ウマ娘世界が地獄でも、住めば都です。   作:ジョンゲスト

44 / 82
引っ越し状況ともうちょい詳しい寮の説明回ですね~

寮の設定ファイルがでかいので、ちょっと推敲甘くなってます~
変なとこ見つけたら直すかもしれません~


入寮:引っ越し作業編

今日は絶好の引っ越し日和。

天気は快晴、朝の空気が気持ちいい。

 

ボストンバッグと紙袋をぶら下げてトレセン学園を目指す。

 

たづなさんは、いつものように朝早く出勤していった。

 

ここで一緒に暮らすことはなくなるけれど、学園で会おうと思えばいつでも会える。

だいたい、たづなさんは、毎朝学園と寮を結ぶ門の前に立って学園生に挨拶してるんだから、一日一回は必ず言葉を交わす、と言ってもいい。

残念ながら今はもう学園生の授業が始まってしまっている時間だから、門の前のたづなさんの姿を見ることはできないけれど、今日忘れ物が無ければマンションのカードキーを返しに結局会いに行くのだし。

 

とりあえず、今日は一日引っ越しに充て、学園での生活が本格的に始まるのは明日からだ。

そして、週末には、寮の歓迎会がある。

美浦寮だけで1000人いると聞いて、たかだかひとりの編入生の為に歓迎会を開くの?って思ったけれど、夕食の時に食堂横の中庭で普段よりもちょっとだけ豪華な料理の並ぶバイキング形式の立食パーティーみたいなことをするだけで、そんな大仰なものではないそうだ。

編入してくる学年の学園生は一応顔出しはするようにと通達はされているものの、その他の学年や高等部に関しては自由参加だから、一度に集まる頭数なんて小学校の1学年の生徒数と大して変わらないさね、とは寮長のヒシアマさんの談。

こういうイベントには、生徒会が後押しして学園から費用を出してもらっているので、あとで生徒会にも顔を出すのが慣例らしい。

知らないところで借りや義理が発生していてなんだかなあ、って気もする。

生徒会の最初の印象がゴルシ締め上げてるエアグルーヴの姿だし。

・・・『貴様は目上の者にさんもつけられないのか?』とか言われそうだけど、なんか『さん』をつけにくいんだよな、エアグルーヴの名前って。

ルドルフ会長は、ちゃんとイメージ通りダジャレで迎えてくれるのだろうか。

 

しかし暑い。

晴れたのはいいけれど、初夏特有の狂ったような気温上昇が始まったのか、ボストンバッグと接する制服のあたりが蒸れて汗で肌に貼り付いている。

寮にたどり着く頃には、全身汗だくになった。

 

人けのない寮の玄関に入ると、玄関の隅っこでヒシアマさんがヤンキー座りでぶつくさ言いながらスリッパを磨いていた。

なんでこれは業者がやってくれないのかねぇ~と雑巾でスリッパを拭いちゃ投げ捨て、を繰り返し、背後にスリッパの山を築いている。

 

おはようございます、と声をかけると、

 

「お、来たね!」

 

と今磨いていたスリッパを一組、俺の方に滑らすように投げてきた。

残念ながら俺の前を通り過ぎて片方三和土に落ちたけど。

 

ヒシアマさんが立ち上がって、寮長室から俺の名前の書かれた在室票と部屋の鍵を持ってくる。

 

「このアンタの在室票が廊下に掛けられた時、アンタの正式な入寮になるからね。

 詳しい寮の規則は、部屋の机の引き出しの中に入ってるから読んどくれ。

 まああちこちに貼り紙がしてあるからそれ見りゃ最低限の規則はわかるだろうけどね。

 

 在室票は、夕方までまだ預かっておくよ。

 買い出しとかいろいろあるだろうからね。

 

 ただ、外から帰ってくるときは門限は守っておくれ。

 18時30分。

 これを過ぎたら反省文と罰の一つもあげなきゃならないからね?

