我の進む道こそ王道なり   作:ごーたろんす

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新年になり、もう1ヶ月ですね。

遅くなり、申し訳ありません。更新は不定期ですがちまちま書いているので出来上がり次第投稿していこうと思います。

待ってくださった方には謝罪を。

それではどうぞ。


ベル・クラネルの冒険

暴走状態のアイナから逃げることができるわけもなく、嬉しそうに笑いながら走ってきて引き摺られてロキファミリアの門番のところに連れて行かれる。

 

我王だぞ!?不敬にも程がある。そんなことを思いながら門番とアイナを見ると門番は顔を真っ青にしている。

 

 

「ぎ、ギルガメッシュ様…。その、そちらの方は高貴なるお方でしょうか…?」

 

「…。違う、が、この阿呆は面倒なことに姉上の友だ。迷惑をかける。此奴は一応ヘスティアファミリアなのだ。」

 

「阿呆ってなんですかぁ!!このこの!!」

 

 

我の頬を抱きついてツンツンするな!!これがエイナの母か…。エイナが似てなくて本当に良かった。

 

暴れる阿呆を連れて姉上のとこに案内しろと伝えて逃げようとするが逃がさないとばかりに後ろから抱きついて離れない。

 

「ええい!鬱陶しい!!我に抱きついて良い異性はアルフィアだけだ!!離れよ!!」

 

「あ!アルフィアちゃんとこの前一緒にお買い物いったんですよぉ!そういえばアルフィアちゃんが娘みたいに可愛がってる子がいるんでしょ!?

 

エイナもとっても可愛いけどちっちゃい頃はもっと可愛かったんですよぉ!!ギル様!私にも娘さん紹介してくださいよ!」

 

「な・ぜ!我の話を無視して己の欲望ばかり言ってくる!!不敬だぞアイナ!!」

 

 

「リヴェリアと私は大親友ですよー?ギル様がこーんなにちっちゃい時から私は一緒に遊んでるんですからギル様は私の弟ですっ!」

 

 

赤ん坊の時からこいつは面倒を見てくれていたのは認めるが何故我が弟になるのだ。

 

アイナの性格はエルフ族にはほぼいないと言ってもおかしくないくらい希少性の高いものだ。

 

王族としてではなく1人のエルフとして接してくれていたからこそ我も懐いてしまったが……

 

失敗だったような気がしてならん。

 

 

アイナを連れて姉上のところに行き、アイナが姉上に抱きついたのを見て即座に離脱した。姉上。後は任せた。情報の擦り合わせに来たのだが逃げるのを優先したのに気づいたのはホームに着いてからだった。

 

 

 

その日、とても嬉しそうな王族妖精がいたが夜にはやつれていたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルフィアがリリルカをここぞとばかりに可愛がり、ベルもベルでにこにこしながら楽しそうにご飯を食べている。

 

 

「あーアルフィア君。あんまりリリ君に構い過ぎるのは良くないよ?リリ君も疲れちゃうよ。」

 

 

「うるさい。私の娘だ。可愛いのだから良いだろう。」

 

 

「……あ、あの、アルフィア様?」

 

 

「リリ。アルフィアお義母さんだ。」

 

 

「あ、アルフィアお義母さん?その、リリもすごく嬉しいのですが、ベル様やヘスティア様にも失礼になります。

 

それにリリは強くなりたいです…。アルフィアお義母さんみたいに。」

 

 

なんて可愛いことを言うんだ!私の娘は!しかし怪我をするところなど見たくはない。私が鍛える?いや、怪我をさせてしまうなど論外だ。

 

くっどうする。私はどうすれば良い!?ヘラファミリアの時は……ダメだ。アイツらとの思い出はなんの役にも立たん。

 

ゼウスファミリアの塵共も役に立たんな。使えん奴らめ。メーテリア。どうすれば良い……

 

 

「お義母さん!僕がリリと冒険する!それでリリと一緒に強くなるよ。リリが強くなりたいって気持ちをヘスティアファミリアで一番わかるのは僕だから。

 

