読まなくとも本編は分かりますが、バックグラウンドにぜひ。
今回は、時雨の手記。(書き物をイメージした文章なので、台本形式じゃないです)
雨に濡れた手記
これは今から一年前。
僕、時雨が舞鶴鎮守府へ着任した時のこと。
…執務室へ向かう途中、そこは僕の頭の中の鎮守府とは何か違った。薄暗く、気持ち悪い雰囲気だった。
新入りの僕が気になるのか、どこかからの視線を感じた。正体は、艦娘の誰か…これからの僕の仲間だというのは分かっていた。それでも…その視線はどこか冷たかった。怖かった。
「失礼します、本日より着任しました駆逐艦の時雨です。提督、よろしくね?」
執務室に入った僕はそう挨拶をしたが、返事は一切帰ってこない。不安になって、再び声をかけようとすると…
ザシュッ、という音がした。
…瞬間に、投げナイフのようなものが自分の頬をかすった。肝が冷えた僕は微動だにもできなかった。
「提督、少々やりすぎでは…!」
提督の隣に立っていた任務娘、大淀は僕の怯える様子を見て庇おうとしてくれた。でも、何か光り輝くようなもの…?が現れて、急に黙り込んでしまった。大淀も酷く怯えていたけど、あれは何だったんだろう…。
そして、「部屋に戻れ」とだけ言って、奴は僕を追い返した。こっちを一切見つめることもなく、顔を上げもせずに…。
僕は静かに扉を開け、出ていった。
ああ…そうなんだね。
ここは提督、あの人間の皮を被った屑が支配する獄中。噂に聞く、強硬派の鎮守府なんだ。
ただそれは、甘い認識であったことを、今の僕は後悔している。ここはそんな容易に想像できる地獄ではない。もっと…おぞましい陰謀が、取り巻いているのだから。自分がもっと強くなれていたら、失うものも無かった…はずなんだ。
───────
自室へ向かう。
僕と同じ、白露型の姉妹達がいた。
白露、村雨、夕立に山風。みんな、とても僕を迎えてくれるような様子ではなかった。
「時雨…あなたも、ここへ来て…しまったのね」
白露はかろうじてこっちを見てくれたけど、すぐに踞ってしまった。すごく震えていた…きっと、見えないように涙を流していたんだと思う。
村雨は、ずっと机に突っ伏して啜り泣いていた。あの明るい村雨が…そんな様子を見たのは初めてだった。
山風は無表情のまま、壁を見つめて固まっていた。山風は元々不思議な雰囲気だけど、こんな…抜け殻みたいな子じゃなかった。
"どうしたのさ、みんな!"なんて言えるはずなかった。きっと、あの提督に何かされてきたんだよね…。
重苦しい雰囲気に、僕もそんな反応をされて返事に詰まった。でも、夕立だけは少しはマシなように努めてくれた。
「ちょ、ちょっと!時雨がせっかく着任したのにそれはひどいっぽい!!」
「ようこそ舞鶴へ、時雨!これからよろしくね」
夕立はこんな感じでごめんね、と苦笑いしながら僕に微笑んだ。
「ありがとう、夕立。よろしく…ね…?」
僕もその気遣いに応えて返事をする。夕立が続けて何かを話したげにしていたが、僕はあるものを目にして、衝撃のあまり夕立を通りすぎていってしまった。
村雨が机に置いていた物。
見覚えのある、"白いベレー帽"をそっと渡される。
「……それは、"春雨"の形見、よ…」
村雨は今にも泣きそうに、震え声で答えた。
白露型五番艦、春雨。
ちょっとドジで、でも優しくて可愛い桃髪の妹。形見って、どういうことさ…?
