いをしていたり、ラーメン屋で目撃されて美味かったと言いながら堂々と食い逃げしたりと、イマイチ行動が掴めないヴィジランテと聞いているね。その子がどうかしたのかい?」

 

オールマイトが肩を竦めながらサー・ナイトアイに奇妙なヴィジランテ、山羊の少女について予知と関係があるのか聞く。

 

「……君と手を繋いでここに来ていた。しかも、予知から見た限りではカレンダーが変わっていなかったから今月中だ」

 

「……へ?」

 

サー・ナイトアイの苦々しげな顔と共に出てきた衝撃の言葉にオールマイトが間抜けな声を出してしまう。

 

「……でも、山羊の少女は神出鬼没だし、ここら辺や今後パトロールする地域の近くには出てきていないよ? それに、彼女の移動方法は単独での行動かつ徒歩って言われているんだ。今までもそうだったし、今までの証言からの性格では仲間を作るとは思えない……流石にワープは出来ないだろう」

 

 オールマイトがありえないと言うが、サー・ナイトアイは首を横に振って否定する。

 

「よく見てくれオールマイト。……彼女の目撃情報と目撃者の証言だが、どうにも違和感がないか?」

 

 そう言ってサー・ナイトアイは2枚の書類をオールマイトに見せる。オールマイトが内容を読んでみると、サー・ナイトアイの言っていた事が分かった。

 

「君がアメリカで力を蓄えていた間は無作為に動いているようだったが、君が帰国してNO.1になった直後に君を追いかけるようなルートで目撃されている。そして、つい最近、山羊の少女と遭遇したとある少女の証言に、『ウサギみたいな髪のお兄さんを知らないか』と聞かれたそうだ。……このウサギみたいな髪のお兄さん……オールマイト、君の事ではないかな?」

 

「……私に似た髪型の人は知らないし、コスプレイヤーとも思えない。……となると、狙いは私かな?」

 

「用心しておいた方がいい。もしかしたら、彼女は奴の手下かもしれない……」

 

「……あぁ。奴のやりそうな事でもある。警戒するに越したことはないね。……おっと、パトロールの時間だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……HAHAHA! ……連れてきちゃった!」

 

 パトロールに帰ってきたと思えば、頭を掻きながらオールマイトは謝罪する側で山羊の角が生えた少女が少しムスッとしていたのがサー・ナイトアイの視界に入った……

 この後、サー・ナイトアイは胃痛で休みになり、オールマイト事務所の事務仕事が滞ったそうな……

 




オールマイトの年齢は56~58と予測されているかつ、OFA継承タイミングを18歳と仮定。なので、当作品のオールマイトは58歳としています。

饕餮は……

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