黄金律これくしょん   作:満員座・スノー

9 / 14
話ごとに字数がバラついてしまい申し訳ございません。
大体3000あたり(時々長い場合あり…)くらいを目指している(つもり)


#8 疑念は渦巻く

 

―執務室―

 

褪せ人は騎士大剣、そして牙のような形状をした大盾を構えた。

 

 

長門「…盾を隠し持ってたか。しかしこの長門の主砲を前には無駄だ!」ガシャ

 

陸奥「二人は下がってなさい。どうせこの部屋にもう用はない、部屋ごと消し飛ばしてあげるから」ガシャ

 

瑞鶴「そ、それって…!!」

 

翔鶴「やめた方がいいです!またあの時みたいに"大和さん達と戦う"つもりですか!!?」

 

 

長門「フン、知ったことか!!陸奥、一気にやるぞ」

 

陸奥「ええ」

 

 

後ろの二人は何か焦っているようだが、戦艦二人は決めにくるつもりのようだな…。

巨人の大矢を止めたこの盾といえど、受け止めきれるか…?

 

褪人「…」ガシッ

 

 

褪せ人は赤獅子の大盾(あかししのおおたて)を構える。

 

正直なところ、いくら頑強なこの大盾であってもあの大戦艦二隻の砲撃を受け止めるのは不可能に近い。まともにくらえば、その熟練の戦士といえども無事ではいられないだろう。

 

 

長門「いくぞ!全主h「ま、待って!!!」

 

 

 

…長門と陸奥の攻撃が始まろうとしたその時。

突如一人の小さき娘が、私の前に立った。

 

秋月「…う、撃つなら、私を撃ってください!!」バッ

 

褪人「き、貴公…あの時の…!」

 

それはあの時茹でカニを食べさせた子だった。

 

とても立てるような様子じゃなかったのに…何故こんな無茶を!?

 

 

長門「あ、秋月…!?お前まで…馬鹿なことはやめろ!!」

 

陸奥「その身体で無茶をしないで!安静にしていないと今度こそどうなるか分からないわ!?」

 

 

秋月「はぁ…はぁっ……嫌、です!!私はこの人が…っ、居なかったら、助けがなかった、ら…!今の自分は、ありません!」

 

褪人「貴公!無茶をするな!!そのままでは命に関わるぞ!?」

 

秋月「あの料理が…私に力を、くれたんです。何か嫌な予感が、するって…教えてっ…くれたんです!!」

 

 

秋月「私の、司令を…簡単には、死なせない!!だったら、私が犠牲になって……で、も…!」ヨロッ

 

長陸「「秋月!!」」

 

褪人「貴公!!」バッ

 

褪せ人は秋月の元へ駆け寄った。

そして倒れる前に、何とか両腕でその小さく軽い身体を捕らえ抱える。

 

秋月「……ぁ、ごめんな…さぃ…」

 

褪人「無理をするな!!気を楽にしていろ!」

 

秋月「っ……」カクン

 

褪人「貴公!?お、おい!!」

 

 

褪人「貴公!貴公ォォッ!!」ユサユサ

 

 

 

秋月「…すぅ……」zzZ

 

褪人「」ホッ

 

よかった、息はある。気絶してしまっただけか…。

しかしこのままでは容態が危険過ぎる、何処かで治療を…!

 

 

褪人「長門、陸奥ッ!!」クワッッ!

 

長陸「」ビクッ

 

褪せ人は先程以上の迫力で二人に呼び掛ける。

"無駄戦の暇ではない、貴公らの助けが必要だ"と声無きメッセージが伝わる。

 

鎧越しであるにも関わらず、その凄まじい重圧に二人でさえも思わず後退りしてしまう。

 

 

長門「い、医務室にいくぞ!着いてこい!!」ダダッ

 

長門は一時混乱したがすぐに状況を整理し、医務室へ向かう。眠ってしまった秋月を抱え、着いていく褪せ人。

 

褪人「うむ!」ダダダッ

 

褪人「(無事でいてくれよ、秋月……!)」

 

 

 

 

──────

 

―医務室―

 

大淀「陸奥さんから急な連絡だったのでびっくりしましたよ」

 

褪人「夜遅くに済まなかったな。陸奥もありがとう」

 

陸奥「ええ…」

 

褪せ人と長門が医務室へ先行していた時、陸奥は大淀に連絡をつけていたのだ。

 

 

ガチャ

 

瑞鶴「駆逐艦の子達から飴ちゃん貰ってきたよー」

 

翔鶴「寝てる間に取ってくるなんて泥棒よ…!?大丈夫なのかしら」アワアワ

 

何の思慮も無く堂々と持ってくる瑞鶴に対して、秋月を救うために仕方無くとはいえちょっとした罪悪感に焦る翔鶴なのであった。

 

 

大淀「えっ!?何か甘いものをとは頼みましたけど、盗んできたんですか!?」

 

