強欲者の目指すヒーロー?   作:強欲同盟下っ端

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見つかる弟子、そして尤魔は留年ス

「はい、今日のヒーロー基礎学はここまでね。解散〜」

 

 相澤先生の号令と共に数人の生徒が立ち上がって解散する。”A組2人になっちゃった”事件の後、何人かは考えが改まったのか復籍し、現在、A組は8人だ。

ちなみに現在私は除籍回数0、不和が1回だ。不和の除籍に関してはクラス全体でのしょーもない理由での抗議活動の熱意に押されて参加してしまったかららしい。私はくだらないと思って参加しなかったがな。

今じゃみんな私の事が目標となっていてな。除籍回数を減らしていく為の努力という、変な方向での努力で団結している。

……結果的に除籍回数は減っているから結果オーライなんだろうな。

 

「不和、今日もふわふわパンケーキとモコモコ羊ケーキ食べに……ん?」

 

 不和をいつも通り食事に誘おうとした時に、八木のオジサンからメールが届いた。

 

「あれ、八木さん。それ誰からのメール?」

 

不和が私のスマホを覗いてくる。

 

「ん? あぁ、私を拾ってくれたオジサンだ。八木のオジサンって呼んでる」

 

「へぇ〜、どげん人と?」(どんな人?)

 

「そうだな……(今の)見た目は逆オールマイトだな」

 

「ぎゃ、逆オールマイト……?」

 

「まず、ヒョロガリ。そんで顔は逆三角形、弱そう、個性使わないとひ弱、チビ、髪の毛ヨレヨレ、画風が老人、ギラギラした目……ほら、逆オールマイトだろ?」

 

「ほんなこつ逆オールマイトや……」(本当に逆オールマイトだ……)

 

不和が八木のオジサン(トゥルーフォーム)の想像をして、視線が私のスマホから離れているうちにメールを読む。

 

「ん〜と、なになに……?」

 


<八木 俊典

 

『後継者見つけた』

 

既読『なんで私に聞いた』

 

『教え方わかんない(×ω×)』


 

私は溜息をつきながらスマホをしまい、不和に食べに行けないのを伝える。

 

「……不和、今日は八木のオジサンと話さなきゃいけない重要な事ができた。悪いがふわふわパンケーキの奢りはナシだ」

 

「いや? そもそも奢らるーとが当たり前になっとーとがおかしかし、偶には無くてもいいよ」

 

「そうか。じゃあな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇八木宅◇◇

 

「帰ったぞヒョロガリ」

 

「ヒョロガリて…… 尤魔、後継者が遂に見つかった」

 

玄関を開けると、ヒョロい方の八木のオジサンがいたので軽くからかい、それを軽めに流して八木のオジサンは本題に入る。

 

「ミリオの奴を弾いてでも選んだなら、どれ程の奴か見せろ」

 

「……緑谷 出久。無個性だ」

 

「そうか。で、鍛えてるのか?」

 

「いや、鍛えていない。だが、奴が倒れた以上そこまで急にやる事もないし、精神面も磨けば光るものがあるから十分な筈さ。ゆっくりと強くなればそれでいい」

 

「……甘いな、八木のオジサン。あの血の梅干し野郎が死んだなんて証拠、どこにもねぇだろ。……というか、多少は鍛えているんだろうが、お前と大して変わらないくらいヒョロガリじゃねぇか!」

 

コイツなりの気遣いなんだろうが、私情を挟みすぎだっつーの。……でも、どうせ決めたから曲げないだろうし、この緑谷 出久って奴が死んだら最悪私がワンフォーオールを吸収しちまえばいい。……私もやるだけやるか。その為にも……

 

「八木のオジサン。確か来年からウチの学校で働くんだろ? ネズミに訳話して私を留年させろ」

 

「……いやいやいや、いくらなんでも尤魔にまでこれをやらせるのは……」

 

「うるせぇ、お前感覚派なんだからまともに教えられねぇだろ。あと、グラントリノとリカバリーガールの2人も呼んでこい。……じゃねぇと怠けてたって報告してグラントリノのじいさんにしごかせるぞ」

 

八木のオジサンからポロポロ出てくるあまりにも甘い見通しに呆れた私は凄みと、コイツが頭の上がらない2人の事を出して脅す。それでもコイツは引き下がらない。……無駄な所で頑固だな。

 

「うぐ……! で、でも……」

 

