ヴァンパイアに転生したんですけどスローライフしたいです。 作:麗紫 水晶
どうもです、何度も言わなくても分かる!……と言われそうですが、第2の人生をヴァンパイアに転生いたしました”雅 煌太(みやび こうた)”こと、リュードです。
元の世界じゃ、しがないオッサンサラリーマン、人生さようなら……と思っていた矢先に、いきなり異世界転生!?
しかも、場所も人種も動物も大陸もさっぱり分からないこの世界で、ここでもぽっちか……と思っていたらあれよあれよと僕(しもべ)が出来てしまって……。
後々、成り行きでラザルドと言う街が、ラーウッド男爵と言うヴァンパイア貴族に襲われて壊滅的状況に……って私のせい?
私も命からがら男爵を倒したものの、悲惨な状態でした……。
あまりの光景にショックを受けた私は、何とか街を再興したいと相談し、僕(しもべ)達の手を借り、動き始めたのです……。
同時進行で進めようとなり、二手に分かれて行動に移し、私達は何とかエンルージュの樹海で拠点となる場所を見つける事が。
それは岩山から大きな滝が流れ落ち、地面は泉となっている場所でした。元々、水源地確保は必須条件でもあったので、そこを拠点に置いて街を造る事にしたのです。途中で巨大なサーペントに遭遇しましたが、一緒に行動していた2人のお陰で倒す事が出来ました。魔物が上位種だったのは驚きましたが……。
取り敢えずは、女性2人も同行しているので野宿と言っても、モンスターだらけの樹海の中…開拓も何もされていないこの場所で……危険を少しでも回避したいと思って、小屋を建てる事に。
幸い、回りには豊富な木々が沢山あり柵まで作ることが出来ました。
出来栄えだけは……聞かないで下さいね……プロの技術は持ち合わせてはいないので半分は見よう見真似です大工さんには足元にも及ばない……。
で、水浴びしている彼女達を迎えに行き、戻って来た時にとんでもない事が起こっていました。
ミレーヌと名乗るヴァンパイアが私と対決したいと言い出したんです!
初対面でなんつう事を言い出すんでしょ!訳が分かりません、ヴァンパイアってこんなのばっかりなんでしょうか……?
しかも、自信があるだけあって動きが速くて攻撃がスムーズです。今も彼女の武器である大鎌の切っ先をかろうじて躱しましたが、あとちょっと遅れていたら……想像したくありません。確かに強い!大きな魔気を放ちながら更に刃先にまで魔気を付与している……油断している訳では無いですが、一度でも気を抜いたら一瞬で真っ二つにされそうです。
ですが、私には戦う理由が……?
「別に貴様に敵意等はない。まして敵討ちをしたい訳ではない。純粋に貴様の実力が見たいだけなのだ……まあ、嫌だと言うなら小屋を破壊するだけだがそれでも良いか?ww」
口角を吊り上げてニヤリとしながらなんつう事を……。拒否権が無いように思われますが?気のせいではないですよね?……やっぱり……。
「ふっ…やれやれ、こんな美人に絡まれるとは……勝てるかどうかは分かりませんが、どうかお手柔らかに。」
それを聞いてすかさず反応する者が……。
「美人………?」
「美人ですか……?」
ひっ!ひぃっ!後ろからヒヤリと殺意の籠った声が2人ほど………。ゆっくりと後ろを見ると、こちらも口角を吊り上げてニヤリとしながらも目が笑っていないアリシアとルージェが魔気ではなくて殺気を放っておりました!!
オーマイガッ!!
「い、い、いや、二人も十分に美人だし魅力的だよ。私は二人を大好きだけど、それではダメかい?」
「あっ、いえ……その……ぽっ。」
「べ、べ、べ、別に、き、気にはしていないが……(照)」
二人が好きと言われて顔を真っ赤にして動揺していました。ふうっ、自分で言うのもなんですが、罪な男ですねw
でも、まずは2人から離れて戦わないと。
私はキュアをミレーヌに向けて一発射ちます、見事にかわされますが少しずつ遠ざける為にキュアを放ちます。
「ふんっ、そんな攻撃では私には当たりもせぬ。私を馬鹿にしているのか?」
そう言いながら、大鎌を横に斜めに凪ぎ払って来ます!やはり扱いに馴れている、片手であるいは両手で振り回します!ちょっとでも当たれば致命傷になりかねません!
