白銀家のきつねじゃい!   作:ポンタ ponta

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 始源編の始まりです。色々な人物の始まりや今後の物語のきっかけになるところを書くつもりです。

 頑張れば前の話に入れられたなこれ。
 半分以上戦闘回です。


第6章 始源編
第32話 嵐の前の静けさ


「なんじゃこの冷蔵庫、碌なもんが入っとらん」

「ばあちゃん、勝手に人の冷蔵庫を漁るもんじゃないでござるよ」

「仕方ないのー、ミルクコーヒーで我慢してやるわい。おっこれ瓶タイプか。乙じゃのぉ」

「あっそれ銀鏡さんが楽しみにしてた限定品!! ダメダメ飲んじゃ駄目ぇええ!!!!」

 

 風神ミコトは勝手知ったる台所と言わんばかりに、執務室の隣の給湯室の冷蔵庫を漁り、チヒロが楽しみにしてた雪民印のコーヒーを豪快に飲み干す。止めきれなかったいろはは涙目だ。

 

「ぷはーっ! 美味い! 五臓六腑に染み渡るぅ〜!!」

「あぁ、銀鏡さん怒るよぉ……あの人食べ物の恨みは必ず返す人なんでござるよぉ」

「カカカッ、それもまた一興なのじゃ」

「良くないでござる。かざまを巻き込まないでほしいでござる!」

 

 ちらりと外を見やれば、いつの間にか雨が降っていた。

 軽やかに窓を叩く音が、雨の降り出しを教えていた。天気予報によれば、そのうち風も強くなるだろう。濡れて帰ってきたチヒロはシャワーを浴びるだろうし、風呂上がりにミルクコーヒーを飲む事だろう。

 そしてそのミルクコーヒーが無い事を知れば………。

 

「あわわわわわっっっ……」

 

 いろはは慌てふためく。以前いろはがつい食べてしまった時には、一週間口をまともに利いてくれなかったし、修行もつけてくれなくなってしまった。中でも一番効いたのは、尻尾とケモミミをモフらせてくれなくなったことだ。

 今回は一体どうなるのかと思えば、居ても立っても居られない。一ヶ月禁止になるのかもしれない。

 

「えっとえっと『近くのケーキ屋さん』と……」

 

 前は同じお菓子を大量に捧げることでどうにか矛を収めてくれたが、今回は限定品。しかもユニーリア限定品で、今から行けるような距離ではなく、大量に用意することはできない。

 

「モンブラン、苺のショートケーキ、タルトケーキ……ど、どれが良いんだ? やっぱり飲み物に変えた方が良いかなぁ?」

「安心するのじゃ。ヤツと儂は旧知の仲。儂の一声でなんとかなるわい」

「ほ、ほんとに? ほんとのほんとにでござるか?」

 

 未練たらしく雪民印コーヒーの瓶底に残ったコーヒーを舐めようと舌を伸ばしながら、ミコトは『おー』とひらひら手を振る。

 最後の一滴を飲み干したミコトは、そういえばと両手を叩いた。

 

「ところで、昼飯はなんじゃ? 腹減ったのじゃ」

「自分勝手が過ぎる!!」

「こっちの部屋は何があるんじゃ?」

「そっちは銀鏡さんの私室だから開けちゃだめ!!」

「ふーん……あっ鍵閉まってるのぉ。仕方ない。フンッ」

 

 バギィッ!!

 

 力付くで開けたミコトの背後で、いろはは膝から崩れ落ちて両手を床についた。

 

(全然言う事聞いてくれない………もうだめだ怒られるよこれぇ……)

「おお、昔と変わらずふわふわな物が好きなようじゃな。どれどれ……」

 

 プライバシー何それおいしいの? を体現するミコトは人の部屋の物色を始める。

 入って右の壁脇に置かれた大きな二つの本棚には、片方には漫画と小説、雑誌、もう片方には学術雑誌や学術論文、騎士団議事録、報告書などと、分類されて並べられている。

 その本棚の上には、博衣こよりが行方不明となって値上がり*1した助手くんが三体。色違いのものが飾られていた。

 そして真正面には大きめのデスク。机の上にはパソコン一式と何かの論文が数冊重ねられ、付箋が貼られている。デスクの隅っこには白銀夫妻とその(ノエル)と一緒に撮った写真が飾られている。

 部屋の1/3近くを占める大きなベッドには、ふわふわもこもこな毛布と枕と、同じくふわふわもこもこのぬいぐるみが大きさ問わず多数置かれていた。更にベッドの足元側にある安楽椅子には、これまたふわふわもこもこなぬいぐるみが山のように積まれている。*2

 

「のじゃっ」*3

 

 ミコトは本棚から勝手に少女漫画を取り出すと、ベッドにダイブした。漫画を開いて足をバタバタさせるミコトは、『やはりベッドには金かけとるのぉ』とご満悦の表情だ。

 

