ヴァンパイアに転生したんですけどスローライフしたいです。 作:麗紫 水晶
やっと……やっと……ある程度、街が……出来上がって来ました……感無量です………!
すいません、干渉に浸ってました、この度ヴァンパイアに転生したのに何故か人間側の街の領主となってしまいました、“雅 煌太(みやび こうた”ことリュードです。まあ、縁あって魔物と呼ばれる者も居ますけど。
いや、凄い事なんですよ!街の人々がスケルトンと言った魔物と一緒に仕事をしてるんですから。もはや奇跡でしょ!まあ、私が領主の時点で納得してくれてるか?ごもっとも。
新しい街を作りはじめて、約3ヶ月立ちました。最初にここを起点とした高山に大きな滝に水溜まり、ここから扇状に道が走り、その脇に建物が建ち並んでいってます。
私達の住宅は高山を背にしての最初に拠点とした場所で、増築しながら建物は大きくなりました。石材等も街の人達が手伝ってくれて補強工事され、豪華な屋敷!?……とそんな事にはなりませんが、相応の建物になったかと。
更にはこの高山!滅茶苦茶当たりだったんですよ!石材を使いたくて掘り出したと言うのに、石炭はおろか鉄や銅が豊富に見つかり、ミスリルやアダマンタイト等の鉱石がチラホラ発掘される!!
早速人手を募ってお仕事提供。後は商人の流通が叶えば、街は発展していくでしょう。
周りは、立派な冒険者ギルドや商業ギルドが建ち並び、商店街や民家等が次々と……。同時に外壁や、平原までの道路工事と補強工事。外壁の外側には、堀を作って水を流し簡単には近付けないようにしました。外壁は高さ3階建て位の高さにし、そこから上に数本の塔を建てて上空にサリーナとミレーナ、メリザの3人による結界が張り巡らされました。
透明な結界ですがかなり強固です、簡単には破れないかと。
そして外壁の内側には作物を作る為に畑を。これにも専門家として農家や農民の人達にお願いし、野菜類や他の作物の確保を自給自足で補える様に。卵や肉に関しても、ギルドに依頼して魔物の肉等を肉屋に卸してもらい人々が買える様に。後は外からの行商からの買付で……。
そんなこんなで予想通り、1ヶ月位で予算がほぼ無くなり、ただ人々には給金も出していたので後の2ヶ月はお金が回り、人々の生活もスムーズになり、自分達の稼いだお金で買い物をし1つ屋根のしたで寝られる事に安心している様でした……。
私達の思惑どうりで何よりです。樹海には申し訳ないですが、住まわせて下さいね…………。
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それで、メリザさんにお願いしてスケルトン達に街道沿いに配置してもらうことにしました。魔物対策としてです。いずれ、人々の数が増える時にも土地を広げないといけないでしょうし、その時の為にも……。
私達は、半屋敷!?となった住みかに集合してました。最初の半端な小屋からすると、大した成長ぶりです!ホントにヴァンパイアなんでしょうか私……。
「宿屋や食事処、休憩所もそのままに使える様にしてあります。ただ、宿屋と食事処は代金を支払わねばなりませんが、手頃な値段設定にしております。住民にも冒険者にも、優しいかと……。」
「そっか…バルジオ、悪いね商業ギルドの方も任せてしまって……。」
「ホッホ、なに、このぐらい張り合いがなければ腕も落ちましょう。何よりあなた様に貢献出来る事が何よりの喜び……。」
「バルジオ……ありがとう。」
「礼には及びませぬぞ、至極当然の事。」
「宿屋や食事処も大分落ち着いたって?」
「はい、リュード様。人々の住宅が建ち、そちらに住民が移動してからは冒険者が泊まる位で落ち着いてます。食事処は最初よりは落ち着きましたが、それでも賑わっています。あんなに楽しそうな人々の顔は初めてです。」
「成る程ね……ご苦労様アリシア。」
「い、いえ、そんな……私もリュード様に貢献出来て嬉しいです!」
「ルージェやサリーナ、ミレーナにメリザもありがとう。凄く助かったよ……。」
「皆、お主に対する思いは一緒じゃ。お主でなければ我は契約などせぬ。もう少し自信を持つと良いぞ。」
「ミレーナ……。」
見回すと、全員が頷いてくれました。え~い!涙脆いんだから、今度は泣くからね!
