聖杯戦線6日目。スタート直後、藤丸は全速力で逃げていた。
「くそったれがー!」
大声で叫ぶ。左右にアルターエゴのパッションリップとメルトリリスがいるためだ。
「マスター! こちらに!」
1番近くにいる心強い味方、妖精騎士ガヴェインの後ろに行く。メルトリリスは自慢の蹴りをお見舞いする。頑丈さは随一ということもあってか、彼女は平然とした表情でメルトリリスを見る。
「流石に昨日みたいにはいかないってことね」
「マスターはなるべく遠くに逃げてください」
「ありがとう!」
藤丸は更に奥へ逃げていく。アルターエゴVS妖精騎士ガヴェイン。相性だけを考えたら、ガヴェインが有利なのだが、クリティカルが出されたらヤバイ。藤丸は今後のことを考え、妖精騎士トリスタンに指示を出す。
「トリスタン! ガヴェインのフォローに回って!」
「マジで? あっちまだ片付け終わってねえけど?」
既に相手のランサークラスのフィンとセイバークラスのアルテラが藤丸側のメアリーアニングとゲオルギウスを倒している。マスターとして、もう少しうまく采配が出来ればという悔しさはあるが、今をどうにかしなければいけない。
「大丈夫。ヘラクレスがどうにかしてくれる」
「あー……おう。分かった。お前がそう言うのなら。野垂れ死にしても知らねえからな?」
トリスタンが素直に聞いた。ヘラクレスが何かしたのかもしれないが、藤丸は聞くことをしない。合計3カ所で戦闘が起きているため、同時に指示を送らないといけないのだ。
「へファイスティオンとエミヤ(助っ人枠)は?」
「どちらも無事だ。ゲージ1つ破壊した。ここのエリアはどうにかなるだろ。マスターはアルターエゴに専念するといい」
1対2という数の有利を使い、相手のカーミラを追い詰めていた。HPやスペックを考えると、確かにへファイスティオンの言った通り、アルターエゴ戦に専念しておいた方がいいだろう。
「ガヴェイン、攻撃に専念して。トリスタンが駆けつけるまで、耐えてよ!」
今はガヴェインが引き受けてくれているとはいえ、いつやられるかは分からない。藤丸は更に遠くに逃げていく。
「はあ! マスター、助っ人と共に、BBとやらを片しに行く!」
「了解! キングプロテアには近づかないようにね!」
へファイスティオンとエミヤはカーミラを倒し、BBに接近しようとする。距離が遠いものの、何もしないよりマシである。
そしてトリスタンはガヴェインと合流することが出来た。数ターン経過しているが、ガヴェインが倒れる気配はない。
「マジで固えんだな。マスター、ガヴェインと合流した。支援をすればいいんだよな?」
「うん。NP溜まったら宝具をうっていいよ。余裕ないから」
トリスタンは通信を切った。そして目の前の相手を見る。厄介な相手だとすぐに分かる。それでも隣にいる同郷の妖精騎士とタッグを組めば、どうとでもなる。
「まさかお前と共闘を組むことになるなんて思わなかったぜ」
「そうだな」
あの場所ではあり得ない共闘。カルデアだからこそ、叶えられたものだ。即席タッグとは言え、互いの戦い方は知っている。耐えて、攻撃をして、その繰り返しをすることで、2人の妖精騎士は強力なアルターエゴ2騎を倒したのだった。
メルトリリスを倒した後、2人の妖精騎士は何も言わずに、戦場を去る。藤丸は夢の共闘も聖杯戦線の楽しみのひとつでもあるんだよなと感じた瞬間だった。