ヴァンパイアに転生したんですけどスローライフしたいです。 作:麗紫 水晶
いやぁ、皆さん!この度なんとヴァンパイアの僕が増えてしまった“雅 煌太(みやび こうた)”ことリュードです!
ミレーナ……彼女はヴァンパイアの子爵だそうで、かなりの手練れです。しかも上の階級貴族さん達は派閥争いが勃発している様で、幾度と誘われても断って来たんだとか……。
でも何故か爵位などに全く縁の無い私に僕になることを望んだ……勿論!敵対されるよりはよっぽど有り難いんですけど。
私も元の世界じゃ、中年のサラリーマン。でもってモテた事など一切無い、ぽっち人生……異世界に転生し、しかもヴァンパイアになってからは……幾度と命懸けの試練もありましたが……僕が…仲間が出来るなど……この上ない至上の喜び………。
今は2手に手分けをして行動しており、私はエンルージュの樹海に拠点を作った所でした。
その時に、新しくヴァンパイアの僕が出来たんです。名をサキュド・ミレーナと言います。光栄至極ですね!
おっと、ちなみにヴァンパイアにはヴァンパイアの貴族があるそうで、人間には人間の貴族があるとの事。なので、人間側のラスマンド侯爵にヴァンパイア側のラーウッド男爵が派閥に……と言う事ではありません。紛らわしいんですけどご容赦くださいね。
それぞれに貴族や派閥があるとだけ認識頂ければ……。
それで話しは戻るのですが、私達は街を創る為の準備を進めるべく拠点とした小屋の中で、話し合っていました。(すいません、小さい小屋で……。)
「う~ん、街の人々を呼ぶにしても街道と安全を確保しないとだね。」
「そうだな、開拓するには人手が居る。人数を揃えるにも、ここに来られないと意味がない。」
ルージェが、同意だと頷いてました。
「そう言えば、資金の方はどうなっているのでしょう?人を雇うにもお金が必要ですよね……。」
アリシアその通りです、開拓には場所と資金、人手が必要になります。ましてここは樹海の中……安全管理が最重要、その上で人々を説得しないといけない……課題は満載です。
「フム、先から話の出ている資金とはどうやって集めておるのじゃ?」
不思議そうに、ミレーナが訪ねて来ます。確かに彼女には話していなかったですね、私は2手に別れてサリーナとバルジオが僕として仲間として居る事を話し、2人が私の持っていた血晶石を3等分に加工し、買い手を探してもらっている事を話しました。
「一件は買い手が着いたと聞いたけど、後2つはどうなったか……。」
「…ほう、ならばその一つを我に譲ってくれぬかの?」
「えっ!?」
ちょっ……?そんなにお金持ちなんですか?私が目を丸くして驚いていると、とんでもない爆弾発言が……。
「フフ…なに、これで主殿との結婚指環でも創ろうと思うてのww」
「わっ!私も買いますっ!」
「えっ!アリシアも?」
いや、食い付くとこそこ!あなた予算があるんですか?
「わ、私もそれなら……。」
ル、ルージェまで!?無理は駄目だよ無理は……。
「我はそれなりに資産がある、3つに分けたのなら血晶石の価値はそのままでも大きさで値段をつけているのであろう。ならば我にも買う事が出来ると思うての。主殿はどう思う?」
「……な、成る程。確かに確実に売れそうな価格にするために、3等分したんだろうし……。」
確かに一つのままでは値が張りすぎると3つに小さくした訳で、少しくは買いやすくなったと言う事。但しそれでも簡単に買える金額じゃない事だけは確かです。
なので、いくらミレーナでもそんな大金あるのかな?
「聞いてみてくれぬかの?幾らぐらいを考えておるのか?貴重な宝石であるし、まして主殿のとなれば尚更手元に置きたいしの。」
「それには同意だな。」
「私もです!」
いや、3人とも…なんて嬉しいことを……め、目頭が……最近涙脆くていけない……。
「じゃ、ちょっと聞いてみようか?」
私は早速サリーナ達に連絡を取ることにしました。
商談中でなければ良いのですが……。
(サリーナ?サリーナ聞こえる?)
(はっはいっ!リュード様!声が聴けて光栄です!ご無事でしたか?)