「いい加減にするでござる!! 度が過ぎてるでござるよ!!」

「すぅ〜……ふむ、ヤツの匂いも昔と変わらん」

「匂い嗅がないの!!」

「お前も嗅ぐか? 甘い匂いがするんじゃ。アイツ甘党だからきっと体臭も甘いんじゃろう」

「………いいっ!!」*4

「ちょっと迷ったじゃろ。てかアイツ昨晩シュークリームを食べたじゃろ、儂には分かるんじゃ」*5

 

 それにしても、と。ごろんと体勢を変えたミコトは、天井を向きながら呟いた。

 

「不自然な悪意を感じるのじゃ」

 

 ペラリ、とページを捲るミコトを、ぎょっと目を剥くいろはが注視した。

 ペラリペラリと無言で漫画を読むミコトに、耐えきれずいろはは問う。

 

「どういう事でござるか?」

「偶然にしては出来すぎな出会い……悪化する犯罪率……」

「……つまり?」

「うむ! これは主人公の相棒が真の黒幕なパターンとみた!!」

「漫画の話しかよ!!」

 

 緊張して損したとばかりに、いろはは大きなため息を吐いて首を横に振った。

 不意に窓を見れば、大粒の雨が窓ガラスを叩いていた。耳をすませば、風の唸り声も聴こえてくる。

 既にチヒロが飛んでいってから十五分が経過している。急いでる様子だったから、本人はおそらくマッハで飛行しているだろう。そうなれば、場所が遠く無ければもうすぐ戻って来ると思われた。

 

「――お、帰ってきたようじゃぞ」

「えぇえええ!!? ど、どどどうしよう!!」

 

 噂をすればなんとやら。ミコト曰くあと十数秒でここに来るようだ。

 

「慌てるでない。気を落ち着かせ、自然と一体化すれば、そうそう気が付かれるものじゃないのじゃ」

 

 一瞬にしてミコトの気配が蕩けた。そう表現するのが相応しい気配の消し方。

 チヒロは滲むように気配を消すが、ミコトは蕩けるように気配を消す。

 仙人によって気配の消し方が異なる事にいろはは気付いた。

 

 今のを目指して、息を整え目を瞑る。

 

 怒られるのは苦手だ。

 嫌われるのも嫌だ。

 失望なんてされたくない。

 

 かつてこれほど集中したことがあろうか。

 持ちうるすべての神経を研ぎ澄まし、気配を静める。

 風が揺蕩うように安らかに、枯れた地に雨が染みるようにゆっくりと。

 

 武術歌によって無我の境地に踏み入れた時とは異なる感触。

 体が溶けて無くなったかのような曖昧さ。そして透明さ。

 

 生まれて初めて感じる世界の囁やき。

 今まで閉ざされていた器官が開いたような、世界の広がり。

 世界に舞うその声の正体を悟り、心の内側で人知れず声が零れた。

 

 

 ──これが、仙人の領域か。

 

 

「ただいまー! おう、くじら出迎えありがとー、ぽこべぇもありがとー」

 

 仙人の感覚に余韻を感じる前に、隣の執務室から聴こえてきたチヒロの声に肩が強張る。

 

「あれ? 風真さんはいずこに? ……何故私の部屋から気配がするんだ?」

 

 足音が近付いてくるにつれて、口を固く結び、顔が強張る。だというのに、ミコトは気にせず漫画を読んでいる。

 足音が止まった瞬間に、いろははぎゅっと目を瞑った。

 

「……あれ? 鍵開いてる……てか壊れてるんだけど」

「ん? あれ内開きだったっけ? あれ開かない……」

 

 閉じてた瞼を薄く開けていろはがミコトを見ると、ミコトの口元が笑っていた。おそらくミコトが念力でドアを押さえているのだろう。

 

 や・め・て!!!

 

 これ以上狼藉を働くなと目で訴えても、ミコトには届かなかった。

 

「ちょっと! 中で押さえるのやめて!」

「………はーん! なら強行突破しちゃうぞ!!」

 

 ミシィッ、と。ドアが軋む。

 ミコトの念力による内から外への力と、

 チヒロの念力による外から内への力によって、ドアがミキミキィッと悲鳴を上げだ。

 

「ん? てかちょっと待って。なんで中に『仙人』が? ―――うぎゃッッ」

 

 相手も霊魔子を操っていることに気が付いたチヒロが、思わず念力の制御を弱めた。瞬間、力の釣り合いが取れなくなったドアが、執務室の方へと木片を撒き散らかしながら吹き飛んだ。ドアの前にいたチヒロを巻き込んで。

 

「いてて……んで、誰だそこにいるの」

「……………風真いろはですぅ

 

 バツが悪い顔をしたいろはが、今にも消え入りそうな声で返事をして、すすすと私室から出る。

 

「わぁ! あれ!? さっき気配分からなかったよ! 成長したねぇ!!」

ありがとうございます

「なんでそんなに声小さいの? 風邪でもひいた? 天候不順だもんね、体調崩しちゃったのかな?」

「……………違うんです(心が痛い……)」

 

