ヴァンパイアに転生したんですけどスローライフしたいです。 作:麗紫 水晶
改めて、自己紹介……え?……要らないって……ま、まあそう言わずにお付き合いくださいませ。このたびヴァンパイアに転生しました”雅 煌太“(みやび こうた)こと、リュードです。
ラザルドの街に生き残った住民を説得し、エンルージュの樹海の中へお引っ越し!
でも、新しい土地に来て不安もあるとは思うのですが衣食住の食と住、仕事の斡旋は提供できたことに少し安心しております。
私の周りの僕(しもべ)達には感謝しかありません。私だけではここまでたどり着くことも出来なかったでしょう……。
今度の街はより強固にし、安心して暮らしてもらえるように頑張ります。
引っ越しして住民の皆さんは食事とお風呂、宿でのベッドに何日ぶりだ?と大喜び!そのお陰か次の日から住民の皆さんも早速働き始めました。
男手の1部は道路工事の方へ、1部は木材や石材、その他の資材を荷車を作って運搬、1部は本職を通して店や住居等の建物を建てていきます。宿屋、食事処、浴場等々そちらにも別途、男女スタッフを雇い入れて対策はバッチリかと。
いや、大工さんの指示のもと建物が次々と建てられていきます。店舗や一般住宅……感動ですよ、人数と職人が居るとこうも違うのかと改めて感服です。何せ素人の私が建てるのとは訳が違いますから……。
住民の人達も元のラザルドの街で絶望しながら明日のご飯にもありつけるかどうかも分からない生活を強いられる事より、働いて給金も貰えてちゃんとした屋根の下で安心して寝る事が出来る……それはごく普通の事であっても、無くなってみると改めて大事なんだと実感します。みんな大変喜んでくれました。
少なからず、生活面のケアは出来たのかなと。
ただ、街作りが始まったばかりなので後々問題ごとは出てくると思ってはいます。その都度改善しつつ、発展してくれれば良いかなと思いながら……。
とかく周りの領主や貴族達が動き出したようですが、今の私たちには街を作り上げることで精一杯。動いていることすら知り得なかった訳です。
で、道路工事の現場では、日中も工事が進められていました……ん!?……あれ?作業してるのって……いや、住民の男衆もも居ますけど、片やスケルトンですよね?スケルトンに日の光はやばいんじゃあ……。
「その点は改善済みで御座います。」
「はい!?」
私も進捗状況が気になっていたので、現場に来ていました。住民の作業員さん達とともに頑張ってくれています。
「いや、あの……スケルトンって夜とか暗闇とかダンジョンでしか活動出来ないんじゃ……そ、そんなイメージがあるんだけど……。」
「はい、私を含めスケルトン達全員にミレーナ様が直々に闇の魔力のコーティングを施して貰っております。ですので日光や紫外線と言った影響を受けませんので燃えてしまったり消滅したりする事はありません。こうして、日中でも動けるのはミレーナ様のお陰なのです。」
何それ怖いっ!!だって、約1000体ほど来てるって言ってなかったでしたっけ?……どんだけの魔力量ですか!ミレーナって……実はチートだったりする?
「そう言えば、よく住民とスケルトン達が馴染めたね。」
「はい、そこはサリーナ様が説得してくれまして。最初は勿論抵抗があり馴染むまで少し掛かりましたが助け合えると分かって今は意気投合してますわ。専門の方もいらしてはかどっております。」
「それは良かった、じゃあメリザさんよろしく頼むね。それと合間に休憩だけは必ず取るように。」
「分かりましたわ、お任せくださいませ。」
作業員さん達の所に戻っていきます。スケルトン2000体を動かせるメリザさんも凄すぎると思いますが、ミレーナもメリザさんも魔力限界は無いんでしょうかね?
おっと、待てよ。作業員さん達の休憩小屋も作って置かないと安心して休めないよな。ええっと、丁度この辺りにっと……その街道沿いに一部木を伐り、切り株も掘り出し長方形状にスペースを作ります。伐った木を枝を払って加工し、地杭を埋めていき長尺に加工した板を並べて固定していきます。真ん中中央と間隔を置いて、丸太の太くて長い物を3本、床も丸くくり貫き、地面に突き立てて立ち上げます。壁も間隔を置いて長尺の垂木を組み立て、それに横に長く板を並べて組つけていきます。先の真ん中に建てた丸太の上に縦横に梁を組み付け、壁側の垂木に繋げて骨組みを作ります。後は、壁と同じように板を横に並べて、少しずつ重ねて組み付けていけば屋根も出来て休憩小屋の完成です!