僕は怒りのあまり、あの提督の元へ行こうとした。けれど、夕立に扉の前を塞がれた。
どうして?大事な妹を殺した、あの提督を庇う意味がないじゃないか。
「は、話を聞いてほしいっぽい」
夕立にそんなことを言われたけど、話合いをして解決できることじゃない。
「そんな暇なんて!!」と僕は冷静になんてなれなかった。今思えば、こうして止めてくれなかったら、今ここに僕はいなかったのかもしれない…。それくらいにあの提督は恐ろしいから。
「時雨!!私からも止めさせて。あの提督に逆らって…酷い目にあった子は、何人もいるの」
焦る僕に対して、白露がもう一声かけた。静かだった白露が、大声を出してまで止めた。
そんな白露の様子を見て、僕も落ち着きを取り戻して話を聞くことに。
話を聞くには主にこんなことだった。
あの提督は、"昨年決行された大規模作戦"あたりであんな屑に変貌したこと。以前は心優しい青年だったらしく、それを知るのは夕立と山風のみ。
提督の独裁に反旗を翻そうとした者は処罰され、とてつもない拷問を受けること。中には行方不明になった艦娘もいた。しかし解体報告書などは見つからず、一切の安否不明。
春雨は無茶な遠征によって、襲撃を受け別れてしまったらしい。もしかしたら、どこかで生きているかもしれない…なんて淡い希望を抱いてしまう。
「戦果が手に入って、本性を現したのか…?」
僕はふと呟いてしまう。実際、鎮守府同士の立場争いはよくあるものだから。自分の功績のため、艦娘をこき使う極悪非道な提督も少なくはない。
「お願い。今の提督さんを信じて…なんて言えないけど、あんなの絶対おかしいっぽい。だから夕立が……」
夕立は僕を見つめてそう言った。その穴あきの制服をよく見ると、彼女の腕や顔にはいくつも傷痕がある。
あの夕立が嘘つくはずがないし…僕は悩んだ末に答える。
「夕立は、そこまでしてあれを信じたいんだね?」
「…分かんないっぽい。で、でも!あの頃みんなで笑った思い出は夢じゃ、ないから…」
「…大体はそういうことよ。私は、これ以上妹やみんなが傷つくのは見たくない、けどね…」
白露は悲しそうな顔をしてそう言った。
…静かに泣き続ける村雨やずっと無言で放心状態の山風を見ていると、正直僕も白露と同意見だ。
「…分かった。僕もまずは他の子達から様子を聞いて」
「お喋りが過ぎるぞ」
まさかと思う間もなく、あの提督が空いた椅子に足を組んで座っていた。それは、本当にいつの間に、扉が開いた形跡も見られなかった。一体どうやって…?
様々な恐怖がじりじりと寄ってくる。
…自分の額に、冷や汗が流れていくのが分かった。
「罰を与えようか。姉妹間の責任ならば…白露、貴様が受けろ」
「え…?」
「あっ…ああぁ、ご、ごめんなさ…!!」
白露はしばらく状況を理解できず、提督に腕を掴まれるとパニックになってしまった。
「待って!なら夕立がそれを受けるから!!」
「なら発端の僕でいいでしょ!?白露を今すぐ離せ!!」
怖い…けど、それだけは絶対許せない!
僕と夕立が咄嗟に動いた。しかし提督は全く動じる様子もなく、白露を連行しようとした。
「命令に変更はない。さあ、ついてこい」
「い、いやぁ!!もうあんなのいやっ!たすけてッ!!」
白露が連れていかれる…!こうなったら力ずくで、と僕が思ったその時だった。
「待てコラ!!」と扉が乱暴に開いて、誰かが背後から、刀のようなものを提督の首に突き付けた。
提督がその何者かに、冷たい視線を向けた。その視線の先には…、二人の艦娘…?
