STARDUST∮FLAMEHAZE 【完全版】 作:沙波羅 或珂
【1】
(ご主人様……ッッ!!)
白い封絶で覆われた学園屋上で繰り広げられた、
フレイムヘイズの少女と紅世の王との壮絶なる死闘。
その結末の一端を、 燐子の少女は上空から見ていた。
「オッッッッッッラァァァァァァァァァ――――――――ッッッッッ!!!!!」
「バ……カ……な……ッ!」
白い光で満たされた屋上全体に響き渡る、 灼熱の咆吼。
その躰を、 その精神を。
そしてその存在全ての力を大太刀 “贄殿遮那” に込め、
渾心の一撃で刳り出されたシャナ極限の超絶技、
『贄殿遮那・星迅焔霞ノ太刀』
炎気、 闘気、 剣気、 三種の気を融合させて具現化した
巨大な三日月状の討滅刃。
ソレが同時に込められた黄金の輝きを放つ生命光によって爆発的に超加速され、
火除けの宝具 “アズュール” が創り出す絶対火炎防御の結界障壁すらも
超越して突き破り、 宝具ごと操者である “狩人” フリアグネの長身痩躯を
音を超えた速度で斬り飛ばし、 二つに別れた躰を紅蓮の劫火が焼き尽くす。
さらに標的を討ち果たした紅蓮の刃は、
それでも尚強力に存在を誇示し続け背後の給水塔に激突して爆砕し、
劫火に包まれた “狩人” の上に砕けた残骸の豪雨を撒き散らした。
瓦礫の墓標に突き刺さる、 巨大な鉄塊。
刻まれる、 残骸の墓碑銘。
その一連の出来事を、 定められた運命であるかの如く見据えていた、
今は燃え上がるような紅蓮の双眸に黄金の輝きを宿す一人のフレイムヘイズ。
その少女が紅蓮渦巻く大太刀を瓦礫の上に突き立て、
逆水平に構えた指先で破滅の墓標を差す。
「私達二人は最強よ!! 絶対誰にも負けないッッ!! 」
最早己を蝕む苦痛も煩悶も、 その全てを精神が捲き起こす
黄金の旋風で吹き飛ばしたかの如く、
一点の曇りもない表情でシャナは “狩人”の墓標に叫んだ。
「……主人……様……?」
紅蓮と白蓮。
二つの存在の終演を頭上から見つめる、 燐子のか細い呟き。
真一文字に両断された紅世の王が、 己が自在法により無から生み出した最愛の少女。
意志を持つ肌色フェルトの人形、 マリアンヌの開かない口唇から痛切な叫びがあがった。
「ご主人様ァァァァァァァァァァ―――――――――――ッッッ!!!」
「ッ!」
その何よりも悲痛な声に、 シャナはゆっくりと首だけ動かしてマリアンヌに向き直る。
そして、完全にいつも通りへと戻った凛々しき風貌で、
簡潔にしかし有無を言わさぬ強い口調で燐子の恋人に告げる。
「見ての通りよ。 おまえの 『ご主人様』 は、たった今この私が討滅したわッ!」
「ウソ! ウソ! ウソよッッ!! 私のご主人様が! オマエなんかにッ!
フレイムヘイズなんかにやられたりするわけない!!
この私を置いて、 一人死んでしまったりするわけないッッ!!」
口元に笑みを浮かべた愛らしい表情とは裏腹に、
マリアンヌの声は悲哀に充ち何度も何度も頭を振って
シャナの言葉と目の前の現実を否定した。
「事実よ。おまえも王の “従者” だったのなら潔く受け止めなさい」
虹彩を射抜くような鋭利な眼光で、
再びシャナは異論を許さない強い口調でマリアンヌに宣告する。
「王を討滅した以上、 もうおまえに用はない。 無益な討滅も好まない。
おまえはすぐにここから立ち去って、 この事実を “アノ男” に伝えなさい」
そう言ってシャナは一度瞳を閉じ、
強い決意と共に真紅の双眸を見開く。
「そして、アイツを 『星の白金』 を討滅したいのなら
“今度はおまえ自身が直々に出てきなさい” とね」
そうマリアンヌに己のメッセージを完結に告げる。
その脳裡に甦る、 この世のありとあらゆる存在を完全に超越した、
一人の男。
その名は、『DIO』
叉の名を “邪悪の化身” 『幽血の統世王』
アノ男の全貌は、 いまでも計り知れない。
アノ男が最後に見せた黄金の 『光』 の正体は、
今でも想像すらつかない。
でも。
それでもッ!