…いや、小屋じゃなくて休憩所ですよねこの広さ……。
平屋の160畳程の長方形の広さで天井は高めですが出入り口を2ヶ所作り、開閉の窓を大小15ヶ所作りました。その休憩所の横に簡易トイレも7つ作り、仕上げたんです。今までの経験と、大工さんにも技術的な事を聞いていたので当初よりもちょこっとですがレベルアップしましたw
「凄いなあんた!」
「これ、1人で建てちまったのか?」
「にしちゃ、立派過ぎんだろ。」
「ありがとよ、助かるぜ。」
「早速休憩にしましょうか?」
メリザの声に、作業員さん達が中を見回しながら感心して入っていきます。
いい日除けになってくれれば幸いかと。炎天下だけに日陰になる場所は必須でしょう、病気や怪我人が出ないようにしないと……。
何とかキツすぎずに男衆全員入れた様です。良かった……そうだ、後で頼んで弁当を配達して貰おう。そうすれば往復する手間も省けるしね。休む時間も出来るでしょう。
これで作業に専念して貰えるな…喜んでくれて良かった……私にはこんなこと位しか出来ないから……。
……道が整備されて、ずっと樹海の外へと向かってます。最初は取り掛かったものの、ほんとに作れるのか不安もありましたけどここまで来たんです、やり遂げなければ……。
(そうだな、今頼んでおこう。サリーナ聞こえるかい?)
私は、念話がある事を思い出しサリーナに連絡を取りました。
(はい、旦那さま。良く聞こえますわ。)
(良かった、お昼に合わせて道路工事している作業員さん達の所にお弁当を配って欲しいんだ。ルージェにも取りに行かせるから。)
(分かりましたわ。食事処で待ち合わせましょうとお伝え下さいませ。)
(分かった伝えるよ、無理言って済まない。)
(と、とんでもありませんわ!私は頼って貰える方が、嬉しく思います。)
(ありがとう、宜しく頼むよ。)
(お任せを。)
よし、ここのお昼に休憩場所は確保出来たと。ルージェにも話をして、食事処に向かってもらいました。
今度は街の進捗状況だね。かなり広くなって来てるけど、周りの魔物の影響はどうなってるかな?住民に被害が出てなければ良いけど。
私は心配をしつつも、颯爽と街の外れの方へ向かいました。
「魔物だ!」
「トライデントウルフだ!」
「下がってくれ!俺達が
殺る!」
何と!思っている傍からこれです!
街の外れで居住の建物を建てている所を魔物が職人さん達を襲っていました。
トライデントウルフとは尻尾の先が銛の様に3つに分かれて固く尖っていて、軽装備の防具では貫かれてしまいます。牙も、相手を麻痺させる毒を有しており、群れで狩りをする厄介な狼の魔物です。
しかし、そこには冒険者パーティーが待機していたようで、7頭居たのですが女性の僧侶が支援魔法を。女性の魔法使いが雷撃の魔法で麻痺を誘いスタンさせて男性の戦士とタンクが、とどめを刺していました。素晴らしい連携です、見ていて羨ましい位です。
…ん……あれ……私って…お役に立てて無い?
「皆さん大丈夫ですか?怪我は?」
「あ、はい、大丈夫です。」
私が声をかけると、女性の僧侶が返事をしてくれました。冒険者ギルドも早速拠点を建ててくれた様で、活動を再開した様です。他のソロやパーティーの数組は、他の場所での見回りに出ているとの事。彼等も依頼を受けて、街の外回りを巡回しているとの事でした。タイミング良く、魔物に襲われている所に遭遇し討伐出来たとの事でした。職人さん達も無事のようです。
「俺はアシム。このパーティーのリーダーをしてる。」
「俺はタンクのカイトだ。」
「アタシは魔法使いのラーナ。」
「私は僧侶でラミアと言います。」
「ありがとうございます。私はリュードと言います。」
私の名前を聞いて、4人とも驚きの表情になります。
「あ、あんたまさかこの街を創ると言い出したヤツか?」
「え!?あぁ…あはは、確かにそうですね…はい……。」
「マジっ!?嘘っ!こんな2枚目だった?」
「ちょ、ちょっと、ラーナ失礼よ!」
「いえ、ハンサムに思われるなんて光栄ですね。」
「いやぁん、どうしてヴァンパイアって美形が多いの?」
照れながら見つめて来る視線が痛い!私の顔は大したことは無いですからね!
