怖い怖い。
コメントで色々質問してくれてありがとうございます
すごくありがたいです!
ーーーああ。暖かい。身体がとても軽い。私はこんなに幸せの中に居ても良いのだろうか。
メーテリアはあんなにも苦しんでいたのに……
それにギルは私のことをどう思っているんだろうか……
「ベル。起きよ。我に起こさせるとは良い度胸をしている。」
すやすや寝ているベルを起こす。むにゃむにゃ言いながらちゃんと挨拶をして意識が覚醒したのかにぱーっと笑って抱きついてくる。
「ふははは。ベルは甘えん坊よのぉ。良い良い。抱っこしたまま朝食に行こうではないか。」
うん!と返事をしてぎゅっと抱きついてくるベルを落とさないように抱き上げて朝食を食べる居間に歩いていく。
くふふくふふと可愛らしく笑うベル。余程家族が増えたのが嬉しいらしい。子供の笑顔は黄金にも勝るのは間違い無いな。
居間に行くと食事をザルドがパタパタと皿に乗せて机に運んでいた。ゼウスはドカリと座って笑い、アルフィアは閉じていた目を開いて我とベルを見てむっとしている。
ベルはニコニコして抱っこされたままみんなにおはようございますと可愛らしく挨拶をし、全員がおはようと返事をする。
「ギル。何故ベルを抱っこしている。ベル。何故ギルの膝の上に座っているのだ。」
アルフィアはむすっとしながら口を開く。
ベルはお兄ちゃんに起こしてもらって抱っこしてもらった!と嬉しそうに言い、こちらの顔を見上げてくふふと嬉しそうに笑う。
そんなベルの頭を撫でてやりアルフィアお義母さんに抱きついてこいと小さな声で言ってやるとうんっ!と頷き走ってアルフィアに抱きつきにいく。
アルフィアは聞こえていたのか待ち構えてベルを抱きしめていた。
下半神が便乗してアルフィアに抱きつこうとしたので波紋から剣先を突きつけてやる。
「な、なんじゃギル?い、いやギルガメッシュ様?」
「下半神。我は母と子の尊い時間を愛でている。王の時間の邪魔をするならば神でも殺す。それとアルフィアも他の下界の女も我が民よ。
我が民に手を出すのならば処刑するが?
貴様は下半神。我の民ではない。わかったか?」
ゼウスは首が取れそうな程にコクコクと頷き、波紋が消えるとがっくりと項垂れた。
ベルの耳を塞いでいたアルフィアは薄っすらと微笑みギルを見る。
ザルドはザルドで大笑いしてゼウスを揶揄っていた。
全員で朝食を食べた後、庭に出る。
「今から我の魔法を使い、ザルドとアルフィアの身体を治す。一応何度か使っているから問題は無いであろう。
スキルの相乗効果も上げる為に2人の病状も昨日聞いて確認もした。
さて。やろうか。」
ーーー僕は絶対に今日あったことを忘れない。これが僕、ベル・クラネルを作った
ギルお兄ちゃんが詠唱をして終わったら風景が片田舎から城の中に変わった。金ピカでとても豪華な城の中。
そこにギルお兄ちゃんは王様のように椅子に脚を組んで座っていた。
ザルド叔父ちゃんが呼ばれて真っ白な綺麗な炎に包まれた。熱いよ。危ないよ。なんて言葉は出なくてザルド叔父ちゃんの身体から紫色の何かが苦しそうに出てきて燃え尽きた。
ザルド叔父ちゃんは自分の身体を確認して涙を流しながら膝をついてギルお兄ちゃんにお礼を言ってた。
次はお義母さんだった。とっても緊張してるのが僕にもわかった。だから僕は走って手をぎゅっと握ったんだ。
お義母さんはびっくりしてたけどギルお兄ちゃんは良くやった。ベルは英雄だなって言ってくれた。
そのまま一緒に手を繋いでギルお兄ちゃんの前に行くと一緒で大丈夫だって言ってくれて僕もあのあったかくて綺麗な炎に包まれた。
お義母さんの方を見ると真っ黒で汚くて、とっても怖いものが出てた。でも僕はお義母さんが、ギルお兄ちゃんが、ザルド叔父ちゃんが、そしてお祖父ちゃんが大好きだ。
何よりも大切だ。だからかな。あんな行動をしちゃったのは。
アルフィアとベルを共にプロミネンス・ウェスタの炎に入れるとザルドの時とは比較にならないモヤがでた。
何故だ?このままでは燃やしきれんだと!?