「あと! これも伝えてッ!」
胸中に唐突に湧き上がった何よりも熱い一つの使命感、 否、
それよりも遙かに強い感情にシャナは頬を朱に染めながら出来るだけ速く、
しかし的確に伝える。
「 『星の白金』 空条 承太郎はッ! フレイムヘイズで在るこの私が護るッ!
おまえなんかに指一本触れさせないとねッ!」
早口でそう口走りながらも、 無意識の内に心の中で競り上がってくる、
己の力に対する疑念。
果たして、 本当に、 そんな事が可能なのだろうか?
その、
本来の主力である 『
「生身」 の状態で手も足も出なかった自分が。
再びその世界を覆い尽くすような存在を前にして
果たして “そんな事” が出来るのだろうか?
でも、 そんな大言壮語を吐きながらも、
何故かシャナは恐怖も絶望も感じなかった。
状況は、 アノ時より遙かに悪くなっていると言って良かった。
このほんの数日の間に、『法皇』 の名を冠する手練の 『
たった今討滅した “狩人” フリアグネのような存在が先陣として来襲してきたという事実。
この事から類推して出る答えはただ一つ。
アノ男の現世と紅世、 両世界の支配大系は、
もうほぼ完璧に整いつつあるという事。
そう、 明日にでもこの世界の存在全てがそのバランスを決壊させて、
潰滅してしまったとしても不思議はない。
でも、 それでも、 自分は何も恐れない。
だって、 あの時とは決定的に違う 『真実』 が、 今の自分にはあるから。
今度は “一人じゃない” から。
“アイツが傍にいるから”
いて、 くれるから――。
だから今度は、 絶対負けない。
アイツと私なら。
二人一緒なら。
どんな巨大な存在にも絶対負けるわけがない。
きっと。
“何でも出来るッッ!!”
精魂の叫びと共に、 心の中で吹き荒れる灼熱の烈風。
特別な根拠は、 何もない。
しかし、 いつの間にか何よりも強い確信が、 少女の裡に存在していた。
アイツが自分にくれた、『勇気』 と共に。
宵闇に輝く明けの明星よりも、強い光で自分を照らしてくれていた。
『――――――――――――ラァァァァァッッッッッ!!!!!』
「ッッ!!」
遠くで聞こえる、 スタープラチナの咆吼。
それはきっと、 アイツの
魂の誓約、 『護るべき者を護る』 という、 誰に命令されたわけでもなく、
「使命」 を課せられたのでもなく、
自らの 「意志」 で、 自分の 『正義』 を貫き続ける者。
その事を誇らしく想う反面、 何故か心の淵で湧いた、
切なさにも似た感情が双眸を滲ませる。
「バカ……大バカ……」
微かにその瞳を潤ませて、 シャナはそう呟いた。
誰も、 誉めてなんかくれないのに。
誰も、 感謝なんかしてくれないのに。
それどころか、 自らの行為を認識すらしてもらえないのに。
それでも、 おまえは、 戦い続けるの?
例え、 全身傷だらけになったとしても?
例え、 腕や足を引き千切られたとしても?
それでも……?
ずっと……?
(何か……ズルイな……)
少しだけ嫉妬の混じった口調で、 少女はまた呟く。
だって、 あまりにも正し過ぎて、 格好良過ぎて、
非の打ち所がないから、 自分の立つ瀬がなくなってしまう。
自分が、 アイツに 『してあげられる事』 が、 何もなくなってしまう。
“アイツ” とは、 いつでも、 “対等” の立場で在りたいのに。
(!)