「で、では、早速討伐の報告と素材を回収しては?私は職人さん達の無事を確認して行きますので。」
「おお、そうだな。ラミア手伝ってくれ。」
「了解ですカイト。ウルフ達を集めて下さい。血抜きします。」
「え、ラミアさんが解体を?」
「ええ。例え魔物であろうと私達に恵みを与えてくれる物には感謝を。肉や素材に分けて、売る事が出来れば私達の糧となってくれます。大事に扱わなくてはなりません。」
「それは凄いですね。成る程、納得です。」
「ウフ…分かって貰えて何よりです。」
う…何か違った意味で怖い気が……。と、話をしながらも段取りよく作業を進めているのでした。
「では後程、食事処でお会いしませんか?ご馳走しますよ。」
「ええっ!良いんですか?嬉しい!」
「何でラーナがそんなに喜ぶんだ?」
「良いじゃない、今後のこの街の事も聞いてみたいしさ。」
「まあ、それもそうか。」
「じゃあ、後程。」
「は~い!」
「だからなんでお前が返事してんだ?」
……………………。
やれやれ、何やら楽しいパーティーに会えましたね。私は大工さん達の無事を確認して、護衛のスケルトンを数体寄越してもらうことにしました。落ち着いてきたら外壁を作り始めなければいけませんね……。
大工さん達の安全の為に、勿論スケルトン達も居るんですけど、せめて魔物が侵入して来た時点で鳴る様に罠を作りました。
街に到達する距離も考えて、先の離れた位置に設置。大きな音で、警戒音を警鐘してくれるので住民の避難がしやすくスケルトンや冒険者が間に合うかと。
ああそうだ、何だったらそのギルドに行って見ようかな?今後の事もあるだろうし、繋がりを作っておけば何かと良いだろうし。
私は周りの状況を確認しつつ、ギルドに行ってみる事にしました。
着いてみると意外と私達の拠点から近くに建てている事が分かり、流石行動が早い……確かに魔物が居る訳だからいち早く動かなきゃいけないのは分かるけど……。
にしてはなかなか立派な建物で……比べられたら絶対そっちが私達の拠点と思われるよね、これ……。
いやぁ立派な建物ですよ……装飾感もあり、ちょっと厳かさもある……違い過ぎるでしょ!恥ずかしいんですけど!!
と、とりあえず…と。中に入ってみるとしましょうか。
扉を開けて中へと進みます、中央は吹き抜けの2階建てで、奥に受付が有ります。中央には2列ボードがあって、そこにクエスト依頼の用紙が裏表に貼られていました。周りは椅子とテーブルがあり、軽い食事は出来る様です。自分達にあった依頼が来るかどうかを待っていたり、待ち合わせしている冒険者も居る様です。
はは…やはり冒険者ギルドですね、強面の雰囲気なパーティーも居れば、ソロっぽい人も居る……若手のパーティーらしい人達も居れば、ベテランそうな人達も居る……でも、大勢じゃないにしろよくこの場所に来てくれたものです。
私は、奥の受付嬢の居るカウンターへと進みます。
「おいおい、なんの装備もしてないお兄さんが一人でここに何の用だ?」
振り向くと、男性パーティーの4人組で、確かに装備もしていますし、それなりの経験は積んでるのかなとも思いますが、その内の戦士のリーダーらしき男が、ニヤニヤしながら話し掛けて来ました。
「いや、ここのギルドマスターに挨拶しようと思ってね。」
「ギルドマスターだぁ?あの人も忙しい身だからな、あんたみたいな素人には逢う暇は無いだろうぜ。」
4人は卑下した笑いをしながら、話し掛けてきます。居るんですね~どこにでもこう言う人達が異世界でも。
「分かりませんよ~意外と逢ってくれるかも知れないし。」
「ハッハッハ、そりゃ無理だな。どこの馬の骨とも分からない奴と逢う暇なんぞありゃしねぇ。」
「まあ、先ずは面会を頼んでみますよ。受付嬢さん……。」
「おい、待てよ……。」
その男が私の肩に手を掛けて来ました。低い威圧的な声で……。
「聞こえなかったのか?お前みたいな奴には逢わねぇっつってんだろ!」
「何か私に逢わせたくない理由でも?」
「ふんっ、気に入らねぇんだよ。俺達が頼んでも逢えねぇのに、てめぇが逢えたら立場がねぇだろうが!」
え、ええっ!そんな理由!?……あなた方……もしかして……脳筋ですか……大丈夫?
