桐生ココの思考、言動をトレースするために配信(あさココ)を見直したものの、全てがカオス過ぎて無理でした。最早彼女が混沌の体現者で良いのでは? ……はっ、まさかハコス・ベールズの中身って桐生ココ!? 会長と議長、ニュアンスが似ているし……つまり桐生ココ=ハコス・ベールズ説微レ存? まぁそんな訳ないんですけどね。
今回、桐生ココは敬語ではありません。非公式wikiによると、天音かなたその他同期には敬語ではないそうなので、タメ口で書いております。
ちなみに、この世界は物理法則並びに魔法行使による物理法則の書き換え及び、ギャグっぽい状況だと本気でヤバイこと、あるいは状態にはならないという神さえ不可侵な絶対不変の法則があります。
天を衝くが如しの竜霊山。その頂上の一角には、ドラゴンと天使が現在進行形で口争いしていた。
内容は白銀シエルについてである。
「一体どこで拾ってきたの!!」
「いやぁ、気付いたら後ろにくっついててさ、もうびっくらこいたわ……あ、屁ぇ出た」
「バカ! おばか!!」
「
「うるさい!」
どうしようとあたふたする天音かなたに対し、ドラゴン形態から超ヤサイ人並みの「ア゛ア゛ア゛ア゛―――!!!」という気合いで人間形態になった桐生ココは、ほけほけと笑っていた。
「もう、早く返しにいかないとご両親に怒られるよ! きっと今も泣きながら探してるわよ!!」
「でもよぉ、こいつ何かに追われてたぞ。何か爆発してたし、ダークエルフっぽい奴に弓構えられてたし。命狙われてるんじゃねぇの」
追われてたのはお前だ。そして弓を向けられていたのもお前だ。あとダークエルフではなくハーフエルフである。
しかし、ここに真実を知る者はいない。よって勘違いは正されない。
「そうなの……」
勘違いを勘違いのまま受け取ったあまねは、可哀想と呟いてシエルの頭を撫でた。
「ていうかその持ち方やめなさい! 首が締まるでしょ!!」
「じゃあおめぇが持つか?」
「無理無理無理! この世のものは弱すぎるから無理ぃ! まして幼児だなんてボクきっと、力加減出来ずに握り潰しちゃう!!」
「そしたらpp天使から殺戮天使になっちまうな!」
「笑い事じゃないの!!」
ガハハと未だ笑っているココは胡座を掻き、両足の間の空間にシエルを横たわせた。なお、シエルは先程から泣いていないが、別に寝た訳じゃない。単に酸欠で気絶しただけである。
「それで、ココはこの子をどうするの? 誰かに預けるの?」
「んー、ここでココが飼おうかなって思ってる」
「飼うって……犬や猫じゃないんだよ!?」
「今ダジャレ言ったのに突っ込むとこそこなんか! それに飼うっつったってこいつ狐だし似たようなモンだろ、あとアレだろ? 餌与ときゃいいんでしょ?」
「餌って言ってる時点で不安しかないんだけど……でもボクも育てられないからなぁ」
一抹どころか何十抹の不安を抱くかなたは、一番可能性の高い未来を幻視した。シエルが飢えと渇きで餓死する未来である。
その様をありありと想像できてしまい、かなたは顔を青くした。
「せめて竜霊山の中腹に行こう! そこならここと違って森も川もあるし!!」
「じゃあそうすっか!」
竜霊山は標高が果てしなく高い。その頂上付近に住んでいるココはドラゴン故に寒さも息苦しさも覚えないが、ただの人間もとい狐の獣人、それも幼児には生きるか死ぬかの極限世界である。
しかし中腹には森や川が通っている。ならば木の実もあるし魚も泳いでいる。もちろん虎や熊といった猛獣も存在するが、そこはココのドラゴンの格で黙らせればいいし、極論武力で制圧するか美味しく戴いてしまえばいい。
おっしゃ行くかと、人間形態からドラゴン形態に変化したココは、乱雑にシエルを掴もうとし、かなたに邪魔をされた。
「ばっっっかじゃないの!!!? ドラゴンの姿で掴んだらこの子死ぬよ!!?」
