ウマ娘世界が地獄でも、住めば都です。   作:ジョンゲスト

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職質回ですよ~

ライダーの敵、警察官登場です~

ちなみに、錆びだらけのぼろい自転車に乗っているとほぼ確実に職質受けます~
親戚の警察官によれば、真っ先に声をかけるべきおいしい不審者だそうで~


げぇっ!警察官!

ウマ娘世界に来てから初めてウマ娘の警察官なんて見たけれど、でかい。

身長180cmくらいはありそうだ。

そして、肩幅もでかい。

正直な話、ウマ娘と呼びたくない、デカ女と呼んでやりたい。

 

そのでっかいウマ娘警官がちょっと腰をかがめて俺に話しかけてきていた。

 

「ちょっとあっちのベンチでお話ししよっか。」

 

有無を言わさず階段の踊り場に設置されたベンチに誘導しようとする。

 

「何か御用ですか?」

「ん~?いや、平日のこんな時間に、キミくらいの年頃の子がうろうろしてるってのが気になっちゃってね。

ちょっとお話聞かせてくれればすぐ終わるから。」

 

ぬ?

学校サボって遊び歩いてる不良ウマ娘か家出少女か何かと疑われているのか?

 

「ね、ちょっとお話しするだけだから。」

 

言葉は優しいが、目が笑っていない。

 

俺は自分の顔が盛大にひきつるのを感じた。

 

俺は、基本警察官を信用していない。

バイク乗りなら99%、警察官と聞いたら唾を吐くだろう。

交通安全取り締まり強化週間とかが始まると、あいつらはもう難癖としか思えないようなやり方でバイク乗りを違反者に仕立て上げようとするからだ。

何度不毛な争いをしたことか。

 

苦々しい顔で固まっていると、

 

「お話してくれないと、いつまでたっても帰れないよ?」

 

と、やんわりとした脅しが来た。

・・・これだから警察官てやつは。

 

でもここで応じないでいると応援の警察官呼ばれて囲まれるんだよな・・・

そうなると、囲んだ警察官から、もうもろに不審者扱いで四方八方から詰問されて精神がすり減る。

 

「・・・ハァ。わかりましたよ。」

 

仕方がないのでベンチに向かう。

 

「で、何なんです?」

「ん~、その前にお名前と、学生証見せてもらえる?」

「名前は、ラベノシルフィー。

 学生ではないので学生証はありません。

 病院の帰りなんで保険証ならありますが。」

「保険証見せてくれる?」

 

保険証を見せると、表、裏とひっくりかえすように見て、なんか余計いぶかしげな顔になる。

 

「扶養でも国民でもないって、働いてるの?その歳で?」

 

あっ!

あっちの世界で会社勤めだったから、国民健康保険じゃないのか!

 

「他に、身分証明できるものある?」

 

免許証があるが、どうしようか。

なんかウマ娘自警隊とかで取れるちょっと特殊なものらしいんだよな。

参ったな、そのあたりのこと聞かれたら答えられない。

 

「あとは、クレジットカードとかキャッシュカードくらいしか・・・」

「全部出して。」

 

ああ、ダメだこれ。

財布の中身全部ぶちまけないと終わらない奴だ。

 

平日の昼間の階段の踊り場とか滅多に人が通るもんじゃないけど、それでもゼロではない。

時折ぶしつけな視線を感じる。

警察官と、明らかに未成年なウマ娘。

晒し者もいいところだ。

 

しょうがないので、財布の中のカード類、会員カードなんかも含めてぶちまける。

 

「これで全部です。」

「他人のものはなさそうだね~って、免許証?」

 

早速見つかってしまった。

免許証を手に取って、くるりと裏返す。

 

途端に、警察官の態度が軟化した。

 

「あ~、ウマ自の卒業生か。

 ごめんね、疑って。

 そうやって怪我人のふりして悪さする子も結構いてさ~。」

 

???

ウマ自って、自衛隊みたいなもんじゃなかったっけ?

そこの卒業生?