 たんに怒られたくないから黙っているだけなのだが、純粋に我が身を案じてくれるチヒロに、いろはの心の中に罪悪感の三文字が重くのしかかる。

 チヒロが『熱ない?』といろはの顔を覗き込んだ瞬間、耐えきれなくなったいろはが特大の『ごめんなさい!!!』を放った。

 

「うちのばあちゃんが銀鏡さんが楽しみにしてたユニーリア限定のミルクコーヒーを飲んじゃいました!!!」

「……へっ?」

「かざま止めきれなくてぇ、銀鏡さんの部屋にも立ち入られてぇ、荒らされてしまったでござるぅぅ」*6

「………風真さんのばあちゃんってことは、中にいるのは」

 

「ワハハハハハッッ!! 久し振りじゃな!! この風神ミコトが有り難く来てやったのじゃ!!」

 

 この時を待っていたと言わんばかりに、腰に両手を当て、堂々と胸を張るミコトに、思わずチヒロの目が点になる。

 

「どうした!? 驚きで声も出ぬか!! 無理も無い無理も無い!! まさか白昼堂々と姿を現すなんて思ってもみなかったじゃろう!!!」

「……言いたいことは沢山ありますが、まず聴きたいのは一体何しにここへ?」

「ちょいと里帰りでもしようかと思ったところにじゃな、お前の気配がしてな、立ち寄ったまでのことじゃ」

「……決闘は?」

「今そんな気分じゃないから安心するのじゃ」

 

 少し項垂れたチヒロが、ワシャワシャと自分の頭を掻きむしる。自分の気持ちにケリをつけたのか、『ん!』と立ち上がっていろはを見た。

 

「私達の話しでもしましょうか。ね?」

「あ、ぜひ!!」

「私もミコトの話し聴きたいですし、私の楽しみを奪った対価はそれで無しにします」

「おっ、ほら言ったろいろは。大丈夫だったじゃろ?」

「お前今までの食べ物の恨み忘れた訳じゃねぇからな? 人のモン何回勝手に食ったと思う? 私何回も忠告したよね?」

「す、すまないのじゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――へぇ、ヤマトにもいたんですか。いいなぁ、私出張で行っただけで本格的に見て回った訳じゃないんですよねぇ……しかも一回だけ」

「アキハバラは特に面白いところじゃったよ」

「わぁアキハバラ!! いつか行ってみたいと思ってるんですよ!!」

 

 風神ミコトと銀鏡チヒロが談笑してるのを眺めながら、いろは心の中でため息を吐いた。

 

(かざまも、ヤマトに行きたかったなぁ……)

 

 神器宝鐘を手に入れるため、乗り込んだ軍艦の上。そこで出会った沙花叉クロヱとヤマトに行く予定だった。自分とルイねぇと彼女の三人で。

 しかしクロヱは帰還の最中戦闘に巻き込まれたそうで、病院にいると聞いている。退院したかはどうかは定かではないが、今そんな事ができる余裕は無い。

 特にルイ姉に関しては、仲間の博衣こよりがオメガに連れ去られて以来、そしていろはがホロックスを抜けて以来、連絡は途絶えている。

 

(強くなって、自分に自信が持てたら、その時は)

 

 ぎゅっと。自分の拳を握る。半年前の自分とは一回り以上違うように感じた。

 『仙人』にはなれた。あとは念力を伸ばすことと、我が身の半身神器チャキ丸を再びこの手に納めること。

 

 その全てが完了したら、大手を振ってあの団欒に戻るのだ。

 

(でも、その時がきたら、寂しいな)

 

「―――そんでな、エリートを自称する幼女にあったのじゃ。あれはもう傑作も傑作。笑い死ぬかと思うたわ」

「何があったんです?」

「秋の味覚を俳句にする時にな『うんちだと 思いましたら 栗でした』と詠んでおっての―――」

 

 ミコトの土産話を楽しそうに聞くチヒロの横顔を見る。

 まだその狐の面の下を見たことないが、きっとお別れの時がきたら大粒の涙を流して泣くだろう。そして自分はそれと同じくらい、泣くと思う。

 

(ま、それも何年以上先の話かな)

 

 

 ―――土産話も下火になった頃、闘技大会の話になった。

 優勝者に送られる『最強』か『白銀の仙狐』とのエキシビションマッチの切符。

 その話を聞いた途端、ミコトの目が傍目から分かるほどにギラついた。

 

「儂も参加するのじゃ。そんでもって、お前と戦うぞ。決闘の場としてはこれ以上ない舞台じゃ」

「分かりました。私も本気の全力でお相手しよう」

 

「思う存分、殺し合おうじゃないか」

 

「ちょおおおっと待って!!!」

 

 聞き捨てならない言葉に、思わずいろはが声を荒げた。

 

「な、なんで殺し合うのばあちゃんも銀鏡さんも!!? 友達なんでしょ!!?」

「昔決めたルールじゃ。儂はいつかコイツを殺すことを約束して、コイツはそれを承諾した」

「は、はぁ!?」

「コイツは儂の妹を殺したのじゃ。だから儂は代わりにコイツを殺すのじゃ。簡単なことじゃろう?」

「良くない良くない!!」

 