その通りである。もしドラゴンの鋭い爪で掴まれたら肌が切り裂かれて死ぬ。あるいは体が真っ二つになって死ぬ。ファインプレーをしたかなたが怒鳴りつけ、ココには任せられないと自分が抱いて運ぶことにした。
しかしここで待ったをかけたココ。一体何を思ったのか、「ア゛ア゛ア゛ア゛―――!!!」と気合いを入れて再び人間形態になったココは、かなたからシエルを半ば奪うように受け取ると、追剝ぎよろしくシエルの衣服を剝がし始めた。
「ばっ……!! 急になにしてるの!!」
「なにって、空飛ぶときに漏らされたらげぼ困るだろ。だからフェアリー天使パッド着けとこうと思って」
「ならせめて一言いって!!」
「じゃあ今からケツ出させる。おらケツ出せ」
「言ってからの行動が速い!!」
最後に残ったシエルのオムツをひっぺがし、ココはバチーン! と叩き付けるようにパッドを着けた。めたくそに手荒い装着法だが、フェアリー天使パッドは天使の羽のように柔らかく、そして肌触りが抜群の代物。シエルのケツが赤く染まることはない。
ちなみに、フェアリー天使パッドは『パネェ吸引力、100Lまで漏れない』が謳い文句のココ謹製のパッド。通常価格は五千円という、なんとまぁお得な値段である。なお材料はそこの天使の羽である。当人はそのことを知らない。知らぬが仏とは正しくこのことである。
さて、準備が整ったココとかなたは翼を広げ、竜霊山の中腹にある良さげな場所を探して飛び立った。
道中手頃な獣をココが狩り、その獣を鉤爪で吊るしながらも飛ぶこと数十分。滝の近くに洞窟を見つけた一行はそこを住処にすることにした。
そしてココは先程狩った獣を引き裂き、料理でもするつもりなのか両腕を捲った。
「健康的なメシを用意するという私の温かい気持ち。天使もそこで座って待っとけ。げぼうめぇやつをご馳走してやんよ」
そしてココは咳払いしたかと思えば、あらぬ方向に目を向けた。
「桐生ココ氏の~三分クッキング始まりまーす!! まず肉ですね! 肉を焼きましょう! 使う炎はもちろんブレス! 二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーですね! ここにペッパーとケチャップ、そしてマスタードを加えて味を付けましょう! 最後に適当な草を置いて出来上がり! さぁ召し上がれ!!」
適当すぎる『ココの唾液付きソテー~ココの唾液ソースを添えて~』という半分近くココの体液で構成されたソテーモドキを前にして、かなたは両肩を震わせた。
「どうしたかなたん。嬉しさで震えてんのか」
「んなわけあるかぁぁぁあああ!!!」
「じゃあ会いたくて震えてんのか?」
「西○カナじゃねぇよ!!」
「はっ、そっか分かった。ごめんな気が付かなくて」
「そうだよ。どう考えても―――」
「今日女の子の日だったか」
「潰すよ?」
再びフェアリー天使パッドをどこからともなく取り出したココに、かなたの冷え冷えの突っ込みが飛ぶ。
「この子にお肉なんて食べさせちゃダメでしょ!! 年齢を考えなさい!!」
「じゃあ何を食わせればいいんだよ?」
ちなみに、ソテーモドキはかなたがちゃんと食した。味は近所に生えてたアロエよりは美味いとのこと。なお野菜はココに食べてもらった。
「そりゃあまぁ、見た目的に一歳くらいだから……その………母乳とか?」
「……」
「……なに、ボクの胸が何か?」
「いや、何も無いなぁって……」
「潰すよ?」
「ごめん間違えた!」
「良いですかココ、ボクの胸は山あり谷あり―――」
「地平線!!」
「潰すね」
ちなみに、母乳が出るか出ないかは胸の大きさに関係ないらしい。
絶望的な顔と虚無の瞳で握り潰さんばかりに手に力を込めていたかなたは、気が済んだのかやっとココの胸から手を放した。そして病んだ。
