ストーリーの本筋には大きく関係しないので、読み飛ばしていただいても大丈夫な回です。
よければご笑覧ください
※演出上、サブタイトルを■■にしております。
「よぉ〜〜〜っやくッ!来月、式を挙げられることになりました!はい、これ招待状!」
そうやって差し出された招待状を、わたしは苦笑まじりに受け取った。
「はいはい、ごちそーさま。ついでに今日もゴチになりまーす」
「もっちろん!お祝儀、はずんでよね!!」
「2万円にしてやろうか?」
「なんでよ!?不吉じゃん!!」
そんな冗談を交わしながら何度目かわからない乾杯をして、女2人してビールを流し込む。ワイン?無駄に高いし美容とか気にしてないからどーでもいいわ。
ぷはーっと一息。わたしは目の前の幼馴染をじっと見つめる。ずうっと昔から知っているはずなのに、いつの間にこんな綺麗になったんだろ。
「むかつく」
「なにが!?」
このやりとりも、変わらないんだよなぁ。
この娘がボケて、わたしがボケかえして、向こうがツッコミして。
なんだか懐かしくて、ちょっとだけ寂しい。
「ねぇねぇ、くまのぬいぐるみって歌、知ってる?」
なにそれ?どういう意味?
わたしの思ったことは、口にしなくとも伝わる。それがこの幼馴染の変な特技。
きっと、わたしの疑問が顔に出たんだろーな。この娘はそういうところ、ものすごく気を遣ってくる。一時期はそれがうざったくてケンカしたりしたけど、今はそれも含めてこの娘の美点なんだなぁって、素直に思える。
「みんなのうた、よ。私たちが幼稚園くらいのときにテレビでやってた」
「ああ、あの歌・・・・・・」
たしか、ちっちゃい子供が持ってたクマのぬいぐるみが、段々とほつれたりしてきて、最後は捨てられちゃうんだっけ。
知らんけど。
「どしたん?いきなり」
「いやぁ、なんか唐突に思い出しちゃって・・・・・・」
そんなこと言って、ま〜た寂しそうな顔する。そんな顔見せられたら、わたしだってため息の一つも吐きたくなるってもんよ。
「な〜に言ってんだか。これから幸せの絶頂期突入だってのに」
鼻で笑ってやった。
「そうね!なんかごめんね〜!w」
ガチで笑われた。
やっぱムカつく。
餃子を一個奪ってやった。
「あぁ!?」
「調子に乗るからよ」
「いいじゃん!つーかアンタもいるでしょ彼氏!結構長いじゃん!」
「まあね。でも職場恋愛だし、続くかどーかわかんないよ」
「そんなこと言って3年経ってんじゃん」
「うっせーわ」
まぁ、正直?
最近そんな話も出たり出なかったりなんで?
意識してないといえば嘘になる。
「お互い結婚したらさ〜、宅飲みしようよ!家族ぐるみの付き合いってなんか憧れない??」
「そりゃあ、まぁ・・・、わかんなくもないかなぁ・・・」
言ってからハッとした。今のは自分でもわかるくらい惚気が入ってた。
当然、この幼馴染はそれに気付いたようで、
「めっちゃ気持ち悪い顔で笑うな」
「ひどくない!?」
わたしのチョップを頭に食らいながらも、心底楽しそうに笑ってた。
結婚かぁ。あんまり真剣に考えてなかったけど、ちゃんと返事返してやるか。
実は、3か月前くらいにプロポーズはもらってたりする。ただわたしは、もう少し今の関係でいたいかもって感じた次第でして・・・。
ただそれだけ。
でも目の前の、このちょっと抜けたとこのある幼馴染の有頂天ぷりを見てると、不思議と結婚も悪くないかもって思える。
「まあ、あんたへのご祝儀は弾むに決まってんでしょ。20年以上の付き合いなんだから」
何気ない、わたしの一言。それがなにかの刺激になったらしい。
突然、目の前で泣かれてしまった。
「ちょ、どーした?」
「ごめん・・・なんか自分でもわかんないけど、止まらなくて・・・」
・・・まったく、コイツは。
「いいよ、別に。まだ式まで1か月もあるんだし。今のうちに泣いとけ」
「うん・・・」
