黄金律これくしょん   作:満員座・スノー

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#2 雷電姉妹と豪傑な騎士

艤装を展開し、自分の一回りも二回りも大きい鎧騎士に狙いを定める雷。

対し、剣を構え威圧しながらも冷静に場の状況を見る褪せ人。

 

雷「…ッ(何て迫力なの…)」グッ

 

ゴォォォ…

 

ふむ、よろしい。

私は、突然の戦闘に身を構えt

 

 

 

電「ちょ、ちょっと待つのです!!!!」バンッ

 

雷「え、えっ?」

 

褪人「ん?」

 

電「まず雷ちゃん!この人は悪い人じゃないのです!少なくとも前の司令官さんみたいな人じゃない!!」

 

雷「え、そ、そうなの?」

 

電「次におじさん!何ですぐに戦おうとするのです!?ちゃんと説明してください!」

 

褪人「お、おじさん…だと!!?」

 

 

 

………

 

 

褪人「というわけだ」

 

電の言う通り、事情を説明する褪せ人。雷も納得し無事に和解。

姉妹の二人も、褪せ人に深海棲艦や海軍のこと等、ある程度の事を話したのであった。

 

雷「は、はざまの…まったく知らない場所ね」

 

電「電も聞いたことないのです…。でもとてもお強い人だってことは分かったのです」

 

雷「そうね。さっきもいきなり剣を構えてきたからてっきりやる気かと思ったわ?」チラッ

 

褪人「すまんな。何かあればすぐに闘いかと…昔からの癖なのだ。後おじさんじゃなくてせめて騎士さんと呼んでくれ」

 

雷電「「(き、騎士さん…)」」

 

 

 

褪人「…しかし貴公らも中々のものだ。国を守護する艦娘か…大砲をも扱える力、重要な戦力だ。それはさぞ良い待遇を受けてるのだろう?」

 

電「そ、それ、は……」

 

雷「そんな風に考えてくれる人がいるなんて…あはは、あなたが司令官だったら良かったのに」

 

雷はそれは切なげにそう言った。

 

…そういえば、先程から彼女らは時々悲しい顔を見せる。私に不信感を抱き続けていたのも、何か理由があるのだろうか…。

 

褪人「何か事情があるようだな…よかったら、話してくれるか?」

 

 

悩む電は突如、痛みに座り込んでしまう。

 

電「う、うぅ…ッ!」ヘタッ…

 

褪人「!」

 

雷「電!?また脚の傷が痛むのね…大丈夫、大丈夫よ」

 

雷は電の脚のハイソックスを下げた。

そこには痛々しい切り傷のような痕。

 

電「ご、ごめんなさいなのです…。あっ、騎士さんは気にしないで…ください」

 

褪人「これは…止血も随分雑ではないか。これではずっと痛んだままだろう…これを使え」パァァ

 

傷痕の部分に瓶の中の液を少しばかりかける。

すると、みるみる内に怪我は治っていき…。

 

電「ひゃ…!」

 

雷「ちょっと!あんまり乱暴しちゃダメよ」

 

電「あ、あれ…ケガが痛くない、のです?」

 

褪人「緋雫の聖杯瓶。中の雫液は傷を治す効果があるのだ。どうだ、立てそうか」スッ

 

電に手を差し伸べる褪せ人。一見変人の彼は、紳士的な面も持ち合わせているのだ。

 

電「あ、ありがとうございます…」

 

雷「はざまの力、すごいわね!!私からもありがとう!」

 

褪人「構わんよ。しかし何故このような傷が…まるで誰かに切られたかのような…」

 

雷「全部、前いた"司令官"のせいよ…。私も道具みたいに何度も殴られたわ」

 

褪人「司令官…」

 

先程聞いた、鎮守府の提督とやらか。何やら此処の最高権力者だと。ふむ…予想はつくな。

 

褪人「…権力に物を言わせた横暴、ということか。暴君を野放しにしておくわけにはいかないな…今はどこに?」

 

雷「分からないわ。私達を苦しめて、遊ぶだけ遊んで…飽きたみたいに姿を消したの」

 

随分とへっぴり腰な奴だ。やるだけやって逃げ出すとはな…接ぎ木の君主の方がよっぽどマシだ。

 

電「電や雷ちゃんの他にも沢山の子が傷つけられたのです」

 

電「!そ、そうなのです。騎士さん、さっきの瓶で皆を…」

 

褪人「ふむ…。そうしてやりたいところだが、さっきの瓶でもう最後だったみたいでな。代わりのものがあればいいが…」

 

雷「執務室に行ってみましょ。あの司令官が元いた場所だからきっと何か手がかりがあるわ」

 

褪人「分かった。だが私一人で行こう」

 

電「ど、どうしたなのです!?」

 

雷「一人じゃ危険よ!」

 

褪人「私に着いてきたら君達も誰かと敵対せざるを得ないかもしれないだろう?仲間内で揉めてどうする」

 

雷電「「で、でも!」」

 

 

 

褪人「心配するな。それに貴公らには別にやってもらいたいことがある」

 

電「べ、別に…?」

 

雷「任せてちょうだい!!」ポンッ

 

 

…………

 

 

―鎮守府本館―

 

 

褪人「ふむ…存外に簡単に来れるものだな」

 

褪せ人は雷電姉妹と一旦別れ、執務室前まで辿り着いた。

二人には側に置くことで癒しを与える"ぬくもり石"を幾つか渡し、仲間達の元へ向かわせた。

 

ほんの足しにしかならぬ回復手段だが…無いよりはマシだろう。

 

褪人「上手くやってくれているといいが…」ガチャ

 

褪人「…む?」ガチャガチャ

 

開かない…鍵が掛かっているのか?