 引っ越し初日から門限破りとか勘弁しておくれよ?」

 

ヒシアマさんから差し出された鍵を受け取る。

 

しかしまだ明るいうちが門限か~。

門限を守れなんて言うことも久しく言われてなかったので、ついつい忘れちゃいそうだな。

ウマホのアラームにでもセットしておこうか。

 

「昼ご飯は、寮の食堂じゃでないから校舎の食堂で食べておくれ。

 街に出ているなら外食でも構わないからね。

 夕飯は、帰ってきたら寮の食堂に案内がてら一緒に食べようじゃないか。

 18時を過ぎたら声をかけておくれ。」

 

「まだ学生証とか渡されていませんけど、学園の食堂って使えるんですか?」

 

そもそも俺の編入自体がイレギュラーの塊みたいなもので、学生証どころか教科書すらまだ受け取っていない。

施設の使い方も、本来は入学してすぐに学園側からアナウンスされているんだろうけど、俺はそれ全部すっ飛ばしてるからなあ・・・

 

「着てる服が学生証みたいなもんだよ。

 堂々と並んでよそって貰いな!」

 

食堂で昼食をいただくのに、学生証とかはいらないらしい。

同じ制服だらけだったら、学園生以外は混じりようもないから当然なのか。

 

「まあわからないことがあったらいつでも聞きに来なよ。」

 

一通り、伝えることは伝え終わったのか、ヒシアマさんはまたスリッパ磨きに戻っていった。

 

ぺこりと一礼してから靴袋に入れた靴をぶら下げて、自分の部屋に向かう。

ヒシアマさんに案内された時と違って、自分のペースで、きょろきょろしながら階段を上がる。

 

階段を上がってすぐの場所には、両隣にトイレと家事室のドアがある。

寮室であれば本来ドアがある廊下の壁際には、1メートル四方くらいの大きさのカーキグリーンの布コンテナが置かれ、中には部屋番号の書かれた布袋が積み重なっていた。

 

家事室、と俺が呼んだのは、6畳くらいの部屋に、流しと電気ポット、オーブンレンジに加えて、なぜかあっちの世界でもほとんど見なくなった2槽式の洗濯機が3~4台並んでいるからだ。

加えて、背の高い家庭用の冷蔵庫が置いてあるところもある。

給湯室でもなく、ランドリールームでもなく、両方混ざってる。

とりあえず、カップ麺やちょっとしたお弁当の類はここでお湯を使ったり温めたりできそうだ。

 

洗濯機は日常的に使われているのだろう、壁際の棚に『ご自由にお使いください』とマジックで書かれた洗剤や柔軟剤が何種類か並んでいる。

洗濯機の後ろの壁には『23時以降に洗濯機回した奴はぶっコロス!』とか物騒な貼り紙がしてあるし、冷蔵庫には『入れた日付、名前を忘れずに。忘れたおやつはみんなのおやつ』とか書いてある。

ちょっと興味が湧いて、冷蔵庫を開けてみたら、ケーキ屋さんのお持ち帰りBOXや、2リッター、3リッターサイズの太いペットボトルがそのまま入っていたりした。

 

野菜室にはみんな大好きウマ娘世界特有の太いニンジンと、袋に入ったリンゴ。

すぐに食べられるようになのか、使いかけのマヨネーズまで一緒に入っている。

流しの下にはちゃんとまな板と包丁もあったのでここで切って食べるんだろう。

 

冷凍庫には発熱した時用の冷却パックと、ファミリーサイズのアイスクリーム。

・・・いや、ファミリーサイズじゃないな、『ウマ娘サイズ』って書いてある。

ファミリーサイズで1人前ってことか?

お腹壊さないか?この大きさを一人で食べたら。

部屋の冷蔵庫じゃ収まらないものはここに入れているんだろうか。

部屋の冷蔵庫小さかったしね。

 

廊下を歩きながら、ところどころに配置されている消火設備や避難梯子の入ったBOXを小中学校みたいだと懐かしみながら延々と、そりゃもう延々と歩く。

廊下を3分ほど歩き続けるってなかなかないんじゃないだろうか。

ようやく自分の部屋の前にたどり着くと、ドアの脇に、先日自分で梱包した引っ越し荷物の入った段ボールと、分厚くて大きめの茶封筒がいくつか積み上げられていた。

ドアの鍵を開けて、荷物を中に引きずり込む。

部屋の中は、午前中だからか窓から陽が差して少し蒸し暑い。

部屋の入り口についている換気扇のスイッチを入れて換気する。

他にあるのは、冬の暖房用の調節ダイヤルと、部屋の電灯のスイッチ。

『消灯22時』と書かれた細長い紙が、黄色く変色したセロテープの下に貼られている。

年季入ってるな~。

これでも、新しい棟、ってことらしい。

 

