魔法少女リリカルなのは~異世界からの転生者~ 作:gankon
原作開始1 ジュエルシード
マユミ達が入学し3年経ち、冬花は4年生になりマユミ達は3年生となった。学校では相変わらず天野という空気を読まない輩が現れては空気を悪くしていくが、それ以外は平穏な日々を過ごしている。
家ではマユミやリニスと共に家事や勉強をしたりたまに帰ってくる両親と共に旅行に行ったりと家族仲も良好で家政婦という立場のリニスはすっかり、御崎家のお姉さんとして両親からも家族として認識されていた。
冬花自身は偏在を用意し生活しながら次元世界の魔法を鍛錬と変身魔法で変装しミッドチルダに何でも屋の様な事をしつつ次元世界と魔導実験の事故について情報収集を行っていた。
ミッドチルダで活動している時に管理局では対応できない案件を解決したりしていたので三提督とのパイプもでき、管理局からは素性不明の外部協力者として上層部の中でも一部の局員に知られている。
自らの情報を殆ど明かすことのない冬花を知る者の中にはよく思わない者も多く管理局に所属すべきだと主張する声もある。
冬花自身、試験を受けたわけではないので正式な記録ではないがSランク相当の実力を持つ魔導師とされており、ほとんどの者は重要な予備戦力だと理解しているため無茶なことはしないが、彼の弱みを探るよう部下に指示を出していたりもする者もいる。冬花が地球出身ということは分かっていないが。
冬花はリニスからの頼みごとでプレシアを止めることに協力しており、彼女たちの事情は大体理解できていた。アリシアのが事故で死んでしまったこと、フェイトがアリシアのクローンだということ、プレシアがアリシアを蘇らせるため違法なことまで手を出していること。
冬花自身、10年近く前までは魔王として人類相手に戦っており、またその動機は復讐でもあったのでプレシアに対し別段悪感情はない。リニスはできるならプレシアたちを救いたいが取り返しのつかない事態を引き起こす前に止めるのを目標としているため冬花がどうゆう考えを持っているかまでは確認していなかった。それが良いか悪いかは分からないが。
そして海鳴市にジュエルシードが落ちた事を感知した冬花は本格的に動き出す。プレシアがジュエルシードを求めてフェイトを送り込むだろうということはリニスとのから聞いた話で予想出来ていた。なので冬花はまずフェイトと接触を図ろうと自身もジュエルシードの捜索を開始する。
とある日、海鳴市の魔導師及びその才能を持つ者たちは皆同じ夢を見る。どこかの公園で少年が異形の怪物と戦い破れた。怪物はその場から姿を消したため行方は分からず公園の位置を知るのはなのは、このはのみ。他は住んでいる地域が違うため正確な場所が分からない。冬花も手がかりを掴めたが公園自体の情報が少なく、しらみつぶしに探すことになった。天野もこれから始まる原作にテンションを上げていた。
夢を見たその日、冬花達はいつも通り授業を受けて下校していた。御崎兄妹と別れ、高町姉妹とアリサ、すずかの4人で帰っていると突然、なのはとこのはの二人は声が聞こえた。
(……助けて)
「え?」
「!?」
「どうしたの?二人共」
「何か忘れ物でもした?」
「ううん、今声が聞こえたの。助けてって」
「私も」
このははようやく原作が始まることを理解し、マユミに連絡を入れようと思うがまずはユーノを助けるのが先だと判断する。
「こっち」
「あ、なのは!」
「なのはちゃん!?」
突然走り出したなのはを追いかけアリサ、すずか、このはは走る。幸い、すぐに追いつくことが出来、なのはに声をかけるとすでにフェレットになっているユーノをその手に抱いていた。
「その子どうしたの?」
「なんか怪我しているみたいなの」
「そうなの!?なら病院に連れていかないと」
「それなら近くの動物病院に行きましょう。たしか槙原動物病院ってところがあったはずよ」
「うん!分かった」
急いで病院に向かい、診察してもらうと軽い怪我だけで命の危険は無いと判断された。そのことになのは達は安心する。
「良かったぁ」
「そうね」
「それにしてもこの子なんだろうね?イタチ?」
「フェレットじゃない?」
院長も見たことがない種類だと言っていたが全ての種類を覚えているわけではないのでそこは珍しいフェレットとして流された。ユーノを預けた4人は病院を後にする。
その日の夜、このははマユミに連絡していた。
「こっちはユーノを見つけたわ」
「ということは始まるんだね」
「そうね、ユーノはレイジングハートともう一つ首に掛けていたから多分、それが私のデバイスだと思うわ。あのうさんくさい天使はユーノに持たせるって言ってたし」
「そっかぁ。このはちゃんもやっと自分のデバイスが持てるんだね」
「ええ、それは楽しみだけど私達がいることでどんな違いがあるか分からないから気を引き締めていきましょう」
「うん、そうだね。私の方もお兄ちゃん達に見つからないようそっちに向かうから」
「待ってるわ」
このはとマユミは今日起こるであろうジュエルシードとの戦いに意気込み、待機しているとユーノの念話が聞こえた。
(どなたかこの声が聞こえる人がいませんか?いたらどうかお願いです力を貸してください!)
