1話 平凡学生の入学式
「納得できません! なぜお兄様が補欠なのですか!」
国立魔法大学附属第一高校。その入学式に校門の近くで男女が言い争っていた。
「入試の成績はお兄様がトップだったじゃないですか!」
一体どこから入試成績を見たのか、という野暮な質問などこの少女、司波深雪の覇気の前にできる訳がない。
「本来新入生総代は私ではなくお兄様であるべきです! 魔法も体術もお兄様に敵う者などいないの..」
「深雪!」
(それに俺よりも魔法が上な奴を俺は知っている)
しかし青年、司波達也もただ妹に言われるままではない。それは達也の秘密に関わる事で言ってはならない事。即座に深雪を嗜めた。そんな二人に周囲が注目する中、
「うっへー、また兄妹でいちゃついてるよ」
二人に気づかれないようにその場を早足で離れる
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「見てあの子。ウィードよ」
「こんなに早くから? 補欠なのに張り切っちゃって」
零は第一高校の事をあまり知らなかった。故に早く慣れようと時間早めに到着したのだが、肩に紋がついてない事からすれ違う紋付きの者達から笑われ続けているのである。そんな状況に温厚な彼でもやはり思うところはあるのだろうか...
(これだけ個人じゃなくて紋の有無で判断してくれるなんて最高じゃないか!)
なぜか喜んでいた。
(まあ校内の場所は大体把握したな。でもまだ開場には時間がある...。本でも読むか)
そう思い、零は周囲のベンチを探し腰掛ける。尋常ではない速度で本を読み進める零の隣は依然空いている。それは紋付きの隣になど座りたくないと思う差別意識からくるものだろう。零が座っているベンチ以外は全て埋まっているのである。そんな中、彼は声をかけられる。
「すまない。隣いいか?」
「お、おう..」
司波達也は困惑していた。達也も読書をして時間を潰そうとしていたのだがベンチは不自然に空けられたその場所しかない。そこに座っていたのは達也と同じく紋無し。自分は妹の付き添いできたのだがこの者は何をしにきたのだろう。少し興味を持った。それもあって話しかけただけなのに...
(なぜこうも拒絶されるのだろうか。そんなに俺の顔は怖かったか?)
初対面の相手になぜこんな態度を取られるのか達也は分からなかった。
(え、なんで達也来てんの? せっかく距離を取るために離れたのに。いや、達也と深雪には別にバレてもいいんだけどできるならバレない方がいいんだよね。秘密は知ってる人間が少ないからこそ秘密として成り立つ訳だし)
二人は最初に数回言葉を交わしただけでそれ以降は何も話さず、目も合わせずただひたすら読書を続けた。
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「新入生の方ですね。あら、あなた達はちゃんとスクリーン型を使っているようね、感心です。当校では仮装型は持ち込みが禁止されていますので。...持ってきている人は少なくありませんが」
そんな彼らに話しかける物好きは他にもいた。身長は低いが一科生である事を示す紋がついた制服を着用しておりその振る舞いから達也は上級生だと推定した。達也はこの女性の名前を知らなかった。一方、零はと言うと...
(やばいやばい七草だ! なんで入学式早々声をかけられちゃうの?! 彼女には絶対にバレちゃダメだ..)
内心めちゃくちゃ焦っていた。
「いえ、仮想型は読書には不向きですから」
「そうなんですね。あ、申し遅れました。私は七草真由美と言います。七草と書いてさえぐさと読みます。よろしくね!」
「俺は...いえ、自分は司波達也と言います」
「あら! あなたがあの司波達也君なのね。先生方の間では貴方の噂で持ちきりよ。入試七教科平均、100点満点中96点。特に圧巻だったのは魔法理論と魔法工学。合格者の平均が70点にも満たないのに、両教科とも小論文を含めて文句なしの満点。前代未聞の高得点だって」
「ペーパーテストの成績です、情報システムの中だけの話ですよ。この学校で、自分は劣等生ですから」
そう言って達也は自分の紋が入っていない左胸を指差した。しかし真由美は他の生徒のように達也を二科生だからといって見下す素振りは見せなかった。
「そんな事無いわ、少なくとも私には真似できないもの。私ってこう見えて理論系も結構上の方なのだけどね。入試問題と同じ問題を出されたとしても、司波君のような点数はきっと取れないだろうなぁ」
そう言って真由美は微笑む。達也の自己紹介が一通り済んだところで真由美の視線はは隣の零にへと向けられた。
(えー...俺も自己紹介しないといけないパターンか。あんまり関わりたくないんだけどな..)
「向井零と言います」
「そうなんですね、覚えておきます。二人がこれから充実した高校生活を過ごす事を生徒会長として祈っています。さ、そろそろ式場の開場時間ですよ」
真由美は達也と零とで明らかに言葉の数が異なった。しかし真由美を責める事はできない。達也も零も二科生だが、零は達也とは違って特異な成績など入試で残していない。真由美もいくら生徒会長とはいえ全新入生を記憶している訳がない。そう、真由美は本当に零の事を知らなかったのである。
(すぐに忘れてもらいたいんですけど..)
零は自分のターンがすぐに終わった事に安堵し、真由美から離れるために急いで端末をしまった。
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入学式会場に着いた零と達也はその圧巻な光景に目を奪われていた。
(うっひゃー、綺麗に上下で分かれてるな)
(最も差別意識があるのは差別を受けている方だという事か)
そんな事を考えていると零は後ろから声をかけられる。
「もしかして零くん?」
「ほのか...雫..」
振り返れば二人の女子生徒。零の知る二人だった。
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