「すみません素敵な受付嬢さん、ギルドマスターはいらっしゃいますか?」
「えっ、あっ、そんな…素敵な、なんて……照」
「てめっ!無視しやがって!」
あら、剣を抜いてしまいました。後ろに下がって、構えています。いやぁ荒くれ者が多いのも分かりますが、ここで剣を抜くのは御法度なんじゃあ……?
「てめぇが場違いだって事を分からせてやる!」
「元気ですねぇ、その元気さをこの街の人々の為に使って貰えると有難いのですが。」
「ぬかせっ!」
その男が、剣を振り上げ私に襲い掛かろうとした時でした。私はキュアを抜いて一気に詰め寄り、銃口を下から顎に突き付けていました。私が言うのも何ですが、まさに一瞬でした。
その男も剣を振り上げて、固まったまま青ざめていました。
「い、いったい何が……。」
「顔を撃ち抜かれる前にその剣を納めて貰えると良いのですが?」
私は静かに……しかし低い声でキュアのトリガーに指をかけていました。
「わ、わ、わ、分かった。お、納める!納めるからっ!」
男は剣をゆっくりと下ろし鞘に収めました。そして両手を挙げて冷や汗をかきながら参ったと降参していました。
周りがざわつく中、一人の男性が近づいてきました。屈強……とまでは行かない感じですが、雰囲気というかオーラと言うかひと味違った感じを醸し出しています。
「武器を納めてもらえますか?」
私に話し掛けてきた男性の声は優しい声ですが全く隙の無い感がビンビンです。私はゆっくりとキュアを納めました。
「ビリー、ここで剣を抜くのは私に対してもギルドを見下していると見なして良いと言うことですか?冒険者資格の剥奪と労働奴隷になりますよ。良いですか?」
「い、いえ!とんでもないです!しっ失礼しましたっ!!」
ビリーと呼ばれたその男と仲間達はバツが悪そうにギルドから出て行きました。周りの冒険者も安堵したのと同時に私に対する目が変わったように見えます。
「それで、私に何か?」
今度は私に尋ねてきました。初対面ですし、警戒はしてるでしょうね。
「挨拶が遅くなりました。申し訳ありません、私はリュードと申します。ご挨拶と冒険者登録をしようと思い、お邪魔した次第です。」
「あ、あなたがリュードさんでしたか。お話しはバルジオさんから伺ってます、ではこちらへどうぞ。」
急にギルマスの態度が変わり、名前を聞いた者達が驚いてざわついてます。
ギルマスも口調が柔らかくなって、微笑みながら別室へと案内してくれました。受付嬢さんが照れながら紅茶を出してくれます。
「エミリア、登録申請書を頼みます。」
「は、はい。今お持ちします。」
受付に戻っていく彼女。彼は私に椅子に座るように促し向かい側に腰掛けました。
「リュードさん、いや、様とお呼びした方が宜しいか?私はギルドマスターの“ザール”と申します。この度の街の再興と、ギルドの設立と、仕事やクエストの斡旋、大変御礼申し上げます。」
「い、いやいや、顔を上げて下さい!私こそ、元の街を駄目にしてしまって申し訳なく思ってます。」
そうです、私の方が謝らなくてはならない方かと思いますよ。いつもの日常であったとしても、思い出深いでしょうし。
「確かに、ラザルドは思い出深い所もありますが……ですがあのまま復興する為に、頑張っても先立つモノが全く追い付きません。長とも話をしましたが、領主がこの通り住民を見捨て逃げ出してしまっては目処も立たない状況でした……しかし、そんな時にあなたは街を再興したいと仰ってくれました。その為の用意もあると……。」
当然です!その為に血晶石を売るとみんなに相談し、再興計画がスタートしたんですから……。
「勿論です、確かに場所は変えざるを得なかったですが、それでも私は仲間達と共に街の皆さんに元の生活に最低限戻って欲しい、少しでも豊かになって欲しいと願い、行動を開始しました。ですので、再興後も街の人々を守っていこうと思っています……ははは……カッコつけすぎました、スミマセン。」
「とんでもない!私は最初にヴァンパイアとお聞きしていたので、信じきれませんでした。旨い話で騙されるのではないかと。しかし、バルジオさんから話を聞き、こうして街の再興をするために動き出して下さった……信じてみようと思ったのです。」
「そうでしたか……因みに私が街を支配するなんて事は考えなかったのですか?」
「ははは、そうなさる気であれば真っ先にギルドの拠点など建てませんよ。天敵に成りうるヴァンパイアハンターも居る訳ですし。」
「ああ!成る程、そうですよねぇ……はははは。」
ギャア!その存在忘れてた!ま、まあ、街を支配するなんて気はありませんからお手柔らかに……。
「し、失礼します。申し込み用紙をお持ちしました。」
「ありがとうございます。エミリアさん、これから宜しくお願いします。」
「い、いえそんな…こちらこそ宜しくお願いします…照」
私は用紙を受け取り、名前を書きます。職業……ヴァンパイア?で良いのかな?かといって魔法銃剣士なんてカッコつけすぎだろうし……あ、逆に魔族って書いた方が良かったのかな?