何故か脳裡に、 一人の女性の 「姿」 が想い浮かんだ。
無口で、 無表情で、 不器用で。
でも、 他の誰よりも自分の身を案じ、 愛してくれた
崩壊した天道宮での、 別れの時に垣間見せた、 その時の表情。
シャナは、 心象の中のその女性に、 静謐な口調で問いかける。
(貴女も、
ねぇ……? “ヴィルヘルミナ”……)
心の中で語りかけたその女性は、
白いヘッドドレスで彩られた、ただただ美しい想い出の中で、
優しく自分に微笑むだけ。
最後に見せた、 身と心を引き裂くような痛みを押し殺してでも
微笑みかけてくれた、 翳りのない強さと気高さと共に。
それを答えだと受け取ったシャナは、
もう一度瞳を閉じて想いを反芻する。
“間違って、 ない”
彼女が、 そう言ってくれた気がするから。
“あなたが 「正しい」 と信じた事に、天下無敵の幸運を”
彼女がそう勇気づけてくれた気がするから。
だから、 シャナは。
「ありがとう……ミナ……」
今はただそれだけを、 もう傍にいない彼女に送った。
湧き上がる万感の想いを一つに束ねてただ一言。
それだけを。
(むぅ…… “
口唇から漏れたその名に、 胸元のアラストールが小さく声を漏らした。
その上でシャナは再び瞳を閉じて、 己の想いを
綴り、 続ける。
もっと楽に、 生きれば良い。
おまえは “フレイムヘイズ” じゃないんだから。
普通と少し変わった
「人間」 なんだから。
そうすれば、 エメラルドの光に胸を引き裂かれて血に塗れ、
無惨な姿で地に伏する事もない。
心も体もボロボロなのに、 自ら傷を引き裂いて血を噴きながら、
限界を超えて戦う必要もない。
助ける筈の存在を操られて利用され、 激しい存在の痛みを代償に
永遠に忘れられてしまう事もない。
そして。
そし、 て……
数多の紅世の王すらも下僕にする、
この世界史上最大最強の存在と戦わなければならない
『宿命』 を負う事もない。
そう。
嫌だと言って逃げれば良い。
関係ないと言って投げ出せば良い。
後は私達フレイムヘイズに任せれば良い。
そんな重過ぎる
おまえに強制する権利なんて、 誰にもないんだから。
でも。
それでも、 おまえは。
……
戦う、 の?
その余りにも苛酷過ぎる己の 『運命』 を、
哀しむ事もなく、 嘆く事もなく。
ただ 『覚悟』 だけをその裡に秘めて、
全てを受け入れ、 全てに納得して。
戦い、 続けるの?
おまえの精神に宿った、 或いは受け継がれてきた、
沢山の人達の 『血統』 と 『絆』 と共に。
自分が正しいと信じる、 『正義』 の為に。
渇いた風が一迅、 傍らを通り過ぎ、
爆炎で灼き裂かれた黒衣の裾を揺らす。
その少女の脳裡に甦る、 ジョセフの屋敷の応接室で見せてもらった、
古い背表紙のアルバム。
中に納められた、 モノクロームの写真。
多くの人々の姿。
その全ての人達が皆、 アイツと同じ瞳の輝きを持っていた。
そして、 微笑っていた。
その誇り高き血統によって導かれた、 因果の中で――。
「優しいん、 だね……おまえの…… 『歴史』 は……」
追憶と共に口唇から零れる、
何の偽りもない、 本当に本当に正直な気持ち。
想いはいつか、 「彼」 という一個の存在すらも超えて、
拡がっていった。
そのシャナの心中で静かに滔々と沁み出ずる、
今まで体感した事のない緩やかで温かな存在の何か。
胸の中心で芽吹くようにゆっくりと湧き上がり、
そして刹那の淀みもなく意識の全領域に拡がって、
自分の存在を充たしていく。
素直にただ、 感謝したかった。
彼の存在を育んでくれた、 全ての人々に。
その感覚に他の何にも代え難い感興を抱いたシャナは、
白い封絶が巻き起こす気流に長い髪を靡かせながら、
穏やかで優しい微笑を、 小さく可憐な口唇に浮かべていた。
(……)
胸元のアラストールは、 黙したまま少女を見守っていた。
表情にこそ現さないが、 心中に浮かんだ一抹の驚きと共に。
少女は今まで、“封絶の中で微笑った事が無かった”
こんなに、 穏やかな表情で。
まるで、 暖炉の前で母親と会話をする娘のように、 安らいでいる表情で。
少女の、 シャナの、 その使命に燃ゆる凛々しき表情は
これまで星の数ほど見てきた。
力強く、 誇り高い子である事も知っていた。
しかし、 こんなにも優しい笑顔を浮かべる子だったとは。
戦鬼のようなフレイムヘイズの 「業」 の渦中に在りながらも、
こんなにあたたかな心を微塵も失わない子だったとは。
不覚ながら、 今に至るまで気づかずにいた。
(どうやら……我の取った 『選択』 は……間違いではなかったようだな……)
シャナに連れたのか、 存在の裡で少しだけ笑みを浮かべたアラストールの、
その更に深奥で静かに形を成す、 真の決意。
フレイムヘイズ “炎髪灼眼の討ち手” として、
今まで生きてきた名も無き少女。
その凄絶なる戦いの日々、 これまでの 『運命』 を全て受け継ぎ、
そして今、 新たに始まる!