「「!?」」
「どうやら来たみたいね」
「うん、それじゃあそっちに向かうから気をつけて」
「分かったわ」
お互いに電話を切り、このはは既に病院へ走り出したなのはを追いかける。マユミはリニスに今日は早めに寝ると伝えて部屋の鍵を掛け、バリアジャケットを展開し窓から飛び出す。その気配に気づいていた冬花とリニスは嘆息する。
「マユミは何か知っているみたいだね」
「そのようですね」
「頼ってくれなかったのはやっぱり寂しいな」
少し落ち込む冬花にリニスは微笑む。
「仕方がないでしょう?トウカと私が魔法に関わっているとは言ってないんですから」
「そうだけど……はぁ。まぁ、仕方ない。僕も偏在で出るよ」
「分かりました。心配は要らないと思いますが貴方もマユミも怪我のないよう注意してくださいね?」
「分かっているよ」
リニスの注意に頷く冬花は偏在を出し《
マユミと冬花がジュエルシードの元へ向かっている時、なのは達は既に病院まで来ていた。なのは達が着いた頃には封時結界が張られており、フェレット姿のユーノもジュエルシードの異相体に襲撃されていた。
「何・・・あれ」
「なのは!」
「お姉ちゃん!?何でここに?」
「私も声に呼ばれてきたのよ」
「お姉ちゃんもなんだ」
なのは達が会話をしていると煙の塊のようなジュエルシードの異相体にユーノがなのはの元に吹き飛ばされて来た。それに気づいたなのははユーノをキャッチする。
「え、ええ!どういうこと!?」
「来てくれたんですか?」
「喋ったぁ!!」
「いいからさっさとここから離れるわよ!!」
突如しゃべりだしたユーノに驚き混乱するなのはを急かし異相体の元からは離れる。しばらく走り異相体の姿が見えなくなったところでユーノがしゃべりだした。
「ありがとう。助けてくれて」
「いいよ、そんなことは。でも何が起こってるの?」
「説明してくれる?」
このはとしては原作知識があるので大体の事情は分かるが自分達がいる事でどんな違いが生まれるか分からず確認のためユーノから聞こうと思っていた。
「分かりました、説明します」
それからユーノが語ったことは原作と相違無くユーノが発掘したロストロギア、ジュエルシードを移送中、トラブルが発生し海鳴市にジュエルシードを落としてしまったというものだった。そしてそれを回収中にジュエルシードの異相体に敗北し、救援を求め魔力を持つ人に向けオープンチャンネルで念話を飛ばし、呼びかけたという説明を受けた。
「ですからお願いです!力を貸してください!」
「うん!」
「いいわよ」
「ありがとうございます!」
「どうしたらいいの?」
「ここにデバイスが二つあります。これを貴女達に」
そういったユーノは首に掛けられていた赤い球体と青い球体をなのは達に渡す。なのはが赤い方を持ち、このはは青い方を持った。
「それじゃあ、心を澄ませてください。まずは赤い方、レイジングハートを持つ君から。管理権限、新規使用者設定、フルオープン」
ユーノがそう言うと桜色の魔法陣がなのはの下に現れる。
「僕の言葉を復唱して」
「うん!」
「風は空に、星は天に」
「風は空に、星は天に」
「不屈の心はこの胸に」
「不屈の心はこの胸に」
「この手に魔法を」
「この手に魔法を」
「「レイジングハート、セーットアップ!!」」
なのはとユーノの掛け声に合わせ桜色の光りがあたりを照らし、なのはの姿が見えなくなる。そして光りが収まると、なのはは学校の制服に似た白いバリアジャケットを着ていた。
「えぇー!!なにこれ!?」
「それはバリアジャケットと言って魔導師を守る鎧のようなものだよ。次はノウブルソウルを持つ君も同じように復唱して」
「分かったわ」
「風は空に、太陽は天に」
「風は空に、太陽は天に」
「高潔なる魂はこの胸に」
「高潔なる魂はこの胸に」
「この手に魔法を」
「この手に魔法を」
「「ノウブルソウル、セーットアップ!!」」
このは達の掛け声で水色の光りが現れなのはの時と同じようにこのはの姿を隠す。光が薄れバリアジャケットを纏うこのはが姿を現す。その姿はなのはのバリアジャケットと同じデザインで白い部分が暗い青、青い部分が白に変わっている。
「あ、お姉ちゃんと色違いだね♪」