しかし、後ろの2人とは距離が取れた。ならば反撃と行きましょうか。
私は、彼女の攻撃をギリギリにかわしながらキュアをいろんな方向へ向けて6発全弾射出しました。
「どうしたのだ?狙いが定まらぬ程腕が鈍ったか?私の思い違いだったかの……。」
ちょっと残念そうな顔をしています。期待を裏切ったつもりは無いのですが。
「いえ、腕が鈍った覚えはありませんが。」
「なに?」
私の魔銃で相棒であるキュアは私の血を弾丸とし、しかも銃口を向ける先を他には見えない弾道が現れます。なので相手は銃の扱いが素人なのでは?と油断し隙が出来る……ずるいかもですが、私も必至なので……。
四方八方とはいきませんが六方向からの私の血の弾が同時に彼女に襲い掛かってました!
「ちっ!」
咄嗟に彼女は羽根を閉じて真下へと落下します!
私の血の弾は相手に当たること無く全弾ぶつかり合って飛散しました。彼女は再度羽根を広げ、地上への落下を防ぎます!流石戦い慣れしている。簡単にはいきませんか……。
「ふ~ん……おぬしの銃は弾道が見えるのか……面白いの。」
う~ん、やはりバレましたか。まあ、弾をかわされた時点で見当をつけられてしまうのですが、察するのが早い。
「その通りです。見抜かれたのは貴女が初めてですね。」
「お褒め頂き光栄だの。ならば今度はこちらから行くぞ!」
ニヤリと妖艶な笑みを浮かべて、一瞬で間合いを詰めて来ます!
私も爪の剣で身構えますが、彼女の鎌の太刀筋が速い!!上から横から斜めからと縦横無尽に繰り出して来ます!受けるので手一杯の状況です!少しずつ推されている……。
「リュード様!」
「リュード殿!」
後方で2人の美女が心配してくれてます、こんな幸せ者で良いのか私……。
「どうした?お主ももその程度か?」
攻撃の手を緩めずに、余裕の笑みを溢しながら勝利を確信したような顔つきです。しかし今のままでは……ですが。
「フッ、では反撃させて頂いても?」
「お主に出来るかの?」
「では、遠慮なく……。」
「ならば我も応えよう、“薔薇狩り(ローズハンティング)”」
魔気を全身と鎌に帯びて、一輪の薔薇のイメージを思わせる直立に、手前で鎌を回転させて近寄って来ます!いきなり右斜め上から振り下ろして来ました!私も辛うじて爪の剣で受け流すも、彼女が無表情のままなのでどのタイミングでどの方向からの攻撃か読み取る事が出来ません!
しかし私も反撃すると言いました、このままやられる訳にはいきません!
私は爪を戻し、キュアを構えて銃口を相手正面に向けます。
「……破裂の弾丸(バーストバレット)……」
引き金を引いて一発の紅い弾丸を放ちます。それは回転しながら僅かな雷を帯ながら……。
「ちぃっ!」
彼女は先の弾丸とは違う事を咄嗟に判断し、鎌の刃の横面で受け止めようとします!しかし、弾丸が触れた瞬間に大爆発を起こし急激な勢いで後方に吹き飛ばされていました……数本の木々を薙ぎ倒していました……。
「お嬢様!」
執事さんが、彼女の元に飛んで行きます。
私はキュアをポケットに戻し、一呼吸しました。
「か、勝った……。」
「リュード様が勝った!」
2人が走って私の元に駆け寄り、アリシアが抱きついて来ました。
「ごめんよ、心配かけたね。」
「リュード様が無事で良かったです……。」
「ありがとう。」
頭を撫でて、抱き締めていました。こんな気持ちになるなんて元の世界じゃ全くあり得ません!何せモテた事すらなかったんですから……。
私は、2人を小屋の方へ下がらせてミレーナの元に。彼女は木を背にして踞っていました。反撃する気力も失っている様です。傍には執事のアラネロさんが。
私は近付いて彼女を抱き起こします。そして持っていた血液の小瓶の口を開き、彼女の口にそっと流し込みます。ゆっくりと喉を鳴らしながら飲み込みました。すると、彼女の無数の傷が回復していきます。
「………良いのか、我に血など飲ませて。大事な物であろうに?」
「それはそうですが……貴女に殺意を感じなかった事もありますが、貴女と殺し合いをする理由がありません。かといって、私の血では貴女を滅ぼしかねないと思ったのでこうしたまでです。」
「……フフッ、そうか……我の完敗じゃ。気に入った、お主の僕になろうぞ。」
「……はいっ?」
え!?今なんて?僕になると仰いましたか?マジで?ホントに?…………エエエエッッ!!