「てめぇいつの間に侵入しやがって…」
「とっとと出ていきなさーい?」
「ボク一人の時は、随分と自信ありげだな」と提督は言う。後に知ることなんだけど、この男にはいくつかの強力な後ろ楯がある。だから皆、こいつから解放されることもないし、従わざるを得ないんだ…。
「あんまイキッてんじゃねぇぞ…このクズ野郎が」
艦娘の一人が、歯軋りしながらあの男を睨み付ける。しばらく、沈黙の間が流れた。
「きゃっ!!!」
観念したのか、腕を放り投げるように白露を解放すると、"これも、一興か"と薄ら笑いを浮かべながら男は去っていった。
それが天龍と龍田との出会いだった。
どうやら彼女ら二人は、夕立や山風よりも早く着任している古参らしい。あの提督の非道な行いとその惨状に責任を感じているらしく、こうして寮の守り人をしているんだとか。
つまり彼女たちは、提督の変貌前後を知っていることになる。僕は思い切って提督のことをどう思ってるか聞いてみたけど、二人ともあまり重く受け止めてないらしい。何がどうとか考えてもいられない、って。
彼女らはとても真っ直ぐだ。それは今も変わってないんじゃないかな。
それに、この二人のすごいのは職務を全うしていること。遠征や出撃を卒なくこなした上で、皆を守っていた。艦娘としての働きも心がけている、まさに守護者だ。
でも僕はそうはなれない…かな。
提督にかき乱されたこの鎮守府で過ごすので、僕は精一杯だったから。
───────────────────────
遠征に行き、帰ってきてはまた遠征へ行く地獄の日々。ただ、意外にも僕は例の拷問とやらは受けていなかった。弱い新入りには興味がないってことなのかもしれない。
ここの提督は、どうでもいい艦娘…いわゆる『捨て艦』には資材を貯めに貯めさせて、一部の艦娘を集中的に強化する…といったやり方らしい。
そんなある日、食堂にて騒ぎがあった。
割れたコップの破片と水が、机に散乱している。その場にいた周りの艦娘も騒ぎに注目し、緊張が流れていた。
「ふざけないでください。誰が何と言おうと、浦風は出撃させません。まだ十分な練度に達していないのにも関わらず、遠方の海域は危険過ぎます」
後ろで踞る妹を守るため、立ち塞がる薄桃の髪の少女。その姿とは裏腹に、堂々とした立ち振舞いは向かいの相手にも臆さない。
彼女は駆逐艦、不知火。
彼女は僕の所属する遠征隊の旗艦だ。同じ駆逐艦と思えないくらい厳格な子で、一切弱音を吐かない。あの提督を恐れることなく、むしろ従順でいられるすごい精神力を持ってる。僕はそんな不知火を尊敬している。
「…これは提督様からのご命令です。貴女のような賢い方なら、彼に逆らうのは許されないこと…お分かりでしょう?不知火さん」
…戦艦大和。提督の後ろ楯と言われているうちの一つ。どういう理由か分からないけど、彼女は提督から特別視されている。だから一切傷痕も見当たらないし、むしろ秘書艦とは別に『艦娘騎士』という称号を持って、提督の使者をしているくらいだ。
大和のその様子を見て、提督に媚びる艦娘もいたらしいけど、悉く処罰されたらしい。中には、あまりの苦しさに堪え切れず、全てを捨て自らの身体を捧げて逃れようとする艦娘もいたっていうのも聞いた。
『人形に劣情を抱く者がどこにいる?』
そんなことを言われたらしい。あの提督は色事には一切興味が無いらしく、結果としてはより処罰が増えただけ。彼女達の抵抗も、すべて絶望に変わるのみだったんだ。
ともかく。
誰もが羨んだり、嫉妬されたり…時には信仰に達するまでの存在の大和だけど、一部の熱心な人達とは違って、僕は距離を置く程度の存在としか思っていなかった。
でも、今回ばかりは僕もそうはしていられなかった。
「ええ、承知しています。それがどうしたのでしょうか?」
この日は珍しく、不知火が提督の命令に背いたということで騒ぎになっていた。
でもそれは…彼女の姉妹達の席だったはずの大机を見れば、当然だと思える。大机には、浦風が伏していて、もう一人…白い髪の子が目を瞑って沈黙していた。
あの大きさの机にしては不釣り合いの人数……つまり、そういうことだ。
これ以上、家族を失うわけにはいかない。不知火の目は決意に満ちていた。だから、僕も協力したいんだ…!!
