ウマ娘世界が地獄でも、住めば都です。   作:ジョンゲスト

45 / 82
お買い物回ですね~

ヒシアマクリーニングサービスは、最近の風潮だと賄賂だとか言われそうですが~
そこは参考にしている時代背景が昭和あたりなのでご理解よろです~

ちなみに府中にはモデルになったゆで〇郎のお店はありません~


入寮:買い出し編

ボストンバッグと靴を携えて玄関に向かうと、ヒシアマさんは洗濯物の分類中だった。

 

一抱えくらいの量の洗濯ネットに入った洗濯物を、そのまま洗濯かごに取り出しやすいように詰め直している。

 

「お、買い出しかい?」

 

俺に気づいたヒシアマさんが手を止めて声をかけてきた。

 

「ええ、いろいろ足りないものが多くて・・・」

 

「街に出るなら、大きめの洗濯ネットをいくつか買っときな。

 絶対必要になるからね。」

 

なんででしょう?という問いの答えには、『洗濯機争奪戦があるからね』という答えが返ってきた。

 

「授業で使うジャージや体操服は洗濯袋に入れて出せば翌日にはきれいになって帰ってくるけど、私服はそうじゃないのさ。

 大浴場に据え付けられた洗濯機はそこそこ数があるけど、全自動ったって乾燥まで2時間くらいかかるからね。

 3日くらい洗濯物をためてまとめて洗濯するくらいじゃ洗濯機の台数も時間も全然足りやしない。

 で、先輩方がいろいろ試行錯誤した結果、今は洗濯ネットにそれぞれの洗濯物を入れて、1台の洗濯機を洗濯待ちしている寮生数人でシェアしてるってわけさ。」

 

寮生固有の生活の知恵ってやつなのね。

あっちの世界では年頃の娘って「パパの洗濯物と一緒にしないで!」とか親でさえ一緒の洗濯を嫌がるイメージが強いので、寮生同士で洗濯機シェアとかちょっと思いつかなかった。

その辺の女性の感覚ってのもよくわからないな。

一人暮らししてると、白物と色物は分けるけどパンツとタオル一緒に洗濯とかしてたしな。

抗菌洗剤がちゃんと仕事しててくれれば大丈夫!・・・と信じて。

 

「ところで今ヒシアマさんがしてる作業は?」

 

ヒシアマさんがさっきから洗濯かごに詰め直している洗濯ネットの中身は、明らかに下着なんかの私服だ。

 

「これかい?

 まあアルバイト、みたいなもんかね。

 夜寝る前にとか、登校する前に洗濯機に洗濯物を放り込んでいく寮生もいるんだけどね?

 それでもあぶれちまって洗濯が間に合わなくなった寮生の洗濯物を、アタシが昼間に引き受けてるんだよ、ちょっとしたおやつを貰ってね

。」

 

ちょっとしたおやつをお供え物にしてヒシアマさんに洗濯物を託すと、昼間洗濯機が空いたときにヒシアマさんが洗濯機を回してくれるそうな。

 

「アンタも間に合わなくなったら引き受けてやるから持ってきな!

 できれば日持ちする甘いものがいいねぇ。」

 

ヒシアマさんの手元を見るに、そこそこの人数がこのヒシアマクリーニングサービスに依存しているようにみえる。

俺より寮に馴染んでいるはずの先人たちですら洗濯が間に合わないことがあるとすると・・・

今日の買い出しリストに、日持ちするお菓子が追加された。

 

「街に行く前に、購買を見ていきな!

 かさばるもので購買にあるのは帰りに寄って買うと楽だよ!」

 

ああ、そういえば購買もざっとしか見てなかったな。

ヒシアマさんに礼を言って、学園の購買に向かった。

 

学園のロビーに入ると、何人か職員やトレーナーらしき人がいるけれど、以前みたいにサボりか!と寄ってくる人はいなかった。

編入生がいる、って言う連絡でも回ったんだろう。

遠目にちらっと視線を向けてくる人はいるけれど、特に干渉してくる様子はない。

 

食堂方面に脚を向けると、食堂で絶賛調理中なのか揚げ物とデミグラスソースのようないい匂いが漂ってくる。

たまらずぐぅぅ~と腹の虫がなんか食わせろと声を上げるけれど、残念ながら食堂はまだ準備中だ。

おいしそうな匂いに後ろ髪ひかれながら購買へと脚を向ける。

 

 