換気扇のスイッチを入れてみたものの、スイッチのところにオレンジ色のランプが点いても一向に換気扇が回っている音がしない。

 

正面の窓は冷蔵庫やサイドテーブルが邪魔で開けるのがちょっとめんどくさそうなので、俺の使うことにした左のベッド側にある小窓を開ける。

窓から風が入って来たので換気扇は動いてるっぽい。

 

ベッドの枕元付近の壁にあるコンセントを見たら、冷蔵庫のコンセントらしいものが抜けていたので、差し込むと低い鳴動音と共に冷蔵庫が動き始めた。

冷蔵庫を開けてみたら、これ、直冷式だ。

冷凍用の冷却器が剥き出しで、使っているとどんどん氷が分厚く付着していくやつ。

霜取りが面倒くさいんだよな~。

冷蔵部分に入れていても時々凍るし、逆に冷凍部分に入れてもアイスとか溶けるし。

微妙なものは給湯室の冷蔵庫を使わせてもらわないとダメかもしれない。

 

荷物を開けてみると、茶封筒の中身は、教科書だった。

数学とか国語とかの一般教養の教科書が笑ってしまうほど薄い。

ほとんど冊子だ。

スポーツ生理学とか厚さが2センチ位ありそうなものは、さすがに中等部3年間で通して使うものらしい。

でもこの1/3は、中等部1年で終了したってことで、すでに知ってなけりゃならないんだよな、俺。

そんなスポーツ関連学の分厚い教科書が4冊もある。

・・・ちょっとだけ、中等部2年に編入したのを後悔した。

 

とりあえず机の上に教科書類を積み上げ、段ボールの開梱に入る。

箱の中から服を取り出して、ベッドの上に並べてから気づいた。

 

この部屋タンスがない。

 

しばらくきょろきょろ見回していたら、向かいのベッドの下が引き出しになっているのに気づいた。

俺の服を積んだベッドの下にも引き出しがついている。

木製で、4連。

どうやらこれが洋服タンス代わりらしい。

引き出しを開けてみたら、ちょっと埃っぽい。

そのまま服を入れると汚れてしまいそうだが、引き出しの中を掃除できるきれいな雑巾がない。

 

前の住人が何か残していってないかと、靴箱やトイレの中を覗いてみたけれど、靴ベラとトイレ用のブラシと小さなゴミ箱くらいしかなかった。

 

・・・掃除用具は買い出し案件だな。

他にも必要そうなものをざっくりと洗い出していく。

 

はたきと雑巾、洗剤、消臭剤、ティッシュ、トイレットペーパー、寝具カバー類一式。

 

あと、タオルとバスタオル、エプロン。

 

・・・埃っぽい引き出しを触ってしまって、手がざらざらするので、手を洗おうと洗面台の蛇口を捻ったら、しばらく通水してなかったのか空気と水の塊が混じったのが勢いよく出てきて爆発して飛び散ったんだよ。

幸い錆びの混じった茶色い水じゃなかったから制服とか壁に染みができるのは避けられたけど、たづなさんから渡されてたハンカチ以外拭くものがないことに今頃気づいた。

エプロンも、こういう掃除のときに使うだろうし。

 

・・・スリッパも、自分専用のものを買おう。

共用スリッパで何が怖いかって、そりゃ、『み・ず・む・し』ですよ。

こういう共用スリッパのある旅館に一晩泊っただけで水虫をうつされた出張が何度あったことか。

一生懸命スリッパを磨いていたヒシアマさんには悪いけど、水虫には代えられないので。

 

気を取り直して、バイクウエアの方も開けてしまおう。

真新しいビニールの包まれたウェアの上下と、グローブ、箱に入ったヘルメット。

使わないベッドの方にそれらは広げて、段ボールを畳む。

 

この段ボールゴミもどこに捨てたらいいんだろうな。

茶封筒の残骸も、この部屋にはちょうどいい大きさのゴミ箱らしきものが置いていない。

 

ゴミ箱も買い出し案件か。

 

段ボールを片付けるのに紐かガムテープが欲しいな。

ハサミとかカッターも。

 

ああ、どんどん買うものが増える。

 

全部買ってくるとなると、やっぱり店が集中している府中のショッピングモール街に行くしかないな。

とりあえず中身を全部出したボストンバッグに、やはり空っぽにした紙袋を詰めて部屋を出る。

 

いざ、買い出しに。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。