魔法科高校のゼロ   作:マイケルみつお

7 / 20
活動報告にヒロインアンケートを載せています。回答よろしく!


7話 口を滑らせたらアカンすよ!

 「で、当初の経緯は見ていないのだな?」

 

「はい。自分が見たのは剣術部の桐原先輩と剣道部の壬生先輩が言い争っているところからです」

 

「最初達也くんが手を出さなかったのはそのせいかしら?」

 

「打身程度で済むのであれば当人同士の問題だと」

 

そこは第一高校部活連本部。桐原が魔法の不正使用をし、そして準科がそれを取り締まった事で今、第一高校ではホットな話題となっている。

 

「ところで向井くん。魔法を使わずにして魔法の不正使用者を取り締まったと聞く。やはり風紀委員に入る気はないか? 今回の件で私は積極的に君を風紀委員に入れたいと思ったよ」

 

(え?)

 

「い、いやぁ...それはちょっと...」

 

(生徒会と部活連よりかはマシだが常に戦いに身を置く風紀委員はできれば避けたい)

 

「あ、あれは! 達也のおかげです! ぜーんぶ達也がいたおかげなんです!」

 

「達也くん。向井くんはこう言ってるけど」

 

「全くの事実誤認です。零は自分の手助けなどなしに剣術部の先輩方を魔法を使わずに圧倒していました」

 

「って達也くんは言ってるけど」

 

「というか急に語彙が幼くなったな...」

 

(なんで圧倒を強調して言うんだよ...)

 

前回は逃げられたが達也は零を道連れにしようという考えは変わっていなかった。何より零を風紀委員にすればより零を観察する事ができる。しかしそんな事、零が認めるはずもない。

 

「自分を風紀委員にするのであればまずは服部先輩を通して下さい」

 

まるで服部を芸能事務所のマネージャのように使う零に、しかし誰も返す事ができなかった。服部は達也は例外だとしても依然二科生を下に見ているのは変わっていないのである。そして深雪からの願いがあった達也とは違って目の前の零は仮に模擬戦になったとしてわざと負ける選択をする事は誰の目から見ても明らかであった。

 

(((あいつを風紀委員にするためには力を出さざるシチュエーションを作るほかない))))

 

口調は若干違うものの、同じ事を達也、真由美、摩利は考えていた。

 

「......」

 

そしてそもそも零の事を知らない十文字克人は終始空気であった。

 

──────

 「こんな時間まで待たせて悪かったな。遠慮なく食べてくれ」

 

「じゃあ遠慮なく」

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

「...いつツッコもうか悩んでいたんだが、どうして零も当然のように俺に奢られる気なんだ?」

 

そこは達也達がよく使う喫茶店・アイネブリーゼ。達也はあまり時間はかからないと思い、いつも一緒に帰っている準科のクラスメイトに待ってもらっていたが予想以上に時間がかかり、そのお詫びも兼ねてこうしてデザートをご馳走している。そしてそのメンバーに加えてほのかと雫も分かる。

 

彼女達は零を待ってはいたが彼の帰りを遅くさせたのも自分に関係あるとすれば詫びるのも道理であるからだ。

 

(だが...)

 

「お前を待たせた訳じゃないんだが」

 

「まーまー、細かい事言うなよ。ま、あれだ。俺を風紀委員にしようとした事をチャラにするからよ」

 

そう言いながらこの中でも最も高価なパフェを注文して頬張っている零に達也は文句を言いたかったが...しかし我慢した。最も高価、とは言っても達也からすれば大した出費ではないしこれで零を風紀委員にしようとしたという限りなく小さい負い目もなくなるのなら安いものだからだ。

 

「でも達也、いいのか? こんなにご馳走してもらって」

 

「大丈夫大丈夫! 達也にとってこれくらい大した出費じゃないし。レオもそんな遠慮しないで追加注文すれば...」

 

親友のレオの発言に零は本心で答えてしまったがそれがマズかった。

 

(レオと話してるとついつい本心で話してしまうが...)

 

それはレオだけと話している時でのみ適用される話で、その他の人間、特に達也がいる場所で今の発言は流石にマズい。自らの失言を悟った零はとんでもないほどの冷や汗を滝のように流す。

 

(あ、これアカンやつや)

 

「なあ零、どうして大した出費じゃないって知ってたんだ?」

 

関係者以外には何が重要な話なのか分からない。事実、隣席した零と達也、そして零と反対側の達也の隣に座っている深雪を除いたメンバーはその様子に気づく事もなく談笑を続けている。

 

「まるで俺の収入を知ってるかのような言い方だったが」

 

達也の収入とは当然トーラスシルバーについてである。しかしこれは四葉家が厳重に保管している情報であり、ただの一般家庭の零が知る訳がない情報なのである。つまり大した出費ではないなどと言えるはずがないのである。そして...

 

(深雪の発言と合わせればなぜ零がこの事を知っているのかは明確だ。つまり深雪が見たのは人違いなんかじゃない。零は...四葉家の人間か?)

 

そして達也と同じ結論に至った深雪は目を輝かせて頬を染めている。

 

「零。ちょっと付き合え」

 

「...ひゃい」

 

「すまないみんな。ちょっと席を外す」

 

零は達也に半ば連行されるかのようにして店を出た。




ログインしていない方でも感想を書けるようにしています。感想を書いてくれるとすごく嬉しいのでよろしくお願いします!

twitterもやってます。フォローよろしく! @hanvanpan

生存報告を兼ねたアンケート(文字数の関係から詳細は活動報告を見てね!)

  • 上書き更新してもいいよ!
  • リメイク更新ならいいよ!
  • 百年早いわこの未熟者!
  • 興味ないorどうでもいいor作者に任せる
  • 結果閲覧用

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。