魔法少女リリカルなのは~異世界からの転生者~ 作:gankon
高級住宅地に建つ一軒の家に彼はいた。彼が女神によりこの世界へ転生させられ、自意識がはっきりしたのは3歳の誕生日。この体では夜遅く起きるのは辛いハズなのに0時になった瞬間、全身に力が漲り意識が覚醒し目が覚める。そして記憶を漁り現在の状況を理解した。
(無事転生したみたいだね。僕は魔王ではなく御崎冬花として改めて生きていくのか)
今までの経験からすると、別世界とはいえ神の手で願いを叶えてもらうなど夢にも思っていなかった。それに与えられた特典は正常に働いているようで魔法だけでなく次元世界についても頭に入っている。
(第97管理外世界、地球か。本当に異世界なんだね)
自分がいた世界と今いる世界との文明の差に驚きと呆れ、そして羨望を感じていた。
(これだけの技術があればあの世界の人々や魔族も貧困に苦しめられ戦争なんてしなかったのかな。・・・・・いや、どれだけ技術が進もうとも変わりはしないか。それにもう関係のない世界のこと。気にしてもしょうがないか。平穏な世界、とは言い難いけど他種族同士が全面戦争しているあの世界よりはマシだね。それに非殺傷設定なんてものがあるし)
傍目には深夜にベッドから上半身だけを起こし顎に手を当て真剣に悩む3歳児という妙な光景が出来上がっているが幸いにも部屋には少年しかいない為、誰も突っ込むものは居なかった。冬花の家族は母親が冬花を産んですぐ他界し父親も仕事が忙しく時折、家政婦を雇っては冬花を任せていた。父親にのけ者にされている訳ではなく、母親そっくりの冬花に親バカぶりを発揮している。若くして会社を設立し業績が右肩上がりの今、自由にできる時間が殆どなくたまに冬花の顔を見に帰ってきては会社に向かうという事を繰り返していて父親は悔し涙を流している。ちなみに父親の携帯の待ち受け画像は冬花の寝顔で、社長室のデスクには冬花とツーショットの写真が挟まれており、仕事の合間に見ては秘書にやんわり注意されている。
(さて、あの女神はデバイスが届くと言っていたがどこにあるんだろう?)
自分の手元には無いのを確認し部屋の中を見回すと一瞬小さな光が現れ、その光が消えると手のひらの上に銀色の指輪に金のリングを通し黒の首紐の付いたペンダントが浮いていた。
(なるほど。これがデバイスか)
知識としてデバイスがどんなものかも頭に入っているので使用方法は問題は無く、ヴァッフェは非人格型なので会話もない。
(まずは魔力の隠蔽をしておくかな)
自身の魔力を感知され管理局に目を付けられても面倒である。それを防ぐため前の世界で使っていた魔力隠蔽術式を起動し外に漏れる魔力をカットする。この魔法は他者からの感知を防ぐもので魔法自体は使うことのできる便利なもので、魔王になってから研究し自作した魔法の一つである。
(これで僕の魔力を感知することはできないはず。さてとデバイスやレアスキルを試してみるかな。ここに僕が居ないと家政婦さんが気づいたら騒ぎになるだろうから一人置いていくか)
そう言ってレアスキルとなった彼の魔王として会得した固有能力【遍在】を使い、自分とヴァッフェの同一存在を作り出した。
(へぇ、デバイスも遍在するんだ。ただ魔力が1ランクぐらい落ちているかな?。さて訓練しても影響の少ない所へ行くか)
【遍在】を使うと二人共1ランク魔力が下がるが魔王と勇者の力を持つ冬花はもともとSSSオーバーの魔力を持っていたため、特に不便は感じなかった。二人目の冬花はベッドに戻って眠り、自身は転移魔法で数十キロ離れた山に向かった。山に着いた瞬間に直径2キロの結界魔法を張りその上から魔力隠蔽術式を展開。結界の中で各フォームとレアスキルについて訓練した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
自我の覚醒から数年が経ち冬花は私立聖祥大附属小学校に入学。成長した冬花は艶やかな黒髪を肩まで伸ばしており母親似の顔と相まって傍目には少女に見える。現在は一年生として学校を楽しんでいる。元勇者兼魔王として生きてきた年月は一世紀を超えるが、今まで経験したことのない雰囲気や知らない知識を学ぶのは新鮮だった。
相変わらず父親は忙しいが会社はどんどん大きくなり資産家や起業家たちの参加するパーティ等にも呼ばれる機会が出てきてバニングス家や月村家とも関わり、その際に各家のご息女達とも個別に面識が出来ていた。父親の方も最近は秘書の女性と仲良くやっているようで近々再婚しそうである。再婚相手の秘書もバツイチで自分より一つ年下の一人娘がいるらしいが未だに会ったことはない。再婚するのならばいずれ会うことになるだろうからと少し楽しみにしている。
余談だが冬花のマイブームは和食で煮物や味噌汁、緑茶、和菓子にハマっている。
定期的に隠蔽結界を使い身体を鍛えたり次元世界の魔法の慣熟訓練を行っていたおかげで勇者、魔王としてのレアスキルと次元世界の魔法の両方とも、ほぼ把握し終えていた。
まず通常の《
《
《
各フォームごとに使える魔法が違っていたがレアスキル自体はどのフォームでも使用できるようで前の世界の魔法も使えた。それと生前の力に引っ張られるのか魔王時と勇者時の思考になってしまうようで【遍在】を使い、各フォームの自分を出すと各人ともリンクはしているが別人のように行動できる。
(そろそろ武器の能力が使えるか試すかな。聖剣は相手がいないから使えないけど魔槍ならそこらへんの岩でも標的にすればいいし)
《
「・・・・・ん?岩の中から猫だと?どうゆうことだ?」
突然の事態に軽く混乱するが今にも死にそうな山猫の様子を見て冷静になり観察する。
「外傷は無いみたいだな。ということは病気か衰弱しているのか?・・・・・いや、かなり小さいが魔力を感じる。なるほど、この猫は使い魔か。仕方ない念話で呼びかけてみるか」
(聞こえるか?聞こえているなら詳しい話は抜きにして質問に答えろ。生きたいか?)