まあ、書ける所だけ書いて……と。
「これで、良いでしょうか?」
ザールが、用紙を受け取り内容を確認しました。
「では、これで登録証を。」
「はい、では、少々お待ち下さい。」
彼女が受付カウンターに戻って行き、暫くするとギルドカードを持って戻って来ました。
「こちらが登録証になります。Fランクからのスタートになります。」
「ありがとうございます。」
私はカードを受け取り、内ポケットに納めました。
「では、私は戻る事にします。心配する者も居ますので。」
「分かりました、これから宜しくお願いします。」
ザールさんが右手を差し出して来ました。
「こちらこそ。」
私も握手を交わして、ロビーに出ます。クエストボードだけ確認して行こうかな?ボードのクエストを確認している時でした。
「ああっ!ここに居たのですかっ!探したんですよ、リュード様!」
「え?あれ?アリシア?」
扉を開けて入って来たのは、アリシアと……何だ?みんなでどうしたの?
「お、おいあれ…。」
「マジかよ、美人だらけだ……。」
「1人おっさんが混じっては居るけど。」
「いったい誰を?」
「ま、待て!あれ…ヴァンパイアじゃ……。」
「お、おいマジか?」
「いったい何なんだ……。」
周りの冒険者達がざわめいてます。いや、確かに目立ちますかね……。
「あれ?みんなどうしたの?」
「どうしたじゃありません!リュード様が見当たらなくて、全員で探してたんですから!」
「は?…ええっ!」
こっちがビックリですよ、みんな仕事してるから邪魔しないようにと私に出来る事をしようと、動いてただけで……。
「ええっ!じゃありません、心配したんですから!」
「そうですわ、一言言って置いて下さいませ。」
「わ、私も心配したんだからな。」
「主殿はもう1人ではないのじゃ。分かっておくれ。」
「パパ~~!」
小さな小さな天使が抱きついて来ました。
「みんなごめんよ、これからは気をつけるよ。」
「バルジオさんにサリーナさん?」
ギルドマスターの“ザール”さんも何事かとホールに出て来ました。知ってる人物が居たので驚いてます。
「え?バルジオにサリーナって……。」
「ああ、宝石商に武具屋で間違いないぜ。」
「い、いったいどういう繋がりなの?」
もう、今日はギルド内を騒がせっぱなしですねww
「スミマセン、私の仲間……いえ、家族です!」
「え?え?か、家族って……も、もしかして妻って事?ですか?」
「やっと…やっと…妻に……涙」
「いいぞよ、サービスするでのぅ。」
「わ、私も、リュード殿が良いなら構わないぞ……照」
「パパはパパなの~、でもユナはお嫁さんになゆの~!」
うわ~いっ!どうしたらいいのこの状況!引き返せなくなってるし!