(ありがとう、大丈夫だよこっちは拠点を設置する事が出来たよ。)
(おめでとうございます。リュード様ならと心配はしておりませんでしたわ。)
(信頼してくれて光栄だね。久々にサリーナの顔も見たいな。)
(え、え、リュ、リュード様ったら……お帰りになられたら、たっぷりご奉仕しますわ。お待ちしてます。)
(あ、あははは。)
周りの殺意の視線が滅茶苦茶怖いいいぃぃぃっ!
(え、えっと、話しは代わるけど宝石の方はどう?順調なのかな?)
(はい、今現在2つは買い手が付きました。残り1つとなってますわ。)
(凄いね、流石2人に任せて正解だったな。)
(ありがとうございます、恐縮ですわ。)
(それで値段は幾らぐらいで話しているの?)
(その辺に関してはバルジオに話してもらいましょう、バルジオ。)
話しを聞いていたバルジオが話しかけて来ました。
(リュード様、ご無事で何より。)
(バルジオも無事で良かった。ごめんよ、モンスターと違った意味で危険な事をさせているね、済まない。)
(いや、なんと勿体無い言葉……それだけで、心が癒されますわい。)
(……ちょ、ちょっと良いかの。)
不思議そうにミレーナが、割って入って来ました。
(あ、はいはい、良いですよ。)
あ、そうかミレーナも僕の契約したんだから会話が出来ますね。私はミレーナに合図を送ります。
(お、お主、バルジオか?ミレーナじゃ。)
(お、おおっ!ミレーナ様か?大変ご無沙汰しておりました、お元気そうで何よりです。)
なんと!?知り合いだったんですか?
(久しいの。よもやそなたが、主殿と契約しておるとは思わなんだ。)
(はい、彼とは色々と縁がありましてな。彼に興味が湧いた次第で……。)
(ほほ…やはりか、我もそうじゃ。人を見る目は衰えてはおらんようじゃのww)
(こうしてミレーナ様ともお近づきになれるとは、光栄で御座いますな。)
(宜しく頼むぞよ。して、主殿の宝石があと1つと聞いたが?)
そうそう、その二つ目は誰に売れたのか……。
(はい、あと1つですな。)
(では、我が買い取ろうぞ。幾らじゃ?)
(おお、ミレーナ様が?良いのですか?¥□□□□□□□□□になりますが?)
(分かった、用意しよう。これで、先に進めるのじゃな?)
(ありがとうございます、その通りです。)
いや、ちょっと待て!さらっと物凄い金額が飛び出したんですが!!平然と応えるミレーナも凄すぎて怖いっ!
(す、凄いですわ。ようやくリュード様の夢が一歩前進ですわね。)
(そ……そうだね、2人共ありがとう。)
余りに価値観が違うようで動揺が隠せません……。
(当然の事をしたまでです。)
(そうですな、我らはリュード様に仕える身……リュード様の夢を実現させる事こそが至上の喜び……。)
(う、うん、宜しく頼むよ。)
ホントに皆頼もしい限り……この絆は大事にしなければ……。
(よし、それじゃ5日後には1度そっちに戻るよ。街の人々に説得と開拓をするための人員を集めないとね。)
(分かりました、お待ちしております。)
(では。)
バルジオ達との念話が終わって、まずは一段落です。でもまさかミレーナとバルジオが知り合いだったとは……いつか、きっかけを訊いてみようかな。
「さてと……先ずはここに着くまでの道を確保しないとだね……う~ん。」
そうなんです、開拓者を集める事が出来たとしても辿り着く事が出来なければ意味がありません。どうしたものか……。
「主殿よ、我に妙案がある。我の僕達を使こうてはどうじゃ?」
「え?僕……って?」
「フム、我の城の周りにはスケルトンの軍が守っておっての。指揮官は“リッチのメリザ”が仕切っておる。人間の時にはかなり高位の魔法使いであったとか。リッチになり、さ迷って居たところを我が拾ったまでじゃ。我と契約を交わし、今や2000体程のスケルトン軍団を引き連れておる。頼りになるぞ。」
はあぁぁっ!2000体って……それだけで街が作れそうなんですけど?