お義母さんやお義父さん。それにザルド叔父さんに追いつきたくてしょうがなかった小さい時の気持ちはそのままリリの今の気持ちだと思うから。」

 

 

そうか。ベルはそこまで気づいていたのか。ふふ。私の息子はとても素晴らしい。自慢の息子だな。

 

「そうか。ならばベルに任せよう。私の息子は英雄だ。リリ。お前はベルについていくと良い。何かあればお義母さんに言いにこい。

 

有象無象の塵共など皆殺しにしてやる。」

 

 

「…は、はい。(皆殺し??)ありがとうございます。その、お、お義母さん。」

 

膝の上でリリを抱きしめるお義母さんはとっても可愛いなぁ。ヘスティア様は呆れちゃってるけど。

 

 

 

 

今日の夜は出掛けると言い、我は大量の食糧を王の宝物庫に入れて久しい友のホームの門を叩いた。

 

 

「はい。タケミカヅチファミリアですが……!!!ぎ、ギル様!?」

 

 

「む。命か。大きくなったな。先日にタケに会ってな。オラリオに来ているのを知った。邪魔をする。」

 

 

「は、はいっ!!ギル様!こちらへどうぞ!!」

 

 

命の案内で居間に連れられる。すると懐かしい顔の面々がおり、固まっている。

 

タケが満面の笑みで迎え入れてくれ、我も宝物庫から食糧や酒をどんどん出していく。そこで命と千草がご飯を作ってくれるようなので宴会となった。

 

 

「いやーギルが来てくれるとはな!すまないな!俺らはいつも通り貧困でなぁ。余裕が全くない!」

 

あっはっはと笑いながら酒を飲むタケと苦笑いしている桜花達。

 

「構わん。タケは友で桜花達は我の庇護下の可愛い子らよ。神だが我にとって唯一の友と呼べるのはタケ。貴様だけよ。」

 

「はは。そう言ってくれると俺も嬉しい。そういえば巷の噂を命が聞きつけてきてな?ギル。お前婚姻したのか?」

 

「ああ。我の特別な宝ができた。それに義理ではあるがとても大切で可愛く、必ず英雄に至るであろう息子もな。」

 

「ほう!!ギルがそこまで言うのか。そうだそうだ。命!あれ、持ってきてくれるか?」

 

命は嬉しそうに何か包みを持ってきた。

 

「ギル様!婚姻おめでとうございます!その、遅くなりましたが、自分達がダンジョンに潜り、貯めたお金で買った祝いの品です。

 

よろしければ、お受け取りください。」

 

命達に聞いてから中身を見ると綺麗な羽織りが2枚入っていた。

 

「奥方と対になる羽織りだ。ツクヨミやアマテラスも協力してくれてな。良かったら使ってくれ。」

 

「なんと。感謝する。我の宝物庫の宝にも勝るとも劣らない宝よ。」

 

 

桜花と命はレベル2。他はレベル1とのことなので、今度ベルとリリを紹介しようと考えているとタケにファミリアはどこに入ったかを聞かれたのでヘスティアファミリアだと答えた。

 

 

「ヘスティアか!ヘスティアは神々の中でも善神中の善神だ。俺も友神でな。これは良いな!喜ばしいことだ!」

 

暇な時にはウチに遊びに来ると良いと家の場所を教えて、命達の頭を撫でてから家に帰る。

 

アルフィアにそのことを話し、羽織りを着てみるとベルとリリはキラキラした目で似合っていると大興奮していた。

 

ふむ。ならば家族ということでベルとリリ、それにヘスティアの分も頼むかといえば大喜びするベル。アルフィアがリリと一緒にベルも抱きしめて団子になっていた。

 

 

 

「…何?」

 

朝からヘディンとヘグニが真っ青になって頭を下げにきた。

 

話を聞くと、フレイヤがベルの魂の輝きがとか、ベルについて阿呆のように言い続けており、フレイヤファミリアの団長のオッタルとやらがミノタウロスをベルにぶつけようとしているらしい。