瑞鶴「まあまあ、いいのよ。もしバレてもこの男のせいにするから」ビシッ

 

翔鶴「ちょ、ちょっと瑞鶴!この人は仮にも提督で…!」アセアセ

 

褪人「ハッハッハ!それは困るな」

 

挑発する瑞鶴に可愛げのある奴だな、と笑う褪せ人。さっきから冷や汗をかき続けている翔鶴もその対応には呆気に取られている。

 

 

褪人「まあ私のせいにしても構わんが、何より処置は急速に。早速その飴を渡してくれるか」

 

瑞鶴「何でよ、別に食べさせるのなら誰だってできるじゃない」フンッ

 

褪人「寝込んでいる病人に飴を長時間舐めさせるのは酷だろう。飲み薬のようにするのだ」

 

瑞鶴「は、はあ?飴が飲み薬?」

 

瑞鶴は困惑しながらも、しょうがないわね…と褪せ人に渡した。

 

褪人「ありがとう、では貴公ら、少し離れていろ」

 

褪せ人はいつもの大剣…ではなくダガーを取り出し、飴を板の上に乗せる。そして乱擊の如く切り裂いた。

 

 

翔鶴「あ、飴が粉々に……」

 

大淀「大振りの物だけじゃなくそんなものまで扱えるんですね…」オォ…

 

褪人「そしてこのコップ入りの水にこれを入れる」

 

ちなみに水の量は適量。褪せ人流の調理はいつも勘で行われているのだ(果たしてそれでいいのか)

 

 

褪人「後は少し加熱して」ボッ

 

大淀「ど、どこから火が!?」

 

瑞鶴「さ、さっきの…やっぱり魔法使い?いやこの見た目でそれは…」ジトッ

 

陸奥「……火遊びは好きじゃないわ」

 

陸奥「(けど…)」ウツムキ

 

 

陸奥は先程からどこか顔が暗い…。一体何を考えているのか…やはり私がこの場に居るようでは不安なのだろうか?

 

褪人「ふむ。これで多少はよく飲みやすくなったはずだ」

 

褪人「…秋月。辛いだろうが、少し身を起こして…飲めるか?」スッ

 

褪せ人は優しく秋月を支え、その即席飲み薬を飲ませた。

 

秋月「…」ゴク…

 

褪人「妙な甘味だが飲みきってくれ。糖分を補給すれば状態も良くなるだろう」

 

秋月「ん…、ありがと、ござぃ…ます…しれぃ」

 

褪人「うむ。無理に喋らなくてもよい。ゆっくり休め、私がずっと側に着いておくから安心したまえ」ヨシヨシ

 

秋月「ん………」スゥ

 

 

 

瑞鶴「…また眠ったみたい」

 

翔鶴「秋月さん…このまま元気になってくれることを祈ります」ウルウル

 

翔鶴は涙目でとても不安そうにしている。

彼女は秋月と昔からの付き合いで、食事が喉を通らなくなってからはずっと心配していた。時々食べさせたりしようともしていたがそれも叶わず…。

 

褪せ人はそんな翔鶴の悩みを代わりに晴らしてくれた。彼女にとってもそれは救いなのだ。

 

翔鶴「ありがとうございます…!こんな素敵な人に、さっきの私は何て…ことを……」グスッ

 

褪人「よいよい、私は細かいことは気にせん。それに貴公らの境遇を考えればそうするのも致し方無い」

 

…それにあのまま戦っていたら、どちらかが死んでいてもおかしくなかったろう。彼女らの武器はそれ程に危険であるし、此方の赤獅子の剣技もそれ程に強力で、故に残酷なものなのだ。

 

 

 

秋月「……」zzZ

 

褪人「…どうやら熟睡しているらしい。心なしか先程より楽そうな様子に見える」ヨシッ

 

褪せ人は安心すると共に軽くガッツポーズを取る。

 

一方、状況の動向を伺っていた長門はさっきから壁に寄り掛かり黙っていたが、その様子を見るなり動き出した。

 

長門「終わったか?」スッ…

 

 

褪人「ああ、長門もありがと…」クルッ

 

振り返ると、彼女はこちらに再びその主砲を差し向けていた。

 

長門「ならば今度こそ用済みだな。大事にもならぬよう、ここで葬ってやる」キッ

 

翔鶴「え…」

大淀「な、長門さん!?」

 

 

褪人「………」

 

 

長門はまだこの鎧塊の命を諦めていなかった。

ほぼゼロ距離に向けられた艤装はもはや抵抗しようもない。

 

褪せ人は、まさに絶対絶命なのであった。

 





由良ちゃん出るタイミングが無く申し訳ねえ…(・ω・`*)
艦娘寮の方で皆を守りながら褪せ人の無事を祈ってると思います、たぶん。

由良ちゃんといえば、丹鉄とのコラボやってますよね~。作者も住まいが近ければ行ってみたかったです、はい(°▽°)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。