 ブンブン顔を振るいろはは、何でと問うようにチヒロの方を見た。チヒロはバツが悪そうに視線を下に落とす。

 

「仕方ないとはいえ、私が彼女を手にかけたのは事実。なので物事の良し悪し関係なく、私はミコトの提案を受け入れなくてはなりません。それが道理ってもんでしょう」

「そうじゃそうじゃ」

 

 ウンウンと頷き合う二人に引き換え、いろはの頭の中は混乱の嵐。なんでどうしてが渦を巻く。

 

(いや、それよりも……) 

 

 いろはは二人の知ってる情報をまとめる。

 銀鏡チヒロは『仙人』で風真一刀流の使い手。魔法の腕も一品。ワザは不明だが、頭は回り戦闘においては比類無き存在。

 風神ミコトは『聖仙人』で風真一刀流の始源。魔法は主に身体強化魔法を好んで使う。ワザは『風』で戦闘においては、こちらも比類無き存在。なにより忘れちゃいけないのが、『自然の祝福』を持ってること。そして太古の昔に魔王と死闘を繰り広げていたこと。

 

 戦闘に関する経験値は紛れも無くミコトの方が上。

 未知数で言えばチヒロの方が上。

 

 何でもありの戦ではなく、ルールが定められた大会。

 使える魔法は己のワザと登録した三つの魔法のみ。魔道具や神器、呪具などの使用は禁止され、純粋に己の力だけで鎬を削る。

 

 どっちが勝ってどっちが負けるか。

 勝利の女神の微笑みがどちらに贈られるか分からないが、チヒロが負ける可能性が十分にある以上、阻止せねばならない。

 

 他の誰でもない自分が、ミコトを打ち負かすのだ。

 それができなくても、多少はミコトの体力を削る事ができれば、希望はある。

 

 で、あれば今することは―――

 

「ばあちゃん!! かざまに稽古をつけてくれ!!」

「ええぞ」

 

 ミコトとの戦闘経験値を貯めて、対策を取れるようにすることだ。

 

「わぁああああ!!! 私の愛弟子が奪われちゃったぁああああ!!!」

「違うから!!!!」

 

 どうやら、まずは師匠を宥めるところから始めなければならないようだった。

 

 

 

―――………

 

 

 

 風神ミコトの滞在許可を取った後、鍛錬場を貸し切りにしたチヒロは、ミコトといろはを連れて鍛錬場の中心に立った。

 

「えー、正直闘技大会の予選は二人とも間違いなく通ると思うので、そこは安心してください」

「当たり前じゃ」

「はい」

「風真さんがミコトの元で風真一刀流を学びたいというのは理解できます。ミコトは自身のワザと組み合わせてますからね、私の風真一刀流とはベクトルが異なるのです」

 

 時計の針のように指で別方向を示すチヒロは、『それじゃあ』と続ける。

 

「さっきミコトに言われた通り、私は結界を張って二人の戦闘の余波が漏れないようにしときます」

「儂らの戦ってるところも見ちゃ駄目じゃぞ。儂の手札を晒す訳にはいかんからのう」

「分かってますよ」

 

 ひらひら手を振ったチヒロは強固な結界を張るために詠唱を紡ぐ。

 

「『諸行無常・盛者必衰・風前の灯火―――鈍式・森羅万衰の箱庭』」

「お、ヤマトの古風結界術か」

「折角なのでやってみました」

 

 イェイ、とピースするチヒロの上空四方から、滲み出るように赤色の結界が降りてくる。

 その赤色が地面に着くのと同時に、チヒロが『契』と呟き印を結ぶ。

 

「―――では、風真さん頑張って」

 

 この言葉はきっと、箱庭の中には届いていないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、風真いろはと風神ミコトは対峙する。

 

「かざま、ガチで勝ちにいくでござるよ」

「カカカ、いいぞ。揉んでやるのじゃ」

 

 己の作り上げた風真一刀流。その流派と血を継ぐ存在。

 ミコトは知っていた。少なくとも、軽んじて相手できるものじゃないことも。

 

「「水心に」」

「「落ちる影を」」

「「とらえるな」」

 

 

     斬ろうとすれば 霞むばかりか

 

 

 

 武術歌を歌い上げた両名が、同時に闘志を全開にする。

 いろははチヒロが錬成してくれたチャキ丸モドキを。

 ミコトは神器武甕槌神(タケミカヅチノカミ)を宙から呼び出した。

 

「準備はよいか?」

「もちろん――」

 

 ―――返答した直後、いろはの体が三寸沈む。

 身体強化魔法を発動し、青色の燐光が体を縁取る。

 

 放つは風真一刀流において最速の型――。

 

風真(ふうしん)一刀流――(これが通じなきゃ意味が無い。かざまの全力で、押し通す!!!)」

 