 

 

「なるほどな。構わん。確かにフレイヤも他の神々も暇であろうよ。我々長寿のエルフ族以上の神々を殺すのは暇と変わり映えのない日々よ。

 

我らの英雄足るベル・クラネルがミノタウロス如きにやられる筈があるまい。ふふふ。楽しみになってきたな。」

 

ヘディンとヘグニに実行する日時を把握して、その時は家にフレイヤを連れてきて神の鏡を使わせて鑑賞することを約束させた。

 

ベルはアルフィア、ヘディン、ヘグニに鍛えられ、技術、戦術という面はもちろんだが、ステイタスも軒並み上限突破している。そして恒例になっているヘスティア飲み会にてフレイヤが動くことを伝えてきた。

 

「オッタルに任せたからミノタウロスが普通よりも少し強くなってるかもしれないわ。ベルは大丈夫かしら?」

 

そわそわするフレイヤに呆れてしまう。

 

「…お言葉ですがフレイヤ様。御子息はそこいらの有象無象とは一線を画しています。」

 

「み、ミノタウロスの強化種ですよね?べ、ベル君の相手になるかなあ?」

 

「ふむ。ベルは一度オラリオに来てミノタウロスに敗走している。あいつは我より負けず嫌いでな。おそらく楽しい戦いになるだろうよ。」

 

デメテルから貰ったワインとアルフィアの用意したつまみを机の上に置いて白黒エルフも座らせてフレイヤの出した神の鏡を見る。

 

ヘスティアは半泣きになりながら危なかったらどうするんだ!と言うがダンジョンに潜っている以上危ないのは当たり前だと伝えると大人しくなった。

 

ヘスティアの善神ぷりは素晴らしいが慌てすぎだ。我の息子は英雄。ならばこんな試練なんぞ突破して当たり前だ。

 

 

しかしフレイヤファミリアは大丈夫なのか?昼間だぞ?主神とレベル7が3人いないのは問題ではないのか?

 

そう思ったがヘディンがここに居る時点で問題は無いのであろう。我の配下は誰もが素晴らしいものよ。ふははは!

 

「我が王。ロキファミリアの遠征と被っています。脳筋猪がロキファミリアの邪魔を許さなければ良いのですが。」

 

「あ。そ、そうだ。うう。ベル君の冒険見たい…。」

 

「くくく。安心しろ。ヘディン。ヘグニ。ロキファミリアには姉上とベートが居る。それにアイズもな。奴らは心配はするだろうがベルの冒険を横から邪魔するような奴らではない。

 

我を差し置いて王を名乗る不届者とロキファミリアの戦闘も見たいところだがやはり我とアルフィアの最優先は息子のベルよ。」

 

「かしこまりました。後、我が王。一つ訂正を。脳筋猪の猛者は王ではなく、猛る者で猛者です。あのような脳筋が王な訳がありません。

 

王は唯一無二。ギルガメッシュ・リヨス・アールヴ様のみ。」

 

「そそそうです!ギル様以外の王なんて必要ありません!オッタルなんか俺が倒してやりますです!!」

 

「くはは!そうであったか。ふむ。我が過ちを正してくれたこと。感謝しよう。そしてヘグニ。貴様の忠義も心地よい。流石は我が選んだ配下よ。褒美だ。貴様等も我が宝物庫の酒を飲むと良い。」

 

黄金の波紋から出てくる酒を注いでやると二人はひざまづいて受け取る。

 

アルフィアが座っている逆側に座らせて全員で飲む。フレイヤは嬉しそうに同じく飲んでおり、ヘスティアは心配そうに酒をちびちび飲んで神の鏡を見ている。

 

しばらくするとリリとベルがキョロキョロしており、そこからミノタウロスの強化種がのしのしと現れた。大剣を持っているな。

 

全員が鏡を見る。ヘスティアは心底心配そうにしており、フレイヤは魂を見たのか眩しそうに目を細める。

 