「ち、千切れるかと思った……」
「うぅ、ボクはどうせ『絶壁まな板陰キャボッチ天使・胸が地平線のかなた』なんだ。ボクの胸には需要が無いんだ……」
「大丈夫だかなたそ! たとえ貧乳だとしても形が命、大きさなんて関係ないよ!」
「ココ……!!」
感動したように目を輝かせ、口に手をあてるかなたに、ココはまたまたとある商品を手にした。
その名も夢見る天使公のブラ。名前から察しの通り、素材はかなたの羽。
というか、はよシエルのご飯を用意しろや。腹を空かして泣いてんぞ。
「そそ、そそそれはもしかして! 着けているだけで胸がどんどん大きくなるっていう、夢のような……!」
「おめーそんなもんで本当に胸が大きくなるわけねーだろ」
『何言ってんだコイツ』的な視線で見られ、かなたは思わず涙目になった。シエルも既に大泣きである。
「おめーバカなんか?」
「ぐすっ……もう友達やめていい?」
「え、そんなこと急に言われても」
「あ、ごめん冗談だよ」
「恋人になりたいってこと?」
「そっち!?」
ちなみに、かなたはココをそういう目で見れない。ココは論外である。
「さて気を取り直しまして、これは垂ぁぁれるものもねぇと思っているかなたにこそ必要な商品!」
「垂れないって思ってないもん!! Bはあるもん!」
「……」
「こ、これはサラシ四枚巻いてるからそう見えるだけで」
「…………」
「ごめん盛った。本当はA」
「オホン、この限定商品、なんと通常価格一万円のところを、二百円で提供! おひとついかがです?」
「ごくり……効果はいつ出るのです?」
「十年後、二十年後となっております!」
「そんなに待てるかぁぁ! ボクは今欲しいの!!」
シエルも今ご飯が欲しい。じゃなきゃ死ぬ。かなたとは違って死活問題なのだ。
シエルは大泣きした。力の限り泣き叫んだ。そうしてやっと、かなたとココは頭を突き合わせて考え始めた。
「結局どうするの? 今から乳母とか探しに街に行ってみる?」
「いや、これを使ってみよう」
テッテレー! という掛け声と共に取り出されたものは―――しゃぶるタイプのしゃぶココであった。
「それ使っちゃいけないやつ!!」
「オラ、メシ代わりになんだろ!」
乱暴にシエルの口にネジ込んだ瞬間、泣き声は止んでチュバチュバとあさココ(ガンギマリ)を摂取し始めた。あさココは母乳代わりになるらしい。新たな発見である。
『えっ?』って感じで固まるかなたに、ココはもう一本取り出して問いた。
「かなたんも使ってみるか? 飛ぶぞ」
キメ声で言った。最後はイケボで言った。
だが、あさココは麻薬みてぇなもんなので、どちらかというと決まっているというよりキマっている。そしてイケてるかよりはイッている(精神が)。
さて、ひとまずシエルの空腹は癒やせたところで、かなたはふと思った。
「そう言えば、この子の名前どうするの? いつまでもこの子って呼ぶ訳にはいかないし」
「そうだな、どうせなら『ココ』と『かなた』の名前を入れたいな……んー天音、かなた、桐生、ココ……」
「別に無理に入れなくても良いんじゃない? ココの名前だけ入っているとかでも良いよ」
「そうか? じゃあ、か・なた・デ・ココで」
「ナタ・デ・ココか!」
このドラゴンは遠回しにシエルを喰うつもりなのか。かなたは思わず、か・なた・デ・ココ(仮)を守るように抱き締めた。
「もっと別のにしなさいよ!」
「んじゃー、じゃぁー、んー」
「ジャージャー麺!?」
「いやそうは言ってねぇ」
「イカ墨パスタ!?」
「oh……
今日もpp天使の耳は絶好調のようだ。流石Twitterをトイレと聞き間違えた耳。その性能に衰えはない。
「んぐぅがぁああ……」