「……お前は弟子を殺す為にこいつを選んだのか? 違うだろ! ヒーローは常に最悪を想定して動く。そんな初歩中の初歩を忘れたのか? お前の師匠は一人で戦ってたのか? 違うよな? ……誰かを頼れない奴が教えたら、教えられた奴も一人で傷ついて戦うだろ。……サーやネズミ、そしてこの緑谷 出久……もう、何人もお前達ワンフォーオール継承者の事で巻き込んでるんだ。その覚悟を、1番危険な所に立ってるお前が踏みにじるな。お前のしようとした選択は弟子を危険に晒して殺しかねない事だったんだぞ! ……いいか? 最善を尽くせ。私が言いたいのはそれだけだ」

 

これが私の心からの叫びだ。それでもコイツがそうしないって言うようなわからず屋なら、無理矢理でもワンフォーオールを吸収して私が継承する。

 

「……分かった。サーやグラントリノさん、リカバリーガールにも連絡して、全力でサポートさせる。……だが、それは体づくりが終わってからだ。そもそも緑谷少年はまだワンフォーオールを継承できるだけの肉体を持っていない」

 

どうやら肝心の候補者が、そこら辺の一般人より少し弱めという、極まってしまっているヒョロガリのせいですぐに継承……が無理みたいだな。仕方ない。だけど、尚更私が留年する理由が出来たな。

 

「……よし、最後に私を留年させろ。これは私の意思で行う事だ。……もしネズミが突っぱねたらあいつの事を叩きのめしてでも許可させる」

 

「……マジ?」

 

八木のオジサンが間抜けな顔をしやがった。私の覚悟を無視しそうになったぞコイツ……後でぶっ叩く。

 

「うるせぇ。それに、ワンフォーオール、コイツが継承したらもう私ぐらいしか候補がいないぞ?」

 

「……なんだって?」

 

やっぱり分かってなかったかコイツ。まぁ仕方ない事かもな……

 

「チカラには敏感だから分かるんだよ。多分、ワンフォーオールを個性持ちが継承した場合、受け皿となるキャパシティを大きくするために、命を燃やす。そんで、寿命が大幅に縮む。で、オジサンが力を溜め込みすぎたせいで次の代は無個性じゃないとキャパオーバー起こして20代とかの若い時に老衰が原因で死んで、最悪次に継承出来なくなる」

 

「……となると、最初から緑谷少年しか選択肢は存在しなかった?」

 

「多分、その次に継承できるのは私ぐらいだな。年々無個性は減ってる。100年ちょいしか経ってないのにもう八割は個性持ちだぞ?緑谷が1、2世代変わるまでワンフォーオールを保持したとしよう。その頃には1割もいないだろうな。その1割にも満たない中から候補者を探してたら見つける前に死ぬ。残っているのは鍛えていてなおかつキャパオーバーを起こさない私ぐらいだろ。……まぁ、受け継がせるかを決めるのは次の奴だけどな」

 

「……そうだね。最善を尽くすべきだ。早速校長に掛け合ってみるよ」

 

 

 

 

 

 

 

◇◇校長室◇◇

 

「えーっと?尤魔君を留年して欲しい…? さすがにそれだけじゃ、言っている意味は分かっても意図までは掴めないのさ」

 

校長室にて、高そうなソファに座っているネズミのような人? の根津校長がそう言って頭に手を置く。

 

「……ワンフォーオール継承者が見つかったのは話しましたね?」

 

「あー、うん。緑谷 出久だよね?」

 

「はい。……尤魔本人がサポートをしたいと名乗り出たのです。……彼女は本気です。彼を後継者として大成させる為に彼女は人生を棒に振るつもりです! 私は見通しが甘すぎた……オール・フォー・ワンが生きている可能性も考えないような育て方をしようとし、彼を危険に晒す可能性を出してしまった! ……お願いします!」

 

「……」

 

 根津校長は頭の中で、自らの個性、『ハイスペック』を行使して、オール・フォー・ワンが生存しており、暗躍している場合の緑谷 出久がどうなるかを考えた。

結論から言うと、最悪の場合、次の継承者が見つかる前に死ぬ。それも、無謀な戦い方での破滅。

はっきり言ってオールマイトは教えるのが壊滅的だ。これは不味い。彼女の意思でもある。

 

……ここは己の権力を行使して尤魔を留年させ、緑谷 出久を大成させるのを優先するべきだろうか?

オールマイトに足りない部分が当てはまるという意味では確かに尤魔は緑谷 出久に教えるというのにはピッタリだろう。彼女のようなタイプは知り合いにはあまりいない。ワンフォーオールを知っている者に絞ると彼女だけになる。彼女は自分から見ても全体的に優秀だ……だが、致命的な程理由が無い。

 

ここで根津に天啓が降りる。そうだ、無いなら作ればいいのだ。

 

「……うん、こちらでそれっぽい理由作るから忙しくなる! 悪いけど、今日は帰って!」

 

「は、はい……」(良かった……なんとか通ったぞ!)

 

 

 

 

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