念話が届いたのかピクリと反応し閉じていた目を開いた。
(・・・・生きたいです。まだ・・・やり残したことが・・・あります)
(分かった。ならば契約しよう。内容は“私の命が尽きるまで生きろ”だ)
(そ・・・れは)
(特に制約は無い。君の好きにするといい)
契約はなされ今にも消えそうだった山猫は契約によって莫大な魔力を受け取り、回復した。予想外の魔力量に山猫は驚く。
(っ!!なんという馬鹿魔力ですか!!見た感じは魔力を持っていないようだったのにプレシア以上だなんて。どうやって隠していたんですか?)
(私が開発したオリジナルの隠蔽魔法だが?)
(オリジナルって・・・・。貴女幾つですか?どう見てもフェイトと同年代ぐらいだと思うんですが)
(何か勘違いしていそうだから言っておくが私は男だぞ?それと7歳だ)
(えええ!?貴方男の子だったんですか!全然見えませんね。それに7歳ですか・・・・見た目は分かりますが中身は私より年上のような気がします)
(・・・・まあ、それはまたの機会に話そうか。とりあえず私は御崎冬花だよろしく)
(ああ、すみません。自己紹介がまだでしたね。私はリニスと申します。どうぞよろしくお願いしますご主人様)
(ご主人様はやめろ。冬花でいい)
(分かりましたトウカ)
(詳しい話は家に戻ってからにしよう。岩から猫が出てくるなど予想外すぎる)
(そうですね。ですが私は岩から出てきたわけではないんですけど?)
先ほどの光景について語りながらリニスを抱き上げ転移魔法で帰宅した。
(立派な家ですね。それにしてもこんな時間に外を出歩いてもご家族は何も言わないんですか?)
リニスは時の庭園とは比べられないが一般的な家からすると大きく、家具や内装のしっかりした家に驚いたが夜の11時頃に7歳の子供があんな山奥にいた事を不思議に思い質問した。
(私のレアスキル【遍在】を使えば問題ない)
そう言ってリニスの目の前で冬花は二人になった。
(っ!!幻影では無いようですね、二人からパスを感じますし。どうなっているんですか?)
(自身の同一存在を作り出すスキルと思っておけばいい)
冬花は増やした【偏在】を消し、バリアジャケットも解除した。
(まあ、とりあえずは君のことを教えてくれる?)
異世界で習得した浄化魔法で自身とリニスの汗や汚れを取り除き、自室のベッドに山猫形態のリニスごと寝転びながら質問する。リニスはバリアジャケットを解除した瞬間、容姿に変化があったのは変身魔法でも使っていたのだろうと思っていたが、口調や雰囲気まで変わったことに疑問を持った。
(あれ?さっきまでのトウカと雰囲気が違うのですがどうしたんですか?)
(ああ、これはこのデバイスの仕様みたいなものだよ。まあ気にしなくていいよ)
(そうですか。まあそれなら気にしないことにします。それでは私の目的についてお話します)
リニスは前の主人であるプレシアの目的や自分の生徒で娘のように思っていたフェイトの現状を説明し、契約切れでせめてフェイト達に消える瞬間を見られないようにするためランダムに転移しようと魔法を発動したら何故かあの場所に引き寄せられた事を話した。
(なるほどね。リニスがあそこに現れたのは魔槍のせいかもしれないね)
(魔槍ですか?トウカが持っていた赤い槍型のアームドデバイスのことですか?)
(そうそう。アレは空間を捻じ曲げ一突きで別方向から四突き、つまりは計五回の突きをまったく同時に食らわせることができるんだ。空間に干渉するから普通の防御魔法じゃ防げないし、防いだとしても四回の突きは本体の穂先にぶつかるか、解除するまで相手を離さず貫こうとするんだよ)
(か、かなり物騒ですね)
冬花の持つデバイスの能力の凶悪さに慄き、一歩間違えば自分が食らっていたかもしれないと思いゾっとした。
(まあね。それと僕の現状についても説明しておくよ)
冬花は父親のことや家でのことをリニスに説明すると彼女の性格からか自分が冬花の面倒を見ると言い出した。冬花自身は別に構わないと言っていたのだが、いくら精神的に大人びているように見えてもやはり心配だということで押し切られてしまった。
(まあ、父さんにはリニスのことを家政婦をやっていたが、雇い主側の事情で解雇されてしまい、次の仕事を探している時に出会い、意気投合したため紹介したとでも言えばいいかな。僕を信用してくれてるみたいだし)
幸い、リニスは自分と同年代ぐらいの女の子の世話をやっていたので家事は得意と言っている。仕事に関しては問題ないだろう。近々再婚するだろう相手への説明は父に任せようと考える冬花だった。
その後、リニスからプレシアたちの居場所を聞いたが彼女たちの拠点は高次空間内を常に移動しており座標が分からないとのことで、まずは拠点を補足することを捲表に定めた。
いろいろ時系列がおかしいかもしれませんが彼女の事は詳しく分からなかったのでこのような形になりました。
魔槍の能力は多重次元屈折現象みたいなものです。
終着点は穂先同士の接触、本体の突きが対象に接触した瞬間発動し四本の突きが反対側から挟むように出現する。少なくても全身を覆うタイプの防御魔法でないと防げず、防いでもすぐさま転移等で離脱しないと潰されるといった能力です。
あんまり強くない?