 

褪人「おーい、誰かいるのか」

 

< ひっ…

 

褪人「やはり中に。すまぬがここを開けてくれないか!用があるのだ」

 

< い、嫌だ…やめてください!許して…ください

 

何かに許しを乞うている?

誰かと勘違いしているのか…。

 

褪人「貴公、艦娘か?安心したまえ、私にそんな恨みなど無いぞ」

 

……

 

 

…ガチャ

 

褪人「ありがたい!私h」

 

「きゃっ!!?」

 

扉が開いたためズカズカ入り込む褪せ人。

その金属質の厳つい鎧と大きさに腰を抜かしてしまう艦娘。

 

褪人「す、すまぬ。しかしあまり大声を出さないでくれ。他の者に見つかると厄介なのでな」

 

「あ、貴方は…一体?」

 

褪人「褪せ人と呼んでくれ。貴公…艦娘だよな?何故こんな所に。ここはあの卑劣な提督の管理室だと」

 

大淀「私は…軽巡兼任務娘の大淀です。前提督を、知っているんですか?」

 

褪人「あぁ。雷、電の二人から色々と話は聞いたぞ。私も傷ついた子達の治癒の方法を探しているのだ。何か手立てはないか?」

 

大淀「!そ、そうなんですか…ですが残念ながらここには何も…」

 

褪人「そうか…では」スタスタ

 

 

 

褪人「な、なにいっ!!!本当にないのかっ!?」クワッ

 

大淀「ひゃっ!…ご、ごめんなさい!!」ドゲザー

 

褪人「あぁちょっと待て!何もそうしろとは言ってない!!」

 

大淀「は、はい…で、ですがその見た目で迫られると、そ、その怖いです…」

 

褪人「こ、怖い…だとッ!!」ガーン

 

 

先から言われている通り、褪せ人は金属の鎧…"失地騎士(しっちきし)"と呼ばれている装備の数々に加え、"かぼちゃ兜"というやけに大きく物騒な兜をつけている。

そのため何処と無く威圧感を出すことになっているのは当然といえば当然である。

 

 

褪人「と、ともかく…ここに居ても何もいいことはないだろう。貴公も共に来ないか?」

 

大淀「で、でも…私、怖いんです。艦娘の皆さんが…提督の命令に従って仕方無くとはいえ、ずっとあんな酷な事を指示して…強いるようにして」

 

褪人「……」

 

先程から臆病な態度だったのはそういうことか…。

どうやら廃れ去った此処では、仲間内でさえ疑念が渦巻いていたらしい。

 

褪人「…任務娘、と言ったか。つまりは提督の補佐をさせられていたわけだな?」

 

大淀「はい…だから私は」

 

 

ガチャ!

 

大淀「…」ビクッ

 

雷「騎士さん、いる!?」

 

褪人「雷じゃないか。どうした?」

 

雷「た、大変なの!皆のいる寮に向かったら…また知らない人がいて!!衝突寸前よ!」

 

褪人「なんと…争いになっては面倒だな。ここに大したものはなかったし、すぐに向かおう」

 

雷「ええ!」

 

雷「…って大淀さん!こんな所にいたのね」

 

大淀「ひっ…い、いえ私は、その…」ブルブル

 

雷「?」

 

俯いたまま震えている大淀。

対し、雷はきょとんとしているが…どう見ても怨みを抱いているとは思えないけど。

 

 

褪人「今まで指図してた自分が皆に怨まれてないか怖いんだと。そうなのか?雷」

 

雷「えっ、何言ってるのよ!そんな訳ないじゃない!むしろ皆心配してたんだから!!」

 

大淀「…え?」

 

雷「大淀さん、いつもあの人の側にいたじゃない。あの人が消えた時、大淀さんのことも見かけなくなったから…司令官に連れ去れられたんじゃないかって!」

 

大淀「そ、そんな…」

 

雷「きっと会えたら喜んでくれるわ!行きましょ!!」

 

褪人「気になるのなら直接聞くまでだ。ちょうどいいだろう、さあ着いてこい!」グイッ

 

大淀「ちょ、ちょっとぉ!!」

 

 

大丈夫よ!と意気揚々に走る雷。

大淀を引っ張り連れながら、それに着いていく褪せ人。

 

果たして寮に現れたのは何者か。大事になっていないことを願うのみである…。




本作品のこの褪せ人君はオリジナルですが、実は少し参考にしているキャラもいます。今は情報も少ないですが、話が進むと設定も判明していく予定です。
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