真面目に考察する馬鹿転生者は、やっぱり一夏とバカ話をする。 作:目此
真面目に考察する馬鹿転生者は、やっぱり一夏とバカ話をする。
「なぁ、一夏。真面目に考えたことがあるんだ」
「プリンはウニにならないぞ」
「知っとるわ」
【織斑一夏について】
「まずお前だ」
「いきなり自分の考察を聞かされることについての考察を先に聞きたい」
「それはまた今度」
「いつかは聞かされるのか……」
「簡単な人物紹介をするとうちの隣に住む姉弟の弟の方。料理が上手く、気配り上手で一本気のある気の良い奴」
「そう褒められると照れるぜ」
「反面、超の付くシスコンで周りからの好意には超の付く鈍感」
「おい……」
「一見するとテンプレものの主人公像だが……」
「人を物語の登場人物にするな」
「主人公っぽいのは否定させない!だがまぁ、そこを少し掘り下げよう」
「おい、……おい」
「HAHAHA、で続きなんだが……」
「おい」
「結論から言うとお前、一本気あるのはいいが余裕無さすぎだよな」
「いきなり目の前で散々言われた挙句ディスられたぞ」
「いやぁ、俺もこう言いたくはないんだが普段の行動を考えると実に芯が通った考察なんだよ」
「芯の前に、筋を通そうな?」
「まず、なぜ気配り上手なのに鈍感なのか。おそらくだが素の状態の判断力と知能指数は高い方であるというのが俺の予想だ。そしてそれを前提に理由を考えた」
「もうツッコまんぞ」
「ひとつは家庭環境だ。一夏の……いや、織斑姉弟は姉の幼い頃さらに幼い一夏がいたにもかかわらず両親が蒸発した」
「殴っていいよな?」ペチン
「ありがとうございます!……でだ、人が生活するには金が必要だ。だが、お世辞にもそんな幼い姉弟に余裕は無い。むしろ余裕を作る余裕すらない。そうすると自然と行動の制限は大きい」
「改めて人に言われるとカチンとくる」
「人間色々なものに興味を持つ。だが、制限のある人がする行動はふたつ。我慢するか興味の方向を変えるか、だ」
「一つ目は分かるとして、方向を変える?」
「うむ、ではそれぞれ説明する。我慢は一般的な我慢だ。お菓子を食べたい、おもちゃやゲームが欲しいと思っても様々な思考の末に“しない”ことを選ぶのが我慢だ」
「なるほど、確かにゲームや漫画をお財布と相談するのはよくあるな」
「その通り……で、話を戻して興味の方向を変えるのも言葉通りだ。分かりやすく言えば鬱二ーだ」
「1ミクロンも分かりやすくねぇ」
「寝取りなんかで鬱屈した怒りたい欲が性欲に方向転換することで起こる精神活動と類似する」
「……」ペチン!
「ありがとうございます!……で、多感なオトシゴロの一夏幼年は食べたいお菓子もやりたいゲームも買えないおウチ事情。でも、そう言った欲の発散ができないと感じた判断力のある幼年は唯一向けても実害のない選択肢へ導かれる」
「唯一?」
「ああ、唯一許された自分の“家族”と言える姉に対する関心に発散できなかった欲望を向けるようにしたんだ」
「おい、言い方。それと」ベチン!
「いったァ!」
「お前も俺の家族だ」
「おおう、すまん」
「へっ……」
「へへっ……でだ、お前の興味はそんな感じで織斑千冬という人間に向くようになる」
「普通に家族が心配で~とか言えんのか……それに家族を心配するのは当たり前だろ」
「そうだ、“当たり前に行える”からお前の興味はそっちに向かい、そして集中したんだ」
「集中?」
「おう、本人に自覚はなくとも幼い一夏は姉と二人暮しということに疑問を持つより唯一の……殴ろうとするな、少なくともこの頃のお前は俺を家族認定していないだろ。んで、千冬さんしかいないと判断した幼いお前はまず千冬さんを知るところから始めた。本来は外へと広がる興味が一極化することで一夏幼年の有り余るリビドーを姉の様子観察に注力、否注欲させた。彼女のあらゆる行動を観察することにだ、手癖・話口調・体捌き・呼吸の間。ありとあらゆる行動を観察することに注視した結果、見事にシスコンへと堕ち至った」
「言い方」
「それと同時にある程度の外部での活動などで知識を身につけた幼年は家の状況を朧気ながらに把握し始める」
「過程はどうであれ確かに小学校の高学年くらいでウチのことを何となくわかってきたな」
「そしてまた、成長によりできることの増え目に付いたのは家事だ。特に炊事洗濯は生活に直結してる分よく目に付くだろう」
「あー確かに」
「掃除や洗濯、果てには料理と日常的なこと故にコチラにも興味は向く。そして上達すればすぐにフィードバックされる即応性は一夏幼年に少なからずの快楽を与えのめり込ませた」
「言い方っ!」
「仕方があるまい、人間を始め生物は苦痛を避けて、快楽を求める本能が備わっている。気持ち良いことは良いことだ、とな。だからご飯が美味しければもっと食べたいし、お昼寝だって贅沢。そして生殖行為は神が与えたもうた堕ちることすら厭わなくさせる魔性の快楽だ」
「納得できたのに最後ェ……」
「つまり、幼年期に外へ向くはずの興味関心が内側へ向いたことでシスコンと家事万能の基礎となった。これは今の一夏を作り出す重要なファクターで鈍感の原因にして遠因でもある」
「おい、俺は鈍感じゃねぇ!」
「ああ、そうだな(棒」
「おいっ」
「んで、ここまで考察すると自然と見えてくるのが判断力がある鈍感は実に、理にかなっていることになる」
「ツッコミどころしかない」
「織斑一夏は外へ向くはずの興味が家族という範囲に向いたことで、外部の関心を抱けなくなっていった。これは仕方ない、外に関心を持つことは貧乏な幼い一夏には贅沢すぎた。だから外に興味の向くことを自然と自分から避けた結果、自分が必要以上に周りへ関心が向かないようになった。加えて“苦痛がない”故に向けられる好意には関心が湧きにくくなっていった。反面判断力はあるから悪意や不躾に向けられる興味には不快感を覚えて、元の一本気のある性質も相まって意固地になりやすい、と。ただ年々生活への慣れ、金銭周りの解消が進むにつれてやや緩和されてきている」
「なんかまとめ始めたぞ」
「まとめると織斑一夏は一本気のある性質と優れた判断力と高い理性を持つものの、幼少期の環境により関心が家庭へと向きシスコンと家事能力を手に入れた。しかし同時に外へと関心を向ける余裕がないため外へ関心が向きにくくなった事で恋愛事に疎くなった。それも成長と共に快復の兆しはある、と言う考察が纏まったんだ」
「言いたいことは沢山あるがとりあえず、ひとつ良いか?」
「構わない」
「なんで教室で、そんなこと話し始めたんだ!?周り見てみろ!?メモ取ったりなんかコソコソ話してるぞ!?」
「ふむ、そのひとつは予想外だった。正直今更ホモネタの一つや二つ気にせん」
「気にしろよ!なんで俺が攻め?とか受け?とか言われなきゃならんのだ!第一、攻めの反対は守りだろ?」
「ああ、そのキレイなまま育って欲しい。絶対に調べるなよ、お兄さんとの約束だ」
「導火線に火ィつけたやつが言うセリフかぁー!」
バカ話1 終
続きません(鋼の意思