ココは人に名前を授けたことがない。ゆえに、ああでもないこうでもないと言葉にならない声で唸る。そしてその度にかなたからの聞き間違いのツッコミが飛ぶ。なんだ『ゴルゴンストロガノフ』って。ゴルゴンゾーラとビーフストロガノフが混ざったものなのか。ハーフ&ハーフなのか。
地味に名前っぽいのに無性に腹を立てながらも、ココは閃いた。
「よし決めたぞ! こいつの名前は桐生ソコロだ!」
―――………
ホムラ様は無事だろうか。同胞の彼も怪我はしてないだろうか。
あの爆発に、呑まれてはないだろうか。
いいや、遠く離れたここまで爆発の余波が飛んできたのだ。きっと無事ではないでしょう。嫌な想像が頭を過る。
ならば自分が怪我という怪我をしてないことが腹立たしい。
戦闘という戦闘をせず、ただの不注意で守るべき者を失った私は、とんだ愚か者だ。
一体どんな顔をして詫びればいい。
シエル様を連れて逃げろという簡単な命令さえ守れなかった
ならば行動で示すしかない。
だと言うのなら、行かなくては。歩かなくては。
寒さで体力を奪われた足を叱咤して、幽鬼のような足取りでウェスタまでの道程をゆく。
気が付けば日は暮れていた。日が暮れるまで呆然としていた自分が恨めしい。
曇天垂れ下がる空に月明かりはない。星明かりもなかった。
真っ暗な森の中をつまづきながらも歩く。ぬかるみに足を取られ、地面に顔を叩き付けた。
両腕で身体を起こす。足に力を入れて立ち上がる。そしてまた歩き出す。
再び降り出した雨が容赦なく私の頬を叩く。
頬から垂れるものは雨か、それとも泥か、あるいは別のものか。
けれど恐れてはいけない。せめて最期は立派なエルフらしくありたい。
半端なハーフエルフであれど、心は真のエルフであるつもりだから。
その心を曇らせたくはない。
森を抜ける。
ウェスタの白亜の巨壁が見える。
視線の先に光る巨剣は茜色。雨は止んでいた。
きっとこれが私の精一杯の、償いだ。
私は一歩ずつ、朝陽が差し込む街道を踏みしめ、壁の向こうの白銀家の屋敷に向かって歩き始めた。
・
・
・
「ご報告の通り、何者かに妨害されたのち、シエル様がドラゴンに連れ去られました」
「貴方様もご存知と思われますが、ドラゴンの主食は肉なので」
「追うにも竜霊山はその名の通り竜の巣窟。中腹まではどうであれ、そこから先は白銀の世界。幼児では一日たりとも持たないでしょう」
「ならば恐らく、既にご存命ではないでしょう」
「この度の失態は重々承知しております」
「伏して御詫びしたところで、足りないことも存じております」
「故に、指でも腹でも首でも、御随意に」
「シエル様の尊き命とは釣り合いの取れぬ我が命ですが、どうか私の命だけで勘弁していただきたい」
「貴方様には、白銀様には、そしてホムラ様には―――」
「―――本当に合わせる顔がありません」
―――………
眼前で床に伏せる不知火フレア。その頭部は白銀家当主に向けられていた。
当主はフレアに向けていた視線を切ると、手元の報告書に目を向けた。
エルフの森でケガレによる襲撃を受けたという。
そのケガレも、実態はケガレの性質を持たせた機械。ありとあらゆる技術を詰め込んだと思われる代物で、生半可な技術者では造れないだろう。
そしてホムラが聴いたという子供の声。
当主はこの二つの情報からひとつの結論を出した。
下手人は恐らく、秘密結社holoxによるものだと。
その首魁は地球を侵略することを目的とし、ひいては世界征服を目指している。その理由は知らないが、類い希なる頭脳を持つ者と優れた先見の明を持つ者を配下にもつという。
そして彼らもしくは彼女らが総帥と仰ぐ者がラプラス・ダークネス。通称、ラプラスの魔と呼ばれる超越的存在。
見た目は子供でも秘められた力は未知数。一説によると力の大部分が封印されていると言われているが、定かではない。
そんな者達がシエルの存在を知ったとしても、不思議ではない。
摩訶不思議な術を持つのだ。ならばドラゴンでさえ操れよう。