 ただこの一撃を届ける。

 それだけを思考したいろはの極限の集中が、その魔法を一段階進化させる。

 

 一ノ段

 

 ――魔法発動時において必ず霊魔子の変換ロスが出る。それは身体強化魔法も同じ。青色の燐光はその証拠。

 

「(なっ!? 急に速く!!?)」

 

 だがいろはのその集中力が、その一太刀を確かに――

 

「――疾風迅雷天津風!!!」

「ぐゥ……ッ!!?」

 

 ――届けさせた。

 

 咄嗟に防御に回した神器が、甲高い金属音を鳴らす。足を踏ん張り威力を殺そうとするが殺し切れず、そのままミコトの体は吹き飛び、宙を舞う。

 

 ―――身体強化魔法は、元となる身体能力に倍率をかけるもの。

 だからこそ、元のレベルが高ければ高い程、魔法使用時にはより高い倍率を身体にかけることができる。

 

 だが、風真いろはが見せたこれは―――

 

「(なんと身体強化魔法を極めたか!! しかもこの土壇場で!!!)」

 

 宙を舞いながら、ミコトは目の前のいろはを見る。

 昏い眼をしたいろはが、再びぐっと体を屈ませる。

 その体からはもう、青色の燐光は昇っていなかった。

 

「(来るか!!)」

 

 未だ宙にいるミコトが身構える――同時、いろはの姿が破裂音と共に掻き消えた。

 

「(やはり速い。いや――速すぎる)」

 

 破裂音の正体はソニックブーム。つまりいろはは音速を超える速さでの活動を可能としていた。その速度はかつての速度を上回る、音速の三倍。わかりやすく言うと1秒で1キロ進む。それは通常の身体強化魔法では辿り着けない領域。

 

 ミコトの上下左右から聞こえる破裂音、地面や結界の壁を利用しピンボールのように移動するいろは。

 

「(――薫風(くんぷう)・吹花ノ伯龍)」

 

 重力の鎖がミコトを引き始めた時、背後にいろはが迫る。

 突き技である七ノ段がミコトの背中目掛けて突き出された。

 

 視界に映らぬ背後からの襲撃。しかも踏ん張りが効かぬ空中。

 だがミコトはしっかりとその刃を捉えていた。

 

風神(ふうじん)一刀流 五ノ段 火雷噬嗑無獄爻(からいぜいごうむごくこう)

 

 繰り出す技は受け身の刀。後の先を取る技。

 同じく身体強化魔法を発動したミコトは、蛇のように刀を操り、見事に背後からの刺突を絡め、弾いた。音速の三倍の速さで突き出された刺突を防げたのは、まさに達人の業。

 

「風神一刀流 二ノ段 山颪」

 

 刀を弾いた動作から次の段へと繋げたミコトは、頭上に掲げた武甕槌神を思いっきり振り下ろす。

 

 ガキンッッ!!! と激突の衝撃に鈍い金属音が弾ける。

 全霊の一撃がいろはを捉え、その体を地表へと叩き墜とす。

 

 亜音速で地面に吹き飛んだいろはは、無防備にも背中から地面に激突。衝撃により罅割れる地面、吹き上がる砂埃と礫。その土煙の中から、いろはは悠然と歩み出て来た。

 

 その姿に一切の怪我無し。

 

 異常(それ)に目を剥いたのはミコトだった。

 

「(刀で直接の攻撃を防いだとはいえど、モロに背中から地面に激突したのじゃぞ……身体強化魔法を極めればアレほどの威力でも意に介さないのか?)」

 

 ミコトが思考するのと同時に、いろはも困惑していた。

 

「(今の威力、普通なら戦闘不能になる程のものだったのに、全然痛くない……なんでぇ?)」

「(それにヤツが与えたいろはの刀、頑丈過ぎじゃろ。これじゃあ武器破壊(九ノ段)も通用しなさそうじゃな)」 

「(……ともかく、ばあちゃんの本気はまだだ。気を抜くなよ風真いろは)」

 

 数秒の思考。

 ザリッと地面を踏み鳴らしたのはどちらだったか。

 どちらにせよ、先を取ったのはいろは。地面を蹴り砕く勢いで飛び出したいろはは、チャキ丸モドキを鞘から走らせる。

 

 同時、ミコトも動いていた。緩急をつけた滑らかな剣筋を宙に五本。振るった八ノ段は五本の斬撃を生み出した。

 縦に襲い掛かる斬撃。それを躱し、再びミコトの背後に回り込んだいろはは横真一文字の太刀筋を描く。

 

 だがタダでやられる程柔くない。ミコトは後方宙返りで見事に躱し、いろはの頭上を取る。

 

「――八ノ段 流幻天狗風」

 

 直ぐ様繰り出された飛ぶ斬撃。今度は倍の十が空間を走る。

 風の速さで飛ぶ斬撃を、いろはは探知。そして一か八かの賭けに出た。

 

「せいッ!!!」

 

 ドパンッッ!!! と蹴り出されて圧縮された空気が斬撃を叩き落とし、余波の風が吹き荒れる。

 

