ヴァンパイアに転生したんですけどスローライフしたいです。 作:麗紫 水晶
失礼しま~~す……わたくしヴァンパイアに転生し、僕が増えて街を再興するために頑張っている“雅 煌太(みやび こうた)”ことリュードです……。
私に付いてくれた僕達が優秀で、なんとかラザルドの街の住民を説得しエンルージュの樹海の中に拠点を置いた新土地に引っ越してもらうことが出来ました。
そのための予算や、人材確保、作業員や従業員の頭数を揃え新しいスタートを迎えて欲しい……安心して暮らしてもらうためにも私も人力ならぬヴァンパイア力を駆使して行こうと思います。
…大変助かりましたよ、私がヴァンパイアであることを分かったとしても付いてきてくれた……普通は信用できないでしょうけど、納得してもらえた……感謝しかありません。だからこそ、住民達を守ります!
まずは寝泊まりする場所や、食事処、公衆浴場を開放し1,2ヶ月はその費用を予算から出そうかと。そして給金も出して安心してくつろいでもらうとして……。
「皆、生き生きしておりますな。」
「そうだね、やっと少し気が晴れたよバルジオ……。」
「リュード様……。」
最初の拠点の屋上?いや、ついでに作ったんですけど。そこから雲の無い綺麗な月明かりと松明の灯りがあちこちに見える宿屋等を見渡しながら話してました。
「皆、これからの生活に期待しておる様ですな。」
「うん、でもこれからが本題だね。本当の街の繁栄と住民の幸せはこれからの彼等と私たちに掛かっている……。」
「大丈夫ですよ、リュード様。」
「アリシア……引き継ぎは出来たのかい?」
「はい、無事にスタッフも配置が出来て準備万端です。」
「良かった、いよいよだね。」
「旦那様の街作りが本格始動ですわ。」
サリーナ達も集まってきました。
「今は作業を止めて、スケルトン達に周りの警護を固めさせておる。メリザもついておるゆえ住民が襲われることはないであろう。」
「成る程そうか、ミレーナ。明日は早速スケルトン達を紹介しないとだね。」
「承知しておる。工夫達を集めて話すつもりじゃ。」
「私も一緒に行きますので大丈夫ですわ。」
「分かったよ、サリーナ、ミレーナ、2人とも頼んだよ。」
「はい。」
「任せるのじゃ。」
二人とも頷いてくれました。ほんっとに頼もしい限りです……。
「…パパ……。」
「……!?、!?、!?、!?」
私の足にすがりついてきたのは可愛い女の子。今回、身寄りが無い彼女を私が引き取ることにしましたが、まさかパパだなんて……。
「パパ……?」
「パパですか……?」
「パパなんだ……?」
「パパとはのう……?」
ギャア!怖い怖い怖いっ!!囲まれたぁっ!!誤解だぁ!助けてぇっ!
「ユナ、パパと一緒にいゆの!!」
いや、今それどころ………ほっ?今名前を言った?
「ユナちゃんて言うのかい?」
私は彼女に目線の高さを合わせました。
「うんなの。」
「良い名前だね、でも私がパパで良いのかい?ホントのパパとママが寂しがらないかい?」
「いいの!一緒にいゆの!……ダメなの?」
う……ウルルン目線が……おじさんには耐えられない!思わず抱きしめてました……。
「分かった、ユナと一緒に居るよ。」
「リュードパパ……ありがとうなの……。」
お互いにしばらく抱きしめてました……存在を確認するかのように……私にも責任はあります。彼女の両親を助けることが出来なかった……他の人たちもそうです、肉親や恋人、妻や子供、夫や息子等……私には助けきることなんて出来なかった……だからユナを……償い?……いや、そんなことで片付けられやしませんが……。
私はユナを抱きかかえて立ち上がりました……。
「ユナ、一緒に暮らそう。周りにはユナを嫌う者なんて誰も居ない、私を含めてねw」
「うんなの!お姉ちゃん達よろしくなの!」
「よろしくねユナちゃん!」
「よろしくユナ殿。」
「よろしくですわユナさん。」
「よろしくのユナよ。」
「よろしくユナちゃん。」
打ち解けたようで何よりです。この子が将来、名うてのヴァンパイアハンターになろうとは……おじさん怖っ!