「いらっしゃ~い。」

購買レジ奥のパイプ椅子にめいっぱい寄りかかって座り、だる~い、ひま~を体現する購買のウマ娘店員さん。

会釈して、大して広くもない店内を散策する。

店の入り口近くには先客がいた。

トレーナー専用コーナーで、緑色の怪しいドリンクと王冠のついたやたら高級そうな滋養強壮剤を手にとっては戻しを繰り返し、いやこちらの方が・・・と悩んでいる男性がいる。

前来た時よりも、猫缶の在庫が更に高く積みあがっていた。

冊子なんかワゴンセール中だ。

・・・うん、トレーナーじゃない俺には関係ない。

 

奥の衛生用品関連が置いてあるコーナーへ向かう。

トイレットペーパーやティッシュなどは普通に置いてあった。

けど値段は微妙だな。

最終的な荷物のかさ張り具合でここで買うかどうか決めた方がよさそうだ。

文房具なんかは街に出るなら100円ショップあたりで買えばいいだろう。

ハズレをつかんだらここで買い直せばいいし。

 

購買を出ようとしてふと床に並んだものに目が留まった。

蹄鉄シューズ。

通学用の指定靴は買ったけど、トレーニングに使うシューズは買ってないや。

 

トレーニング用とはいえ、ウマ娘の全力に耐えるように作られているからか結構いいお値段がする。

これは買わなきゃならないだろうけど、かさ張るから帰りにここに寄るのは決定だな。

 

「ここって何時まで開いてます?」

 

「夕方5時ですね~。

 靴をお買い求めならちょっと早めにお願いしますね~。」

 

「了解。また来ます。」

 

パタパタと器用に片耳でさよならする店員さんのいる購買を後にする。

 

『トレーナさん、それ一本より、バイタル3本でどうですか?猫缶1缶付けますよ~』

『いやこれでいいよ』

『おや、交渉上手ですね、2缶でどうですか?・・・ここだけの話、その猫缶を理事長の頭の上の猫に捧げると、ボーナス査定がアップするとかいう噂がですね・・・』

『ぬっ?!そう言えば冬のボーナスで不自然な増額をしたやつが・・・』

『もし、効率練習の豆本をご購入いただけるなら猫缶4缶付けちゃいます!

 買うなら今ですよ~?

 トレーナーさん用のコーナーは明日にはごっそりラインナップが入れ替わっているかもしれませんしね~?』

 

後方から怪しげな交渉が聞こえてくる。

誘惑に負けるな若きトレーナー君。

俺もかつては通った道だ。

・・・ゲームの中で、だけど。

 

 

校舎を出ると、もうこれは夏じゃないのか、と思えるほどの強い日差しが俺を襲う。

さっさと府中の街に出て買い物を済ませてしまおう。

 

 

 

 

一番遠い寝具を売っているイマムラに向かう途中、空腹の限界を迎えたので、道路沿いにある蕎麦屋『ゆで二郎』でざるそばを食べる。

買った食券はウマ娘サイズ、とは言うものの、単に5枚ざるそばがくるだけだ。

でも1200円と安い。

単品のヒトの一人前を単純に5倍したものより全然安い。

その上、そばが出来上がってきて受け取る時に、サービス券を貰った。

無料でいろいろトッピングできる券が10枚くらいついている。

厨房で働いている人はそれなりに多いし、よくこの値段でこのサービスを提供できるな。

 

カウンター横にある調味料のところに無料の天かすがあったので麺つゆにひと匙。

小さなピッチャーに追い足し用の麺つゆがついてくるのがありがたい。

この量だとすぐに麺つゆが薄まって味がしなくなってしまう。

俺は江戸っ子食い、ちょっと麺つゆを付けて飲むように食べるって言うのは好きじゃない。

どっぷりと麺つゆに漬け込んで噛んで食べるのが好きだ。

 

5人前のそばを食い終わっても、まだちょっと物足りない感がある。

ただ、安い、とはいっても外食でかかる金額はヒトだったころの数倍はかかっている。

学費はかからない、普段の食事は無料、と言ったところで、収入のない今、あっちの世界から持ち越してきた貯金食いつぶし生活だ。

現状じゃ貯金は減ることはあっても増えることはない。

在学中、貯金が減って行くのを食い止められる程度でいいから、何か割のいいバイトを探さないとまずいかもしれないな。

 

 

イマムラでシーツやら枕カバーやらを買い、府中のショッピングモールの中の100円ショップやホムセンを回ると、両手は荷物で塞がってしまった。

トイレットペーパー?

さすがに持ちきれないので購買で買ったよ。

靴も含めて、今日も5万円くらい吹っ飛んだ。

貯金の残高は心の余裕、とはよく言ったもんだね。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。