「(マジか)」

 

 ミコトの脳内を占めたのは驚愕の一言。

 飛ぶ斬撃はいわば鎌鼬。確かに風による影響は受ける。だが、並大抵の風や空気圧でどうにかなるような生ぬるい斬撃ではない。

 

「……ホントに驚かせてくれるわい」

 

 いろはは、極めた身体強化魔法により、音速の三倍での運動を可能とした。音速の三倍を体現できるその脚力があれば、瞬間的に生み出された風も鋭い突風となろう。

 

 己の身体強化魔法で飛ぶ斬撃を叩き落とせるということを確認したいろはは、何を思ったか地面を思いっきり蹴り砕く。衝撃が地面を駆け巡り、数多の土砂と土煙が舞う。

 

「(何をするつもりじゃ……?)」

 

 いろはの行動に訝しむミコトは、瞬間、意図に気付く。

 それは粉塵爆発。

 濛々と立ち込める、自身を覆う細かな土煙。着火剤は空気の断熱圧縮による熱の生成。

 

「おりゃあ!!!」

 

 ズガァンッッ!!!

 再び大気を震わすいろはの剛拳。

 しかしいろはの予想とは裏腹に――ミコトの想像通りに――粉塵爆発が起こることはなかった。直前まで降っていた雨が、引火点を上げていたのだ。

 

「あれ?」

 

 困惑するいろはの隙を見逃すミコトではない。瞬時に彼我の距離を詰める。

 

「(風神一刀流 七ノ段――)」

「(しまった、油断した――)」

「――薫風・吹花ノ伯龍!!!」

 

 慌ててチャキ丸モドキを盾にするも――いろはの腹部に、ミコトの一撃が突き刺さった。

 

「かハッ――」

「(浅い……それに妙な手応えじゃ)」

 

 吹き飛んでいくいろはに追撃をかけず、その場に立ち止まったミコトは思考を回す。

 

「(あの一瞬で儂の一撃を防ぐには二通り。結界を張るか、あるいは念力で防ぐかのどちらか)」

 

 吹き飛んだ先、お腹を抑えて立ち上がるいろはを見遣る。

 

「(結界を張った様子は無かった。それはつまり、念力で防いだということじゃ)」

 

 ゾクッと背筋を寒気にも似た感覚が走る。

 

 ――見てみたい。

 

 土壇場で身体強化魔法をモノにするその才覚

 仙人に到達して間もないながらも、念力を操れるその才能

 

 ――見てみたい。

 

 それは圧倒的なまでの天賦の才

 ともすれば己すら追い越す戦闘の麒麟児

 

 ――見てみたい。いや――

 

 ――魅せてみろ

 

 そして。

 

「神器解放! 武甕槌神!!!」

 

 バリィィイ!!! と雷鳴が轟く。

 ミコトが高らかに叫んだ鍵言葉が神器の封を解いた。

 絶えず空間を焦がす青雷は、今か今かと解き放たれるのを待っている。

 

「避けてみろ!! 最高傑作!!!」

 

神・鳴(カミ・ナリ)』!!

 

 地上に雷が奔った。

 

 単純に、雷の速度は音より速い。マッハ3の機動力でも同じこと。ミコトが放った横一閃の雷、凡人ならば知覚すらできずにその身を焦がす。

 だがいろは瞬時にチャキ丸モドキ(避雷針)を放ち、その反対方向に身を捩ったことにより、左腕とそこから伝播した首と胸部に火傷の範囲を留まらせた。

 

「(これがばあちゃんの神器の権能……凄まじいでござる。でも神器を使わせるくらいかざまが強かったってことだよね?)」

 

 痛みで膝を着き、苦悶の顔を浮かべるいろはに、戦闘の熱で浮かれたミコトが笑いかける。

 

「まだ……いけるじゃろ?」

「無論、当たり前でござる」

 

 ゆらり、と。幽玄のようにいろはが再び地を踏み締める。

 顔を真正面に。視線はまっすぐ。

 拾ったチャキ丸モドキを佩き、腰を落とす。

 

 その覚悟の灯る眼を直視して、ミコトは武者震いを抑えきれなかった。

 

「いくぞ我が血を引く者よ!! 神雷衣(カムライ)!!!

 

 神器が一際強く雷鳴を轟かせ、稲光を放った。

 世界を白に染め上げ、再び色彩を取り戻した先に立つのは、神器武甕槌神と一体化したミコトの姿。

 

 その姿はまるで、雷神。

 雷を司る神、武甕槌神に相応しい。

 

 転瞬、ミコトの姿が霞む。

 電光石火、その速度は稲妻そのもの。

 

神雷三日槌(カンラミカヅチ)!!!