あっ、辛うじて私は討伐されませんけどね……ホッ……。
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「何だと、街に人間どもが居ないだと?」
部下の報告を受けて疑っているのはリアストリーニ公爵(ヴァンパイア側の)で、私を連れて来いと部下に命令した人物です。
「はっ、しかも各門に張り付いている騎士達はいまだ誰も気づいていない様子で……。」
その報告をしているのは命令を下されたイグニスト近衛隊長(ヴァンパイア側の)その人でした。
「どう言うことだ?」
「何者かが転移の魔法を使い、生き残った人間達をどこかに連れ去ったかと……。」
「馬鹿な……そのような大人数を魔法でなどと……我らヴァンパイアの他に上位の魔法を使える者など……。」
「しかし、現に門を閉鎖している騎士達が気づかないで居るとあれば、後は地面にトンネルを掘り抜け道を作るしか方法は無いかと。」
「フム……ならばそこはそのまま放っておいて良い。それよりも人間どもが何処に行ったのかを調べるのだ、そこに奴も居るであろう。」
「はい、では。」
「精鋭を率いて行くが良い。多勢では見つかるリスクが高いしな。」
「御意。」
謁見の間から退出するイグニスト近衛隊長、公爵も玉座で肩肘を付きながら口角をつり上げてました。
「ククク……好都合だ、先に奴らを見つけ出してやろう。」
何やら私たちの知らないところで動きがあるようで…………。
ここは、近衛団の訓練場。ヴァンパイアの団なので元から強さは折り紙付きなのですが、下位のヴァンパイアのようにただ命令に従って人間を襲って吸血すると言う意思のない者達にならぬよう、それぞれが意思を持ちその上で団に所属する忠実な部下を育てる意味で訓練場がありました。
なので、むやみやたらに女性を吸血するという行為は抑えていると言ったところです。
その訓練場に隊長であるイグニストさんが現れました。団員は訓練をしていた所です。
「皆、集まってくれ!」
隊長のかけ声に隊長の前に全員集まりました。
「どうされたんですか、隊長?」
一人の団員が不思議そうに尋ねます。
「今回、とあるヴァンパイアを捕獲する命が出た。大人数では見つかって逃げられる恐れがあるとのことでリアストリーニ様が選抜をして事に当たれ……とのことだ。」
「では、誰を?」
「うむ、これから名を呼ばれた者は前に。」
全員、横一列に並びます。
「ジストリア。」
「はっ!」
今、名を呼ばれた女性のヴァンパイア団員は剣の腕もそこそこに魔法も使えます。団員の中では優秀な方でしょう。黒髪のストレートのロングヘアで端正な顔立ちをしています。
「次、アルビスト。」
「はっ!」
彼は、銀髪のウェーブの掛かったショートヘアで剣の腕は確かです。こちらも美男子と言った感じです。なぜか美形が多い……。
「次、アルマーク。」
「はっ!」
彼は黒髪のポニーテールで魔法特化のような存在です。腕の力がない代わりに上位の攻撃魔法を扱える存在です。
美形なのが……言わなくても分かるって?ごもっとも。
「次、イストリーネ。」
「はっ!」
彼女は赤髪のロングヘアを三つ編みにしています。アルマーク同様、腕の力は無いですが上位の支援系魔法を使います。美……すみません……。
「次、イリーシャ。」
「はっ!」
彼女は、黒髪のショートヘアで弓使いです。短剣はそこそこに出来ますが遠距離攻撃が得意なようです。
顔は……言わずもがな……。
「以上の5名を選抜隊とする。各自準備の上、私の元に来るように。」
「「「「「はっ!」」」」」
5人は敬礼の後、すぐに行動に移ってました。イグニストさんを含めてこの6人が私を狙ってこようとは今の時点では知り得ませんでした……ま、当然ですけどね……。