「それで、街の名前を樹海の街“エンルージュ”にすると?」
「うん、どうかな?みんなの意見も聞きたくて……。」
私は、みんなを見回しました。誰か反対だとか、名前はこっちの方が良いとか、少し位議論になるかな……と思って居たのですが、想定外でした。
「…樹海の中に出来た街……魔物が跋扈するこの土地の中で、街などと奇跡でしかありませぬ。しかも周りは確かに我々にも脅威な面も有りますが、裏を返せば敵も攻めづらいと言う事になります。外壁に堀、空は多重の結界、これ程強固な街はそう無いでしょう。リュード様、街の名前はそれで宜しいかと。」
「みんなもそれで良いかい?」
全員が頷いてくれました、いよいよお披露目が近付いたのです……。
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私は、お披露目の為に外交を約束したラスマンド侯爵に相談にお邪魔していました。
勿論!お忍びですよ。何せラザルドの街の件もあったのでどう収めれば良いのか、知恵を借りたかったんです。当然、サリーナとバルジオ、アリシアに……みんな付いて来ちゃいました……てへッ。
「ようこそ、我が領地へ。初めての顔も見受けられるので、改めて名乗ろう。私はラスマンドと言う、傍に控えているのは……。」
「ヒューイと申します。先だっての突然の訪問、大変失礼いたしました。ご配慮痛み入ります。」
右手を胸に当てお辞儀をしてくる紳士がいます…。
「いえ、かまいません。大事なお話も出来た事ですし、バルジオの親族ともなればね……。」
「ヒューイ宰相、お久し振りです。」
「ルージェ殿、騎士団を除名された貴殿が気掛かりではあったが、よもやリュード殿の所に居ようとはね。」
ルージェが宰相に声をかけていました。
「ルージェは宰相と知り合いなの?」
「うむリュード殿。騎士団の頃、時々お世話になっていた……。」
「そうなんだ、顔見知りなのは良いことだねw」
「それで、リュード殿。そちらのお嬢さんは……?」
ラスマンド侯爵が一人の女性が気になっていました。確かに、この前は会っていなかったかな?
「我か?我は主殿の僕にしてヴァンパイアの子爵位を持つ"ミレーナ”と言う。よろしくの。」
「おお、リュード殿はヴァンパイアの貴族も従えておるのか?」
「い、いやいやいや、たまたま私に興味を持ってくれただけで……彼女が十分に強いのは承知ですから、今再戦しても勝てるかどうか……。」
「いや、主殿とはやり合わんよ。大好きな主殿に怪我を負わせることはしたくないでの。むしろ、我の方が大怪我をしかねん。割に合わぬことはせぬよ。」
「ありがとう、ミレーナ。」
「そうか?、ならば今宵は主殿を夜這いに行こうかの?」
「え、あ、いや、それは違うから!」
「はっはっはっは、リュード殿羨ましい限りだなw」
「い、いやあ、お恥ずかしい……。」
私、年甲斐もなく照れちゃいました……。
「それで、早速外交を始めたいと?」
ヒューイ宰相が話を切り出してくれました。
「そうです、こちらも提供出来る素材や物品等を用意したいと考えております。」
「それと、ギルドも出来ましたので外からの冒険者の受け入れ準備も出来ております。荷馬車の護衛等も出来ましょう。」
バルジオが補足してくれました。
「そうですか、それは心強い。」
「ならば早速街に向かわねばな。ヒューイ宰相、行商を引き連れ、我が領地の騎士団の護衛と共に赴く準備を。」
「畏まりました。その様に手配致します。」
「頼むぞ、最初の外交だ……道中トラブルがあってはならぬ。細心の注意を。」
「はっ。直ちに。」
ヒューイ宰相が、お辞儀をして部屋から退出して行きました。
「ま、まあ、そこまで慌てずとも……。」
「なに、こう言うことは早いに越したことはない。繋がりを作っておけば、お互いに利のある事であるしのww」
「ははは…お手柔らかに……。」
「して、閣下。ラザルドの街の方はどの様になされますかな?」
バルジオが1番確認したいことを聞いてくれました。
「うむ、その事だが実はな……。」
ラスマンド侯爵の話しは凄い事になってました。
まずは、街の状態ですが各門を押さえていた騎士達が、やっと住民が消えている事に気付き大騒動に。
それを聞きつけた、この街の領主と繋がっていたエラル男爵(隣の土地の領主)も大慌て。
あれ?どこかで聞いた名前……そうか!アリシアを拉致しようとリッチを差し向けて来た奴だ……どうりで、ラザルドの領主も財産を抱えて街の人々を見捨てて逃げる訳だ。たまったものじゃないな……。
そのエラル男爵が、街中を調べて騎士を数人残し撤収したと。
それが2ヶ月以上経ってからとの事。あの復興が大変困難な場所で一体何をしようとしてたのか……?