 

 空気が焦げる音が三度。いろはの頭上から振り下ろされた三度の斬撃。瞬きよりも短い刹那の間に、ミコトは雷光煌めく神器を振り下ろす。

 

 それを奇跡的に防御。三連、火花散る。

 それがもう望めない事はわかっている。今のは本当に偶然だった。二度目はない。

 

 だからこそ。

 

「(一矢報いる!!)」

 

 覚悟を決めた。

 ともすればここで朽ち果ててもいいと思える程に魂を燃やした。

 

 燃え上がる魂の熱さが胸を満たす。心が熱い。その熱が心血に溶け、全身を巡っていた。身体の隅から隅まで、足の先から頭の天辺に至るまで熱湯が身体を巡っているようだった。

 

 風真一刀流 奥義―――

 

 構えたのは全ての神を千切ると評する風真一刀流最強の一撃。

 

「(最高じゃ。その覚悟、闘志。何よりも、その強靭なる精神。儂も応えなければ剣が曇る、剣が錆びる。敬意を表して、儂の全力を以って相手しよう)」

 

 雷神(らいじん)一刀流―――

 

 迸る青電は霊獣・麒麟が猛る勢いで。天に掲げられた神器は世界中に轟くような雷鳴を奏でる。

 

 稲妻の速度を以って、その一撃は放たれん。

 音を超越した速さを以って、かの一撃は放たれる。

 

 ―――神雷薙(カンラギ)

 ―――天神地祗刕・志那都比古

 

 

 ―――この結果はわかっていたことだった。

 風真一刀流の始祖相手に、その流れを汲んだ者が打ち倒すなど。

 だが誤算もあった。

 風真いろはが世界の過去を含めても類稀なる戦闘の才を持っていた麒麟児だったこと。

 そして、確かにいろはの牙はミコトに届きうるものだったこと。

 その二つの誤算は無視できないもので、ミコトの本気を引き出すに至った。

 

「(………悔しい)」

 

 全身を襲う激しい痛みで朦朧とする意識を取り戻そうにも、水のように手のひらから零れ落ちていく。たたらを踏んでどさりと倒れ込む風真いろはに、ミコトは微笑んだ。

 

「安心せい、お前は強い。そしてもっと強くなれる。遥か先の高みに登れる資質がある」

 

 

 

―――………

 

 

 

「すー……、すー……、すー……」

 

 急募。

 目を覚ましたら銀鏡さんがかざまの手を握って寝てた件について。

 

 しかも面が取れてて素顔が見えてるんだが。

 

「……どうしよう」

 

 とりあえず、せっかくなので銀鏡さんの顔をまじまじ見る。

 うぅむ…………どっちだこれ。銀鏡さんの性別どっちだこれ。

 

 透明感ある白い肌。

 ふっくらしたほっぺ。

 血色の良い唇。

 ちょこんとした鼻。

 

 どっちだこれぇ?

 

 声の高さや身長、肉付きからもどっちか判別できなかったけど、顔見てもわからないなこれ。これもう世界のバグとかじゃね?

 女性と思えば女性に見えるし、男性と思えば男性に見える。……両性具有説ある? 雌雄同体説ある?? 逆に無性説???

 

 かざまがそんなくだらないことを考えてる視界の端でピクリと銀鏡さんの瞼が震える。それ即ち目覚めの兆し。イコール何かわからぬがかざまの危機。

 だがしかし、悲しい事にかざまがどうにかできる前に銀鏡さんの目がぱっちり開いた。それはもうバッチリ目があった。

 

 いつも狐の面越しに見えてた翠の瞳がゆるゆると揺れる。

 

「うわぁああ!!! 良かった!!! 目ぇ覚めたんだね!!! おはよう!!!」

 

 眩しい!

 そう思ってしまうような満面の笑み。花が開くような、太陽が煌めくような、見てるこっちが嬉しくなるような幸せに満ちた表情をしていた。

 

「おはようございます」

 

 そうか。

 銀鏡さんっていつとそんな感じに笑うのか。

 ふーん。

 いや別に何か意味があるわけじゃないけれど。

 

 喜色に濡れた翡翠の瞳が、今度は悲しげに揺れた。

 

「うぅぅ、良かったよぉ、もう三日も目ぇ覚めなかったんだから」

「三日も眠ってたでござるか。なら身体も鈍ってる筈でござるな。鍛錬し直さなければ」

「ダメダメまだ安静にしておかなきゃ!! ね?」

 

 親の言う事を聞かぬ子を宥めるように、ぎゅっと、かざまの両掌を銀鏡さんの両手が包み込む。

 

 かざま、お子様じゃないのに。失敬である。

 

「あっそうだ」

 

 ピコーンという音が聞こえるような拍子で、銀鏡さんのケモミミと尻尾が立ち上がる。モフりたいと思ったのはもはや必然のことだ。

 

「風真さ―――え?」

 

 そこで漸くベッドに転がってる狐のお面に気付いた。途端、ぴしりと固まった銀鏡さんは、すぐに再起動すると自分の顔をペタペタと触り、完全に素顔が日の下に晒されていることを知った。

 

「……見た?」

「ばっちり」

 

 かざまは嘘つかない系侍。故に正直に伝えると、『ぼへぇぇえええ………』と大きな風船が吹き出すような声を出して、しなしなとその場に座り込んで顔を覆ってしまった―――と思えば、急に立ち上がった。

 

「きききき、記憶消せばいけるか????」

「ええ!!?」

 

 突拍子もないことを言い出した銀鏡さんの目は、漫画みたいにぐるぐるしてた。明らかに混乱状態。面が外れて正気を失うなんてアレは呪いのアイテムか何かか? 普通取れたら正気に戻るやろがい!!