「面を上げよ」
我が子を亡くしたというのに、当主の声には一欠けらも負の感情が籠ってない。悲哀、失望、憤怒、憎悪、殺意、怨讐、あらゆる負の感情は含まれず、淡々とした声だった。
当主の厳かな声は朗々と響き、フレアの耳朶を打つ。さすれば、フレアはその声に従い当主の顔を仰ぎ見た。
「指も腹も首もいらぬ。だが、お前の命は私が戴く。そして私の、白銀の盾となり矛となって死ね」
「承知致しました」
頭を垂れたフレアに、一寸の逡巡もない。どのみち命を捨てる覚悟で臨んだ謁見。死ぬのが先になっただけ。
微塵も揺らがないフレアの表情であったが、次の当主の言葉で崩れることとなる。
「早速だが、お前に命を下す。我が娘、白銀ノエルの護衛につけ。娘を世話しながら、共に世界を学ぶといい」
「え―――」
唖然とするフレアであったが、話はもう終わりだと当主から半ば追い出されるように退出させられた。
混乱するままフレアは当主の部屋から遠ざかる。その状態のまま近くにいた
一方で当主と言えば、執務室の重厚な椅子の背凭れに背を預け、深い溜息を溢していた。その視線は朝方に届いた緑色の手紙に向いていた。
差出人は不知火ホムラだった。
それは先程の報告書と共に送られてきたもの。中身は、フレアを白銀家に託すということが綴られていた。
ホムラはフレアの生真面目な性格をよく知っていた。ゆえに、今回のような重大な失態を犯したとするならば、自らの命を持って贖罪するつもりだと看破していた。無論、一番最悪な想定だったが。
だからこそ、フレアを白銀家に託すことにしたのだ。
フレアはまだ若い。恋すらしたことがない若輩者だ。そして世界を知らない。世界は途轍もなく広く、途方もないくらいに深いことを知らない。
ホムラは白銀家当主に頼んで、この機会にフレアを外の世界に追い出すことにしたのだ。もちろん、白銀家当主に突き返されたら無理な話であったが。
しかしそこは当主も我が事のように分かること。命云々厳しいことを言ったが、その真意は最後に伝えた世界を学べということに帰結する。
「ホムラめ…………」
愚痴を零すようにホムラの名を唱え、もう一度溜息を吐いた当主はこれからのことを考え始める。
報告ではシエルは既に死んでいる可能性が高いとされていたが、当主は生きている可能性の方が高いと判断した。根拠は先ほど述べた秘密結社holoxの存在だ。
(もし、シエルが結社に囚われているならば、シエルをどう取り返す……)
ドラゴンは竜霊山に向かっていった。ならばそこにholoxの根城があるのだろう。
しかし竜霊山は先ほど述べた通り竜が跋扈する弱肉強食の世界。更に気候による天然の要塞もあるのだ。生半可な者では到底適うまい。
現状、竜を容易く捩じ伏せられるのは『聖人』に到達した当主、騎士団団長と副団長のみ。他は人間の限界を越えられず、人間のカテゴリーのままで、これでは竜霊山を攻略できまい。
(騎士団を私情で動かすわけにはいくまい。そも、竜に太刀打ちできる者が少ない)
シエルは産まれた時に、既に死んだ者として処理してあるのだ。故に当主の息子だと説明する訳にはいかず、ならば当主の勝手な判断で白銀騎士団は動かせぬ。
当主はもしホムラからの連絡がなければ、フレアは斥候として竜霊山に出向いて貰うつもりだった。結社が竜霊山に本当に存在するかどうか、また、安全な道の確保、食料や水の確認もして貰うつもりだった。しかしその計画は頓挫。別の計画を立てなくてはならない。
(いっそのこと、結社の者を捕らえて吐かせるか)
しかし下っ端を捕らえてシエルのことを知っているかどうか。できれば幹部ほどの人物を捕らえたいが、その容姿が不明。そもそも下っ端が存在するかどうかさえあやふやだ。
