side 三人称
現在、天滝 望が家に帰り、事の全容を天滝 光から聞き、彼らはソファーに座り天滝 燕と対面した。
「燕、母さんから聞いたよ。その上で聞くよ。燕、君はいったい何者なんだい?」
一つの静寂がこの場を包む。
「・・・・・・・・・父さん母さん・・いや、今は望さんと光さんと呼ぶよ。今から話すことはすべて真実で嘘偽りはない。このことを信じた上で聞いてほしい。・・・いいかな?」
「ああ、わかった」「ええ、わかったわ」
「・・・・・・・それじゃあ話すね。俺は―――――――――――――――」
彼らに全てを話した。燕が話している間、彼らは口を挟むことなくジッと耳を傾けき聞き続けていた。
前世の記憶を持っていること。
親に売られ、少年兵になっていたこと。
人を何人も殺したこと。
戦争中に撃ち殺されたこと。
燕は顔を伏せたまま前世の事を話し続け、そしてついに終わりを迎えた。
side out
side 天滝 燕
「――――――――――――――これが俺の全てです。」
全てを話し終えた。
このことを聞き、彼らはどう思うだろうか?
・・・・気味が悪いに決まっている。もし俺自身が聞いたら相手に嫌悪感を抱くと思う。
嫌悪感を持った彼らは最初になんて言うだろうか?
罵倒か、それとも蔑みか。そんなことを考えながら顔を上げると―――――――――――
――――――――――――天滝 光に抱き締められた。
えっ?
なんで彼女は俺を抱き締めているのだろうか?
いきなりの事で訳も分からず混乱していると。
「辛かったよね。ごめんね、気づいてあげられなくて。」
・・・・なぜ彼女は泣いているのだろうか? なぜ謝るのだろうか?
もっと訳が分からなくなってしまった。そう思いながら天滝望のほうに目を向けると。
「済まない。私も全然気づいてあげられなかった。」
彼も目から涙を流しながら彼女と同じ様に謝ってきた。
なんで?
「二人とも俺が気持ち悪くないの?」
「気持ち悪いわけないッ!」 「そんなわけがないッ!」
「だってあなたは・・・」 「だっておまえは・・・」
「「私たちの大切な娘なんだから(もの)」」
「ッ!!!!」
その言葉を聞いた瞬間、目の前が滲み始め、涙から溢れた。
「ゔぅ・・・・・あぁぁ・・・・おかあ・・さん・・・・おと・・おさん・・・ひぐッ・・えぐッ・・・ゔぅぅぅああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――」
俺は声が枯れてしまうのではないかというほど泣き続けた。溜まりに溜まったものを全てを吐き出すかのごとく。
彼らは俺を道具ではなく、一人の人間として・・・大切な娘として受け入れてくれた。
今までで感じたことのない喜びだった。
̠あ̠の̠子̠ もそうだったのだろうか?
・・・・・そうだといいな。
side out
side 天滝 望
燕が話してくれたことは普通ではとても信じられるものではなく、そしてとても残酷なものだった。普通ならそんなことありえないと切り捨ててしまえる話題だ。しかし彼女はふざけることなく真剣に話していた。それだけでも彼女が真実を話していることが信じられる。
話を聞いて、彼女が私たちに心を開かず、一歩引いて接していた理由も頷ける。
親に売られたか・・・・・私には想像できないほどの悲しみだ。これは身をもって知らないと味わえないものだろう。
さらに強要され人を殺し続けていたか。相当な苦痛だった上にやらなければ生き残れない。
・・・よく彼女は心が壊れなかったものだ。
それらの事もあり、彼女は不安だったのだろう。また捨てられるんじゃないか、もしくは気味悪がられて拒絶されるのではないかと。だから今までこのことを話さなかったのだろう。今回の事件で危険なこともあったがきっかけとしてはよかったのかもしれないな。
これでやっと本当の家族になれたのだから・・・・・・・・
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