#1 来るは見知らぬ地
「これは参ったな……」
ごきげんよう、諸君!
私は狭間の地出身の褪せ人である。名はとうに捨てた。
褪せ人とは…何処かとも知らぬ導きを受け、王になるという大層な使命へ向かう変人共だ。ちなみに導きの力で何度でも蘇るぞ。
そんな変質者紛いのゾンビ集団に入れられた私も何がどうとか考えず、相棒である霊馬"トレント"と共に王座目指してあの混沌の世界を駆けていた。
が、奇妙な転送門を見かけ入ってしまった結果が今である。
しかも一方通行だから戻れないというね。
さあ、じゃあ現状を確認しよう。
舞台は雨降る海辺と古びた館。冷めた火山館みたいなものだろうか。いや、それではただの館か。
…それよりさっきから気になっているのは、この異様な雰囲気だ。少なくとも狭間の地ではない。此処が噂に聞く外界かもしれないな。
褪人「まあ何でもいいや。ずっと突っ伏して雨に降られるわけにもいかないだろう…」スタスタ…
褪せ人は"とりあえずあの館に向かおう"と現地を後にした。彼は好奇心の赴くままに彷徨うのが趣味なのだ。
………
褪人「随分とボロいな。それにこのおどろおどろしい空気は…」
簡単に侵入できたので外側からの探索。この場所はもう使われていないのだろうか、草木が好き勝手に生い茂っているといった感じだ。
それに何処か重い空気、何かがいる予感…。
ガサ…
褪人「!」バッ
褪せ人は物音を聞きつけた。
敵か、いやそれとも味方か…様子を伺う。
褪人「何者だ!」
剣を構え、交戦に備える。
あまり無駄な戦はしたくはないが…。
「っ!!!」ドォンッ!!
褪人「おっと…」スッ
砲弾か…。
そうにも行かなそうだ…ここは一度接近戦!
ドォンッ!!
褪人「はっ!」スッ
ドォンッ!!
褪人「甘いッ!!!」シュバッ
ズザッ
見えぬ相手にその荘厳なる大剣を刺さらない具合に突き付け、相手を威圧する褪せ人。
彼の持つ
さあその正体を現せ!
「……あ、ああぁ…」ガクガクガク
褪人「驚いた。これは可愛らしい御嬢さん…」
「…お、お助けくださぃぃ…!」ブルブル
かなり震えている。これから首をはねられるとでも思っているかのような青ざめた顔だ。
しかし私はそのような野蛮人ではない。彼女に働いたのはおそらく防衛本能…罪無き子を貶める者がどこにいるか。
褪人「貴公、名を何という?その様子だと、さっきのは完全な敵意でないのだろう」
電「い、電なのです…ふ、ふぇ!?た、助けてくれるのですか」
褪人「何、勘違いとはよくあるものだろう。どっかの誰かの言葉を借りるなら、ノーカウントだ、ノーカウント」サッ
電、か…。
こんな可憐な少女がその背負っている砲台を放ったとはな。はっは、外界も恐ろしいものだ。
剣をしまい、彼女と和解をする褪せ人。
かなり怯えているが、そこまで自分の姿が怖かったのだろうか、と内心落ち込んでいるのはここだけの話だ。
それから、雨宿りのついでに近くの建物に入った。
電は何度か私から逃げようとしているが、そうはさせないぞ。
彼女から情報収集がしたいのだ。仮に別の誰かに会ったとして、再び戦いになっては困るし。
電「………」チラチラッ
褪人「…貴公」
電「ひゃ、ひゃいっ!!」ビクッ
褪人「聞きたいことは山程あるが…何をそこまで恐れている?」
電「い、いえ…それは、その……」ブルブル
褪人「さっきのことなら水に流せばいい。私に対してそれ程の理解を示してくれているのだ。もはや貴公は味方…いや、同胞だろうな!」ハッハッハ
電「ど、同胞、なのです…?」
褪人「そうだ!我らの輝かしき絆だ!」パンッ
電「ひゃうっ!!」
電は戸惑った顔をしている。
親しい仲間には両肩に手をやるのが印なのだが、外界でこれは逆効果だったかもしれない…おや?
電「あ、あの…わたし、人と接するのが怖くて…」
褪人「人と?」
電「はい…だからすぐに逃げ出そうとしました。でも、そういった風に扱ってもらえると思わなくて…」
褪人「…」
電「う、うれしい…のです…」ポロポロ
電は涙を流し、久しぶりともいえる笑顔を見せた。
不信感のあまり心を閉ざしてしまった彼女にとってその明るさは、これまで、稀にも見れるものではなかったのだ。
褪人「おぉ…おぉそうか!もっとしてやろう」ヨシヨシ
電「や、やめてくださいなのですぅ!!」ブンブン
褪人「はっはっ!」
「そこで何してるの!!」
褪人「む?」
電「…雷ちゃん!?」
雷「私の妹に…手出しはさせないわッ!!」キッ
褪人「…よろしい」シャキッ
一回似たようなものを書いてみたんですけど、何か納得いかなかったんですよね。
改めてストーリーを構想してきたので、頑張ります(持久力5)。