当主は『流石秘密結社と言ったところか、下っ端の情報すら秘匿されているとは』と敵ながらその情報の秘匿性に感心しているが、単に金欠で人がいないだけである。
(確実な策は幹部級を捕えること。しかしこれを実行するのは不可能に近い)
だがしかし、手はあるのだ。
(ならば幹部級がこちらに来るよう誘導すればいい。結社が欲しがりそうな情報か、あるいは金銀財宝か、もしくは結社の近縁者などを捕えて誘き寄せるか)
立場上、己の元には色んな情報が集まってくる。
伝説と呼ばれた武器の在りかも、幻と呼ばれた財宝の在りかも。その真偽を見極め、それらの幾つかは所在も知っている。そう、例えば『宝鐘』とか。
当主は目を細め、うっすらと唇を吊り上げた。
(ゆっくりじっくり着実に……な)
―――………
「失礼します。ほら、貴女も入りなさい」
「し、失礼します」
湊家当主に連れられ招かれた部屋は、白銀ノエルが過ごしている部屋。
眠っているノエルを起こさないよう、静かに入室した二人は、ゆっくりとノエルの眠るベッドに近付いた。
「こちらが白銀ノエル様です。貴女が仕えるべき主人です。くれぐれも粗相のないように」
「……はい。肝に銘じておきます」
フレアはノエルを見た瞬間、幽鬼のような足取りで後ずさった。それはまるで、魂を抜かれたようだった。
(白銀の髪、そして翡翠の瞳。同じだ、同じだ)
フレアの双眸に、ノエルの白銀の髪、そして今は見えないが翡翠の瞳がありありと映った。残酷なまでにそっくりなノエルの寝顔が、フレアの心を抉る。
その二つが責めるように、鮮烈にフレアの脳裏に焼き付いた。守れなかったシエルが、フレアを責めているように感じた。
「……ノエル様」
フレアはその場に片膝を突くと両手を握り、告解するように口を開く。
「今度こそ、お守り致します。私の命に代えましても、貴女様の未来を守ります」
そして、天井を見た。天井のその先を見た。
「どうか、私が傍にいることを御赦し下さい―――」
天にいるであろうその人に、赦しを請うた。
「―――シエル様」
悲報、白銀シエル氏、たったの一話で改名される。これではもうタイトル詐欺。次からは『桐生家のきつねじゃい!』になりますね。やらんけど。
桐生ココの名前の由来を探したものの、こちらもやはり見付かりませんでした。フランス語で『ココナッツ』では無いでしょうし、まさかポルトガル語で『うんこ』という訳では無いでしょう。見た途端にクソ笑ったわ。嫌でも待てよ、アキロゼの誕生日ARK凸待ちに巨大う○こをプレゼントしようとしてたから、あながち間違いではないのか? つまり桐生ココは桐生うん○だった?
ソコロはスペイン語で『救済』という意味です。なるほど確かに救済を求めておる。
cocoはリメンバーミーの映画の主人公、ミゲル少年のひいおばあちゃんの愛称で、その本名が『Socorro(ソコロ)』らしいので、これから取りました。
白銀シエル改め桐生ソコロは、ココとかなたからソコと呼ばれます。ココとソコです。ナイスな類似。
フェアリー天使パッド:桐生ココのあさココLIVE。配信日2020/1/10のあさココLIVEでの通販で紹介された生理用品。もう一度言うが生理用品である。間違ってもオムツ代わりに使うものではない。
夢見る天使公のブラ:桐生ココのあさココLIVE。配信日2020/2/12のあさココLIVEでの通販で紹介されたブラジャー。Aカップ限定となっており、使用可能者はAカップの人とおじさんのみである。
しゃぶるタイプのしゃぶここ:桐生ココのあさココLIVE。配信日2020/3/5のあさココLIVEでの通販で紹介されたベイビー用品。口に触れる部分に直接『秘伝! つめた~いあさココ成分(粉末)』が塗り込まれてある。女子力の低いおっさんにお薦めな商品で闇取引限定の代物。Aちゃん、さくらみこ、白上フブキらが愛用している。
では皆さん、おつココでしたー!