どんなに深い絶望の中であろうとも、
希望という 『星』 の光を決して見失わない、
気高き血統の者達との出逢いによって生まれた、
今、 ようやく産声をあげる事の出来た、
一人の 「人間」
“空条 シャナ” としての戦いが。
もう自分は、 「討滅の道具」 なんかじゃない。
今ようやく私は、 「人間」 になれた。
或いは 『転生』 した?
解らない、 解らないけれど。
でも、 今の自分は、 フレイムヘイズである以前に、
一人の 「人間」 だと、 胸を張って言うことが出来るから。
最愛の人達から貰った、 この世でたった一つだけの 「名前」 があるから。
だから、 もう、 淋しくはない。
その事に目を背けて、 心を押し殺す必要もない。
だって、 こんなに素晴らしい人達に、 出逢うことが出来たのだから。
ジョセフ。 スージー。 エリザベス。 ホリィ。
こんなにあたたかい人達に、 私という存在は囲まれていたのだから。
その事を、 今は何よりも大切に想えるから。
どうして、 今まで気づかなかったのだろう?
でも、 それを自分に気づかせてくれたのは、 他の誰でもない、
同じ血統の末裔である “アイツ” だ。
ただ、 それだけの、 当たり前の事実。
それが何より、 シャナには嬉しかった。
本当に本当に、 シャナは嬉しかった。
そして共に見た空を見上げて、 何よりも澄んだ声で、
しかし強い声で、 決意を天空に誓う。
「私、 ついて行くよッ! どんな暗い、 たとえ、
『世界』 の闇の中で在ったとしてもッ!」
脳裡に甦る、 別れる直前に一度だけ見せてくれた、 彼の微笑。
その存在が、 心に巣くった 『幽血』 の恐怖など、 全て跡形もなく吹き飛ばす。
(怖く、 ない……ッ! きっと……おまえと一緒なら……ッ!)
だから、二人で行こう。
どこまでも、 どこまでも。
遠くまで――。
“この世界の遙か彼方までッッ!!”
そう心の中で歓喜を叫んだシャナの周りに、 ゆっくりと世界が戻ってくる。
絶え間のない破壊の残響と消滅の砕動、
そんな、 いつもと何ら変わる事のない、
殺伐として、 淋しくて、 何よりも冷たい戦場の空気。
でも今のシャナには、 その破滅の戦風すらも清々しく感じられた。
吸い込む空気は、 今までにないほど爽やかに胸の中を満たした。
やがて、 少女の心中に決着が付いた事を悟った王が一言。
「もう。 良いのか?」
「ウン!」
大きくシャナは、胸元のアラストールに向かって頷いた。
「……では、
「ウンッ! アラストール! 早くアイツに逢いに行こうッ!」
一際大きくそう叫び、 シャナは過去との決着を付けた瓦礫の墓標に背を向けた。
アイツに逢ったら、 まず何を話そう?
言いたいことは、 山ほどある。
聞きたい事も、 沢山ある。
でもその数が多過ぎて、 何から話して良いか解らない。
それにきっと、 いつものように素直になれなくて、
想っている事とは逆の事を言ってしまうかもしれない。
でも、 それで良い。
それが良い。
何気のない日常。
紅世とも封絶とも隔絶されていない、
緩やかな変化のみが繰り返される、 平穏な世界。
それが、 一番大切なものだと、 今は想えるから。
それを護れた事を、 今は何よりも誇りに想えるから。
だから、 何を話すかは考えないで行こう。
アイツの顔を見たら、 その時一番言いたい事を言おう。
多分、 いつもの 「アノ台詞」 になってしまうとは想うが。
そして、 その後。
そうだ、 二人でアノお店に行こう。
初めて逢った日に、 ジョセフ達と一緒に行った、 アノ喫茶店に。
正直疲れたし、 お腹も空いた。
この前は頼めなかったものを、 片っ端から網羅しよう。
勿論アイツの “オゴリ” で。
自然と溢れてくる笑みをシャナは自分でも可笑しいなと想いながら
かみ殺し、 でも巧くいかないので仕方無しに笑顔のまま
足下の
(いま……すぐにそっちへ行く……ッ! だから、 待ってて……!)