意味が分からない。

でも、ここでそんなこと聞くのは明らかに悪手だよな。

ウマ自の中で何やってた?とか聞かれたら答えようがない。

 

「わかっていただければいいんです。」

 

さも当然、といった顔で答えてごまかす。

 

「うん、時間取らせちゃったね。

 ごめんね。

 大変だろうけど頑張って。」

 

でっかいウマ娘の警察官は、最初とは違った優しい目で、謝りながら去っていった。

 

ベンチにばらまいた財布の中身をしまうと、ちょっとウマホでウマ自について調べてみる。

 

・・・う~ん、どう見ても自衛隊のウマ娘版だね。

陸自に特化してるっぽいけど。

それ以上でもそれ以下でもない、という情報しか、ウマホでざっと見た感じではわからなかった。

 

午後一で出鼻をくじかれたけど、100円ショップに行って、櫛とかウマホの充電ケーブルとか、気が付いたものを買う。

 

ホムセンではウェストポーチを買った。

ウェストポーチは何かと便利だ。

ジャンパーやズボンのポケットというのは、ものをたくさん詰めると膨らんで垂れ下がって結構みっともない。

ウェストポーチは、あまりでかいのだと野暮ったいけど、適度な大きさのものはそういう服の着崩れから解放されるので一個あると便利だ。

バイクに乗る時も、と考えて、ウマ娘世界に来た時、バイクウェアやヘルメット一揃いダメにしたことを思い出す。

買い直すのに10万近い出費だ、と考えてちょっと萎えた。

あとでバイク用品売ってるところ探さないとな。

じゃないと、トレセン学園に置きっぱなしの愛車を動かすことすらできやしない。

バイク用品扱っているところはだいたい郊外に多いので、この近くにあるといいんだけれど。

 

服飾店では、もう少しおとなしい下着の替えが欲しいのと、スポブラで長髪でも着やすいのはないかな~と。

黒い下着は白い服に透けるので、いい加減な着こなしができない。

スポブラは下から頭を通すタイプのは、単純に髪の毛が邪魔で着難い。

 

しかし、天下のCUやウニクロでもこれ、と言ったのはなかった。

とりあえずCUで、スェット上下のセットとジーンズ、Tシャツを買う。

部屋着にできるし、何ならちょっとした外出でも行けるだろう。

 

ウマホで調べたら、ショッピングモールからちょっと離れたところにファッションショップいまむらがあった。

あっちの世界にいたときはいまむらは女性ものばかり増えて男性ものの扱いが減っていたのでイマイチ利用しなかったが、ウマ娘になった今ならばそれは逆に品ぞろえが充実してるってことだ。

 

ショッピングモールを出て、なんかどっかで見たなーという商店街を抜けて、いまむらに入る。

おお、庶民の味方のお店、雑多で、安っぽくて、実際に安いこの安心感よ。

 

スポーツウェアのコーナーに、前チャックのブラとセットの商品があったのでそれをいくつか。

靴下も色違いで買っておく。

 

うっ!CUで買ったのよりも安くて好みのTシャツを見つけてしまった。

部屋着によさそうな、ヘビーオンスっぽい布地が厚くて丈夫そうな短パンも。

ええい、買ってしまえ!

 

というわけで、一通り部屋着で外をうろうろ可能な田舎のヤンキーねーちゃん風ローテーションの服が揃った。

 

ほぼ衝動買い的にものを買い込んでいった結果、そこそこ大荷物になってしまった。

貰ったショッピングバッグはもう一杯で、追加で買った服のビニール袋をぶら下げる羽目になっている。

 

さすがにこれで、トレセン見学はないだろう、と、府中駅前のタクシー乗り場からタクシーに乗って帰ることにした。

タクシーに乗ってから気づいたのだけれど・・・

行先を告げようとして、たづなさんのマンションの名前を知らないことに気づいた。

ちょっと固まってしまったが、カードキーの表にそれらしいロゴがあったのを思い出してカードキーを引っ張り出したものの、筆記体をさらに崩したようなロゴで読めない。

 

タクシーの運ちゃんに、直接カードキーを見せたら、ああ、立派なところ住んでますねとすぐにわかってくれて事なきを得た。

 

その日の晩、帰って来たたづなさんと夕ご飯を食べながら、ウマ娘の警察官の言っていた『ウマ自の卒業生』の話を聞いたのだが・・・

 

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