ウマ娘世界が地獄でも、住めば都です。   作:ジョンゲスト

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お風呂回~
まだつづきます~


女の身嗜みって面倒くさい・・・

「剥がしますよ~、剥がしますよ~、はいっ!・・・う・そ♪(ベリッ」

 

「あ゛だ ッ!」

 

たづなさん、突然嗜虐心を発揮するのはやめてください。

 

包帯をとる時は、痛いから傷パッチはお風呂で濡らしながら、とか言っていたのに、いざ剥がす段階になったら、そりゃもうすごく楽しそうに・・・

いや、濡らしてはがれやすくはしてくれているんだけどさ。

もしかして今日一連の俺関連の騒動に巻き込んだことでフラストレーションたまっちゃってます?

 

「こういうのは、じわじわと剥がすよりは一気にやっちゃった方が痛くないんですよッ(ベリッ」

 

「あ゛~~~!」

 

ひどいよたづなさん・・・

 

 

 

たづなさんがざっと傷を見た感じでは、深い擦り傷はないので痕が残るような事はないだろうと。

バイクでもすっこけると20代は結構深い傷でもきれいに治るんだよな。

30代になってくると浅い傷でも治った痕が変色してきれいに治らなくなったけど。

この身体ならきれいに治るだろう。

 

「あら、こんなところに火ぶくれが。」

 

そこは、昼間怪しい笹針師の熱いお灸がポトリと落ちたところ・・・

そんなところをまじまじと見ないでくださいッ!

さすがに恥ずかしいですよッ!

 

「昼間、あんし~ん!とか叫ぶ笹針師に無理やり・・・」

 

「またあの人勝手に学園内の人に手を出したんですか?!

 どこかおかしくなったところはありませんか?」

 

またって、やっぱたびたび出没してるのか。

何でもあの安心沢刺々美は、一応URA総合医療病院付の正式な職員らしい。

ただ、治験と称してトレセン学園に潜り込んでは、スランプに悩むウマ娘とトレーナーを口で丸め込んで笹針治療の実験台にするという、

当たれば劇的な効果が見込めるが、外れるとスランプがさらに悪化する丁半バクチを強いる困った天災笹針師なのだそうだ。

 

アグネスタキオンといい、安心沢刺々美といい、トレセン学園に顔を出す医療関係者はなんでこう癖の強い奴ばかりなんだ・・・

そういや、いつも剥き出しの注射器持ち歩いてるメジロの主治医なんてのもいたな・・・

 

「一応、成功よ~ん!と言ってはいましたけど。

 思わぬ力を出してしまうのは少しずつ改善されるって言ってましたよ。」

 

「ああ、それでですか。

 立ち居振る舞いが夕方ごろから自然になって来たな、とは思っていたんです。

 でも、彼女の口車に気軽に乗っちゃダメですよ?

 逆に調子が悪化することもあるんですから。」

 

たづなさんから見てわかるほどなら本当に良くなってきてるのかも。

そのうち生卵を持つ特訓でもするか?

 

「さ、身体洗っちゃいましょうか。」

 

なんか高級感漂う小さ目のボトルから、ボディーソープをスポンジにつけてたづなさんが背中を流してくれる。

ボディーソープが傷口に垂れてきてもあまりしみない。

これはあれか、最近流行りのボタニカルなんちゃらの高級ソープか?

ボタニカルって要するに植物性ってことらしいから、単純にマーケティングの都合で売り文句にカッコいい言葉使ってみました、ってだけらしい。

ボトルをよく見るとOlive~とか文字が見えるからオリーブオイル系の何かだな。

 

背中を洗い終わったのか、スポンジを手渡してくれながらたづなさんが聞いてくる。

 

「髪の毛、以前はどんな洗い方をしてましたか?」

「男だった時は、短髪で脂ぎってたので、安物のリンスインシャンプーでざっと。」

 

300円くらいのリンスインシャンプーでわしゃわしゃっとやって流して終わり。

この身体の髪は、わからない。

前の身体は、あの自称女神に穴に落っことされた後、途中でマグマに突っ込んで一回溶かされたような・・・うっ!頭が!

 

「これからは、高いものじゃなくてもいいですけど、ちゃんとトリートメントもした方がいいですよ?

 こんなにきれいな髪と尻尾なんですから。」

 

避けられない地雷を踏んでしまったか。

どこか切なさの混じった声で呟かれる。

 

「その辺は何もわからないので、たづなさん教えてくれますか?」

「ええ、もちろん。

 今度のお休みにでも一緒にお出かけしましょう。

 とりあえず今日は、私のいつも使っているので我慢してくださいね。」

 

傷に触れないよう、そーっと身体を洗い終えると、たづなさんの髪と尻尾のお手入れ講座が始まった。

結んであった髪をほどいて、お湯で全体をまんべんなく濡らし・・・

と、そこでいきなり躓いた。

 

「じゃ、シャワーをかけるので、耳を伏せてください。」

「どうやって?」

「えっ・・・」

 

耳に、水が入らないように耳を伏せて耳穴を塞ぐらしいんだけど、残念ながらまだそこまで器用に耳の動きを制御できない。

なんとなく、聞きたい方向に向けるのはできるようになってきている気がするんだけどな。

 

「困りましたね、私達は普通に動かせるものですから教えようがありません。

 そうですね、こう、誰かを威嚇しようとしたりすると・・・」

 

おおう、目の前に鬼がいる・・・

なるほど、後ろに耳が伏せてるな。

こうか?

 

「あ、今ちょっと伏せましたね。」

「ふぅ、温厚で人畜無害な俺には難しい課題だな。」

「・・・」

 

沈黙は肯定とみなす、うん、問題ない。

何度かやってみたが、伏せたまま、ってのができない。

ウマ耳の中に石鹸の類が入るとちょっと厄介で、ウマ耳の構造上なかなか入り込んだ水が抜けないので外耳炎の原因になるとか。

 

「耳を伏せられないと、傘のない時に土砂降り雨に降られて耳に水が入るといつまでもガサゴソ言ってすごく鬱陶しいですよ?」

 

本当に嫌そうな顔をしているので耳のいいウマ娘にとって耳に水が入らないように耳を伏せるのは必須技能みたいなものらしい。

とはいえ、今練習してすぐにできるようになるわけでもないので、俺が耳を手で押さえて水が入らないようにしている間に、たづなさんが流してくれることになった。

 

髪の毛と尻尾を、順にシャンプーしていく。

頭皮は指の腹でもむように・・・って痛ッ!

あ~、笹針刺さった痕だ。

 

・・・気を取り直して、長い髪と尻尾を指で梳くようにシャンプーを伸ばしていく。

はい、耳を押さえてお湯で流す~って、頭のてっぺん流した後も随分念入りに流さないといけないんだな。

 

「髪の量が多いから丁寧に流さないとシャンプー落ちませんよ?

落ちてないとそのあとのトリートメントもリンスも効きが悪くなりますから。」

 

そういうもんなのか。

もうこの時点で、以前の俺だったらとっくに風呂から上がってるくらいの時間が経っているので、うわ、めんどくさ~って感想しかわかない。

 

「はい、同じように、トリートメント、リンスの順番で洗っていきましょうね。」

 

これが後2回か・・・

 

ダメ押しに、俺みたいな耳の中の毛まで真っ白なウマ娘は、耳の中の毛の専用のブラシとドライクリーナーで耳の中の毛の汚れを落とさないと、耳垢と脂で汚れが目立つらしい。

不潔なウマ娘と言われないためには避けられないのか・・・

めんどくさい身体になったなぁもう。

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