「貴女がこんなことをするなんて残念です…。このことは提督様に報告させてもらいますから」
「どうぞご勝手に。あんな男の仕打ちなど、不知火にはどうともありません」
不知火がそう言うと、大和の口角が下がって笑顔が消えた。そして不知火に一気に距離を詰め胸ぐらを掴む。
「…あまり、調子に乗らないでくださいよ?提督様を侮辱するのだけは許さない」
「ま、待って!!」
僕は焦って、席を立ち走っていこうとした。でも…
「何ですか?貴女」
大和がこっちを向いて威圧してきた。そのあまりに鋭い眼光に僕は動けなくなってしまった。腐っても大和は『戦艦大和』の名を冠するだけの力を持っていた。
「…!!」
不知火の額に機銃を向ける大和。
ま、まさか…!僕はすぐにでも止めたかったけど、足は震えたまま動かなかった。
「駆逐艦随一の練度を誇る貴女でも、流石に応えますか?このまま撃ってしまっても…」
助けなきゃ。
必死に重い足を動かそうとする僕の横を、誰かが歩いていった。
「そこまでだ、大和」
「…クッ、邪魔が入りましたね。何です、武蔵」
大和は睨み付けながらも、不知火を解放した。
彼女は大和の妹にあたる戦艦、武蔵。
後に大和に抜かされるけど、この頃は鎮守府で一番練度の高い艦娘だった。
でも特別な扱いとかはなく、ただ提督の有能な補佐といった立ち位置らしい。本性とか、何を考えているのかも分からないような謎に包まれた人だった。
今では…僕の恩師の一人だ。
「提督から召集命令だ。次の海域の攻略についての作戦を練る、と」
「その人員を集めているところだったのだけど?」
「そんなことなら後からいくらでも見つかるだろう。今から決めるのは、作戦だ」
「…分かりました。提督様の命令は絶対ですから」
大和はそう言って、食堂を去っていった。
「すまなかったな、二人とも」
武蔵は僕の頭に手を添えた後、不知火にも同じようにしていた。大和の険しい様子とは違って、近づかれたりしても抵抗はなかった。あの提督の補佐を受け持ってるような人には、似つかわしくない優しい微笑みだ、なんて当時の僕は違和感を感じてた。
「…武蔵さんは、いつまでそうしているつもりなんですか。不知火は…もう限界です」
「……そうだな。だが、こうする他ないのだ」
一瞬、真剣な顔つきになった武蔵はすぐに振り返って去っていった。きっと彼女も、怒りを隠して我慢していたんだと思う。
その日の夜、僕は不知火に鎮守府の外まで呼び出された。
「時雨、今日の事はありがとうございました」
その時の不知火は、いつもの堅気な雰囲気とは違っていた。
僕が「気にしなくていいよ。あれは武蔵のおかげだし」と言っても、不知火は首を静かに横に振った。
まさか今日のその話のためだけに呼んだわけではないだろう。そう考えていると、向こうからある質問が飛んできた。
「時雨、あなたは仲間…姉妹や友のことをどう思っていますか」
どう思う…?
