魔法少女リリカルなのは~異世界からの転生者~   作:gankon

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原作開始前
プロローグ1 異世界からの転生


まどろんでいた意識が浮かび上がり、目を開ける。

 

 

「ん?」

 

 

今まで見たこともない真っ白な空間。地に足をつけている感覚もなくただふわりと浮いているような感覚だけがある。もう少し詳しく調べてみようと思ったとき誰の気配も感じられなかったこの空間に新たな気配が現れ、声をかけられた。

 

 

「おはようございます」

 

「ああ、おはよう?」

 

「やっとお目覚めになられましたね。なかなか起きないから失敗したかと思って焦りましたよ」

 

「何のことかな?」

 

「えっとですね。貴方をここに呼んだのは私なんですよ」

 

「貴女は?」

 

「私は女神でここは神界です」

 

「っ!女神に神界だって?どういうことなんだ?」

 

「覚えていませんか?貴方が何者かを」

 

 

そう言われ思い出そうと記憶を探っていると一つの光景を思い出した。自らの胸を貫く神々しい剣とその柄を握る煌びやかな鎧を纏った少女。その少女は今代の勇者、そしてその敵である自分は・・・・・・。

 

 

「ああ。思い出した。僕は・・・魔王だ」

 

「思い出されましたか。貴方は勇者との戦いで聖剣に胸を貫かれ死亡しました」

 

「そうだね。では何故魔王である僕を神界に?敵対者だよ?」

 

 

そう言った魔王からは強烈な敵意が発せられ女神と称した目の前の女性は冷や汗を流した。

 

 

「貴方が敵対していたのは彼の地を治める神であって別世界の女神である私ではないでしょう?現に私が別世界の女神と言ったあたりから敵意は無くなりましたし」

 

「勝手に人の思考を読まないで欲しい。まあ貴女がアイツではないというのならば敵対する必要もない。騙しているような感じはしないし信じよう」

 

 

魔王は神全体を憎んでいるのではなく特定の神のみを憎んでいるので他の神については特に思うことはない。

 

 

「信じてくださってありがとうございます」

 

「魔王である僕に女神が頭を下げるのはどうかと思うよ?」

 

「いえ。彼の地の神に変わり謝罪します。貴方は本来魔王になるはずもなく対極の存在だったのに彼の地の神のせいで魔王に堕ちてしまったのですから。神が自らの世界を救った勇者を気に食わないからと排除しようとしたのが切欠ですしね。まあ、そのせいで歴代最強の魔王が生まれてしまったのですから皮肉なものですが」

 

「やはり知っているんだね」

 

「ええ。もちろん止めたかったのですが私の言葉に聞く耳持たずでして。死後の貴方に干渉するぐらいしかできませんでした」

 

「構わないよ。貴女がやったことではないのですから。しかし死んだ僕に一体なんの用かな?」

 

 

先程の女神の言葉からは謝意と後悔を感じ、信用できそうだと判断した。なので死んだ自分に何の用があるのか気になり考えたが答えはでない。目の前に呼び出した本人がいるのだから聞いたほうが早い。

 

 

「あ、はい。何の用かと言いますと私の管理する世界に転生しませんかというお誘いです」

 

「転生?」

 

「転生です」

 

「あの生まれ変わるというやつかな?」

 

「はい。その通りです」

 

「何故?」

 

「貴方が魔王になる前、つまりは勇者だったころ平穏な暮らしがしたいと言っていましたよね?」

 

「随分と昔のことだけどね」

 

「ええ。せめてもの罪滅ぼしとして私の管理する世界でならあの地よりは平和に暮らせますから希望されるならと思いまして」

 

「・・・・・それは魅力的なお誘いだけどいいのかな?もう一度言うけど僕は神と敵対していた魔王だよ?」

 

「ええ。貴方は私のことを憎んでいるわけではないでしょうし魔王となってからも積極的な侵攻を行っておらず無闇矢鱈と人を襲う魔族も減っていったので人が憎いわけでもない。どちらかといえば温厚な部類の魔王ですからね」

 

「まあ、その通りだね」

 

「なので私の管理する世界に転生しませんか?」

 

女神からはこちらを騙そうという感情は読み取れないしそもそも死んでいる自分を騙したところで意味もない。そう判断し返事を返す事にした。

 

「分かった。貴方の管理する世界に転生させてもらうよ」

 

「そうですか!それでは説明させてもらいますね?」

 

「どうぞ」

 

「貴方が転生する世界は【魔法少女リリカルなのは】の世界となります。とある世界の日本という国で放送されたアニメの世界です。この世界は科学技術と魔法が合体した独特の魔法体系がありましてその魔法を使う者たちを魔導師と呼びます。この世界には並行世界ではなく次元世界として数多くの世界が内包されており多種多様な文明や人種が存在しますが主には人間が多く活動しています。貴方には比較的治安の良い日本で人間に転生してもらう予定です。何か質問はありますか?」

 

 

正直、聞きなれない言葉が多く理解できてないことの方が多いのだが、それでも聞かねばならないと知らぬ単語から質問していく。

 

 

「まず、あにめ?とか魔法少女とかよく分からないのだけど」

 