 

 ブツブツと『記憶消去記憶消去記憶消去……』と壊れた機械みたいに繰り返す銀鏡さんの手から不穏な気配を悟る。ちょっと待って身体強化魔法使ってない!!? 流石に死ぬ!! ござるさん死んじゃう!!!

 

「チェストー!!!」

「グエッ!!?」

 

 ごめん銀鏡さん!

 でもこうしなきゃ駄目そうだったから!!

 

 かざまの突きが鳩尾にクリティカルヒットした銀鏡さんは蛙が潰れたような声を出して気を失った。

 

 よし。

 

 後はここをこうして、こうすれば……。

 

 タラーン! 三分前の状況に巻き戻り!!

 唯一違うのは銀鏡さんの顔に面を付けたこと!

 後はさりげなく台詞を誘導すれば、よもや繰り返してる事に気付くまい。

 

「―――ん? あれ」

「おはようございます」

「あっ、おはよう!! ……んぅ??」

 

 直ぐに違和感に気付くのは流石と言うべきか。だがかざまは畳み掛ける! 相手は既に土俵際! ここで突っ張らなきゃごわすじゃない!!

 

「かざまどれくらい眠ってたでござるか?」

「ん、三日だよ」

「そうでござるか。なら身体も鈍ってる筈でござるな。鍛錬し直さなければ」

「ダメダメまだ安静にしておかなきゃ!! ね?」

 

 親の言う事を聞かぬ子を宥めるように、ぎゅっと、かざまの両掌を銀鏡さんの両手が包み込む。

 

「思いっ切り既視感感じるのだが……」

「気の所為だと思います」

「そう?」

「いえす」

「そうか……あっそうだ」

 

 はい勝ち申した。

 心の中のキラ殿もククク計画通りと喜んでおる。

 

「風真さんってもしかして仙人に成れました?」

「おそらくメイビー」

「ちょっと念力使うから感知してみてくださいね」

 

 霊魔子を感知するために瞑想すると、何の抵抗なくスッと仙人の領域に踏み入れられた。身体周辺の霊魔子がランダムに動いてるのを感じられる。

 けど、急に規則的な動きになってかざまの右手に集まり、球形を取った。

 

「今、風真さんの右手の上に「球形でござるか?」そうです!!」

 

 食い気味に返せば、銀鏡さんは嬉しそうに両手を叩いて拍手する。

 

「わぁおめでとう!! おめでとー!!! 何かお祝いしなきゃ!! 何がいい? なんでも良いよ!!」

「ホントになんでも良いんでござるか?」

「? うん。だって私高給取りですからー!」

 

 わははと笑う銀鏡さんを傍目にかざまは頭を捻る。

 お食事……は興味無いからいいや。うーん、ケモミミ尻尾触り放題撫で放題券がベストか? いやそれ頼むと流石に銀鏡さんいえども引かれるかなぁ?

 

 ……あっ。

 いや……でもまぁ訊くだけ訊いてみるかなぁ。

 

「銀鏡さんの性別を教えてください」

「え!? それ!? 今、それ!!?」

「うん」

「いや他にお食事とか物とか、ケモミミ尻尾触り放題券とか、なんなら神器とかでも良いんですよ!!?」

「ぐっケモミミ尻尾触り放題券……」

 

 流石銀鏡さん策士でござる。こうもかざまの弱点を突いてくるとは。

 

「……ぬぬぬ、でもやっぱり銀鏡さんの性別知りたいでござる」

「えぇー……」

「駄目でござるか?」

「うぅんん……」

 

 しきりに頭を悩ます銀鏡さんは、暫くうんうんと唸る状態で固まってしまった。

 

「ん、まぁ性別ならいっか。お祝いで私の性別を教えるの釣り合ってない気がしますけど」

 

 そう言って、どこか照れた声を出す銀鏡さんは、ひっそりと教えてくれた。

 

 へー!!

*1
死亡疑惑もあるので、プレミアム価格で販売されてるものもある

*2
ちなみに、デスク周りにも置いてある

*3
掛け声

*4
(。>﹏<。)

*5
キッショ、なんで分かるんだよ

*6
。゚(。>﹏<。)゚。




 銀鏡チヒロ
 いろはとミコトが戦っている間はずっとハラハラしてた。
 ケモミミと尻尾はいろはが触るようになってからお手入れは欠かしたことがない。

 風真いろは
 この度仙人に到達。きっかけはしょうもないことだったが、勝てばよかろうなのだ!

 風神ミコト
 風神一刀流と雷神一刀流の使い手。どちらも始源。
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