ヘディンは眼鏡の位置を直してベルを見据え、ヘグニはキラキラした目でベルを見ていた。

 

『…リリ。落ち着いて?深呼吸しよう。ミノタウロスがなんでここに居るかなんてのはどうでも良い。

 

これ以上進ませると他の冒険者が被害に遭うかもしれない。それはお義父さんの民を傷つける行為だ。今は民を護るって言うお義父さんは居ない。なら息子の僕が。

 

英雄になると決めた僕が父を助けて、みんなを護るよ。』

 

リリはその言葉で落ち着いたのか深呼吸をしてリトルバリスタを構えて後ろに下がる。

 

『ベル様。リリが危ないと思ったら援護して絶対にベル様を生きてアルフィアお義母さんの元に帰らせます。

 

………だから誰にも邪魔はさせません。リリは指示もしません。だって。ベル様はリリの英雄だから。必ず勝ってください。』

 

ベルはにっこり笑って武器を構える。

 

「あ、嗚呼!!眩しい!なんて眩しいの!?ベルも!リリルカも!!すごい!すごいわ!!」

 

「…ほう。あの小人族。ロキファミリアの小人族よりも勇者であったか。」

 

「…すごい、ね。ベル君との信頼関係っていうのかな。」

 

「ふん。当たり前だ。ベルもリリも私の子だぞ。」

 

全員が黙るとベルとミノタウロスの戦いが始まった。

 

ベルはミノタウロスの肉が断ちにくいのを理解しており、ヒットアンドウェイを何度も繰り返す。

 

 

 

やっぱり。僕の方が敏捷と器用は高い。耐久と力は向こうが上。魔法は無いと思うけどどんなイレギュラーがあるかわからないから適切な距離を保つ。

 

うん。ヘスティアナイフなら肉は斬れる。短刀は薄皮くらいか。次は魔法を試す。僕の魔法の優位性は速度。問題は火力不足。魔法の師匠(ヘディンさん)に教わった。

 

『ファイアボルト!!!』

 

轟音と共にミノタウロスに炎雷が着弾するがブルルと首を振って煙を晴らす。

 

 

なるほど。効きはしてないけど目隠しや牽制には使える。よし。

 

安全マージンを測って確実に仕留める為に脳をフル回転させる。攻撃を組み立てて致命傷を負わせる。それができなければ負けて死ぬだけだ。

 

 

ベルの戦いを絶対に邪魔させないとリリはその攻防を見ながら周りに気を回す。他のモンスター、冒険者はリリが絶対に倒してでも邪魔はさせないと決意していつも以上に警戒していた。

 

 

「ほぉ。ベルのやつ。頭は冷静に、心は熱くか。くはは。」

 

機嫌がかなり良いギルはアルフィアの頭を撫でながら言葉を紡ぐ。

 

「見よ貴様ら。あれが我とアルフィアの自慢だ。ベルとリリ。あのような冒険者がオラリオにいるか?くははは!!」

 

「…我が王。御子息と御息女は英雄足る器です。他の有象無象と比べることすら失礼に当たります。」

 

「む。そうであるか。しかしヘディン。ヘグニ。貴様らの指導は確実にベルの血肉となっておるなぁ。」

 

「ははい!ベル君、魔法の可能性まで視野に入れて、ます!ミノタウロスが魔法なんて馬鹿だと言う奴らはいます。で、でも、ここで負けちゃダメって時に、あそこまで考えて、絶対に不利にならないように立ち回るのは、えと、第一級冒険者でもできませんっ!」

 

「…ああ。そうだなヘグニ。我が王。御子息の戦い方は確実に敵を屠る為の戦い方です。あそこまで徹底できるのは素晴らしい。」

 

話をしながら見ているとロキファミリアの面々がルームに入ってきた。その瞬間にリリが走ってリトルバリスタを構えながら前に立つ。

 

『え?えっと、誰??』

 

ティオナが訊ね、ティオネは睨み、ベートとアイズはリリのしようとしていることがわかったのか肩の力を抜いて薄く笑う。

 