「ああ、すみません。アニメについては物語の一種だとお考え下さい。【魔法少女リリカルなのは】についてはそのタイトルですね。簡単に言うと物語を元にした世界が私の管理する世界となります」

 

「物語の世界か。まあ理解はできたよ。なんとなくではあるけど」

 

「それで構いませんよ」

 

「助かるよ」

 

正直、物語の世界が存在するとは想像し難いのだが、在るものは在るとしか言い様がないので無理やり納得している。

 

「それでは特典は何にしましょうか?」

 

「特典?」

 

「ええ。大抵の神は自分の管理する世界に転生させる際に何らかの異能を授けます。このことを特典と言っていますね」

 

「神って気前がいいんだね。何でもいいのかな?」

 

「叶えられる限度はありますが私は神として高位に位置するので大抵のことはできますよ」

 

「うーん。まあ、任せるよ。転生させて貰えるだけでも十分なんだから。それに良く分からないし」

 

 

困ったように首を傾げながら唸る魔王に女神はそれも仕方ないと思っていた。

 

 

「分かりました。では貴方には【魔王としての能力】、【勇者としての能力】及び【装備品保管庫】そして【次元世界の魔法技術知識】をお付けします」

 

「魔王は分かるけど勇者もつけていいのかな?この二つが揃えばほぼ不可能は無くなるのだけど。それに装備ってまさか魔槍や聖剣もかい?」

 

「もちろん。魔王時の装備に宝物庫の中身と空間倉庫。そして勇者時の聖剣と聖鎧もお付けしますよ。ただし貴方用のデバイスとバリアジャケットで通常形態とは別に二つの形態として使えるようにしますし能力は変わらないのでロストロギア認定されてしまいますかと思いますのがご注意を。まずは通常形態の《Magia form(マギア フォーム)》、魔王が《Satan form(ザタナ フォーム)》、勇者が《Held form(ヘルト フォーム)》になります。各フォームごとにデバイスの形状が杖、槍、剣と変わりますがタイプとしてはミッド式と古代ベルカ式のハイブリットですね。知らない単語ばかりかと思いますが転生時に【次元世界の魔法技術知識】をお付けしますので説明は省かせていただきます。デバイスで再現できないものはレアスキルとして使えますのでご安心ください。デバイス名はヴァッフェとなります。貴方が3歳になったとき手元に現れるようしておきます」

 

 

このヴァッフェは普通のデバイス同様の性能に魔王、勇者時に使用していた武具の性能を上乗せしたもので原稿のデバイスとは隔絶した性能を持つため管理局に見つかればうるさい事になるだろう。

 

 

「確かに分からないことが多いけど、貴女が言ったとおり知識を貰えるなら問題はなさそうだね」

 

「それとは別件で注意してもらいたい事があるのですが」

 

「何かな?」

 

「どうも私の部下が勝手に他の世界から3人の人間を転生させてしまったようなんです。幸い私よりも力の弱い存在が行ったので私が転生させる貴方には特典が聞かないので良いのですが他の転生者やその世界の人物には効果を発揮してしまうので注意してください」

 

「危険な力なのかな?」

 

「危険というか厄介なのは1人だけで後の二人は問題ないんですけど、その能力は相手を撫でたり、笑顔で見つめたりすると相手が自分に好意を抱くというもので名称としては【ニコポナデポ】と言います。二つ目は【王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)】これは転生先の世界である地球の伝承に残る英雄の持つ様々武具が保管されている宝物庫です。あとは能力ではなく容姿を指定したみたいですね。銀髪で赤と青の虹彩異色ですからすぐに分かるでしょう」

 

「その相手を撫でたり、笑顔で見つめたりするっていうのがよく分からないが【ニコポナデポ】というものも人の精神を操作する類のものだろうし【王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)】とやらもかなり強力そうなのだけど?」

 

「問題ありませんよ。私の部下が与えたものなので貴方に対しては普通の武具としてしか効果しませんしあなたの精神には作用しません。それに【ニコポナデポ】については使えば使うほど嫌われるように変更しました。なので御安心ください」

 

「なるほど。注意は必要だがあくまで性能のいい武具を持っていると覚えておけばいいか」

 

「はい。本人は武器を使ったこともない一般人ですので貴方の脅威にはならないかと思います」

 

「その転生者がこちらに危害を加えてきたら排除しても?」

 

 

女神は考える素振りを見せたがその転生者の生前の情報を見ているのであまりいい印象ではないので庇う気はない。

 

 

「そう、ですね。その人物の行動が目に余るようでしたら許可します」

 

「分かった。まあ、僕も自分から面倒を起こしたくないからソイツに関わるつもりはないよ」

 

 

魔王であろうともそのような面倒な人物に関わりたくはないが自分の邪魔になるならば排除することに躊躇いはない。いくら魔王の中でも温厚な部類といっても多くの戦いで命を奪ってきたのだから。

 

 

「残り二人の転生者については生前の情報と望んだ特典からして特に問題はないので気にする必要はないでしょう」

 

「そう?ならまあ気にしないことにするよ」

 

「はい。それでよろしいかと。そろそろ転生してもらいますがよろしいですか?」

 

「問題ないよ」

 

「それでは良い人生を」

 

 

 

そう言って女神右手を振ると魔王を光が包み込み神界から消え転生していった。

 

 

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