「あ、あははは……あながち間違いではないかと……。」
「何と!そうでしたか!」
違った納得をされてる様で怖いのですが……。
「すみませんな、家族がお騒がせをしてしまって。」
「いえ、とんでもありません。恩人の方々にはお世話になっているのです。問題ありません。」
「それで、リュード様はどうしてここに?」
アリシアが思うのも無理無いですよね。
「うん、挨拶と冒険者登録に。」
「え?冒険者…ですか?」
「あ…待てよ…みんな登録しようか!パーティーとしてランクを上げるのはどうかな?」
「それは良いな。」
お、ルージェが食い付いた。
「良いですわね、その方がやり易いかもしれませんわ。」
「我も良いのか?リュードは登録出来たんじゃろ?」
「私は戦いには参加出来ませんから登録は控えますかな。」
「じゃあ、ルージェとアリシアとミレーナは登録しよう。サリーナとバルジオには冒険者以外でサポートを頼みたいしね。」
「承知しておりますわ、私も直接の戦闘には向いておりませんし。バルジオとサポートに付かせてもらいます。」
「ありがとう、よろしくね。」
「お任せをw」
話がまとまった所で、エミリアさんに追加で冒険者登録をお願いし、カードを作ってもらいました。
「さて、まだクエストには出ないけど、どんな依頼があるのかは把握しておきたいから続けて見てみようかな。」
私は改めてクエストボードに目を向けました。ユナを抱っこしながら……。みんなも興味が沸いたのか依頼の張り紙を見入ってます。
「あ、そう言えばリュード殿……この前討伐したモンスターの素材はどうしたんだったか?」
「あれ?そう言えば……?」
確かに忘れてました、ここに拠点を作る前に大型モンスターを討伐していたんでしたよね。
「サリーナ?デスムーンサーペントの肉は街の人々に緊急食として配ったはずだけど、素材はどうしたんだっけ?」
ルージェもアリシアも不思議そうな顔です。いや、実際私もですけど。
「ええっ!?デスムーンサーペントって……Bランクのモンスターですよ!と、討伐したって……?」
さすがにザールも信じられないといったご様子、今の話を聞いて周りの冒険者達が更にざわついてます。う~ん確かに手強い上位のモンスターでしたけど、3人で倒しちゃいましたからね……そんなにランクの高いモンスターだったとは……。
「それならば、素材はこちらに……。」
サリーナが空間魔法で取り出したのは紛れもなくデスムーンサーペントの素材。牙や三日月の刃、サーペントの魔石等々。
「ああ、そうかサリーナが保管してくれてたんだ、ありがとう。ザールさんこの素材を買い取って欲しいのですが出来ますか?」
「ほ……本当にデスムーンサーペントの素材……こ、これはリュードさんお一人で?」
「いや、アリシアとルージェの3人で討伐しました。」
「さ、3人で……わ、分かりました!まずはこの素材を買い取らせてください。それと私の権限でお三方をDランクに昇格します。」
「え、ええっ!まだクエストを何もやってないですよ!良いんですか?」
ちょっと待ってください、登録したばかりで何もしていない状態でいきなりランクアップですか?
「デスムーンサーペントの素材を持っていると言うことは、紛れもなくあなた方が討伐した証拠です。素材だけを他の冒険者から奪うことは考えにくいですし。そして、先ほど申した通り上位Bランクのモンスターです。倒すにもそれだけの実力が無いと全滅させられます。ですから、実力は十分にあると判断しました。だからと言ってBランクにと言うわけには行きませんが……。」
「そうですか……それならば素直にランクアップさせてください。ありがとうございます。」
「パパすごいの~!!」
「抜け駆けずるいのじゃ~~!」
「ごめん、今度はミレーナとも一緒に行くから頑張ろうよ。」
「う~~~約束じゃぞよ。」
「勿論だ。」
やれやれ、ミレーナを取り敢えず納得させて……と。クエストには色々な薬草採取とか、素材集めや小型モンスターから大型モンスターまでランクに合わせてクエストがボードにありました。まあ、まだDランクですからそんなに強力なモンスターと戦うとまでは行きません。経験を重ねて行けばおのずとランクも上がるでしょう。
「さ、帰ろうか。」
「ユナ、おなかペコペコなの~~!」
「確かに腹が減ってきましたな。」
「食事処で食べるのはどうですか?」
「賛成!」
「じゃ、そうしようか 。」
私たちが扉を開けようとしたその時です。一足先に扉が開いて……冒険者が入ってきました。
「あ~~~っ!リュードさんだあ!!」
「あ、先ほどの!」
「「「「「…………誰?」」」」」
しまったぁ、この冒険者達のことを話してなかった……私の僕達の視線が恐ろしく痛かったのは言うまでも無く…………………………。
読了ありがとうございます。次話もお付き合いくださいね……では。