なんて答えればいいか分からなかったけど、僕はありのままに答えた。
「大切な家族かな。だから僕が守ってあげなきゃ…そんな感じ、かな」
来たばっかりの僕にそんな力はないけど…、最後にそう呟いた。
「力などいくらでもつければいい。何より大切なのは、その志です」
「…あなたなら、この役も託せそうです」
彼女は静かにそう言った。
「どういうこと…?」
「あの男は、信頼の置いていた配下の裏切りほど厳しく罰する。手間をかけた分、大逆は許しがたいのでしょう」
つまりそれって…。
僕は、彼女の言いたいことが何となく分かった気がした。でも、分かりたくない。認めたくない。
「明日には刑が執行されるはず。その前に、時雨と話しておきたかった」
まるで別れの挨拶みたいな口振りの不知火に、僕はやけになった。
「じゃあ逃げればいいじゃないか!この鎮守府の外へ!!」
「できません。それは、仲間を見捨てるのと同じこと…」
そんな…。
「時雨、悲しい顔をしないで」
気遣ってくれていたのか、僕の腕に優しく手を添えてくれた。
「不知火はずっと迷っていました。武蔵さんの言うように、犠牲になった仲間達は自分達を生かしてくれたのだと。だから、何より強く生き続けろと」
だんだん不知火の表情が曇っていった。
「だからあの男に従い続けた。でも…次々と姉妹達の姿が消えていくのです。あんな司令官の下でも…陽炎はいつまでも、笑っていました」
「気づけば、陽炎型はたったの三人。浦風はすっかり縮こまってしまい、天津風はもう何も話してくれない…」
話が進むたびに、彼女の手の震えが伝わる。
…こんな不知火を見るのは初めてだった。いつも厳しい先輩のような、それでいて頼れる友達のような彼女。
僕は今、ずっと彼女のことばかり考えていたけど、彼女はいつでも皆のことを想っていたんだ。
何か熱いものが込み上げてきて、僕は不知火に抱きついた。
「ごめん。そんなに悩んでいたなら、もっと早く…相談に乗ってあげればよかった」
彼女は僕に顔が見えないようにうずめて、静かに泣いていた。あんなにも素を表に出さない不知火だけど、彼女だって機械じゃない。溜め込んでいただけだったんだ。
僕も釣られたように、涙を流していた。
しばらくして、二人で呼吸を整える。
「それで、不知火はどうするの…?」
結局、一番の問題は解決できていなかった。僕はまたすぐにでも泣いてしまいそうだった。けど、泣きたいのは不知火の方だから…僕は堪えた。
「奴を出し抜く。不知火とて、練度も60程度…。これから勝負に出ます」
それはつまり、アイツを抹殺するということ。それには多くのリスクがあった。
大和のことや、まずあの提督が未知数の存在であること、そして…多くの功績を手にしたあの提督には上層部が絡んでいること。
僕も協力させて、と言ったけれど拒否された。もっと多くの協力者を、とか武蔵を仲間につける、とか色々な案を出したけどだめだった。むしろ誰も見て見ぬ振りをしてほしい、とまで言われた。
誰も巻き込みたくないという彼女の固い意志は、変わることはなかった。
最終的にこっちが折れて、渋々承諾した。不知火は、では早速備えに行きます、と言って出ていこうとした。
去りゆく彼女の背中を見て、僕は…やっぱり、引き止めたくなって、声をかけようとした。僕の様子を察してくれたのか、彼女は少し立ち止まって振り返る。
「時雨、そんな不安な心持ちじゃダメよ。不知火がいなくとも、あなたが代わりとなって…仲間、姉妹の支えになれるような、大きな柱でありなさい」
ああ、それと…、と不知火は表情を和ませて続けた。
「昔…陽炎型の三人と間宮さんの合作でつくりあげた絶品があるの。ぜひあなたにも食べてほしいし…今度の祝杯はそれにしましょう?」
「…約束だからね?」と僕も返すものの、不安げな態度でしかいられなかった。当の本人はとっくに覚悟を決めていたというのに…。
どんなに恐ろしいものを前にしても、決して屈することのない駆逐艦。そんな僕の大先輩で、大切な友達である彼女は、この少しの間だけ…僕にだけ、優しい笑顔を見せて、去っていった。
だから、僕、も……
(手記はここで終わっている。所々粒のようなシミが残っているようだ)
『濡れた手記の破片』
ある少女の手記、その破られた一部
乱雑に破かれており、
おそらく手記の本体がどこかにあるのだろう
少女はかつての友に問うた
今の僕を見ているか
これが果たして、君の思う、強く大きな柱か