「い、い、いや、ちょっと待って下さい!ミレーナさんて貴族ですよね?なんの地位も無い私の僕になるなんて、良いんですか?」
「我は負けた、それにお主が気に入った。お主はいずれ頂点に立つであろう、傍に居れば側室位には成れよう。正室でも構わぬぞww」
コラコラコラ!さらっとなんつう事を!アリシア達が聞いたら大騒ぎです!この場に居なくて良かった……。
まあ、僕になってもらった方が敵対するよりは遥かに良いわけで味方は多いに越したことはないですしね。
「分かりました、では契約しましょうか。」
その場で契約の儀を行い、ミレーナは僕・仲間になったんです。
あ、でも執事のアラネロさんはどうなんでしょ?
「差し支えなければ、お嬢様をお願いいたします。私はお嬢様に付いて行くだけに御座いますので。」
素晴らしい……見事な執事っぷりですよアラネロさん!
先ずは、ミレーナ達を小屋へとご招待……造りは……言わないで……。
早速、アリシア達に僕として仲間になった事を伝えて一緒に中へ。最初は当然、半信半疑でしたが話すにつれ次第に打ち解けて仲良くなってくれました。
彼女は本名をサキュド・ミレーナと言い、サキュド家頭首で子爵の地位にあるとの事。
話を聞いていくと、“侯”爵家と“公”爵家とが派閥争いになっていて彼女はどちらに付く気は無かった様で誘われても断って来たのだとか。丁度良かったのだとの事でした。下位のラーウッド男爵は侯爵側に付いていたとかで、相性が悪かった様です。
「我もあの男は好かんかった……優しいマスクではあったが裏では究極のドSで変態、残虐性も秘めておったからの。生理的に無理じゃ。」
話の中でラーウッド男爵をどうやって倒したのかと聞かれ、その場に居なかったアリシアも改めてそれに食いついて話しに興味津々に。
私はルージェと苦笑いしながら事の顛末を話していました……。
執事さんが、皆に紅茶を入れてくれます。いついかなる時でも模範となるような行動、感動モノです………ん!?この紅茶一式どこから出したの!貴方魔法使いですかっ!
「ほう……あの厄介な男を良く倒してくれたものだ。流石は我が夫になるに相応しいww」
エエッ!まだお返事してませんが!
「ちょ、ちょっと待って下さい!ミレーナさん!抜け駆けは駄目ですからね!」
「ほう、ではアリシアが正室になると良いな。我は側室で良かろう、ルージェも側室で良いか?」
「え、エエエエっ!せ、正室って……し、しかも側室って……」(焦っ、照・照・照)
「い、い、いや、私は……その……。」(モジモジモジ……)
ははは、2人共顔を赤くしてしどろもどろになっちゃった……ミレーナさんは小さく舌を出してウィンクしてくるし……完全にからかってますよね、これ。
「クスクス……からかい概がありそうだのww」
「やっぱり…あんまり苛めないで下さいよ。」
「何を言う、我は2人が可愛いだけじゃ。」
微笑み返してくる笑顔は素敵で、ヴァンパイアを疑いたくなります。こんな素敵な女性が増えるなんて、なんと心強い事か……。
後は準備をどう進めるか……皆で相談しあっていました……………。
読了ありがとうございます。飽きること無く、引き続きおつきあいのほどよろしくお願いします。