イナズマイレブンwithライスシャワー   作:魂無

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蒼バラの再起 その前に

 これはある年の12月26日。レース界隈では伝説の有馬の興奮冷めやまぬまま東京大賞典を迎えようという時の事。

 

「ゴォォォォォォルッッッ!世宇子中サッカー部!トレセン学園高等部サッカーサークルのゴールネットをまたしても叩き割りましたぁっ!」

 

 点数盤には10対0の表示が刻まれる、10の数字の隣には世宇子の文字が存在した。

 

 児戯を終えたとばかりに息を抜く世宇子のストライカーの辺りには、まるで薙ぎ払われたように地に伏せるトレセン学園イレブンの姿があった。

 

 その一人となり果てた一人のウマ娘、「サッカーボーイ」を名乗る少女は懐述する。

 

「アタシらは確か中坊共に練習試合を挑まれたはずだ!なのに何故こんな……」

 

 目を少し先にすると自らと同じ様に倒れ伏す「オグリキャップ」と「スーパークリーク」の姿が有る。

 

「畜生、情けねぇなぁ。あいつらをセンパイ方が引退したからって助っ人頼んだ挙句、こんな目に合わせた自分が腹が立つ」

 

 世宇子が此方を睥睨する。それに対して「ふざけるな」とすら吠えられぬ自分が一番悔しかった。

 

 その後、この状況を受けたトレセン側の監督によって試合放棄の宣言がなされ試合終了、この練習試合は世宇子中の勝利で終わった。

 

「サッカーボーイ」、「オグリキャップ」、「スーパークリーク」。この三名は後に故障していた事が発覚した。有馬記念出走の影響と見られる、と関係各紙は報道を行った。

 

 FFの運営委員会は件の練習試合の件を受けて、世宇子中を特別推薦招待校する事を決定する。その合議の中心には影山零治がいたと言う。

 

     ⚔️     ⚔️      ⚔️

 

 ウマ娘の少女は項垂れていた。

 

 未来を期待されていた筈だった。将来を期待されている筈だった。帝国の躍進を期待されていた筈だったのに。……一度の怪我で全てを捨ててしまった。

 

 自分にもう何かを為す資格はない。自分のウマ娘としての名前──「ライスシャワー」──を名乗る資格はない。自分のせいで全てを棄ててしまったのだから……

 

──「ライス!」

 

 誰かの声がする。暖かくて、大きい。あらゆる者を受け入れてくれるような大きな声。

 

 ライスはそれに救われたんだ!だから……今度は……ライスが!彼を!……円堂君を!円堂君の力になりたいんだ!

 モノクロだった世界が明るく色づいて行く。風丸一朗太君が見ていたことに気付く。自分が思ったよりも沢山の人に見られていることに気付く。

 

 ライスは愛されていたんだ!

 

 これはとある少女が自らを取り戻す物語。




読了有り難う御座います。
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