未だに街を閉鎖しているので、侯爵がラザルドを介しないルートを作っていました!?マジか!貴族様の力は半端ないですね!今のところ、その街道も見つかってはいないんだとか……エラル男爵って……大丈夫なのかな?
「なので、堂々と往き来出来る。気掛かりは盗賊や魔物位だな。」
「そんな事になっていたのですね。こちらとしてはその配慮に痛み入ります。」
「構わぬ、これでハラル国王に報告出来るしな。」
「え?国王様に?」
「そうだ、でなければ敵と見なされ街が戦場と化してしまうぞ。」
「あ、ああ、そ、それもそうですね……。」
マ、マ、マズイマズイマズイ!2度と街を壊されたくない!これ以上、辛さや悲しみを背負わせたくない!やっと…やっと…街の人々に笑顔が戻り始めていると言うのに……。
「閣下…あまり我が主様を苛めて下さいますな。あの惨状に直接触れた御方だけに、その思いは強く……顔色が悪くなっておられます。」
バルジオが私を思わんばかって、侯爵に注言をしてくれました。
「お、おお!済まぬ!その様なつもりは無かったのだ、この通りだ!」
侯爵も慌てて頭を下げて来ました。
「だ、大丈夫です!頭を上げて下さい。いずれは街を認めてもらわなければならないとは思って居たので……ただ、認めて貰えなかったらと不安に感じたのです。失礼致しました。」
「…閣下……静怒。」
「ひぃっ!」
「大切なお客様を脅してどうするのですか?…後で執務室でじっくりと……。」
え、今度は侯爵が青ざめてる……い、いやあまり想像したくないな、御愁傷様です……。
宰相が色々と手配をしてくれて戻って来ました。
「閣下、手筈通りに……。」
「分かった、では3日後出発する!よろしく頼む!」
「了解です、お待ちしております。」
「それで、リュード殿。街の名前はなんと?」
ああ、それも大事でした。適当に言われても困りますからね……。
「樹海の街“エンルージュ”です。」
「それは樹海の名前をそのままにと言う事ですか?」
「はい、この場所は私達が土地を拝借した形ですので……せめて、この樹海の中にある街として名前だけはと思った次第です。」
「成る程な……分かった、その様に報告するとしよう。」
「ありがとうございます。」
「構わぬ、街の民は貴殿の思いを受け入れてそこに住む事を選んだのだ。民も喜ぶ事だろう。よろしく頼むぞ。」
「はい!」
私は侯爵と握手を交わし……自宅へと帰還したのです……。
それから3日後、侯爵の街から5台の荷馬車と侯爵の馬車、騎士20名、衛兵30名、各荷馬車にそれぞれの行商人と商業ギルドの代理も便乗していました。侯爵の街は、残りの騎士と冒険者ギルドにも依頼して街の治安や護衛を頼んでいるのだとか。確かに自分の領地を疎かには出来ないですよね。
「出発!」
騎士の隊長さんが声を上げて、侯爵ご一行が動き出しました。無事に到着して欲しいものです……。
しかしながら、ありがちな事でやはり道中はすんなりとは通して下さらなかったんですよね……………。
読了ありがとうございます。引き続きお付き合い下さい。頑張りますので…!