『リリはヘスティアファミリアのベル様とパーティーを組んでいます。ベル様は今己を賭して英雄になる為の冒険をしています。

 

リリはベル様と約束しました。誰にも邪魔はさせないって。助けようとすることすら邪魔です。ここは通しませんっ!!』

 

『はぁ?ベルが強いのはわかってんのよ。でもあれはミノタウロスの強化種。レベル1が勝てる訳ないでしょ。どきなさい。』

 

『退きません。リリは絶対に通さない!!ベル様と約束した!!小人族だからって舐めるなっ!!レベル5がなんだ!ロキファミリアがなんだ!!殺されても絶対に通さないっ!!』

 

リリの気迫にティオナとティオネは何故か戦闘態勢を取ってしまう。レベル1の、小人族の気迫にレベル5の自分達が戦闘態勢に入る程にのまれた?

 

ゴクリと思わず喉を鳴らしてしまう。

 

『…ティオナ。ティオネ。ここは待機だ。勇敢な同胞。君の勇気に敬意を表するよ。僕達は決して手出ししない。』

 

『…感謝します。小人族の希望の勇者様。』

 

それだけ伝えてリリはまた周囲のモンスターを警戒し始める。

 

ベルはその声まで聞こえており、にっこりと笑い、ミノタウロスに集中する。大剣が厄介ではあるが全て見切れる。

 

大剣を使う時の僅かな癖も把握した。あとは詰めるだけだ。決着の時は刻一刻と近づいていた。

 

 

ベートとアイズは一緒に壁にもたれながらベルの戦いを見ており、時折見せる技と駆け引きについて会話をする。

 

ティオナとティオネはウズウズしていた。ベルの圧倒的な技術と見ているだけで熱くなるような闘争に。

 

フィンはベルの戦いもそうだがリリの見せた気迫と勇気に感動しており、リヴェリアは最愛の弟とママ友のアルフィアの息子であり、自分の甥となるベルの実力が前に見た時より上がっている。いや、飛躍と言ってもおかしくない向上に口角を上げてしまう。

 

そしてベルがミノタウロスに襲われていると聞いていても立ってもいられなかった、姉と慕われているレフィーヤはベルの実力を目の当たりにして興奮していた。私ももっと強くなりたいと。

 

 

 

ベルは一つギアを上げた。速度が上がったのだ。それはスキルのおかげでは無い。安全マージンを取りながらもスピードは全力ではなかった。長く戦えるようにするのはもちろんだが、これも駆け引き。

 

ミノタウロスはベルの速度が急に上がって驚愕する。慌てて大剣を横薙にするがベルを捉えることはできない。

 

ラビットラッシュ。二刀流で超高速のラッシュを敢行する。一瞬にして切り傷だらけになるミノタウロス。しかし傷は浅い。

 

咆哮を上げて振り下ろしては捉えられないと思い、大剣をまた横薙ぐが、手応えがない。ベルは右側から来る大剣の側面を蹴り上げ、軌道をずらして右手のハゼラードで斜めに受けて綺麗に受け流す。

 

そのまま足に力を入れて一歩でミノタウロスの胴体と大剣の間に入って両腕の肘の内側の腱をヘスティアナイフで切り刻む。

 

ミノタウロスは手に力が入らず、振り切った体制で大剣を投げ捨ててしまう。

 

「う、うまいっ!!」

 

「なんて技術と胆力だ。ふふ。流石私の甥っ子だ。」

 

フィンが思わず叫び、リヴェリアは甥の成長を喜ぶ。

 

ベルはそのままでは終わらず、しゃがんでジャンプしながらベート直伝の蹴りを顎に喰らわせる。下からの蹴り上げにミノタウロスはふらついて後ろに下がるが動かない腕を遠心力を使って振り回す。

 

ベルは蹴りを入れた瞬間にバックステップをして当たらない位置にいた。そして短刀をミノタウロスの目の前にふわっと投げる。

 