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またまた変わってこちらはラザルドの街。
「ふぁあ、おい街の中を見回りして来いってよ。」
「今更どうなんだ?だって誰も出入りが出来ないように各門を閉鎖してるだろ。」
「街の住民が反旗を起こさないように見回れってさ。」
「はぁん、あれだけの被害だぜ戦う力も無いだろうに。」
あきれ顔の2人の騎士は他の騎士に門を任せ街の中の見回りに。しばらく歩いていた2人はおかしいことに気づきます。
「おい、じゅ、住民は何処に行った?」
「お、俺に聞かれても分かるかよ。一人も見当たらないぞ……。」
「どうなってやがる……。」
2人は建物の中や、陰や茂み、中央の広場まで住民を探しながら進んできました。
「ま、まずいなこれは……。」
「ああ、団長に報告しないと……。」
2人は頷きあって、足早に門へと向かってました。やっと事の次第に気づいたようで、私たちには好都合でしたけど。彼らは青ざめて向かっていました。
「なっ!なんだとっ!!」
怒鳴り声を上げたのは言うまでも無く騎士団の3番隊団長さん”リブレスト”です。地位はルージェと同格でしたが強さは引けを取りません。茶髪のショートヘアに銀の甲冑を装備しています。特製のロングソードを腰に帯刀し、細マッチョと言った感じでしょうか強さの雰囲気……と言うかオーラが出ています。かなりの手練れでしょう。
「街の中は女子供老人に至るまで、誰一人居りません!建物や住居を残したまま、完全に消えました!」
「馬鹿な……どうやって……。」
分かります……普通そうなりますよねぇ……。
「伝令を出せ!王都に至急報告だ!指示を仰ぐ!他の者はここに数名残し残った全員で街の中をくまなく調べろ!どんな些細なことでも見逃すな!」
「「「「「「ははっ!」」」」」」
早速リブレストさんが命令を下します。団員達もそれに習って動き出しました。まあ、証拠も残ってはいないと思うので何処へ行ったのかまでは知り得ないと思いますが……。
その後々です、騎士団も街外へと探しに動き出したのは……もう、十分遅いですけどねw
「街の住民が……消えた!?」
「はい、それで騎士団が慌てて居るようです。」
こちらはラスマンド侯爵(人間側の)邸。ヒューイ宰相(人間側の)と執務室で話を交わしていました。
以前、バルジオとサリーナが血晶石を売りに行った御仁です。バルジオの遠縁に当たるとのことで、バルジオも遠からず王族なのだと後で聞かされました。いざというときは力になってくれそうです。
「確かにバルジオ達からは住民を助けるべく動いていると聞いてはいたが……。」
「そうですね、生き残った住民といえどかなりの大人数のはずです。しかも門を通らずに消え去ったとなると……転移の魔法を使ったとか……。」
「いや、それは上位の魔法で魔力もかなり消費するはずだ。そんな上級の魔法使いが居るとは思えんが……?」
「しかし、現実にあの街は今やもの家の殻になっております。それほどの使い手が居ると思って間違いないでしょう。」
「う~む、それでは一体何処へ行ったのだ……?」
「そうですね、手がかりが……あっ。」
ヒューイ宰相が何かを思い出したようです。
「どうした?」
「ラスマンド様、一つだけ方法があります、お忘れですか?」
「ん!?何がだ?忘れている……?……!!まさか……。」
「はい、そのまさかです……。」
何やら思いついたようですが……それぞれが動き出したのは言うまでも無く、私たちは街作りの為に住民の人たちと交流しながら一丸となって労働していました。周りがそんなことになっているとはつゆ知らず………………。
読了ありがとうございます。次話もお付き合いくださいませ……では。