「そ、それって…ホントに良いの?」
「うむ、メリザには話を通しておくでの。我も資金を取りに、1度城に戻ろうぞ。」
「ありがとう、ミレーナ。助かるよ。」
「我が主殿の為じゃ、遠慮は要らぬ。」
「それじゃお言葉に甘えさせて貰うよ。」
「リ、リッチ………。」
ああ……そうだね、アリシアには嫌な過去があったね……私がそいつを倒したまでは良くても気持ちとしては辛いよね……。
「あのさ、ミレーナ。“リッチのガルド”って知ってる?」
その名を出した途端に不機嫌な顔に。
「なに!ガルドじゃと!主殿、あやつを知っておるのか?」
おう、怒り気味の口調ですね。嫌なことがあったのかな?
「うん、アイツはアリシアの魂を奪おうとした……。」
「なんじゃと!」
益々語気が強くなります。余程の事があったんでしょうね、何となく分かる気もしますが……。
「で、でも、リュード様が助けてくれたんです。そのリッチを倒して、命を救ってくれました。リュード様は私にとって大切な恩人です。」
「ほっ?ガルドを倒した…じゃと?」
今度は驚いてます、表情が豊かですね~。
「アンデッド系でもリッチは上位種じゃ。あのラーウッドでも手こずる相手だった筈じゃが……まさか倒してしまうとはの。道理でラーウッドも主殿には勝てぬ訳じゃ。」
いや、かなり手こずりましたけど!命懸けだったんですから!ミレーナの中で納得しないでね!
「その様な事があったのかえ。あやつはかなりの異常者での、実際に実験と称して色んなキメラを創ろうとしておった…その為に色んな生き物を拐ったりしておったのじゃ。」
うわぁ……想像したくないけどしちゃった……気持ち悪!はぁ、アリシアとルージェも青ざめちゃってる……。
でも、そのとんでもない奴を倒す事が出来たんだからそれ以上の被害にならないことを祈るばかり……。
私は2人を抱き寄せました。
「大丈夫、私にそんな趣味はないしそんな事はさせない。守ってみせる、私の大切な人達をね……。」
「リュード様……。」
「リュード殿……。」
2人は私の胸に顔を埋めて穏やかな顔をしていました。必ず守ってみせる!
「安心するとよいぞよ。メリザはのその様な異常な事はせんし、あやつもガルドにはほとほと参っておったのじゃ。執拗に番になれと迫って来るし、スケルトンの上位種の者達を寄越せとも脅してもきおった!え~いっ!思い出すだけでも腹が立つ!」
はぁ…成る程それで名前を出しただけで嫌な顔をしたんだ…怒る気持ちは分かります、ミレーナが怒るなんて余程の事ですからね……。
「しかしじゃ、あのガルドを主殿が倒してくれた……メリザがその事を聞いたら嬉々として手伝ってくれようぞ。我も鼻が高い。」
「そうなの?それなら有難いね、宜しく伝えて。」
「うむ。では早速戻るとするかの、良い手土産が出来た……アラネロ。」
「はい、お嬢様。」
「今夜中に戻るぞよ、早速メリザには隊を分けてこちらに加勢する様に命じねばならぬ。」
「承知しました。外を確認致します。」
言うか否や外へと出ていきます。やはりベテランです、感心させられてばかりです。
「お嬢様、外敵は居ないようです。」
「分かったのじゃ、では参るぞ。」
「はい、お嬢様。」
執事のさんと共に月が輝く夜空へと飛び立ち、城へと戻って行きました。
「さてと、今日はもう休もうか。明日にはメリザさんが軍団を引き連れて来るだろうから、お迎えしないとね。」
「そ、そうですね……。」
「そ、そうだな……リュ、リュード殿…その……一緒に寝ても良いかな?」
「わ、私も……良いですか?」
へ!?い、一緒に?め、滅茶苦茶緊張する!
「だ、ダメか?」
「ダメですか?」
こらぁ!頬を紅くして上目遣いで迫って来るとは、ズルいぞ!
「い、いや、ダメじゃないけど……。」
そう言った途端に、私を挟む様にくっついて来ました。これってもしや、添い寝って言います?
「え、ちょ、ちょっと2人共……。」
小さな寝息を立てて寝てしまいました。可愛い寝顔です………でもね!私がドキドキしちゃって眠れないんですけど!これってもしや、蛇の生殺しと言う奴では?駄目だ……明日持つかな私……そんな心配は他所にして夜は更けて行くのでありました……………。
読了ありがとうございます。次回もおつきあいくださいませ~ぐふっ。