ミノタウロスはその短刀を見てしまい、慌ててベルの姿を探すが見当たらない。そう、ミノタウロスにあった思考の中に空白の時間を作った。

 

固まるミノタウロス。ベルはミノタウロスの斜め下から高速で懐に入る。そして脇腹にヘスティアナイフを刺す。

 

ーーー御子息。このナイフはミスリルで出来ています。ミスリルは魔力の伝導がダントツで高い。魔法を使うこととナイフを使うことは別々ではありません。よく覚えておいてください。

 

師匠の言葉が頭に浮かんでくる。

 

『ファイアボルト。』

 

ドゴンっ!と音がしてミノタウロスは苦しむ。

 

『ファイアボルト。』

 

ミノタウロスの口から血と共に炎が出る。

 

『ファイア…ボルトォォォォォォ!!!』

 

ついにミノタウロスは爆散した。灰になるミノタウロスを見てそっと呟く。

 

『…僕の、勝ちだ。出来ることなら、また貴方とは戦いたいな。』

 

ベルは魔石とドロップアイテムの角を拾ってからリリの方を見るとロキファミリアのみんなもそこにいて満面の笑みを浮かべて走る。

 

『リリー!レフィ姉!ベートさん!アイズさん!ティオナさん!ティオネさんっ!リヴェリア伯母さん!!フィンさんまで!勝ちました!ミノタウロスにリベンジできましたー!!』

 

やれやれと肩をすくめるフィンとやっぱりベルはベルだなぁと笑う全員。その姿が神の鏡にも映されていた。

 

「ふははは!!見たか!?ヘスティア!フレイヤ!我とアルフィアの息子を!娘を!!」

 

「…見たよ。すごいね、ベル君。フレイヤもありがとう。神の鏡使ってまで見せてくれて。でもボクの心臓は破裂しそうだったよ!!」

 

「ええ!ええ!見たわ!ベルは素敵よ!」

 

「ベル君すごい!うー。身体動かしたい。へ、ヘディン…。」

 

「わかっている。私も同じ気持ちだ。御子息の冒険に揺さぶられた。我が王。こうしてはおれません。私達もダンジョンに向かい、鍛錬させてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「構わん。フレイヤは見ておいてやる。明日の時間がある時にでも取りに来い。貴様等のその向上心が心地よい。行け。」

 

ヘディンとヘグニはすぐにダンジョンに向かった。フレイヤは大興奮して嬉しそうにヘスティアに話しかけていて、ヘスティアはしょうがないなぁとフレイヤの対応をしていた。

 

ロキファミリアの面々が嬉しそうにベルに話かけている。ベルも楽しそうに話をしていた。

 

ベルの戦いは正に英雄譚のような戦い。リリもそうだ。英雄を支える勇気ある行動。息子娘の成長がこの目で見られて喜ばしい。

 

 

ベルとリリが帰ってくる前に食事の用意でもするかとアルフィアと手を繋いで買い物に出かける。

 

 

嗚呼。なんて良い日だろう。

 

 

 

 

 

ちなみに録画もできるようでフレイヤが録画していたものをヘルメスに頼んでゼウスとザルド、それにヘラがいる家に送ってやった。

 

 

 

「うおっ!?べ、ベルか!?なんつー速度で強くなってんだ。ジジイ。こりゃ半端じゃねぇぞ。俺らの英雄は。」

 

「ぬう。マキシムのレベル1の時より遥かに強くね?」

 

「私の孫だぞ。強いに決まってる。貴方。ベルはいつ帰ってくるのかしら?早く会いたい。」

 

「い、いや、マジ?ベル君もそうだけどこのリリちゃんだっけ?すごくね??」

 

「ベル・クラネル。流石アルフィアさんとギルガメッシュ様の御子息ですね。リリルカ・アーデですね。アルフィアさんが娘にしたと仰っていました。心が何よりも強い。」

 

一緒に見たヘルメスとアスフィも驚愕していた。オラリオは変わる。王と王妃、そして英雄と英雄を支える勇気ある仲間。

 

ここから王を中心に物語は加速していく。

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