オリジナル短編集   作:平井純諍

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既読の付かないLINE キヲ族

「おい、やめろよ!」

朝、唐突に送られて来た友人のLINEの文章である。

「何のことだ?」

LINEに既読が付いた。

「お前はいつも冷たいな。昨日のLINEでの相談に心を寄せる所か突っぱねた物言いをしやがって」

 

何のことだか私には検討もつかなかった。

昨日は友人が彼女に振られたのを慰めながらも叱咤激励をしたのを覚えている。

その慰めが少なかったのか?

私は慌てて開いていたLINE画面を前日の会話始めまで遡った。

 

「それは辛かったな。お前に合わなかっただけだよ」

「今はゆっくり休むのが肝心だ」

「お前は良い奴だから、良い女性がきっと見つかるさ」

 

うん

そんなに怒るような文面では無いのを確認すると下にスクロールする。

そして、最後に……

 

「いつまでもメソメソしてんなよ」

と入力して昨日は終わっている。既読が付いているという事は友人も読んでいるようだ。

慰めが苦手な自分にとっては精一杯の心の寄り添いの言葉だ。

それなのにこの返事はあまりだ理不尽すら感じる。

 

「会話の始めを読めよ!ちゃんと慰めているだろうが」

すぐに既読が付いた。

「ふざけんな。オレがメソメソしているだけみたいじゃねぇか」

 

メソメソしているだけ?

ふと、自分が書いたLINEのメッセージを読み返してみる。いや慰めているがこれが彼に取っては何の慰めにならないのだろうか……

 

「ん?」

そこで違和感に気づいた。

慰めをしているLINEのメッセージに既読の文字が無い。

試しに「悪かった。こちらに落ち度があった」

既読は付かない。すぐに「ダメな奴だな」と送ってみると

「ダメな奴だな」にだけ既読が付いてすぐさま。

「なんだと!!お前なんか絶交だ」

 

絶交宣言を受けてしまったLINEのメッセージを見ながら私は軽い絶望を味わっていた。

もう労いの言葉は相手に届かない事に。

悪口だけしか届かない恐ろしさに私は震えていた。

 

キヲ族

ここはとある王国の地下都市。

そこに機械のような動物が混ざったような生命体が暮らしていた。

折れた柱のすぐそばに二足歩行の機械獣がジグザグに動き回っている。

ときおり、頭頂部にあるパイプから蒸気を吐き出している。

 

そこへクチバシを生やしたキウイのような黒い物体が10円玉をツイバムと二足歩行の機械獣の顔面にある回転ツマミを回すとこちらの世界で云う「靴」が飛び出てきた。

キウイのような黒い物体は靴を帽子のように被ると鼻歌を歌って機械獣から離れて行った。

 

彼らは「キヲ族」とある惨劇に巻き込まれた子供達である。

気をつけなさい

人間の業により生まれた奇妙な生命体である。

 

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