なのははこのはの色違いの同じデザインだったことに喜ぶが、こうなったのはこのはが意図的にやったので偶然ではない。まぁ意図的にやったと知ったらそれはそれで喜びそうではあるが。
「二人共、凄い魔力だね。これなら行けるよ!」
「ゴァ゛ァァァァー!!」
「「「!?」」」
予想外に高い魔力を持つ二人に喜ぶユーノだが、なのは達のセットアップ時の光りでこちらの位置がバレてしまったようで異相体がこちらに向かってきた。
「あ!!」
突っ込んできた異相体になのはは驚き、目を瞑ってしまう。このははなのはを庇う様に前に出るがデバイスを手にしたばかりの素人でありどうすればいいか分からない。異相体がなのは達にぶつかりそうになった瞬間、横合いからオレンジ色の魔力弾が複数飛んできて異相体を弾き飛ばした。弾き飛ばされた異相体は民家に突っ込み、瓦礫に埋もれ動かなくなった。
異相体の突っ込んだ民家は崩壊してしまったが封時結界の中であったので実際に影響は
ない。これが結界の貼られていない状態であったなら民家の住民は瓦礫と異相体に押し潰されていただろう。もちろんマユミは結界のことも知っていたため思いっきり吹き飛ばしたのだが。
「え?」
「二人とも大丈夫?」
「う、うん」
「ナイスタイミングよ!助かったわ」
そこに現れたのは赤とオレンジを主体としたバリアジャケットに身を包むマユミであった。いきなり現れたマユミになのはとユーノは驚き、このはは安堵する。
「マユミちゃん?」
「そうだよ?」
「どういうこと?」
「どういう事もなにも見た通りじゃない。マユミさんが魔法を使って助けてくれたのよ」
「えぇぇ~!?マユミちゃんって魔法使いだったの!?」
「うん、魔法使いっていうか魔導師だよ」
「ほぇ~、全然気付かなかったよ~」
「黙っててごめんね?」
「ううん。それにしてもお姉ちゃんはそんなに驚いてないんだね」
「まぁ、私は知っていから」
「え、知ってたの!?」
なのはは何で教えてくれなかったのかとジト目でこのはを見る。
「ええ。それと基本的に魔法は秘密にされているものだからそうそう教えるわけにはいかないのよ」
「むぅ~」
姉に秘密にされていた事にむくれるが、意地悪で言っているわけではないと分かるので言い返せない。
「そうですね。魔法文明の無い世界に魔法を教えることは基本的に禁じられています」
マユミの登場に驚いてフリーズしていたユーノも再起動し会話に加わる。
「そうなんだぁ」
「そこらへんの話はまた後でしましょうか。とりあえずマユミさんも来てこれで魔導師は3人になったんだからジュエルシードの相手も楽になるでしょ」
「そうですね。一人がシューターで牽制して一人が補助、そして封印といければ問題ないと思います」
「よーし!それなら私が牽制するね」
牽制にマユミ、補助にこのは、封印をなのはと役割を決め早速ジュエルシードを封印しようと異相体の突っ込んだ民家を向く。
「ってあれ?さっきのモヤモヤは………きゃ!」
いつの間にか異相体は瓦礫の中から皆に気づかれぬようそっと抜け出し反対側、なのは達の背後に回っており、スキをついてなのはをその触手で捕まえた。
「なのは!」
「なのはちゃん!」
「いつの間に!」
異相体はなのはの拘束を徐々に強めていく。バリアジャケットがあるため多少は軽減されるだろうがコンクリートさえ砕くその力は肉体的には小学生の範疇を超えないなのはを苦しめていく。
「あ…ぐっ」
「なのはを放しなさい!!」
このはは異相体へデバイスを向けるがなのはを盾にするかのようにこのはの前へ向ける。それに歯噛みするがこのはには正確に異相体だけを狙う真似なんてできない。マユミならとも思うが恐らく異相体は射線になのはを持っていくだけだろう。苦しそうに呻くなのはをどうにか助ける方法は無いかと考えていると一瞬、群青色の光りが見えたかと思うと異相体の触手は切り落とされなのはの姿も消えていた。
「まったく。油断し過ぎじゃないかな?」
姿の消えたなのはを探しているどこからか声を掛けられた。声のした方を向くと少し離れた民家の上に白い甲冑を装備した、どこか騎士のような姿の少年とその少年の腕に抱かれ顔を赤くしているなのはがいた。