“ジョジョッッ!!”
何故か心の中から自然に浮かんできた、
でも確かに今自分で決めた彼の
駆け出したそのシャナの背後。
堆く積み上がった残骸の墓標。
それが突如、 何の脈絡も無く弾けた白い閃光と共に激砕する。
鳴動する破壊空間に、 不可思議な紋字と紋章を迸らせながら。
そし、 て。
けたたましい破壊の残轟と同時に湧き上がる、
狂気と憎悪に充ち充ちた
「がああああああああああああァァァァァァァァァァァァァッッッッ!!!!」
「ッッ!!」
振り向いたシャナの眼前で、 白い閃光の放つ強大な衝撃波によって、
直上に吹き飛ばされ粉微塵となって爆砕する無数の瓦礫。
まるで薄紙のように引き裂かれる、 最上部に突き刺さっていた給水タンク。
その砕かれた灰燼の嵐の中に浮かび上がる、 白い光のシルエット。
白炎を司る、 壮麗なる紅世の王。
今は、 シャナの超絶技と瓦礫の豪雨に存在を悉く蹂躙され、
耽美的な風貌も雰囲気も完全に粉砕された
“狩人” フリアグネ、 その無惨なる姿。
上質のシルクで仕立てられた純白のスーツは斬衝と焦熱で至る所がズタボロに
引き千切られ、 残骸の
まるでたった今、 シャナの手によってこれ以上ない位に討ち砕かれた、
彼の 『誇り』 を象徴するかのように。
そして、 心身共に蹂躙され尽くしたその純白の貴公子は、
先刻までと同一人物とは想えないほどの、
まるで煮え滾る黒いマグマのような憎悪を全身から放ち、
そして空間が罅割れるかのような狂声を
歯を剥き出しにしてシャナに浴びせた。
「貴様ァァァァァァァァァッッ!! フレイムヘイズゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
この 「討滅の道具」 風情がよくもッッ!! よくも “王” 足るこの私に!!
この私にィィィィィィィィィィッッ!!」
現世に顕在してより初めて体感する、
永い年月を賭して築き上げた誇りを跡形もなく
ズタズタに引き裂かれた 『屈辱』 に、
純白の貴公子は身を震わせて激昂する。
「ハァ……」
そのフリアグネに対しシャナは、 苛立たしげに大きくため息をついた後、
「何、 邪魔してンのよ……ッ!」
奥歯をギリっと軋ませ怒気の籠もった声を零す。
そして、 くるりと身を翻して振り返り、 ふわりと揺れる黒衣の中
細く小さな顎をやや高く持ち上げ、 遙か高見から見据えるような表情を執る。
「やれやれだわ。 “狩人” 」
アイツ譲りの剣呑な瞳で、 不敵にそう告げる少女。
そして、 ゆっくりと開いた右手を前に差し出すと。
「おまえ? 同じ事を二度言わせないでほしいわね?
言葉を紡ぎながら、 差し出した右手を素迅く反転させる。
「 “そいつの頭が悪い” っていう事よッッ!!」
紅蓮の双眸を精悍に見開き、 もうすっかり定着した逆水平の指先で
堕ちた紅世の王を鋭く差す。
「――ッッ!!」
想わぬ言動に、 フリアグネは怒りで思考が停止し、
絶句する事を余儀なくされる。
その王に対し、 シャナはあらん限りの咆吼で、
己が存在を指先から刻みつけた。
「私の名前は “空条 シャナッッ!!”
「同胞殺し」 でも 「討滅の道具」 でもないッッ!!
もう二度と間違えるんじゃあないわッッ!!」
←To Be Continued……
はいどうもこんにちは。
ヴィルヘルミナの『挿絵』を期待していた人はすいません。
一応「パイロット版」は創ったんですが、
まだ作中に載せられるほどのクオリティーに達してないので
今回は見送りました。
まだ「登場」までは時間があるので、
なんとか『対策』していきたいと想います。
(「メイド服」
しかし、意外と『長編』だったんですね、『フリアグネ戦』って。
単行本ならもう「一巻」過ぎてると想いますが、
まぁ『ジョジョ』のストーリーラインに沿ってヤってるので
御容赦ください。(「巻
こうなると【DARK BLUE MOON編】とか
どうなるんだ?
「ローマ数字」足らないかも知れない……('A`)