「結婚したって、離れ離れになるわけじゃないし」
「うん・・・っ」
「そのかわり、結婚後は泣くの禁止な。幸せなんだから笑っとけ」
「それ、無理ぃ・・・」
「無理じゃねー」
「いやぁ、無理だよ。だって」
そこで彼女は一息ついて、
「あんたの結婚式、絶対泣くもん」
とんでもないことを言いやがりました。
おい、バカ。やめろ。酒入ってんたぞ。こっちも泣くだろーが。
「・・・わかったよ。近いうちに渡すから」
「へ・・・?」
「招待状」
人間って驚くとこんなに目が開くんだー。面白い顔を見せてくれたお礼に、一曲プレゼントしてやろう。
「少し淋しくてちょっと悲しくて、とても、うれしいよ〜♪」
「やめてよ!?ホント涙止まんなくなるからぁ!!」
案外覚えてるもんだなぁ、クマのぬいぐるみの歌詞。
まぁ、今週末かな。この幼馴染の幸せバカっぷりを見て、わたしも結婚いいなぁってちょっと思ったから。
わたしの答えを待ってくれているバカに、とびきりの返事をしてやろう。
そうやって考えていたのに。
なに、これ。
あたりから爆音が聞こえる。
銃声が聞こえる。
悲鳴が聞こえる。
断末魔が聞こえる。
なんで?どおして?
なんで、このバカは、
血なんか流して、倒れてんのよ??
てゆーか、どっから血ぃ流してんのよ。
似合わないメガネが、余計似合わないじゃん。
目玉こぼれてるっての。
なんで返事しないのよ。
なんで息してないのよ。
なんでわたしなんか庇ってんのよ!!!
涙が頬を伝っていくのがわかる。
わけわかんない。
なんでこんな事になってんの?
わたし、なんか悪いことしたっけ?
人類のための仕事、してたよね?
このバカだって、そうよね?
一生懸命がんばってたよね?
わかんない。
わかんないわかんないわかんない。
わかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんない
おちつけ。
落ち着け。
まだ大丈夫。
まだ、このバカは死んでない。
医務室に行けば大丈夫。治療できる。
まだ助かる。
幸いなことに、ここから医務室は近い。
わたしじゃ担ぐことはできないけど、引っ張っていけば!
「うぅ・・・ひっく。うう・・・」
我ながらなんて情けない。
泣いてたって仕方ないだろーが。
早く連れてかないと、マジに助かんない!
てゆーか、重いのよアンタ!
絶対ダイエットさせてやる。
アンタ、一生わたしの尻に敷かれるんだからね。覚悟しときなさいよ!
・・・・・・・・・ふふっ。
意外と平気じゃん、わたし。
なんかちょっと落ち着いてきたかも。
とりあえず、コイツを治療して。
そのあとは・・・・・・・・・どうしよっか。
隠れてたほうが、いいよね?コイツもすぐには動けなさそうだし。
あああああああ、くそ。
絶対やめてやる、こんなトコ。
辞表、いるのかな、この場合。
いや、知らんわ。どーでもいいし。そこまで気ぃ使う必要あんの?ないっしょ。
マトモな職場じゃないかもって思ってはいたけど、どんだけブラックだよ。ビビるわ。
てゆーか、これ普通に慰謝料貰えるんじゃね?
こいつの怪我次第だけど、ぶっちゃけ相当取れるんじゃね?
・・・・・・・・・・・・あれ?
これって、意外と勝ち組?
もしかしなくとも一生分のお金手に入った?
おお、いいね!楽しくなってきた!
やっべ、なんに使おう!とりあえずあの娘誘って服買いに行って、しばらくは外食三昧だな、こりゃあ!
あと家買って。あ、その前に式
空の薬莢が床に転がる。戦自隊員が、射殺したネルフ職員の死体を見ながら無線をつなげる。
「状況クリア。指示を仰ぐ。送れ」
h,虐殺
つづく
旧劇場版で同僚を引っ張っていて撃ち殺されてしまった女性の話です。
トラウマを植え付けられたので、書いてみました。
この可哀想な女性ってどんな感じの人だったんだろうっていう妄想回でした。