そう思い、我の魔力を限界まで注ごうとした。
「お義母さんから出てけー!!僕の家族に手を出すなーっ!!!」
ベルがなんと黒いモヤに叫びながらパンチをしに行った。その瞬間にモヤがブレた。
我の直感がここしか無いと叫ぶ。
「天の鎖よ!!」
立ち上がり、アルフィアの胴体に天の鎖を巻き付ける。そして一気に魔力を注ぐ。
ゴウッと白炎が火力を上げ、モヤを焼き尽くして行く。モヤは叫ぶかの如くグネグネとして燃やし尽くされた。
「「「ベルッ!!!」」」
倒れているベルに2人と一柱が駆け寄る。しかしベルは満足そうにすやすや寝ていた。はぁと全員が息を吐く。
固有結界を解除して家に戻り、2人の体調を聞き問題がない事を確認してあの出来事を思い出して考察する。
「恐らく我のスキルと直感はベルがあの行動を取るのを加味した上で問題ないとしていたのだろう。」
「……治療しているはずなのに死ぬかと思ったぞ。」
「アルフィアの気持ちは良くわかる。だがあれはベルの行動が無ければ我の魔力を限界まで注ごうにも浄化出来なかっただろう。
あれは貴様が神々の恩恵を得た為にあそこまで強固になっていたのだろうよ。スキルに出現する程の病だ。
ベルが殴りかかってモヤがベルに意識を持っていかれた。だからこそ天の鎖でアルフィアの恩恵を無効化して燃やし尽くすことができたのだ。」
我の説明を聞いて全員がなるほどと頷き、ベルの行動には驚いたが感謝する。ベルも起きて同じ説明をしてやる。
しかしアルフィアは複雑そうな顔をしながらベルに説教をする。
「ベル。私はお前に救われた。だが私はお前にだけは、メーテリアの忘れ形見のお前だけには危ない事をしてほしくない。わかってくれるか?」
ベルは俯いていたが目に炎を灯してアルフィアを見る。
「…それでもっ!!僕が危ないことをしたのは分かってる!!ギルお兄ちゃんがどうにかしてくれるって思ってた!!
……それでも、僕はやっと会えた家族を守るんだって。
ひっく。ギルお兄ちゃんが、下界のみんなを守るって、言ってた。でも僕だって男だもん。だから、ひっく。僕はお義母さんを、家族を守るんだって思ったの。」
泣きながら、はっきりと勇気を示し、行動した。我はベルに本当の英雄を見た気がした。
ベルは我が弟として、そして1人の漢として今この下界に足をつけて1人で覚悟を決めて立ったのが良くわかった。
ザルドとアルフィアでさえ目を見開き、固まっている。
「ベル。ベル・クラネル。」
声をかけるとベルは涙を溜めながらこちらを見る。
「さすがはアルフィアの義息子にして我が弟だ。我はベルを誇りに思うと共に1人の漢として、我々の家族の英雄として認めよう。
ベル。我を、兄を、王を、そして義母を、我の家族を助けてくれて感謝する。」
目線をベルに合わせて肩に手を置いて思ったことを伝える。
グシグシと目を擦って涙を拭いて我と目を合わせ、口を開く。
「ベルがあそこまでの覚悟を決めているとはなぁ。義母冥利に尽きるだろアルフィア。」
「五月蝿いぞザルド。…だが、私達の探していた英雄がこんなところにいるとはな。間違いなくあの子はあの時私の、私達の英雄だったよ。」
健康になった身体と朝にあったベル・クラネルの英雄譚を肴にティータイムを楽しむ2人。外に目線を向けるとギルと共に楽しそうに鍛錬をするベルが見える。
「しかしあの王も桁違いの王だな。俺は何をしてもこの恩を返せそうにない。」
「私もだ。健康はもちろんのこと可愛い息子の成長する過程まで見せてもらえるんだ。それにギルもベルも1人では無い。
私達は英雄を見つける為に、1人の英雄を見つけようとしてしまった。
だがあの2人を見ていると全く違うことをしていたのがよくわかる。」
2人は微笑み、外を見る。ゼウスはそんな2人を見て原書となるであろう英雄譚をせっせと書いている。
これは近い将来英雄譚に追加されるであろう物語。さまざまなファミリアがある現在の下界。ファミリアもまた家族。
だがこの物語の家族はファミリアも違う、種族すら違う。血の繋がりも少ししかないがこんな家族に、ファミリアになりたいと思わせるような、誰もが羨むような絆がある。
どちらが素晴らしいなどと比べ用の無いことは誰も言わない。ただただ美しい。それを皆に伝えたいだけだ。
ーーー2人の英雄が産まれた。1人は産まれながらにしての王。英雄王。
英雄王は最初の冒険に挑む。化物を打ち倒す?ドラゴンを打ち倒す?囚われた姫を助ける為に1人で国へ挑む?
いいや違う。たった2人の、未来を守るために不治の病と誰もが諦める猛毒に挑んだ。
猛毒は英雄王が討伐した。しかし不治の病はその者に深く深く根付いていた。正に死闘と呼べる闘いだ。
英雄王ですらダメかと思ってしまう程に不治の病は強く、困難で、そして執念深いものだ。
だが英雄王は1人では無い。もう1人弟がいた。英雄王が英雄と認める純粋無垢で心が誰よりも強い弟が。
弟の強い意志が、英雄王の強く気高い誇りがついに不治の病を倒す。
英雄王は2人を助けられたことに、弟の強い意志に感謝する。
弟は兄、英雄王に対して口を開く。
ーーーギルお兄ちゃんは下界全部を守ってくれてる。でもお兄ちゃんだって1人の下界の子だもん。だから僕はお兄ちゃんを含めて家族や友人、目に映る人は全部助けるよ。それが僕にとっての英雄なんだ。
うむ。最後のは載せられんからワシだけのものにしよっと。
完!!!
じゃないよ。紛らわしい終わり方になった。
まだオラリオ行ってねーよ。ダンジョンに出会いをって物語なのにダンジョン行ってねーよ!!
とりあえずベル君まじベル君
ギル様どこ行ったよ